陰陽師の異世界録   作:ザイソン

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電瞬の一撃

交渉を終えたあとの話をざっくり説明しておこう。

 

交渉を終えても飛鳥は行方不明。玉木が探すがみつからない。

 

耀が黒死病の呪いに感染して戦闘不能。陽明は病を治す宝具を持っているっぽいが原因が病原体ではなく呪いであるため効かない。

 

そして陽明は、

 

「サンドラ、ありがとう」

 

「いえいえ、これがゲームクリアに近づくなら・・・」

 

(コレが俺たちとは別の"ノーネーム"名義で出展されたステンドグラスか・・・)

 

サンドラに持ってきて貰ったのはステンドグラスの写真だ。

 

「・・・これがヴェーザー、これがラッテン、これがシュトロムで・・・」

 

陽明はステンドグラスの内容ごとに仕分けしていく。

 

「コレがペストで、コレは・・・十字軍か?」

 

陽明は一つの写真を見る。

 

十字の模様の旗を掲げた騎士達。これがステンドグラスの内容だ。

 

(確か・・・ハーメルン事件の考察には、"十字軍遠征に参加して戦死"があったな・・・)

 

十字軍

中世に西ヨーロッパのキリスト教、主にカトリック教会の諸国が、聖地エルサレムをイスラム教諸国から奪還することを目的に派遣した遠征軍のことである。

結果は失敗だが。

 

「本物は地災のヴェーザーだ。ラッテン、ペスト、十字軍は偽物でファイナルアンサー"砕き、掲げる"ものができるのはステンドグラス。・・あとは白夜叉を封印した方法だが・・・」

 

そう悩んでていると十六夜が入ってきた。

 

「よー、謎は解けたか?」

 

「八割な。あとは・・・白夜叉を封印した方法だ」

 

「教えてやろうか?俺は分かったぜ」

 

十六夜はニヤリと笑う。

 

「白夜叉は()()()()()()()()()()。さらにペストは十五世紀に確立した正体。流行当時、()()()()()()()()()()()()。だから流行した」

 

陽明は何かに気づいた。

 

「そうか・・・時代をなぞったのか!これで・・・ゲームクリアだ!」

 

 

 

 

 

ゲーム再開の日、参加者は広場に集まった。

 

 

「今回のゲームの行動方針が決まりました!三体の悪魔は"サラマンドラ"とジン=ラッセル率いる"ノーネーム"が相手をします。その他はステンドグラスの破壊、保護です。魔王とのラストゲーム。気を引き締めて戦いに臨んでください!」

 

サンドラが方針を発表する。魔王のゲームに勝つため行動を開始する。ゲーム開始の合図と共に、街が変貌していく。

 

「な!これはまさかハーメルンの街⁉︎」

 

「大丈夫です!先ずは教会を探してください!所縁のあるところにステンドグラスが隠してあるはずです!」

 

ジンの一声で一斉に動き始めた。

 

「玉木は黒ウサギ、サンドラと一緒に魔王を迎撃してくれ。俺は・・・」

 

「未確認の悪魔を退治ですね」

 

「あの人形達は無限に湧き出てきた。なら、誰かが召喚しているはず。それを潰す」

 

陽明は索敵を開始した。すると、

 

「「「「「BRUUUUUUM!」」」」」

 

大きな笛の怪物、シュトロムが多数現れた。

 

「チッ、めんどくさいな!」

 

いくら陽明の身体能力が高くてもシュトロムを破壊するには力が足りない。せいぜい木をヘシ折るのが限界だ。

 

陽明は、霊力の弾を作って連続して飛ばしていく。

 

一発くらいでは破壊しきれないが二発、三発と当てていく事で破壊していく。

 

(人形を召喚して街に向かわせるには、広いところで召喚陣を作るのが効率がいい・・・あの丘とかよさそ・・・てゆーか蟻みたいに沢山いるし!)

 

丘にいく道に入ると、騎士人形達に囲まれた。騎士は前回と違い、弓、槍、剣、斧と様々な武器で武装している。

 

「ハハッ、数で攻め立てるきか!中々宜しいが・・・」

 

弓をもった騎士人形が一斉に四方八方から矢を放つ。

 

「暖簾に腕押し、糠に釘とはこのことだ!」

 

圧倒的動体視力で全て避けて、

 

「"剣々轟々"」

 

数多の刃物を上から雨のように降らせ、騎士を一網打尽にした。

 

「っと、まだ増えそうだから・・・」

 

陽明は地面に大きな筆で術式を書いていき、中央に式神札を貼る。

 

これでこの術式の中央に貼った式神札から発生した式神が式神札を召喚し続ける。ほぼ無限に式神を生み出す。

 

「よーし、騎士人形が多数やってくるから相手しろ。チームワークを大切にしてくれ」

 

顔に無と書かれた式神達はビシッと敬礼して刀と弓を構え、

 

「突撃!」

 

陽明の命令で交戦を開始した。

 

陽明は丘に向かう。向かうにつれて多くなる敵を霊夢奏で切り裂きながら進む。

 

「"水龍逆鱗"!」

 

龍を象った大量の高水圧の水で人形を倒していく中、一人だけ無傷な者がいた。

 

「・・・本気で放ってなかったとはいえ・・・よく防いだな」

 

「そりゃそうですよー。僕はナイトなんですから。馬、居ませんけどー。あ、僕の名前、クロスっていいますー」

 

でっかいランス(細長い円錐の形にヴァンプレイトと呼ばれる大きな笠状の鍔がついたタイプのヤツ)をかまえるクロス。陽明は霊夢奏を構える。

 

「お前が騎士人形を?」

 

「はいー。そうなのですー。僕を倒さないと無限に湧きますー。とゆーわけで・・・クロス行っきまーす!」

 

「ちょ、それ禁句!」

 

因みに、元ネタの『ア◯ロ行っきまーす』はガ◯ダムで有名な台詞だが、アム◯本人は作中一回しか言ってない。

 

クロスは巧みな槍術で陽明を攻撃する。

陽明は攻め切れていなかった。刀と槍の戦いでは圧倒的に槍の方が有利なのだ。その優位を覆すのは難しい。

 

「ほらほらー、もっと頑張ってくださいよー」

 

「手厳しいな!」

 

陽明は苦戦している様に見えるが実はさほど焦ってはいなかった。

 

(いざとなれば、奥義で倒すからな。だが、こいつは技術だけで勝ってみたい)

 

いくら神業クラスの剣術が使えてもでっかいランス(めっさリーチある)と普通の二刀流では分が悪い。

 

そこで、

 

陽明は霊夢奏を二本ともしまった。そして、

 

「オラァ!」

 

「おー?」

 

ランスの穂先を握り、自分の方に引き寄せ、奪った後にヘシ折る。

 

「あらー、ま、あと一本あるんですけどねー」

 

ギフトカードからさっきより短い笛みたいなランスを取り出したクロス。

 

陽明は、練習中のある技を試す事にした。

 

陽明の剣術は神業クラス。しかしそれは()()()()()()()()()()()()。箱庭の達人達から見ても神業と言われるにはあと少し足りない。今からやる技はそこまで一気に押し上げる技。たとえ未熟だとしても使えると思って使う。早く強くなるにはこれしかない。

 

クロスはランスで攻撃するが陽明に悉く避けられる。

 

(・・・相手が離れすぎていて間合が分からないー)

 

クロスはそれならばと体当たりで間合いを詰めてきた。

当たるか当たらぬかの間合いで戦うより組打ちの方が手っ取り早い。

陽明は人間(妖狐の血が流れているが)。悪魔である自分の方が力は強い(クロスから見ての話。陽明の身体能力はクロスより高い)と判断したからだ。

 

この一瞬が勝負だ。

 

陽明は素早く霊夢奏をギフトカードから出し抜き身にして、

 

「あれ・・・?」

 

クロスのランスと腹を切り、上半身と下半身を切り離した。

 

電瞬の一撃だった。

 

「・・・"電瞬斬"」

 

電瞬斬

相手が間合いを詰めようと近づいた時の隙をついて斬撃を繰り出す。抜刀術に近い。

 

「・・・あー、僕の負けですねー」

 

クロスは血を流しながら言った。

 

「正に神業・・・断言しますー。少なくとも下層、中層において貴方の剣術レベルは最高レベルなのですー」

 

「魔王の部下の太鼓判・・・ありがたいな」

 

召喚の媒体(笛みたいなランス)が切られたクロスは陽明の剣術レベルの高さを褒め、笑いながら消えていった。




陽明が言う奥義は陰陽術の奥義です。

火行"爆炎乱舞"
水玉"水龍逆鱗"
土行"圧岩山"
木行"樹海津波"
金行"剣々轟々"

この五つを指します。他にもまだ未習得の奥義があるのはナイショです。
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