陰陽師の異世界録   作:ザイソン

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手合わせ

"ノーネーム"の本拠に着き、沢山の子供達の元気な挨拶(音波兵器もといハイパーボイス)を受け、十六夜がとってきた水樹の苗を植え、十六夜がびしょ濡れになった。え?手抜きだと?知らんな。

 

好きな部屋を使っていいとの事で、陽明は利便性を求めて一階の玄関のすぐ隣の部屋を使用する事にした。

 

(プリンターとパソコンの電源は後で発電機作るとして、暫く札は手書きか。手持ちの札は・・・式神札10枚、封印札の通常5枚、強3枚、弱1枚。収納用の札はギフトカードがあるからお払い箱っと)

 

少ないと判断した陽明は部屋に残っていた紙を切り、ボールペンを取り出して札を作ろうとすると、

 

「勝手に入るぜ。返事は聞いてない!」

 

十六夜が窓から入ってきた。なんで窓から?趣味か?趣味なのか?

 

「今割と忙しいんだが?なんだ?」

 

「いやな、お前のギフトだけよく見てないからな。戦ってくれ」

 

「・・・なるほど、仲間の実力を把握しておくのも重要ってことだな」

 

「ヤハハ!そういこった!」

 

ルールは簡単。どちらかが背中か腹をつけるまで戦う。うん、シンプルだ。

 

十六夜と陽明は外の広い所に出る。

 

「ルールはアレでいいんだな?」

 

「問題ない。だが・・・何で、あいつらここにいる?」

 

気づくと、黒ウサギにジン、飛鳥、耀と主要メンバーが集まっていた。ご丁寧にゴザを敷に、片手にはおにぎり。見世物か。

 

「俺と陽明がバトルっていったら見に来た」

「・・・そういや、誰にも俺のギフト見せてなかったな」

 

陽明は箱庭に来てから式神しか使ってない。式神もギフトだがメインはそこではない。

 

「陽明・・・俺はな、正直お前の戦えるのが光栄だと思ってるんだぜ?」

 

「ほう?何故?」

 

「着物の五芒星、安倍の性、式神を使う。お前さ・・・陰陽師 安倍晴明の子孫かなんかだろ?」

 

安倍一族は隠蔽工作をして一族が変わらず存続していた事を隠していた。十六夜は陽明の力の一部と見た目だけで判断した。

 

「"第42代目安倍家当主"、"陰陽五行の術師"。それが俺のギフトネームだ。知ってるか?陰陽師はただの占い師ではないんだ」

 

十六夜はニヤッと笑い、ポケットからコインを取り出し、コイントスをする。

そして、コインが地面にはねた瞬間、十六夜は陽明に向かって走り出した。

 

陽明は術で炎の柱を発生させ、十六夜を襲う。

 

「しゃらくせぇ!」

 

炎を打ち消した。

 

「何だ、その出鱈目は⁉︎」

「オマエが言えたことかよ!」

 

陽明は炎の火力を上げて龍の形を模して攻撃するが、同じように腕の一振りで払われる。

 

(そういえば水を操る蛇神を倒したとか言ってたっけ。同じように水を乱回転させて削ろうとしようと槍のようにしようと打ち消される)

 

それならばと陽明は土を操り、隆起させて十六夜を押しつぶそうとするが、土の壁を破壊されて断念。

 

金属の刃を連続して飛ばすも全て取られる。

 

(となると、五行の火水土金木のどれ使っても破壊もしくは打ち消し。霊力の弾丸は・・・打ち消されるな。なら、物量と物理だな)

 

本当はこれ以上の攻撃術もあるのだが観客の被害を考えて断念。

 

「その程度か陽明!」

 

「まさか。召喚!」

 

陽明はありったけの式神札を使って式神10体召喚。全員が刀を持っている。

 

「物量作戦か⁉︎甘いはオラァ!」

 

十六夜は大地を踏み砕いてその衝撃で式神を全滅させる。誤解のないように言うが、式神は決して弱くない。並の妖怪ならば簡単に倒せるレベルだ。

 

「かかった!」

 

「何⁉︎」

 

この式神、戦闘時には爆発するようにしてある。つまり、大爆発が起きる。もちろん、この程度で十六夜が倒れるとは微塵も思ってないため陽明は二刀流を構えて十六夜に斬りかかる。

 

(クソッ、こいつ、なんつー剣技してやがる!そこらへん剣道の師範代とは比べもんになんねぇぞ!)

 

陽明の刀は正確に十六夜の急所を狙ってきている。

首、手首、心臓、肺、脇の下、アキレス腱、目。どれもやられたら致命的な部位だ。

 

武術の心得がない十六夜には全て無傷避けるのは難しく、急所を避け、他の表皮を切らせることで避けていく。

 

逆に十六夜の攻撃は簡単に避けられてしまう。だが十六夜の攻撃はセンスが良く、完璧に避けられるのは陽明の逸脱した身体能力(常人と比べると。十六夜には届かない)のおかげである。

 

「中々やるじゃねぇか!つーか陰陽師なのに物理かよ!」

 

「術系統は全て無効化されるからな」

 

「刀が割とメンドイから、壊しちゃおうねぇ」

 

しまっちゃうおじさんのような口調で十六夜はそう言い、地面を踏み抜いた。

 

「おおっ⁉︎」

 

衝撃で地面が揺れる。どんだけだよ。

 

「スキあり!」

 

十六夜が陽明の刀二本を拳で砕き、

蹴り飛ばす。

 

「・・・こ、これは、十六夜さんの勝ちという「いや、まだだ。蹴った感触が、人じゃない」へ?」

 

黒ウサギの言葉を十六夜は否定する。とゆうか黒ウサギの高性能うさ耳はどこいった?

 

(今の感触は、毛に近いな・・・)

 

十六夜が吹っ飛ばした方向を睨んでいると、

 

「ッッッ!」

 

尋常外の速度で陽明の蹴りが迫ってきた。

其れを受け止めた十六夜は違和感を感じた。

 

(力が上がっている?いや、それだけじゃない)

 

陽明は金髪に変化していた。いや、最も特徴的な変化は、

 

「・・・狐耳、尻尾?」

 

狐耳と尻尾が生えている点だろう。

 

(安倍晴明の伝承には母親が妖狐だとある。その妖狐の血か)

 

「この状態利点は全体的ステータスの向上。欠点は、疲れやすい点か」

 

スタミナを普段の倍消費するこの状態。短期決戦で終わらせる気のようだ。

 

「スタミナを普段の倍消費するから・・・早めに終わらせて俺は寝る!(親父はこの状態は常時なってても大丈夫だったんだが・・・なんでだろ?)」

 

「上等だ!やって見やがれ!」

 

十六夜は拳を突き出して顔面を殴打しようとする。それを避けて、陽明は十六夜の腕が伸び切った瞬間、自らの首を支点にし、クロスカウンターのように外側から腕を叩き付けた。

 

「ぐっ、この野郎!」

 

十六夜は左腕でラリアットをかけようとするが、仰向けに倒れ込むようにして避け、その後片手で逆立ちになり、下から真っ直ぐ突き上げるように十六夜の顎を蹴り上げた。

 

十六夜は負けじと尻尾を掴んでぶん投げ、追い打ちの拳打かけるようと陽明に近づく。

 

陽明は着地して、十六夜の拳打を受け流しつつ、その腕に自らの腕を巻きつけて関節を極め、もう片方の腕で相手の襟を掴み、相手の踏み込みの勢いを利用して投げた。

 

(しまった!これじゃ受身がとれねぇ!)

 

十六夜の背中が地面について、陽明の勝ちとなった。

 

「ふー、超疲れた・・・」

 

陽明は狐耳と尻尾を引っ込ませてもとの状態に戻る。

 

「こりゃ、完敗だな。最後は一方的過ぎた」

 

「いや、十六夜は身体能力は俺よりかなり上。後はもっと技術的な面を磨けばいい」

 

「にしても、陰陽術だけじゃなくて剣技や格闘技まで使うなんて凄いですね」

 

観戦していたジンが賞賛する。

 

「帝王学的なもので・・・次期当主候補は全員やらされる。座学、格闘技、剣技、もちろん陰陽道、天文学・・・」

 

「確かに関係ありそうなジャンルだな」

 

「正直本当になんでもやらされるしきたりだ。あのクソ親父め・・・」

 

何か悪い思い出があるらしい。

 

「俺は、もう寝るから帰る」

 

陽明は立ち上がり汗を拭きながら布団にダイブした。この後の騒動も知らずに。

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