次の日
フォレス・ガロの居住区を訪れる途中、六本傷の旗がある、昨日のカフェテラスで声をかけられた。
「あー!昨日のお客さん!今から決闘ですか?」
『お、ねーちゃんか!そやそや今から討ち入りやで!』
「ボスからもエールを頼まれました!ここら辺は奴らのやりたい放題でしたから!」
ブンブンと腕を振って応援する鍵尻尾の猫娘。
「大丈夫だ。コテンパンに叩き潰してやる!」
「実はフォレス・ガロの連中、舞台区画じゃなくて居住区画でゲームを行うらしいですよ。」
舞台区画とはギフトゲームをするための区画。つまり相撲でいう土俵ある。
「しかも!傘下に置いているコミュニティや同士も全員ほっぽり出して!」
「それは不思議な話だな。てっきり数による力押しかと思ったんだが。」
陽明は首を傾げる。
何はともあれ、行ってみないとわからない。
「・・・・・ジャングル?あいつ虎だからジャングルで生活してたのか?」
ついたそこは青々と茂るジャングルだった。
「いえ、もっと普通だったはずです。」
ジンはそっと木々に手を伸ばした。
(鬼化している?まさか・・・)
「ジン君、契約書類よ。」
『ギフトゲーム
ハンティング
・プレイヤー
久遠飛鳥
春日部耀
安倍陽明
ジン=ラッセル
・クリア条件
ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐
・クリア方法
ホスト側が指定した特定の武具でのみ討伐可能
指定武具以外は"契約"によってガルド=ガスパーを傷つける事は不可能
・敗北条件
降参かプレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合
・指定武具
ゲームテリトリーにて配置
宣誓
上記を尊重し、誇りと御旗の下、"ノーネーム"はギフトゲームに参加します
"フォレス・ガロ"印』
「ガルドの身を条件に・・・・・・指定武具で打倒!?」
「こ、これはまずいです!」
「確かに、指定武具でないと傷つけられないなら殴っても燃やしても切っても倒せない」
「敵は命がけで五分に持ち込んだってことか。観客にしてみれば面白くていいけどな」
契約書類を見ながら十六夜はヤハハと笑う。
単純な力比べておいのならば"ノーネーム"が勝つ確率は相当高かったはずだ。だがこのルールでは勝率はガクンと落ち込む。
これは経験不足によって引き起こされた事態といってもいい。
「だがその指定武具に関してヒントぐらいはあるはず。でなければゲームとしての正当性は損なわれるからな」
「はい!陽明さんの言うとおりヒントがなければルール違反で"フォレス・ガロ"は反則負け!この黒ウサギがいる限り反則は許しません!」
「黒ウサギが・・・頼もしく見える・・・だと?」
「ありえないわ・・・」
「何時もは"箱庭の貴族"(笑)なのに」
「明日は雪が降るな」
「何言ってるんですかお馬鹿様っ!」
スパーン!とハリセンがはしる。
中は木々が生い茂り、四人は道なき道を通っていた。何処から襲ってくるかわからない。
「大丈夫。近くに誰もいない。匂いで分かる。」
「犬にもお友達がいるのね。」
「二十匹ぐらい。」
「多いな。耀は動物の友達が多ければ多いほど強くなるんだな。」
単純な五感では十六夜や陽明ですら凌駕するだろう。陽明は狐状態になればまた違うのかもしれないが。
「式神放って辺りを探ってみたがここ等あたりには指定武具はおろか、罠すらない」
「駄目ねそれらしい武具やヒントも見つからないわ」
「もしかするとガルド自身がその役目を担っているかもしれません。作戦変更してガルドを「もう見つけた」
「本拠の中にいる。影だけしか確認してないけど。あっちだよ」
進むと壊れかけた屋敷にでた。
「すんなりと入れたわね」
「奇襲どころか罠の一つもないなんて」
ジンの言う通りあれだけ草や木に覆われているなら奇襲や罠が仕掛けられていても
おかしくはないのにそれが一つもないのはおかしい。
「大抵入り口付近に何か罠を仕掛けるのが定石。それをしないからあいつは馬鹿だな」
自分の背後に指定武具があるんだろうし、そんな頭はガルドにはない様だ。
「よし、戦力を分けよう。飛鳥とジンは一階で待機。俺と耀が二回階に向かいガルドの様子と指定武具の情報を探る」
「ちょっとなんで私が待機なの!?」
「そうです!?僕だってギフトはあります!足手まといにはなりません!」
「いいから話を聞いてくれ。二人には退路を守って欲しいんだ。集団戦術で退路を確保するのは基本中の基本。とても大事なんだ」
飛鳥とジンは不満そうだったが結局は納得してもらった。
階段を上り終えると目の前に大きな扉があった。
両脇に立ち扉を上げると
「GEEEEEEEEEEYAAAAAAAAAAAAaaaaaaa!」
見た通り虎の怪物が白銀の十字剣を背に守るように立ち塞がっていた。
虎の怪物、ガルドは猛スピードで突進する。
「ほいっと」
陽明はそれを避けて、追撃の右腕の攻撃を受け止め、
(ん?威力が初対面の頃と違う?不味い!)
受け止めれずに吹っ飛ばされた。
「飛鳥!ジン!今すぐ逃げろ!」
階下にいる飛鳥たちに聞こえるように声を張り上げて叫ぶ。
「囮になるから剣を回収!その後は一時退却だ!」
「了解!」
陽明はガルドに向かって足止めの炎を放つ。
すると、少し怯えた。
(何故怯える?効かないからここは突っ込むと思ったが・・・まぁ、とりあえず囮役は完璧にできたかな)
陽明はガルドを投げて抑えつける。ダメージは無くとも拘束は出来る。
耀が回収を終えた一瞬、拘束を強引に振り切って、その爪が耀の右腕を裂く。
「ぐっ・・・」
「しまった!」
陽明は懐から閃光玉を出して強い光でガルドを足止めして耀と剣を抱えて飛鳥たちに合流した。
「か、春日部さん!大丈夫!?」
「大丈夫じゃ、ない。すごく痛い。本気で泣きそう」
「不味いな・・・出血が酷い・・・」
道具があれば治療できるが今回は持ってきてない。
「・・・ジン君、コレで出血を止めておいて」
飛鳥は髪につけているリボンをはずしてジンに渡す。
「私と陽明君は、ガルドを討伐してくるわ」
飛鳥と陽明は剣を持って屋敷に戻った。
「さて、意気込んで出てきたど・・・どうしようかしら?」
「一応、作戦は有る」
二人はガルドがいる館に火を放った。獣は火を恐れる。ガルドは館を飛び出す。この時、ガルドに知性が残っていれば気づいただろう。
道は、一本道しか無かったことに。
「来たな・・・どうした?後ろの屋敷は炎。こうなったら俺を倒すしかないな」
「geeeeaaaaa!!!!」
陽明に飛び掛かるガルド。
陽明は狐状態になり、力を底上げし、相手を前のめりに引き込んでの三角絞めをする。こうなれば簡単に拘束は解けない。
そして、身動きが出来ないガルドを飛鳥が止めを刺した。
ゲームが終わるとダッシュで黒ウサギがきてダッシュで耀を抱えて本拠に戻っていった。どうやら治療用のギフトがあるようだ。
「やっぱりオマエらは面白いな。黒ウサギは俺並には程遠いも、メンバーの中じゃ別格だし、オマエなんか俺に勝つくらいだしな。いつかリベンジするから、覚悟しとけよ」
「十六夜が成長すると共におれもまた成長する。返り討ちにしてやる」
「すいませんでした、十六夜さん。」
陽明と十六夜が話していると、急にジンが謝ってきた。
「ん?どうして頭を下げる?」
「僕は結局・・・何も出来ず仕舞いでしたから。」
「それでも、勝ちは勝ちだろ?こっちが勝ったんなら、御チビにも何か要因があったってことだ。」
「それに、耀の応急処置はジンがやった。あれがなかったら、とっくに腕は再生不能だ」
「ってことだし、これでいいんじゃねえの?それより、初のギフトゲームは楽しめたのか?」
「・・・・・・いえ。楽しむことは出来ませんでした。本当に・・・僕を担ぎあげて、やっていけるのでしょうか?」
「他に方法はないと思うが、御チビ様が嫌だと仰るのなら、止めますデスヨ?」
「・・・いえ、やっぱりやります。僕の名前が全面的に出ていれば、皆さんの被害が軽減できるかもしれない。」
「リーダーだからって、あんまり気負うなよ?」
「てゆーか、おまえらそんなこと決めてたんだな」
陽明はジンの台詞に関心しつつ、少し心配もしていた。
この問題児(自分も含めて)のコミュニティのリーダーしてて胃がねじ切れないかと。