陰陽師の異世界録   作:ザイソン

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魔王襲来!魔王と元魔王
問題児三人が消えちまった


この身体は、罪だろうか。

 

私は人外で有りながら人間の国の妃となった。

私の姿に惑わされた王は酒池肉林を形成し、その国はやがて滅びた。

私は散り散りになって逃げ延びた。

 

とある戦闘狂王子は私の顔に惑わされ千の生首を土産にすると行った。

私は逃げて、顔を消した。

 

とある国の妃に再びなった私。

この時代はどことなくどんよりしていて私は元気が無かった。

そんな私を笑わせようと王は工夫を凝らした。

ある日何事もないのに王が烽火(のろし)を上げ、諸侯が集まったという珍事に初めて笑った。

それを機に王は何事もないのに烽火を上げ、諸侯が烽火をみても出動することが無くなり、真の敵が来た時に滅びた。

そして私は、笑みを消した。

 

とある港で私の姿に惑わされた男がタダで船に乗せてくれた。

私が少し甲板に出た所に国のお偉いさんが口説きに来た。その瞬間、突発的な嵐が起こり、それに巻き込まれたお偉いさんは死んだ。

私が甲板に居なければ・・・私が殺したも同意義だ。

 

海を渡りきり、その国の皇族の一人に見初められて妃となった。

その人はもともと身体がとても弱かったのだろう。私の妖力にあてられて衰弱した。

陰陽師に正体を見破られた私は分身を身代わりとして箱の中の世界に逃げた。

 

でも、私は直接では無いが多くの人を殺した。

もう嫌だ・・・私に近づく者は皆不幸になる・・・。

 

それが私が魔王になる理由。

 

三国随一と呼ばれた私の力を見せつければ、恐怖の対象になれば、もう誰も私に近づくことは無い。

 

もう・・・私のせいで誰も死なない。

 

だから・・・もう・・・

 

『誰も近づくな!死にたくなければ二度とこの私に近づく事は禁忌とせよッッッ!!!』

 

泣きながらそう叫び、黒い契約書類を掲げ、私のゲームが始まる。

 

私は孤独の闇に堕ちる。

 

人の温もりを感じることもなく。

 

それが本望だとしても、私は温もりを感じていたいらしい。

 

いつの間にか、ルールに付け加えていた。

 

もし、死を恐れず私に近付き、ゲームをクリアするならば、私はその人に従おう。永遠に。

 

たとえ、世代が変わろうと。

 

私に居場所を与え、罪に塗れた私を受け入れてくれた人を・・・私は待ち続ける。

 

 

 

 

ノーネーム 本拠

 

玉木は陽明の隣の部屋を使用している。別に部屋などいらないのだが、好意に甘える事にしたのだ。

 

そのベッドの上で玉木は汗だくで目を覚ました。

 

(・・・箱庭に戻ってきた所為で昔の夢を見たな)

 

玉木は指を鳴らした。すると、彼女の汗が染み込んだ服が一瞬で洗浄され、身体の汗も消えていた。

 

これが玉木の恩恵、"古今東西の術師"の力である。悠久の時を生きてきた彼女は、洋の東西を問わずあらゆる術を習得している。

 

もっとも、彼女が近年使用しているのは生活補助の術ばかりだが。

 

玉木は昔使ってきたギフトカードを取り出す。

 

(さて、千年以上使って無かったが・・・機能停止とかは・・・)

 

黄金色と黒のグラデーションのギフトカード

"白面金毛九尾の妖狐"

"古今東西の術師"

"三分の一《心》"

 

どうやら機能停止はしていないようだ。

昔はコミュニティの名と旗印が刻まれていたが綺麗に消えている。

 

確認し終え、ギフトカードをしまったその直後、

 

「玉木さん!!!超超超超超超超超大変ですっ!!!」

 

黒ウサギがドアを開けて飛び込んできた。

 

「く、黒ウサギ。どうした?」

 

「よ、陽明さんは何処にいらっしゃいますか⁉︎」

 

「ちょっと待て」

 

玉木は壁を凝視する。

 

「陽明様は隣で爆睡してらっしゃる。多分、徹夜で札を制作しておられたので寝てないからだ」

 

玉木は透視の術を使用したのだ。

 

「ところで、下着の色が紫色とは・・・黒ウサギはそんな趣味があるんだな」

 

「なっ!」

 

透視の術は下着を透視できます。これで黒ウサギの下着が分かったね!ヤッタネ!

 

「何を見てるんですかお馬鹿様!」

 

スパーンと玉木をハリセンで叩く。

 

陽明を起こして黒ウサギは説明を始めた。

 

「実は・・・近日、北側で"火龍誕生祭"というお祭りが開催されるのです。我々ノーネームには路銀が無い!だから黙っていたのですが・・・」

 

黒ウサギは一枚の紙を取り出す。

 

『黒ウサギへ。北側で開催される祭典に参加してきます。貴女も必ず来ること。あとレティシアと陽明くんもね。あ、玉木も。

私達に意図的に黙っていた罰として今日中に私達を捕まえられなかった場合、三人ともコミュニティを脱退します。死ぬ気で探してね☆

P/Sジン君は道案内に連れて行きます。』

 

「「・・・・・・」」

 

沈黙の三十秒。

 

「歩いて行く気か!」

 

「そんなに遠いのか?」

 

「陽明様、ここから開催地、煌焔の都まで、およそ980000Kmです・・・」

 

問題児三人がこのことを知ってるとは思えない。

しかし、招待状の差出人は白夜叉。彼女ならタダで送り届けるかもしれない。

 

こっちは、路銀が無い。

 

「箱庭の貴族である黒ウサギは無料で境界門を起動できますけど・・・」

 

「俺と玉木、レティシアの路銀が無い・・・」

 

境界門の起動は一人につきサウザンドアイズ発行の金貨一枚。三人だと三枚。ノーネームの貯蓄がヤバイ。

 

「えっと・・・陽明様、路銀、もしかしたらあるかもしれません」

 

そういうと玉木はギフトカードから麻袋を取り出し、中身をひっくり返す。

 

「えっと・・・金貨と銀貨と銅貨か?」

 

「はい。箱庭にいた時のものです。もしかしたらサウザンドアイズのもあるかもしれません」

 

いろんな商業コミュニティの物も有るが、何分、千年以上前の物なので錆が酷い物もあった。

 

サウザンドアイズ発行の金貨は丁度人数分あった。

 

「これなら・・・十六夜さん達を追える!」

 

黒ウサギは髪を桜色に変幻させ、怒りをあらわにする。

 

((帝釈天の眷属というより・・・仁王とか修羅だな))

 

二人はそう感じていた。

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