案の定絵里は加入してません!進みませんでした!
今回は鷹也と沙希がメインになる回。
家族と鷹也の会話も書いているのでそこも鷹也はことりの兄という立場である以上書いておきたかったので書いてあります。
いらないとか思わないでいただけたら嬉しいです……
では、ご覧ください!
それからテスト前日までは特に何事もなく、勉強中心で彼女たちの活動は続いていっていた。海未もなんとか気持ちを切り替えたようであり、穂乃果の家での泊まり込み勉強会を実施しているようだ。おかげで穂乃果がだんだんと疲労困憊していっていたが。
「ここを……こうして……できたー!!!」
「どれどれ……うん、まあ大丈夫そうだな。」
「ふっふーん。このにこにーが本気出せばこんなもんよ!」
「じゃ、次はこれな。」
「え……」
基礎の問題は大体は詰め込めたようでだんだんと問題を解けるようになってきたにこが調子に乗っているようなので、少し難し目の問題を出しつつ周りを見る。今はテスト前日の放課後。希は生徒会の活動があり、来れないと言っていたためににこの勉強を見ているのは鷹也のみ。ほかのメンバーはそれぞれで勉強に励んでいるようだ。
「はい、じゃあ凛。ここに入る単語は?」
「えっと……これだ!」
「うん!正解だね。凛ちゃんすごい!」
「えへへ……」
真姫と花陽の指導は優秀だったようで、鷹也が見ていることに気がついた凛は笑顔でピースしてくるほどなので大丈夫なようだ。
「海未ちゃーん……最近ずっと勉強しっぱなしだよ〜……?」
「当たり前です。さあ、次の問題です。」
「うぅ……ことりちゃ〜ん……!!」
「あはは……頑張って!穂乃果ちゃん!」
ついで2年生組に目を向ける。そちらは海未のスイッチが入ってしまったようで、スパルタ指導によって限界寸前の穂乃果の姿。ことりはもはや応援係となっているらしく、全く助けてもらえなかった穂乃果が鷹也に泣きそうな目を向けるが無言で目をそらす。可哀想とも思うがそれどころではない。7×4=26と言っていた高校2年生を赤点回避させるにはこのくらいしなくては足りないだろう。とはいえ
「この分ならなんとかなりそうかな……」
穂乃果も海未のスパルタ指導の成果によってある程度は解けるようになってきているようだし、この分なら赤点はとらないだろう。そのみんなの様子に安堵しつつ鷹也はにこに視線を戻す。
「さ、できたか?」
「に……」
「2ではないよ?」
「に……にっこにっこにー!」
「………………」
「ち、違うの!違うのよ!痛っ!」
無言でにこの額にデコピンをくらわせる。赤くなった額を抑えて、なにすんのよ!と叫ぶにこにため息をつきつつ鷹也は解説を開始。こんなに苦労してるのだから赤点なんて取られても困る。
その日の帰り道でのこと。穂乃果と今日も穂乃果の家に行くのだろう海未と別れてことりと2人で帰路をたどる。そのタイミングでことりが口を開いた。
「お兄ちゃん、なにかあったの?」
「なんで?なにもないけど……」
急な質問に鷹也はそう答える。なにかあったのかといわれれば色々あったがことりに話すことでもないだろう。
「そっか……」
そう言ってことりは押し黙る。チラリと横を歩く彼女を見るとその瞳は迷うように揺れていて。鷹也は少し迷うも頭をかきながら口を開く。妹のこういった自分の気持ちを押し込めてしまう部分はいいところでもあるのだが、悪いところでもある。
「どうしてそう思った?」
「え……あ、うん。なんか最近いつもより考え事してる時間が増えた気がして……」
だからこそ話を聞くことにする。最初意外そうにキョトンとしたことりは慌ててそう言った。鷹也はそれを聞いて少し思い出す。確かに今は多く考えることがある。無意識にでも考え事するときがあったのだろうか。
「そんなに多いかな。そこまで自覚はないんだけど……」
「お兄ちゃんは周りのことばっかり見てるんだもん。だから気づかないだけじゃないかな?」
そう言って手持ちの鞄を持ちかえることりに持とうか?と鷹也は聞くが大丈夫と返してことりは続ける。
「私たちのことをお兄ちゃんはいつも見てくれてるから、私たちのことはよく気が付く。でも、逆も同じなんだよ?」
「…………そっかぁ」
ことりに言われて鷹也は納得する。自分が最も多くの時間を過ごしていることりのことは気が付くように、最もことりが多く時間を過ごしている自分のことに気が付くのは当然だ。お互いに自分では自覚できない部分はお互いから見た方が分かるということもある。
「だから、私には分かるの。お兄ちゃんが今何か悩みがあるってこと。」
話してくれない?そう聞いてくることりと視線を合わせる。今自分が抱えている問題。音ノ木坂学院のこと、絵里のこと、希のこと、そして沙希の発言の意味。どれもことりに話すべきことではない。希の考えに関してはほぼ正解となっているようなものだが、まだ憶測の域を辛うじて出ていない。正解だとしても希が隠している以上は言うべきではない。音ノ木坂学院の問題は理事長である母との相談でまだ話さないと決めている。沙希の言葉に関しては、鷹也の本質に触れている可能性もある以上は話すべきことではない。絵里のことは話せるだろうか。だが、ここで話しても海未のようになっても問題だ。これからテストだ。まずはそれが終わってから話すべきだろう。海未もそう考えているからことりに相談していないのだろうし。
「お兄ちゃん……?」
のぞき込んでくることりの鞄をさっと取り上げて肩にかける。自分の荷物もあるがこれくらいならどうってことはない。持たなくてもいいよ~と言うことりをまあいいからと制しつつ鷹也は言う。
「ありがとう、ことり。でも大丈夫だよ。もう大体解決してる。だから気にしないで。」
「でも……」
「ほら、鞄持ってやってるんだから、さっさと帰るよ。」
「うん……」
頷きつつも、鞄は持つと言うことりの手から逃れる。これは鷹也なりの心配してくれたことに対するお礼。どのことも詳しくは話せない。でも、絵里に関わることでほぼすべての問題に解決が見えているのだ。おそらく残る問題は2つほど。これらは片方はみんなとも共有するであろう問題で、もう1つは鷹也自身の問題だ。ならばことりが心配することはなにもない。諦めておとなしく横をついてくるようになったことりに向けて鷹也は言う。
「心配してくれてありがとう。でも、ことりたちがアイドルやって頑張ってくれてる時点で手助けになってるから大丈夫だよ。」
「なにかあったら言ってね?絶対だよ?」
なおも心配そうなことりに分かったと言って鷹也はことりの頭を少し乱暴に撫でてやる。やめてよ~と言うことりを無視して、鷹也は笑いながらしばらくことりの頭を撫で続けた。
その日の夜のことだった。ひな子が帰宅してきたのはいつも通りの遅い時間。ことりはすでに部屋に行っており、鷹也はリビングで書類整理などを行っていた。帰ってきたひな子の前に晩ご飯の乗った皿を置きつつ、鷹也は聞く。
「どうだった?」
「ダメだったわ。決定は来週になるけど今日の会議でほぼ決まりみたいなものね。」
「そっか……」
色々準備手伝ってくれたのにごめんなさいねと謝るひな子に謝ることなんて一切ないよと言いつつ、鷹也は向かいの席に座って準備しておいたコーヒーをすする。
「ということは3週間後のオープンキャンパスが期限になったってことになる?」
「そうなるわ。そこで上手くいかなかったら……」
鷹也は内心で舌打ちしながら考える。オープンキャンパスが期限となることを彼女たちに伝えるべきか否か。ほぼほぼ、99.9%決まりなのは確かだが、まだ決定ではない以上は伝えることはできないのか、それとも早めに伝えて対策を考えるべきなのか。
「このことはまだ伝えないでおきましょう。正式決定ではないことだし……」
「いいの?早めに準備しておくべきことじゃない?」
鷹也としては悩みどころではあるが、伝えておくという選択肢をとるべきだと思っている。しかし、ひな子は首を横に振る。
「ただでさえ生徒たちに学校生活を犠牲にさせているのに、正式発表前のことまで背負わせるわけにはいかないわ。」
「でも、結局正式に決定したら知らせないわけにはいかなくなるよ?」
「それはそうだけど……でも、正式発表前の段階は大人の段階よ。彼女たちが頑張っているのは知っているけどこれ以上負担はかけたくないのよ。」
正式発表前は大人の段階。それは鷹也としても分かるのだが、彼女たちの頑張りのためには先に知らせておいたほうがいいのではとも思ってしまう。そんな納得していない様子の鷹也を見て、ひな子は苦笑しながら続ける。
「この情報は普段なら生徒が絶対に知りえる情報ではないわ。それにまだ決定ではない以上はなにもいうわけにはいかないでしょ?」
「まあ……そうなんだけどさ……」
それでも納得しかねる鷹也の様子にひな子は微笑みつつ言う。
「鷹也、あの子たちの本来の仕事は学校生活を楽しんで、学業にいそしむことよ。そこに学校存続のための活動なんて含まれない。私は理事長として生徒のその仕事をできる限り邪魔してはいけないのよ。」
そう言うひな子の目は真剣で。母親だからとかそういうことを抜きに、音ノ木坂学院という1つの組織のトップであることの威厳が、誇りが感じられた。鷹也は1つ息を吐いて言う。
「……わかった。母さんの言うことは納得できるし、まだ母さんの、理事長の領分であることは確かだしね。まだみんなには言わないでおくよ。」
「ありがとう、鷹也。」
お礼を言ってくるひな子に無理はしないようにねと言いつつ、鷹也は考える。母はこう言っているが、現実としてはオープンキャンパスがリミットだろう。ならば自分は母のサポートをしつつ、自分のできることをし始めておき、生徒たちが知らされたときにいつでも動けるようにしておかなくては。期限はおそらくあと3週間。期限ができたことに動揺している余裕もない。
次のテストの日。今日は朝練はなしでテストが終わってから練習再開ということになっている。結果が分かっていなくても、ラブライブを目指すと決めた以上は赤点なしという方を想定して練習を再開していった方がいいという判断だ。しかし、絵里に依頼に行くのはしばらく後のことになるだろうと鷹也は思っている。海未は鷹也の言い分は理解したかもしれないが納得はしていないだろうし、他のメンバーに関してもこれまで敵対していたともいえる絵里に指導をお願いするということに抵抗を示す可能性もある。鷹也が言いだしてもいいのだが、海未も考えを整理したいだろうし、決めるのは彼女たちだ。とりあえずは動きがあるまで静観。となるとしばらくの間は今まで通りとなることになる。つまり鷹也がダンスに関して指示をしていくことが多くなるのだ。そこで気になるのが沙希の言葉。
『彼女たちがこれより上を目指すなら……このままじゃ、鷹也じゃ無理だよ。鷹也のダンスが彼女たちに影響をこれ以上与えるのではダメだよ。鷹也はそんなことしていいのかな?このままじゃ、彼女たちの個性は死んでいくよ?』
(この言葉を信じるのならば、俺がこの状態で指導しつづけることにこのままじゃメリットはない。)
それならばどうするか。ここまで数日は自分で考え続けた。それこそ何度も動画を見続けたし、見比べた。それでも分からない。ならもうこうするしかないだろう。いい手だとは思えない。だが
「お疲れ様です、沙希先輩。」
「お疲れ、鷹也。話ってなにかな?」
沙希に聞くしか確実な方法はない。他にも頼ってもいい人はいるかもしれないが、この言葉を言ったのは沙希であり、自分のこともμ’sのこともダンスに関して最も把握しているのはおそらくこの人。ならばこの人に聞くのが最も正確だ。大学の構内で見つけた沙希を食堂の隅の席に呼び出して向き合う。沙希はおそらく話の内容が分かっているのだろう。楽し気な笑みを浮かべている。
「ダンスに関してのことです。」
「ああ、そのことね。何も教えないよ?」
にこやかに沙希はそう否定する。そのなんでもない沙希の姿から発せられる雰囲気になぜか鷹也の背に汗がつたう。こんな存在感がある人だっただろうか、この綺羅沙希という人は。しかし、ここでひくわけにもいかないのだ。これから絵里の指導を得られればダンスの癖は修正できるだろう。絵里にダンスを見比べてもらえば共通点として現れる問題点も見つかるかもしれない。だが、それは沙希の言葉通りのものか確証は得られない。正確に沙希の言うものを見つける。そうしなければまたどこかでなにか自分が彼女たちに無駄な影響を、価値のある彼女たちに自分が無価値な影響を与えることになりかねない。そんな気がするのだ。沙希からどのようにダンスに影響が現れているのか聞いておいて、ダンス以外の他のところにも影響が現れないようにするための参考にしなくてはいけない。
「お願いします。俺じゃあ分かんないんです。俺には沙希先輩みたいな才能はないです。」
「………………………」
無言でいる沙希に頭を下げる。別にこのことに抵抗なんてない。みんなのためなら頭を下げようが、土下座をしようが構わない。少し間が空いた後に沙希が口を開く。
「才能がないから分からないんだ?」
「努力はしました。でも、それ以上の問題です。直感的に沙希先輩が言うようなことが表れている点を見つけられるような才能は俺はないです。」
再び場を沈黙が支配する。食堂には他にも大学の生徒など、多くの人がいるはずなのにこの空間だけが取り残されてしまったかのような錯覚に陥る。
「……そかそか。じゃあ、諦めなよ。」
唐突に沙希の言葉が紡がれ、周りの喧騒に復帰する。苦々しい表情で鷹也は下げていた頭を上げる。顔を上げて視界に入った沙希の笑みはなお崩れない。しかし、その目は全く笑っていない。
「才能がないならやめちゃいなよ。そこまでする意味もないでしょ?」
「それは……」
「鷹也。」
ここで沙希の笑みが崩れる。これまでの観察するような視線も消え、代わりにそこに現れるのは侮蔑と軽蔑、そして見下したような視線、表情。
「確かに才能は厳然として存在する。才能というものは超えられないものになることもある。だけど、そんなものを言い訳にするようなつまんない人間ならいくらやっても無駄だよ。あの子たちに悪影響を与えるだけ。鷹也がそんなつまらない人だと思わなかった。」
「つまんない……ですか。」
「うん、つまんない。あたしはそんなつまんない人間の相手をしたくない。取り返しがつかなくなる前にさっさとやめちゃいなよ。」
そう言って沙希が席から立ち上がり、その場を去ろうとする。だが、そこで鷹也が立ち上がる前の沙希の手をつかんで引き留める。その顔には少し笑みが浮かんでいて。沙希が怪訝な表情で鷹也を見る。
「どうしたの?結構傷つけること言ってるつもりだけど?」
「いえ……そんなことで今更傷つかないですよ。それよりも沙希先輩が気が付いていなかったことが驚きで。」
「……どういう意味?」
沙希の顔が怪訝そうなものからいよいよ心配そうなものに変わってきたことがまた面白くなってきて鷹也は笑いをこらえつつ、沙希に言う。
「沙希先輩に言われるまでもないですよ。俺はつまんない、無価値な人間です。久しぶりにこんなに直接言われたんで、分かっていたことですがもう1度再確認できました。しばらくここまで言われることなかったんで、最近自分のあり方が揺らぎそうになることが多かったんですよ。」
「ずいぶんな自己評価をしてるみたいだね?」
「これが俺ですから。」
沙希の言葉に鷹也は笑って返す。そう、これが自分だ。ことりや海未や穂乃果、そして他のメンバーたちなどが自分を気にかけてくれていることが多かったから、彼女たちの優しさに触れることが多かったから少し薄れかかっていた。沙希はそんな鷹也を探るような視線を向ける。
「そんな人がスクールアイドルのサポートしようっていうの?」
「大切な人達のためですからね。俺はつまんない人間だけど、あいつらは俺とおんなじにはさせない。」
「現に今、そうなりかけているけど?」
「俺の全部をかけてでも阻止しますよ。俺の何を犠牲にしてでも。」
探るように沙希は鷹也を見つめ、鷹也も視線をそらさない。数秒間見つめ合う。そして、
「ぷっ……くくっ……!!」
沙希が噴き出した。そして一通り笑うと、笑いすぎたのだろう。目の端に浮かぶ涙をぬぐって視線を鷹也に戻す。その顔に浮かぶのは新しいおもちゃを見つけた子供のような笑み。
「いいよいいよ、鷹也。つまんない人間だからこそのその感じ。おもしろいよ。」
「つまんないんですか?おもしろいんですか?」
「つまんないよ、鷹也は本当につまんない人間だよ。でも……それと同じくらい私から見たらおもしろい。」
他の人から見たらそんなに面白くはないと思うけどねと沙希は言う。鷹也は何も言わない。すでに自分のことを話しすぎだ。沙希もこれ以上は聞く気はないのか。本当に楽しそうな笑みを見せたまま続ける。
「あたしの興味を引いたご褒美にヒントだけは上げるよ。揃いすぎてるのもいいってわけじゃない。」
「揃いすぎ……」
「あれ?これじゃあほとんど答えか。」
まあいいや。と言って沙希は今度こそ席から立ち上がる。そして言う。
「本当なら鷹也がそこまで極端な思考をすることになった原因も聞きたいところだけどそれは後に取っておくよ。そこまで聞いたら、こっちもヒントどころか答えを教えなくちゃ不公平になっちゃうしね。」
「別に教えてもいいですよ?気は進まないですけど答えを教えてもらえるなら天秤にかけるまでもないです。」
「そう言うだろうと思ったけど、楽しみは後に取っておきたいしね。遠慮しておくよ……あたしたちを失望させないでよ?」
「俺はなにもできませんよ。俺が支えるあいつらが沙希先輩を楽しませます。」
そっか。と沙希は笑う。そして鷹也の横を通り抜けて去っていこうとして、途中で鷹也に耳打ちをしていく。ゾッとするほどのきれいな笑みを浮かべて沙希は言う。
「楽しみにしてるよ?」
「…………どうぞご期待ください。」
鷹也はその場を去る沙希に聞こえないように呟く。ヒントはもらった。自分の悪影響をなくせれば彼女たちはどこまでも飛んでいける。自分のサポートさえ間違わなければ、彼女たちの力になれる行動を選択しつづければ彼女たちはきっと。
「楽しませてくれるはずですよ。」
(あんなに面白そうな子だっけか…………!!)
大学構内から出て、A-RISEの本拠地UTX高校に向かいながら久しく感じていなかった高揚感に沙希は胸を躍らせる。中途半端な才能で向かってくる人たちは何人もいた。自分がダンスに本気だった時も、妹たちのサポートに付き始めてからも。しかしそれではつまらない。
(これまでの人たちとは違う……)
そんな中途半端な才能では相手にはならないのだ。自分は、自分の妹含むA-RISEのメンバーは圧倒的な才能、膨大な時間、量、密度の努力によって君臨している。そんな自分たちに張り合えるほどの才能なんていない。故につまらない。だが、
(自分から自分は才能もない、つまらない、無価値な人間と言い張りながら歯向かおうとする相手……)
今回はそんな人物が相手なのだ。自分を全く大切にしない。そんな人物がサポートに付くグループが相手。どんな相手か全く予想が付かない。メンバーは見たところ才能ある可愛い子ばかりだ。そこに彼が付く。それが良い方向に向かうか、それとも全部が台無しになるのか。
(予想できないからこそ……どんな進化をして歯向かってくるのか分からないからこそ……面白い!!)
UTX高校にたどり着き、顔パスで中に入るとまっすぐにレッスンルームに。学校から完璧な支援を受ける彼女たちには高校内に特別なレッスンルームが与えられている。その部屋の扉をノックもせずに開ける。
「ツバサ。」
「…………………………」
返事はない。今日は少し遅くなってしまったので先にレッスンを始めていたのだろう。集中している彼女たち3人は全くこちらに気が付かない。その集中力に笑みを零す。これでいい。この3人は自分のアドバイスなしでも、圧倒的な才能、努力ができる子たちだ。そこに自分が加わる。
「あ、沙希姉。遅かったね?」
「お疲れ様です、沙希さん」
「お疲れ様、遅れてごめんね~。」
「珍しいね、沙希が遅刻なんて。」
ツバサとあんじゅに笑顔で答えつつ、英玲奈の問いかけにさらに笑みを深くする。ちなみにもとから敬語が標準のあんじゅ、もとから敬語なんてあるはずのない妹のツバサとは違い、常識的に最初は敬語で接しようとしてきた英玲奈の敬語に関してはサポート開始の日に止めさせた。そんなもの不要だ。個人の力が大事であるとはいえ、チームワークも大事な要素。遠慮があってはまとまって高みにはいけない。楽し気な笑みを浮かべる自分を3人が不思議そうに見ていることに気が付き、沙希は口を開く。
「いや、ちょっと面白そうな相手を見つけてね。」
「へぇ……どんなの?」
「それは後で。ほら、レッスン再開して。ここからはあたしも見るからね!」
教えてくれてもいいのに。と不満げな表情をするツバサだったがすぐにスイッチを切り替えたようだ。レッスンに集中していく。それは他の2人も同様。それを見て満足そうに頷きつつも、妥協せずに気になる点を注意していく。
(あたしたちは一切の手加減も、妥協もしないよ?それでも楽しませてくれるレベルまでμ’sと一緒に来てよね、鷹也。)
いかがだったでしょうか。
全然アニメの話が進んでいかないことに関してはすみませんとしか言えないです、はい……
書いてたら楽しくなっちゃって……
絵里の出番もないという事態。次こそは…………!!!!
それではこんな文章ですが楽しんでいただけていれば幸いに思います。
次回も引き続きよろしくお願いします。