小鳥が大きくなるまで、いつもそばに   作:雪詞

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先に言っておきます。
今回全く話すすんでません!!


練習開始!

穂乃果の家での作戦会議を終えて帰宅した鷹也は晩ご飯の準備をしていた。ことりがライブに向けて衣装の準備をしなくてはいけないため、いつも母とことりと3人交代交代で行っているこの当番も、みんなが忙しいしばらくは鷹也が担当だ。手早く準備を行いながら時計を見る。今日も母は帰りが遅い日だ。

 

(そろそろことりを呼びに行くか。)

 

帰ってきてからことりはずっと部屋にこもりっきりで衣装について考えている。もとから服を作るのは苦手ではないはずなので作る段階に入れば作業時間との勝負なのだがデザインは悩みどころなのだろう。なにしろこのライブの頑張りによってなにか変わるかもしれないのだ。中途半端にはしたくないという思いは強いだろう。だがそれで疲れすぎても元も子もない。火元の確認だけして鷹也はことりを部屋へ呼びに行く。

 

「ことり?晩ご飯できたぞー」

「あ、はーい!今行くね。」

 

部屋の前から声をかけると元気な声が返ってくる。まだ一応元気なようだ。部屋から出てきたことりとともにいただきますと晩ご飯を食べ始める。

 

「衣装づくり、頑張りすぎないようにな?」

「うん、ありがとう。もうちょっと考えたらしっかりとしたデザインはできると思うの。今回のライブは後悔しないよう穂乃果ちゃんと海未ちゃんのためにも頑張らなくちゃだから。」

 

それにこれはこれで楽しいし。そう言ってことりは笑う。鷹也としては心配だがことりが頑張ると言っている以上見守るしかない。

 

「ふぅ~ごちそうさまでした。あの、お兄ちゃん、悪いとは思うんだけど……」

「手伝うって言ったろ。全部やっとくから自分のことだけやってな。」

「……!うん!ありがとう、お兄ちゃん!」

 

いつもより早いスピードで食べ終えたことりはすぐに自分の部屋に引っ込んでしまう。どうせ、明日は朝練あるとか考えないで無理して夜更かしするだろうから、後で部屋に飲み物でも持って行ってやるかなぁと思いながら鷹也は食器の片付けから開始した。

 

 

 

 

 

家事が一段落し、順番に入ったお風呂から2人ともあがってことりは部屋に、鷹也はリビングにてそれぞれの作業を行っていた頃。母親であるひな子がため息をつきながら帰ってきた。といっても玄関から聞こえただけのことでリビングに入ってくるときはいつも通りのため息なんかなかったような様子になっていたが。

 

「あ、母さん。おかえりなさい。」

「ただいま。鷹也、無理してリビングで待ってなくてもいいのよ?」

「別に。リビングが集中できるだけだよ。」

 

鷹也としては部屋でもリビングでも大した違いはないのだが、家に帰ってきた時誰もいないのといるのでは多少違うだろうということで鷹也はできるだけリビングにいるようにしている。そんな鷹也の気遣いを察しているひな子もそれ以上はなにも言わずにテーブルに座る。

 

「晩ご飯は?」

「ちょっと休んでから食べるわね。ありがとう。」

 

そういうひな子にせめて飲み物でも出そうと思い、鷹也はコーヒーを入れ始める。インスタントのコーヒーの粉がスプーンからさらさらと落ちていくのを見ながら、鷹也はひな子に話しかける。

 

「ことりのこと聞いた?」

「アイドルやるそうね。応援はしたいけど……」

「まだ、承認するわけにもいかないしどうにもなんないよ。」

 

コーヒーメーカーをセット。立ち上る湯気とコーヒーの香りに目を細めつつひな子は呟く。

 

「子供や生徒たちにまで心配かけちゃってるわね……」

「生徒?」

「前々からいろいろ企画してきてくれてた生徒会長の子が今日、これからは生徒会でも独自に動きたいって言ってきたの。今は今いる生徒のために動いてと言ったけど、あの様子ではね……」

 

鷹也はその話を聞いて納得する。そういうことなら生徒会長がスクールアイドル活動を気に入らないわけだ。自分たちは前々から動いているのに、いきなりの思い付きでスクールアイドルをやろうというリスクの高い行動を起こされてはよい気分ではないだろう。そこにそのスクールアイドル活動がどれほど真剣なものであろうと関係はない。

 

「生徒会としても自分たちの学校がなくなるのは悲しいんじゃないかな。あとは義務感ってやつ?」

「そうね。私が学校全体の代表ならばあの子は全校生徒の代表なのよね。」

 

そう言ってため息をつくひな子の前に鷹也はコーヒーを置く。ありがとうというひな子に気にしないでと言いながら思う。生徒会長とはいえ、まだ17か18歳の女子高生。そんな生徒が全校生徒の学校存続の責任を感じて、その背に背負っている。それはどれだけ大変で、負担で、苦痛なのだろうか。想像するだけで苦しくなる。ひな子のコーヒーを淹れるついでに淹れておいた自分のコーヒーを口に含む。分量を間違えたのか。そのコーヒーはいつもより苦く感じた。

 

 

 

 

 

 

南ことりはいつも優しいふわふわとした雰囲気を持つ女の子である。普段からにこにこと笑い、人の話(主に穂乃果や海未)の話を聞いていることが多く自己主張はあまりしない。何を話していてもきちんと聞いてくれている気がして、話しやすく、なんとなく癒される。そんなことを言っていたのは穂乃果だったか海未だったか。どちらにせよみんながそう思っているだろう。南ことりというのはそういう女の子だ。そんな女の子が今、

 

「おーい、大丈夫かー?飲み物飲むか?」

「ふぇぇぇ……?」

「なあ、海未。ことりが目を回してこっちに反応しないんだけど。」

「大丈夫ですよ。少し休めば治ります。」

 

神田明神の神社の前の階段の頂上で倒れこみ、目を回していた。もう春とはいえ、朝方のまだ涼しい、少し肌寒いくらいの時期にジャージの上着を脱いでTシャツ姿で汗だくで、目の前で鷹也が手を振っても話をきちんと聞いてくれるどころか一切反応しない。いつものほんわかした笑顔など見る影もなく、癒されるどころかこちらが癒してあげたいと思うくらいの疲労困憊ぶりである。そんなことりに風邪をひかれても困るので近くに置いてあったジャージの上着をかけてやりつつ、鷹也は倒れこむもう一人の人物に視線を向ける。

 

「穂乃果ー。飲み物いるかー?」

「ぜぇ…ぜぇ…あ、……あり……が……と……」

「なあ、海未。穂乃果が疲れすぎてありがとうの5文字も言えなくなってるんだけど。」

「大丈夫ですよ。少し休めば治ります。……たぶん。」

「海未さーん!?自信もって!?そこはたぶんじゃダメなところ!」

 

どうしてここまで2人が疲労困憊でぶっ倒れてるのか。それは海未考案の朝練の結果である。アイドルは楽し気に歌って踊っているように見える。しかし実際は、激しいダンスをしながらも息を切らさずに笑顔で歌い続けなくてはいけない。それには圧倒的に体力が足りていないのだ。それは昨日の腕立て伏せ~笑顔とともに~を穂乃果が一切できなかったことで実証済みであり、本人たちも納得ずみである。だからこその神田明神の階段上り下り朝練なのだが、弓道部で運動している海未はともかく、運動に慣れていない穂乃果とことりには厳しいものがあったようだ。

 

「もう足が動かないよ~……」

「疲れたー!!」

 

飲み物を飲み、少し休憩したことで多少回復した2人がそれでもまだ座り込みながら言う。鷹也はそんな2人を見て苦笑い。時間に余裕があるわけでもないので、朝練をする間に少しでも時間があれば振り付けを考えたり練習するかもしれないしアドバイスできるかもと思って朝練について来たが、そんな余裕はないようだ。仕方ないとタオルをことりと穂乃果に自然な動作で渡すという献身的なマネージャーっぷりを鷹也は見せるが、海未はそれでも情けはかけない。

 

「このメニューを朝と夜、毎日2回やってもらいます。」

「「えぇぇ~~……」」

 

情けない声を出す穂乃果とことり。朝練だけでこの状態だ。夕方までこんなことしてたら、この子たちは死んでしまうのではないだろうか。助けを求めるようにこちらに視線を向ける2人に鷹也は微笑む。

 

「海未。」

「なんですか?」

「鷹也くん!海未ちゃんを説得して……」

「お兄ちゃん……!」

 

なにやら感動している2人を横目に鷹也は諭すように言う。

 

「もう1セットやる予定だったろ。」

「あ、そうでした。」

「ことりちゃ~ん!!鷹也くんまで鬼だよ~~……」

「お兄ちゃ~ん……!!」

 

泣きそうな2人を不憫に思いつつも仕方ないと心を鬼にする。体力的にこのままではライブどころではないのだから。やるからには生徒を集めるためにもしっかりとしたライブをしよう。そう決めたはずだ。

 

「さ、生徒を集めるためです。始めますよ。」

「「は~い……」」

 

泣き言は言いつつも頑張らなければいけないのは2人とも分かっているのだろう。返事をしながら立ち上がる。タオルとジャージの上着を受け取り、隅に置いておき、自分はダンスの練習メニューでも考えてるかと鷹也が思っていると、横から声をかけられた。

 

「あのすみません。」

「ん?」

 

振り向くとそこには箒を手にした巫女さんがいた。特徴的なイントネーションで話し、長い髪を後ろで一本にまとめているその少女は、服装も相まって何か不思議な空気を身にまとっているように思えた。

 

「あの子たちの知り合いさんですか?」

「あ、ああ。そうだけど、君は……」

 

一瞬スタイル抜群の彼女の主張の激しい体の一部分に視線を奪われそうになるも、それを巧妙に隠して鷹也は答え、聞き返す。すると、練習を再開しようとしていた3人の方から声がかかる。

 

「あれ?副会長さん?」

「副会長……?」

 

驚いたようなことりの声に、その少女、音の木坂学院の生徒会副会長である東條希はきれいな笑顔で返してみせた。

 

 

 

 

 

「南さんはお祈りせんの?」

「後でしとくよ。」

 

希の言葉にあんまりその気はないが鷹也はそう答える。ことりたちと話している様子から関西弁(いつもテレビで聞いているようなイントネーションでなかったので似非関西弁かもしれない)を使っているようだと気づき、鷹也からの提案で敬語は無理して使わなくてもいいとしたので口調はくだけたものになっている。。2人の視線の先には神社に向かってお祈りする穂乃果、海未、ことりの姿。おそらく今回のライブの成功でも祈ってるんだろう。

 

「まさか南さん……ことりちゃんのお兄さんだとは思わんかったなあ。確かに言われてみれば似てるかも。」

「自分では似てるとは思わないけどね。それより聞きたいことがあるんだけどいいか?」

「ええよ。生徒会についてやろ?」

 

お見通しか。と鷹也は頬をかく。ことりの兄とばれた時点で理事長の息子だということもばれている。母親やことりから話を聞いていることもばれているだろう。

 

「ちょっと不器用なだけなんよ。きっと。」

「不器用……ね。」

「そう。不器用で、抱え込んで。えりちの気持ちも分かるんやけど……。」

 

希はそう言って心配そうな表情になる。おそらくそのえりちと呼ばれている女子生徒が生徒会長なのだろう。

 

「まあ、いきなりスクールアイドルなんて言いだされてもね。生徒会長の判断が間違いとは言い切れないよ。」

「スクールアイドルをやることを全否定してるわけでもしようとしてるわけでもないと思うんよ。けど、全校生徒の代表としてその重みを必要以上に感じてるんやと思う……。だから、」

 

そこで区切って、希はまた階段の方で基礎体力づくりの朝練を再開した3人を見る。穂乃果とことりは先ほどの疲れも残っているのだろう。だいぶペースは落ちているが何とか頑張って海未のメニューをこなそうとしていた。

 

「あの3人も本気みたいやし、なにか変えてくれないかなってそう思うんや。」

 

そう言って希は鷹也に視線を戻す。その眼は真剣で、この子も音の木坂を廃校なんかさせたくなくて、でも身近な人が廃校阻止のために身を削って苦しんでるのを見て、なんとかしたくてつらいんだなとそう感じられた。少なくともとても優しい子なんだろうなと鷹也には感じられた。

 

「南さんは……」

「鷹也でいいよ。ことりとかぶるだろ?」

「じゃあ鷹也さんって呼ぼうかな。ウチも希でええよ。それで、鷹也さんはわざわざこんな時間から来てるってことはあの3人のサポートをする気があるってことやんな?あの3人のサポートよろしくお願いします。」

 

あの子たちなら他のみんなをいい方向に導いてくれそうなきがするんや。そう言って希は頭を下げる。

 

「もちろんそのつもりだけど……。他のみんなって?よろしくってことは希も裏でサポートしてくれるってこと?」

 

頭を上げた希は

 

「それはどうやろうね。まだ秘密や。」

 

そう言って意味ありげに笑って見せた。

 

 




カットした方がいい無駄な部分多いでしょうか?
鷹也の立ち位置上家でのやりとりなどはなるべく書いていきたいのですが必要なのかと言われると微妙なところ。難しい。


あ、あとお気に入り登録してくださった方ありがとうございます!嬉しいです!
こんな読みづらい文章ですがよろしくお願いします。
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