陰陽師の異世界録   作:ザイソン

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襲来の予言

"火竜誕生際"の運営本部。

 

"サラマンドラ"に捕らえられ、連行された十六夜と黒ウサギはここに連行されていた。

 

「・・・お前ら何したんだよ?」

 

「白夜叉の要望通り、祭りを盛り上げてやったのさ!」

 

「お馬鹿様!」

 

どうやらゲームをして黒ウサギと十六夜が建て物を破壊(おもに十六夜が)したらしい。

 

陽明の後ろではジンが頭を抱えていた。

 

「ふん!"ノーネーム"の分際で騒ぎを持ち込むとはな!相応の厳罰は覚悟しているか!」

 

マンドラが十六夜と黒ウサギを鋭い目つきで高圧的に見下す。

 

「これマンドラ。それを決めるのはおんしらの頭首、サンドラであろう」

 

そんなマンドラを白夜叉は嗜める。そして玉座に腰掛けていたサンドラに目配せをした。

 

「箱根の貴族とその盟友のかた。此度は火龍誕生祭に足を運んでくださりありがとうございます。貴方達が破壊した建造物ですが、白夜叉様のご厚意で修繕させていただきましたので不問とします」

 

サンドラの判断に納得がいかないといったようにマンドラは不満そうに舌打ちを打っていた。

 

「誠にありがとうございます。お心遣い痛み入ります」

 

玉木が代表して謝辞を述べた。

 

「それにしても修繕費を負担してくれるとは随分と気前がいいな白夜叉」

 

「おんしらには私が直々に協力を要請したのだからの。その報酬の前金だと思っておくがよい」

 

「ん?なんの協力だ?」

 

十六夜はニヤリと笑って、

 

「面白いことだ」

 

「そりゃいい」

 

「さて、いい機会だ。昼の続きを話しておこうかの」

 

そう言って白夜叉は連れの者に目配せをし、部屋から退室させる。サンドラもマンドラを除く同士を下がらせた。

 

サンドラは人がいなくなると硬い表情と口調を崩し、ジンに駆け寄った。

 

「ジン!久しぶり!コミュニティが襲われたと聞いて心配してたんだよ!

 

「ありがとう。サンドラも元気そうで良かった」

 

仲睦まじいことだ。すると、マンドラが帯刀していた剣をジンに向かって抜く。それを陽明が咄嗟にギフトカードから直したての霊夢奏を抜刀して受け止める。

 

「・・・おい。お前そのまま斬り捨てる気だっただろ?」

 

「当然だ。サンドラは北のマスターになったのだぞ?誕生祭に名無しを招き入れ恩情をかけた挙句に馴れ馴れしく接されたのではサラマンドラの威厳に関わる!女は黙っていろ!(・・・・・・・・)

 

ブッチン。とキレてはいけない何かか切れた。

 

「おk。その喧嘩買った。表でろ。俺は男たこの野郎!」

 

陽明は岩を周りに浮かばせ、怒髪天の顔をマンドラに向ける。

 

「ちょっと待て。ここで暴れたらまけだぞ!」

 

白夜叉が咎めるが効いてない。

 

「失礼します」

 

玉木は陽明の首に触れ、鎮静の術をかけた。

 

「すまない・・・取り乱した」

 

騒ぎが治ろうとしていた。が、

 

「サウンドアイズも余計な事をしてくれたものだ。『北の精霊・南の幻獣・東の落ち目』とはよく言ったもの。此度の噂も東が北を妬んで仕組んだことでは?」

 

「おk。その喧嘩買ったぞ。ちょっと表に出て貰おう」

 

「白夜叉ぁぁぁ!さっき俺に言ったこと復唱してくれ!」

 

「マンドラを裂く」

 

「違うだろ!」

 

「なぁに安心しろ。少しO☆HA☆NA☆死に逝ってくるだけじゃ」

 

「おい!漢字!それにO☆HA☆NA☆死って洒落にならないから!」

 

暴走気味の白夜叉。なんとか収める陽明。白夜叉を収めるのは難航した。

 

「さて、此度"ノーネーム"を呼びだしたのは"サウザンドアイズ"の幹部の一人が予知した未来が故だ」

 

白夜叉は自身のギフトカードから一通の封書を取り出しながら言う。

 

「未来予知?あぁラプラスの悪魔か?」

 

玉木がそう呟いた。

 

「そうだ。あやつは未来の情報をギフトとして与えておってな。この封書はそやつから誕生際のプレゼントとして送られたものだ」

 

「読んで見てもいいか?」

 

「ああ」

 

陽明は白夜叉から封書を受け取り、内容に目を通した。

 

「こいつは洒落にならんな」

 

「なんて書いてあるんですか?」

 

封書を呼んで顔を顰める陽明に黒ウサギが尋ねる。

 

「『火竜誕生祭にて"魔王襲来"の兆しあり』、だそうだ」

 

この場にいる者の顔が一瞬にして驚愕に包まれた。

 

「確かラプラスの予言は・・・」

 

玉木が白夜叉にそういった。

 

「犯人も犯行の動機も全てわかっておる。だが未然に防ぐことはできない。これはそういう類の予言だ」

 

「ふざけるな!全て把握しておきながらなぜ魔王の襲来しか教えない!」

 

「に、兄様!これにはきっと事情が・・・」

 

詳細を教えないことに対して激昂するマンドラをサンドラは宥める。

 

「まさか他のフロアマスターが魔王と結託して!?」

 

「幼い権力者をよく思わない勢力がいる。箱庭の思考も人間並みだな」

 

「この真実が広く伝われば箱庭の秩序に波紋を呼ぶ。つまり今回の一件は魔王を退ければよいというだけのものではない。もちろん主犯にはいずれ相応の制裁を加えるつもりだが今は一時の秘匿が必要なのだ」

 

「目先の問題は予言の魔王の対処ということか。陽明様、大変なことになりましたね」

 

「元魔王の玉木に丸投げしよう」

 

「断ります」

 

玉木はそっぽを向いた。

 

「だからジンたちに魔王のゲーム攻略に協力して欲しいんだ」

 

サンドラはジンを見つめる。"サラマンドラ"は北側ではそれなりの力を持った大きなコミュニティだがそれでも単独で魔王を相手取るのは厳しいことをサンドラは理解している。その為にジン達に協力を要請するのだ。

 

「わかりました。"魔王襲来"に備えて"ノーネーム"は両コミュニティに協力します」

 

ジンはその要請を受け、協力することを承諾した。

 

「すまんな。敵の詳細がわからぬまま戦うのは不本意であろう。だが現れた魔王にはなんとしてでも勝たねばならん」

 

白夜叉の言葉に一同に緊張が走る。

 

「まあそう緊張せんでもよい!魔王はこの最強のフロアマスター白夜叉様が相手するがゆえな!おんしらはサンドラと露払いをしてくれればそれでよい!」

 

「だが、"打倒魔王"のコミュニティに依頼するんだ。俺達が魔王を倒してしまっても問題はないのだろう?」

 

陽明はニヤリと口角を上げながら白夜叉に尋ねる。

 

「よかろう。隙があらば魔王の首を狙え」

 

白夜叉もまた、ニヤリと笑みを浮かべてそれを許可した。

 

 

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