なので更新は不定期で尚且つ完結予定なしです。
空は青く澄み渡り、太陽は大地を明るく照らしてくれる。
日が暮れ夜になれば、真っ白な月が夜空に顔を出し、無数の星々がどこまでも煌めく幻想的な光景が広がる。
シリウスやペテルギウスに北極星。
夏と冬の大三角形にオリオン座や白鳥座。
天の川も広がる、季節によって移り変わるいろんな色を見せてくれるその空には、幼いながらも憧れたものだ。
星を見るのはとても楽しくて、時を忘れるほど。
そんな当時の俺は空へと手を伸ばした。
今よりもずっと小さな幼いその手を空へ。
そうすればきっと星をつかめるはずだからと。
今思えば子供みたいだと笑えるようなことだけども、少なくとも幼い俺はそう信じていた。
とても儚くて脆いそんな夢。
そんな空への憧れが打ち砕かれたのはいつだったのだろうか。
今の人類に宇宙へとたどり着く技術はなかったと知った時かもしれない。
地球の衛星軌道上を覆い尽くす無数の無人兵器、アサルト・セルと呼ばれるものがあるからだと。
成層圏以上を飛行しようとする物体を容赦なく撃ち抜くという。
数億年前に激しい戦争の末に滅んだ旧人類が空に残した大罪とも言われるそれは、未だに劣化することなく、主人なき今でもひたすらにプログラムされた命令を実行している。
そいつのせいで宇宙には行けない。
無責任に空へ残した旧人類の所為で、何の罪もない俺の夢は潰えてしまった。
どうしてなんだって泣き喚いたこともあったし、暴れたことだって少なくない。
でも、俺一人がわめいたところでどうにかなるようなことでもないってことも分かっていた。
そう悟ってしまった時から、俺は狂ったのだろう。
いつしか俺は姉さんの元を離れ、世界で運用されるインフィニットストラトスと対になる兵器、アーマードコアの操縦に高い適性を示したために傭兵なった。
全てを焼き尽くす暴力。
それがアーマードコアを操縦する人々に付けられた侮蔑でもあり憧れでもある。
戦場で出会ったが最後、並大抵な兵士や兵器では歯が立たず一方的に蹂躙される絶望。駆け出しのAC乗りならまだしも場を踏んだ実力者の前では歩兵も戦車も大した差はない。
対抗するためには同じようにACを持ち出すか、それがインフィニットストラトスを持ち出すかしかない。
とはいえ最高軍事兵器として運用されているため紛争地帯にインフィニットストラトスが出てくる事はないのだが。
10にも満たない歳からアーマードコアに乗り、ありとあらゆる戦場で羽ばたいていた。
大抵は武装勢力の殲滅だったが、軍隊を相手にしたこともあったし防衛任務についたこともある。
時には敵対する組織のACとの戦闘になったこともあった。
信じることができるのは己の実力のみという鉄と死の匂いが充満する世界で生き抜いていく中で命を落としかけたことなんて少ないはずがない。
小学校に通うはずの子供が戦うなんて!そんな批判が飛んできても可笑しくないものだったが、少なくともあの時はそれが当たり前だった。
歳も、性別も、過去の経歴も関係ない、ただひたすらに実力がものをいう世界だったからこそ、俺は受け入れてもらえたのだろう。
そうでなければ今頃はどこかの戦場で血まみれになっているのに違いないのだから。
平和で穏やかな子供時代とは程遠い生き方だったが、俺自身は後悔はない。
憧れこそ少なからずあるけれども、そういった世界より、こっちの方が性分に合っているのはわかりきっているし、何しろスミカに会えたことは俺にとって一生の宝物だろう。
心を荒みただ命令を淡々とこなすだけの機械人形、名無しの傭兵ノーネームと迷いし者ストレイドと呼ばれる機体を操る俺を変えてくれたのは他の誰でもないスミカだったから。
戦場の敵だったセレンに命を救われでもなお俺は戦いの中で生きようとし、そんな俺を見かねたスミカは俺の専属オペレーターへと転属した。
スミカにとってオペレーターは慣れるものではないらしく、情報伝達に齟齬が生じることもあるしそもそも見逃すことだって多々ある。
だけどその言葉の裏には現場を知っているからこそ言えるような発言も多いからこそ、俺は安心して背中を任せられる。
きっと俺は、俺たちはこれからもそうして生きていくのだと思う。
平和とは程遠いけれどもそこに居場所を見出し、明日を掴み取るために必死になって戦う。
時には考えの違いから喧嘩をすることだってあるかもしれない。
それでも俺たちは生きていく。
好きなように生きて、好きなように死ぬ。
誰がなんと言おうと、それが俺たちなのやり方だから。