陰陽師の異世界録   作:ザイソン

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2016/01/09
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決着

陽明がクロスと交戦している頃、

 

ハーメルンの街を飛び回る四つの影。

 

「サンドラ様!玉木さん!三方向から挟みます!」

 

「わかった!」

 

「了解。マヒャド(氷結呪文)!」

 

黒ウサギは金剛杵から轟雷、

 

サンドラは紅蓮の炎、

 

玉木は小規模なブリザードを発生、

 

黒い風を纏うペストはその風で三つの攻撃を遮断する。

 

「いい加減無意味だとわからないの?」

 

「知らんな。サンドラ様!炎を!」

 

玉木はサンドラに頼んで炎をペストに飛ばしてもらい、その炎にマヒャド(氷結呪文)をかけた。

 

(臨界状態を発生させ対象を消滅させる"臨界攻撃"・・・!かつての私なら一人でできたが・・・今は二人じゃないとできない・・・)

 

その臨界攻撃を、

 

「いい攻撃ね。しかしまだまだよ」

 

ペストは難なく防いだ。ペストの黒い風が物質によるモノなら破壊されていたが別のベクトルのモノだと難しい。

 

「守りに徹しているとはいえ、これだけの攻撃を浴びせてビクともしないとはな・・・流石は神霊だな」

 

玉木はニコニコしながらペストの正体を当てた。

 

「黒死病によって死亡した8000万人もの死の功績!それを持つ悪魔・・・死神だな?」

 

「あら・・・中々鋭いわね。流石は元魔王。でも元魔王。所詮は負け犬よ」

 

「負け狐といった方が正しいな」

 

「時間稼ぎに教えてあげる。私は正確には8000万もの悪霊群の代表者。ハーメルンの笛吹き道化の魔道書につなげば斑模様の死神(神霊)として覚醒するってわけ。そしてこの箱庭で黒死病を蔓延らせた原因・・・怠惰な太陽に復讐するのよ・・・!」

 

ペストは激情で口調を強めた。

 

「私にとってはどうでもいい事だ。だが・・・そんなに甘くないぞ?箱庭は」

 

玉木はメラゾーマ(業火呪文)で濃縮された火炎弾をペストに当てる。

 

「太陽神に比べたら私の炎など可愛いものだ」

 

「あら。防げるからいいのよ」

 

バイキルト(強撃呪文)!」

 

玉木はバイキルト(強撃呪文)で攻撃力を上げてペストを包む黒い風をつかんで地面に投げたあと棍棒で殴打する。

 

「無駄よ」

 

ペストは衝撃波で玉木を吹っ飛ばす。

 

「分からないわね・・・なぜ無駄だと知りながら攻撃を続けるのかしら?」

 

玉木は攻撃を止めずに答えた。

 

「ペスト、なぜお前は魔王に成った?復讐するだけなら魔王に成る必要は無い。ただ、手っ取り早いだけ」

 

ペストは何故それを聞くかわからなかった。

 

「その目的はお前にとってはまぎれもない正義に違いないだろう。止めろなんて事も言わない。復讐を悪いとも言わない。だが、その復讐を魔王として終えた時、何が残る?」

 

ペストは考えもしなかった。復讐の後の事を。

 

「魔王に堕ちる必要は無かった。お前は魔王として目的を終えた時必ず後悔する!その永久の闇に身を落す覚悟が無ければ!」

 

玉木はペストを蹴り上げ、

 

「魔王を辞めてしまえ!イオナズン(爆破呪文)!」

 

ペストを中心に大爆発が起こった。

 

(音と振動で多少のダメージは通るはず・・・あとは、魔王の配下を十六夜達が倒せばおそらくは・・・)

 

ペストと会話ができたので音と空気振動で多少動きは止められるはずだ。

 

そして、大きな振動が伝わって来た。

 

「・・・どうやら十六夜さん達の決着がついたようです!」

 

 

「・・・そう(あの三人は、もう倒されてしまったのね)」

 

ペストは少し俯き、

 

「・・・止めた」

 

「え?」

 

「時間稼ぎは終わり。白夜叉だけを手に入れて・・・皆殺しよ」

 

その瞬間、ペストの身体から黒い風が溢れ出す

 

そしてその黒い風が雲を散らし街へと向かっていく

 

「先程までの余興とは違うわ。触れただけで、その命に死を運ぶ風よ・・・!」

 

「なっ、」

 

「ま、不味い!」

 

玉木は手首の動脈を爪で斬ってその血を媒介にして、

 

「ざ、ザラキーマ(滅魂呪文)・・・」

 

ザラキーマ(滅魂呪文)を発動させた。血が全て灰色の怨霊群を象った煙に変わり、ペストの死の風とぶつかり合った。

玉木は手首をベホイム(治療呪文)で治療し、止血した。

 

「くっ、何故抑えれるの⁉︎」

 

ザラキーマ(滅魂呪文)は死の呪文・・・攻撃速度が鈍いうえに発動に自身の血が必要だからあまり使わないが・・・この状況なら適している。つまりは相殺だ」

 

驚愕しているペストを横から現れた赤い巨人が拳をくらわす。その横には飛鳥が乗っていた。

 

「飛鳥さん!ご無事でしたか!」

 

黒ウサギが余所見をしている隙に死の風が後ろから襲いかかる。

 

「余所見してんじゃねえこの駄ウサギ!」

 

何時の間にか現れた十六夜が黒い風に蹴りをくらわせ砕く。

 

「ギフトを砕いた・・・?貴方、人間?」

 

「言っておくが人間だぞ魔王様!」

 

「・・・そうね、所詮人間。星も砕けないんじゃ魔王は倒せないわ。死の風はやがて街を覆うわ。どうするつもり?」

 

玉木のザラキーマ(滅魂呪文)だけではやはり限界がある。そろそろ持たない。

 

黒ウサギは白黒のギフトカードを取り出して口元に当て微笑む

 

「今から此処にいる主力ーー纏めて、月までご案内します♪」

 

その刹那、周囲が光り暗転して星が巡る。

温度は下がり、大気が凍りつく程の過酷な環境が皆を襲った

 

「チャ・・・"月界神殿(チャンドラ・マハール)"!軍神(インドラ)だけでなく月神(チャンドラ)の神格を持つギフト・・・!」

 

「YES!このギフトこそ、我々"月の兎"が招かれた神殿!帝釈天様と月神様より譲り受けた、"月界神殿"でございます!」

 

ゲーム盤からは出ていない。()()()()()()()()()()である。

 

「これでもう心配はいりません!サンドラ様と十六夜さん、玉木さんはしばし魔王を押さえつけてください!黒ウサギもすぐ参戦します!飛鳥さんは此方へ!」

 

玉木はイオナズン(爆破呪文)を食らわせ、動きを止め、十六夜とサンドラが追撃をくらわす。

 

無駄だって言ってるのよ、私を打倒するというなら、星を砕く一撃を用意しなさい!!」

 

衝撃波を放つペスト、だが三人は避け十六夜は蹴りをいれる。すかさず反撃されそれをくらうがカウンターのように玉木が1発イオナズン(爆破呪文)を食らわせた。

 

ペストと十六夜が離れた直後、玉木とサンドラの間を何者かが追い抜いて飛び出す

 

「だ、ダメだ黒ウサギ!何を考えて・・・!?」

 

黒ウサギが"マハーバーラタの紙片"を掲げるの、"マハーバーラタの紙片"は光出した。

 

黒ウサギは光に包まれる、そして黄金の鎧を纏う

 

直後、ペストが再度打ち出そうとした死の風が霧散した

 

「そ、そんな・・・!?軍神に月神に太陽神(スーリヤー)・・・!護法十二天を三天も操るなんて、この化け物!」

 

ペストが驚いている隙に、

 

マヌーサ(幻惑呪文)!」

 

玉木とペストの目と目が合い、ペストは目の前がグニャリと歪み出した。

 

マヌーサ(幻惑呪文)は本来なら紫の霧を当てるが玉木は目で仕掛けることができる。

 

「今です飛鳥さん!」

 

背後で控えていた飛鳥に指示をおくる黒ウサギ

 

その指示を聞き飛鳥は叫ぶ

 

「撃ちなさい、ディーン!」

 

「DEEEEEEeeeEEEEEEN!!!!」

 

赤い巨人、ディーンが手に持っている三叉の槍を怒号と共に打ち出した

 

その名を"インドラの槍"。

 

打ち出された槍は幾千もの雷を纏いペストに被弾した。

 

「こ、この・・・程度、なんかで・・・!」

 

だが抗うペスト、だが"インドラの槍"は勢いを落とすどころかむしろ増している

 

「無駄でございますよ。その槍は正真正銘、帝釈天の加護を持つ槍。太陽の鎧と引き換えた、勝利の運命ギフトを宿す槍なのですから」

 

「そんな、私は・・・まだ・・・!」

 

「・・・さようなら、"黒死斑の魔王(ブラックパーチャー)"」

 

飛鳥が別れの言葉を告げる。そして激しい雷光。

凄まじい轟音と共に魔王は爆ぜた。




陽明はクロスが出した人形騎士の残党退治でいません。
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