小鳥が大きくなるまで、いつもそばに   作:雪詞

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はじめまして。雪詞といいます。
前から考えていた設定で投稿する気はあまりなかったのですが、せっかく書いたので投稿。そんなに更新頻度は高くないと思いますがよろしければごらんください。
最初なので主人公の設定というか立ち位置の確認みたいな話です。



プロローグ

「…………」

 

室内に響くのはパソコンのキーボードをリズムよく叩く音のみ。部屋の電気はすべて消え、パソコンの画面に向かう青年の顔を画面の灯りが照らしていた。そんな部屋に一筋灯りが差し込む。青年が振り返るとそこには見慣れた妹の姿。

 

「ん?どーした?」

「あーまた部屋真っ暗にしてる!電気はつけなきゃメっ!」

 

ふわふわしたような雰囲気でしっかりとした妹はそう言いながら部屋の電気をつける。その緩い注意の仕方に苦笑し、青年は急な明るさに目を細める。

 

「晩御飯できたよ。早く食べよ?」

「はいはい。母さんは?」

「また遅くなるみたいだよ。先食べててって。」

 

そっか。と言いつつ青年はノートパソコンを折りたたんでから立ち上がる。

 

「じゃあ、2人で食べるか。ことり。」

「うん、鷹也(たかや)お兄ちゃん。」

 

 

 

 

 

南鷹也と南ことりの2人は兄妹である。兄の鷹也は男子にしては少し華奢だがすらっとした好青年という印象がぴったりの大学2年生。妹のことりはほわほわとした雰囲気と長くきれいな髪、整った容姿を持つ高校2年生。この年頃の兄妹は喧嘩も多いかもと思われるが、鷹也の妹に甘い性格と穏やかでおとなしく優しいことりの性格上、大きな喧嘩も小さな喧嘩もなく毎日を過ごしていた。

 

「ごちそうさまでした。」

「はい、おそまつさまでした。」

 

この日も他愛のない会話をしながらの食事を仲良く終える。ことりは遅くなるであろう母親のために晩御飯にラップをかけて置いておくことにして、一方鷹也は食器を洗い始める。

 

「あ、いいよ。私がやるから。」

「いいよ。晩御飯作ってくれたし。ことりは風呂入ってきな。」

「でも……」

 

ためらうことりだったが鷹也にいいから行けと手を振られ、リビングから出ていく。

 

「じゃあ、お言葉に甘えちゃうね。ありがと、鷹也お兄ちゃん。」

「はいはい、どーいたしまして。」

 

1人残った鷹也が洗い物を続けていると玄関の扉が開く音が聞こえる。まもなく彼らの母親である南ひな子が疲れ切った様子でリビングに入ってきた。

 

「あら、鷹也。ただいま。ことりは?」

「おかえり、母さん。ことりは風呂入ってる。ことりが作ったご飯すぐ温めるから。」

 

ありがとうと言ってひな子は椅子に腰かける。彼女はことりの通う高校、音ノ木坂学院の理事長を務めており、現在大きな問題に直面している最中である。そのため、帰りはいつも遅く、疲れは化粧で巧妙に誤魔化されているが目の下の隈という形で表されていた。そんなひな子に鷹也はご飯をレンジに入れながら話しかける。

 

「母さん、頼まれてたこと今日中には終わらせられそう。」

「ほんとに?分かったわ。むりはしないでね?」

「大丈夫。」

 

鷹也は温まったご飯をひな子に差し出し、向かいの椅子に座る。いただきますと食べ始めるひな子の向かいで飲み物を口にして、会話をつづける。

 

「で、どうだった?」

「ごめんなさいね。だめだった。明日には通知しなきゃいけなくなったわ。」

「そっか……。ことりにはつらいかもなあ……。穂乃果と海未もどんな反応することやら……」

「そうね……」

 

暗くなった話題を振り払うように鷹也は笑顔を作る。

 

「まあ、まだ辛うじて望みはあるし頑張るしかないっしょ。」

「ごめんなさいね、鷹也。親としては子供にこんなこと手伝わせたくないのだけれど……」

「それは手伝い始めたときに言わない約束。さ、そろそろことりも戻ってくるだろうし、早く食べちゃって、風呂入ってゆっくりしてきて。」

「気持ちよかったぁ~♪あ、お母さん、お帰りなさい。」

 

申し訳なさそうな母親にそう言って笑顔を見せた息子はタイミングよく戻ってきたことりを見て、この話は終わりと席を立つ。ひな子もその意思を悟り、ことりにただいまと笑顔をみせていつもどおりの家族団らんに戻る。この暗い話題をことりが知るのは明日でもいいだろう。ここのところ帰りが遅いと心配そうなことりに大丈夫と言いつつ、そしてそれを見つつ、ひな子と鷹也の2人はこの時ことりになにかできることがあるとも、なにかさせるのがよいことだとも考えもしなかった。

 

 

 

 

 

次の日、たまたま所属している大学のサークルに参加して帰りがいつもより遅くなった鷹也が帰ると、ことりが駆け寄ってきた。

 

「お兄ちゃん。うちの学校が、音ノ木坂が廃校になるって知ってた……?」

「……ああ、母さんに聞いてた。」

 

聞かれるだろうと鷹也も思っていたので一瞬考えるもすぐ答えを返す。その答えにことりは一瞬目を伏せるが、すぐに首を振って気持ちを切り替えたようでこちらをまっすぐ見る。

 

「そ、それでね?穂乃果ちゃんたちと考えてたんだけど、うちの学校のいいところってどこかな?」

「伝統とかしか思いつかないかな。ごめんな。」

 

この質問も予想の範疇。用意しておいた答えを返す。ことりは残念そうにそうだよね…と呟くと、リビングでやっていたのだろう宿題のノートに向かいだす。全く集中していないようで握ったシャーペンが逆だったが。そのことに気づいた鷹也は苦笑いしてことりの頭に手を置く。

 

「まあ、母さんが帰ってきたらいろいろ聞いてみな。」

「うん……」

 

鷹也はその返事を聞いてもう一度頭をポンと叩いてやると、叩かないで~ということりの言葉を無視して自分の部屋に戻りパソコンで書類の整理を始める。ことりとおそらくいつもことりと一緒にいる彼女らは何かしたいようだができることはない。これは一生徒がどうこうできる問題の範囲を軽く超えている。おそらく母親も同じことを言うだろう。悲し気なことりの表情を思い出す。彼女らにはできないのならば、

 

「妹のためにも頑張りますかね。」

 

 

 

 

 

ことりには隠しているが、鷹也は音ノ木坂の廃校を阻止しようとしている理事長、つまり母親のひな子の手伝いをしている。仕事としてはひな子のスケジュールの確認や学校外部との連携がある場合のアポ取り、データをまとめるだけだったりの簡単な書類の作成、整理などである。仕事と言っても手伝い程度のことしかできないが母親の負担を少しでも減らせればと始めたことだ。ことりに隠しているのは鷹也が手伝っていると知れば、自分もと言い始めるのが目に見えていたからだ。ひな子は息子だけでも心ぐるしいのに娘にまで手伝わせるわけにもいかず、鷹也は妹には高校生活を自分のために使ってほしかったという考えがあったからである。

だからこそ、自分にできることをしっかりして、ことりとそしておそらく一緒になにかないかと考えている2人には自由に高校生活を送ってもらうためにも頑張らなくてはとそう意気込んでいたのだ。意気込んで、次の日は最後のコマが空きコマだったために早く帰宅して、任されている仕事を整理していたのだ。しかし、そこでいつもより少し遅く帰ってきたことりがまっすぐ鷹也の部屋に来て言った。

 

「私、アイドルやってみようかなと思います!」

「…………は?」

 

 

 

 





いろいろと無理のある設定かもしれませんがなんとか辻褄あうといいなと思ってます……

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