中世ファンタジーの世界に転生したと思ったら、魔法使いの代わりに決闘者がいた件について   作:カージ

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ふと思った。

これ、なんてラスト決闘?

注:別に最終回ではありません。




神の炎

落ちて行く。

どこまでも、どこまでも落ちて行く。

上も下も、右も左も前も後ろもなにもない、真っ暗な闇に包まれた空間を、アカーシャは落ちて行く。

このまま進めば取り返しのつかないところまで落ちていってしまうと、アカーシャは漠然と理解はできていた。

 

しかし、戻ろうとはしない。

戻ったところで、待っているのは絶望だけだ。

 

サイコ・ショッカーによって、全ての罠カードが封じられた今、アカーシャのデッキはもはや機能することはないだろう。

どうせ勝てないのなら、どうせ死ぬのなら、痛みもなくこのまま逝ってしまいたい。

そんな諦めが、アカーシャの心を埋め尽くしていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・本当に、そうなのか? 」

 

不意に、声が聞こえた。

 

(うるさい、もう疲れたんだ。眠らせてくれ)

 

「本当に、お前にはもう手段は残ってないのか? 」

 

(うるさい、黙れ)

 

「お前には、まだ残ってるハズだ」

 

(もう、なにも残っていない)

 

「嘘をつくな。お前はまだ戦える。ライフが0にならない限り、可能性が一パーセント未満でも、0じゃない限り、まだ終わりじゃない」

 

(・・・)

 

「そうだ、お前はまだ負けてはおらぬのだ」

 

(負けて、ない)

 

「有るのだろう? お前のデッキにはこの状況を覆すことができる、切り札が!! 」

 

(・・・! )

 

アカーシャはフィールドの、そして墓地のカードを思い出す。

そう、その切り札の召喚条件も、すでに整っていた。

 

(ある。確かにある。あのカードを引ければ、俺はこの状況をひっくり返すことができる!! ・・・でも、本当に引けるのか? )

 

残ったデッキは21枚。そのカードは、デッキに一枚だけ。実に21分の1の確率である。

数少ないドローソースは、ソーラー・エクスチェンジやライコウの効果で墓地へ行ってしまったか、そもそもが罠カード。あとは、逆転の芽を潰して始めてドローできるカードだけ。

ライコウのような強力な除去能力を持ったモンスターも、軒並み墓地へ行ってしまった。

墓地発動効果を持った防御系モンスターも、恐らく簡単に突破されてしまうだろう。

たった300のダメージで、アカーシャの負けは決まってしまうのだから。

 

「己のデッキを信じるのだ。別の世界の記憶を持ったお前には理解できないかもしれない。だが、知っているハズだ。己のデッキを信じるものにデッキは必ず答えてくれるということを! 」

 

そう、確かに知っていた。

それはテレビの中で、そして漫画の中で、時には小説の中で、その瞬間を見てきたではないか!

 

その記憶は、アカーシャの中で希望となって弾けた。

 

(そうだ、俺は知っている! 最後まで諦めなかった決闘者()に、勝利の女神が微笑むことを! 今まで何度だって見てきたハズだ!! 残り僅か(レッドゾーン)のライフのやつが、逆転する瞬間を!! )

 

「その意気だ! さぁ行け! その右手に勝利を掴むのだ!! 」

 

そして、アカーシャの意識は急激に覚醒へと向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「強く生きろ、アカーシャ・ヘリオポリスよ。ここはまだ、お前の死に場所などではない」

 

アカーシャの気配が消えた暗闇の中で、その声は一人呟く。

 

「我が眷族の一人、ユダヤの太陽を運ぶものよ。どうか彼女を守ってやってくれ・・・」

 

そして、暗闇には静寂のみが残された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うっすらと、目に光が戻ってくる。

 

ゆっくりと、耳に音が戻ってくる。

 

そしてしっかりと、意識に世界が戻ってくる。

 

「ハハハ、所詮小娘、痛みに耐えきれず気を失ったか。・・・ドローすることのできない決闘者に、ターンは回ってこない。私の勝ちだな」

 

「焦るなよ、ロリコン。勝負はまだ決まった訳じゃないぜ? 」

 

男の言葉に、ゆっくりと立ち上がったアカーシャが答える。

 

「ハハハ、なにを言う。お前のライフは残り300。そして手札は0枚! さらに私のフィールドには罠カードを封じるサイコ・ショッカーがいる! お前の勝利は万に1つもないのだよ!! 」

 

「万に1つもないと言うなら、億に1つを狙うまでのこと! 」

 

そう言って、アカーシャは目を閉じた。

右手の指をデッキの上に重ねる。

ドクンドクンと、心臓の音がやけに大きく聞こえてくる。

緊張と共にアドレナリンが分泌され、興奮の渦に痛みが消えていく。

 

「俺の・・・ ターンッ!! 」

 

そして、カードを引いた。

そのカードをゆっくりと目を開き、確認する。

 

「来て、くれた・・・」

 

ありがとう、と小さく呟く。

そして、目を男に向ける。

 

「行くぞ、これがこの決闘のラストターンだ!! 」

 

 

 

隊長 手札0 LP 3200

フィールド

人造人間ーサイコ・ショッカー×1

 

アカーシャ 手札1 LP 300

フィールド

×神の恵み×1

×死霊ゾーマ×1

×エンペラー・オーダー×1

 

(カード名左の×は、効果が無効になってるカードを現す)

 

 

 

 

 

「大層なことをいっていたが敗けを認めるのか。ハハハ、無様だなぁ」

 

「いや、勝つのは俺だ! 俺は、俺のフィールドの三枚の罠カードをリリースする! 」

 

「なんだと!? 」

 

罠カードをリリースして呼び出すカード。そんなカードを、男は聞いたことはなかった。

 

「神の炎をもって、裁きの鉄槌を下せ! 『神炎皇 ウリア』!! 」

 

赤い龍

 

そのモンスターを一言で現すとすればそれほどふさわしい言葉はなかった。

巨大なその体を狭い地下通路いっぱいに広げ、その口を大きく開け男を威圧する。

 

神炎皇 ウリア レベル10 ATK 0

 

「・・・驚かさないでくれたまえ。たかが、攻撃力0の分際で」

 

「攻撃力0、か・・・ 果たしてそうかな? 」

 

「どういう・・・ な!? 攻撃力が上昇しているだと!? 」

 

0を示していたウリアの攻撃力表示がどんどん上昇していく。

あっという間に2000を越え、2400も越えさらに上がっていく。

 

「ウリアの攻撃力は、自分の墓地の永続罠カードの数×1000ポイントとなる」

 

そうこうしているうちにも攻撃力はどんどん上がり続ける。

そして、6000になった時ようやく上昇は終わった。

サイコ・ショッカーを倒し、超過ダメージで男のライフを十分に削りきることができる数値で。

 

神炎皇 ウリア ATK 0→6000

 

「ば、バカな! 攻撃力6000だと!? ありえない・・・! 」

 

「ありえたからありえたのさ。ウリアの攻撃・・・ 断・罪・炎(コンビクション・バーニング)!! 」

 

ウリアの生み出した巨大な炎が、サイコ・ショッカーのみを焼いていく。

そして、その炎はサイコ・ショッカーのプレイヤーであった、男の体もまた焼き付くしていく。

 

「ギャアァァァァ!! 」

 

 

 

隊長 LP 3200→0

 

 

 

 

 

 

 

「・・・勝った、のか」

 

勝利によって、決闘で負った傷は全て癒えていった。

 

だが、引き換えに敗者である男は、今まだ燃え続けている。

 

「・・・」

 

口を開けて何か言ってるようだが、喉もダメになったのかなにも聞こえてこない。

そして、そのまま燃え続けーーそこに男がいたことを示すものは、男の持っていた決闘盤のみとなった。

 

「帰らないと・・・」

 

男の最期を見届け、アカーシャは帰路につく。

その左腕の決闘盤は、少し重みを増した気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから三年の時が過ぎた。

 

「諸君は力を持っている。平民たちにはない、圧倒的な力を! その事を誇りに思うと同時に、か弱き平民達を守ってやるのが諸君らの義務なのだ。ここは、その力の使い方を学ぶまでもある。存分に力を磨くのだ。若き決闘者達よ!! 」

 

スキンヘッド(ハゲ)の学園長の長いお話(笑)が終わり、入学式典もまた終わり迎えた。

・・・ここはオベリスク王国の決闘者を養成する、オベリスク決闘学園。

異世界ファンタジーによくある魔法学園のようなものだ。

この国の15才を迎えた決闘者はこの学園に所属し、三年間の訓練を積んだ後、決闘騎士団や決闘保安隊などの様々な組織に所属することになる。

アカーシャもまた、この学園の門を叩いた。

その先に様々な戦いが待ち受けているとも知らずに。

 

物語は、まだ始まったばかりである。




異世界ファンタジーって言えば学園ものもテンプレのひとつだよね?



今回の最強カード

赤沙「もちろん、俺の切り札のこいつに決まってるだろう? 」

神炎皇 ウリア

炎属性 炎族 レベル10 ATK 0 DEF 0
特殊召喚
効果:このカードは通常召喚できない。自分フィールド上に表側表示で存在する罠カード三枚を墓地に送った場合のみ特殊召喚することができる。
このカードの攻撃力は、自分の墓地の永続罠カード1枚につき1000ポイントアップする。
1ターンに1度だけ、相手フィールドにセットされている魔法・罠カード1枚を破壊することができる。
この効果の発動に対して、魔法・罠カードを発動することはできない。


赤沙「アニメGX で、アカデミアの地下に封印された三幻魔の罠カード担当として登場した最上級モンスターだな」

火事「三幻魔のなかで、唯一専用デッキでないと役に立たないモンスターでもある」

赤沙「そういえば、ハモンは永続魔法化する宝玉獣でも活躍できるんだっけ。ラビエルに至っては、悪魔族デッキなら大抵の場合使用できるからなぁ」

火事「一応、ウリアの主な使い方としては、永続罠カードを多く投入したデッキを使うのが無難だな。特に罠モンスターを主体にしたデッキなら最近カードも増えてきたし、様々な戦法をとれるハズだ」

赤沙「禁止カードのクリッターとか以外のサーチ手段としては、速攻では使えないが『融合徴兵』、少々使いづらいが『どぐう』や『一点買い』なんかがあるな」

火事「融合徴兵するなら、アーミタイルをエクストラデッキに入れておく必要がある。どぐうの効果は、発動条件が相手に依存している。確実性と言う意味では一点買いが一番だな。デッキ構築上、モンスターは罠モンスターに頼ることになるだろうし」

赤沙「本体の弱点としては、効果無効系の効果を受けると、攻撃力が0になってしまうこと。あとは、準備中にサイコ・ショッカーとかを出されたり羽箒を打たれたりすると、完全にストップしてしまうんだよな・・・」

火事「相性のいいカードは『名推理』 すでにウリアを召喚したか、召喚してなくても手札にあるときに使えば、ウリアの攻撃力をかなり上昇させることができるぞ」

赤沙「あとは、『禁じられた聖槍』なんかも使えるぞ。スキルドレイン相手なら、相手の攻撃に合わせて使ってやれば油断した相手に大ダメージを与えることができるハズだ」

火事「ちなみに余談だけど、三幻魔のデッキを組むなら『DDD 』に組み込むのがオススメかな。悪魔族テーマで、永続魔法・永続罠カードをサーチする手段を豊富に持っていて、しかも展開力が高い。もう、文句なしだね」
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