小鳥が大きくなるまで、いつもそばに   作:雪詞

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メリークリスマス!!です!!ヾ(≧▽≦)ノ

クリスマス兼UA40000記念の番外編です。
2時間半遅れですがまあ良しとしましょう。仕方ないんです。なかなか内容が上手く思いつかず、さらには忙しくて書く暇が……

はい、言い訳は以上にして今回は冬のある日の話。
クリスマスパーティーの様子と、ことりとの帰り道での出来事の話。
急いで書いたので面白いというか、ただの日常シーンの垂れ流しみたいになってます。思いつかなかったんじゃなくて時間の都合です。思いつかなかったんじゃないです。きっと。
キャラ崩壊はあったらすみません。ある気がしてはいますが大丈夫だと信じたい。

それではご覧ください。


番外編:彼と彼女たちの冬のある日

季節は冬。地方都市は近年稀に見る大雪だ。何十年に1度の大雪だ。などというニュースが数年に1度のペースで流れる時期である。

 

「うぅ……寒っ……!」

 

鷹也は寒さに身を震わせながら、綺麗なイルミネーションを夜になったら灯すであろう電球が飾られた街を歩く。冬とは言ってもここは秋葉原、神田、神保町の間。まだそこまで雪が積もるわけでも降ってくるわけでもない。寒いのがあまり得意でない鷹也としては雪が降らないにこしたことはないのだが。と、そこで携帯がメッセージの受信を告げる。

 

『鷹也くんーまだー?』

 

こういったイベントごとをもっとも楽しみにしているだろう少女からのメッセージに苦笑しつつ、もう少しだからちょっと待ってと返信しつつ、歩くペースを上げる。あまりゆっくりとしていてはもう1人の元気娘も催促のメッセージを送ってきかねない。

 

「っと……そういえば……」

 

しかし、そこで歩みを止めて少し考える。交換用は用意している。だが、それだけでいいのだろうか。

 

「…………よし。」

 

少し考えてから財布を確認。中身が充分であるのを見てからとあるお店へ。最近は寒いし、たまにはこういうものをあげるのもいいだろう。買い物をすませてお店から出る。

 

『たーかーやーくーんー』

『はーやーくー』

 

結局はもう1人の元気娘からも催促のメッセージが届き、一緒に送ってきているのだろう。わざわざ分けて催促の文章を送ってくる2人への返信をスタンプのみで行いつつ、今度こそ目的地へ。広場に用意された大きな飾り付けをされた木の横を通り過ぎ、これも夜になったら綺麗に光るんだろうなと思いつつ、空を見上げる。

 

(降ってこなきゃいいけど……)

 

曇り空を見上げながら思い、盛大なフラグだなと自分で内心苦笑しつつ階段を登って彼女達の待つ場所へ。今日は練習も休みにしてパーティーの日。1年に1度の聖なる日。

 

 

 

 

 

☆彼と彼女たちの冬のある日☆

 

 

 

 

 

 

「お待たせ、遅くなってごめん。」

「遅いよー!」

 

音ノ木坂学院のアイドル研究部の部室。その扉を開けて鷹也が部室内に入ると、元気よくあいさつして向かえてくれた他のメンバーと違って、穂乃果がそうそうに頬を膨らませながら言ってくる。相当楽しみにしていたのだろう、彼女の頭の上にはすでに赤いサンタ帽子。

 

「しょうがないだろ。クリスマスとはいえ平日。冬休みでもないんだから。」

「そうだけどー……」

 

むくれる穂乃果をなだめる。クリスマス。1年に1度のイベントごととは言っても、それは学校側からすれば一切関係ないわけで。いつも通りの講義をうけ、むしろ最後のコマまで授業がある日だったために週の中でもっとも忙しかったくらいだ。それは分かっているのだろう。静かになる穂乃果にごめんなともう一度言いつつ、部室を見渡す。綺麗に飾り付けのなされた部室は普段の部室とは違って、とてもにぎやかに見える。

 

「凛たちが飾り付けしたんだよ!」

「凛ちゃん、すごく張り切ってたもんね。」

「そうなのか。それっぽくなるもんなんだな。」

 

紙でできた輪っかを鎖状にして繋いだものや天井からは星の飾りがぶら下がっていたりする。昨日はなかったから前々から準備しておいて今日の昼休みと鷹也が来るまでの間に飾り付けしたのだろう。誇らしげに言う猫耳をつけて首元に大きな鈴をつけている凛と髪にリボンをつけてそこに大きめの鈴をつけた花陽を褒めつつ、一際目をひくものに視線を向ける。

 

「でかいクリスマスツリー……」

「ええ、私もそれは思ったわ……」

「天井にギリギリ届かんくらいの大きさやもんね。」

 

縁に白のもこもこのついた赤いカーディガンというかポンチョみたいな服を肩からかける絵里と希も鷹也に同意するように言ってくる。正直ここまで本格的なツリーを用意するとは思わなかった。鷹也はこれを用意できるであろう人物に目を向ける。

 

「よく準備したね、こんなの。」

「べ、別に。家に余ったものがあったからどうせならあった方が雰囲気でるかと思っただけよ。」

「まぁツリーがなくちゃ雰囲気でないもんな。」

 

はしゃいでいると思われたくないのだろうか。そっぽを向きながら言う真姫に苦笑しながら返す。その頭の上にもサンタ帽子がのっているのではしゃいでいるようにしか見えずにあまり説得力はないのだが。同じことを思ったのか。それまで黙っていたにこが口を開く。

 

「そんな事言って実はわざわざ買ったとかじゃないの〜?全くはしゃいじゃって。お子様ね〜」

「な……そんなわけないでしょ!はしゃいでなんか……」

「サンタ帽かぶっていうことじゃないわよね〜」

「う……」

 

にししと意地悪く笑うにこに言われて言葉につまる真姫。ちなみににこは頭にトナカイの角と耳のついたカチューシャのようなものを乗せている。その様子を見ていたことりと海未が話に入って行く。

 

「今日ははしゃいでもいいんじゃないかな?真姫ちゃんサンタ、可愛いしっ。好きにはしゃぐのじゃ~♪」

「だから私は別に……」

「真姫は強情ですね。」

「ちょっと待った。え、誰も指摘しないの?突っ込んだら負けなの?」

 

鷹也は普通ににこやかに話を続けようとすることりに待ったをかける。不思議そうに振り向くことりと海未。海未はいい。にこと同じようなトナカイカチューシャ。恥ずかしがってこういうものをつけないタイプかと思っていたが吹っ切れているようで全く意識していないようだ。問題はことり。

 

「何かおかしいかの~♪」

「分かってやってるだろ……」

 

ことりが付けているのはいわゆる鼻眼鏡。黒ぶち眼鏡に大きな鼻がついたよく見るタイプ。もれなく大きなひげもついている。ふわふわとしたいつもの笑顔で楽しそうにすることりに鷹也は空笑い。妹というひいき目なしにもとが美少女と言えるルックスの彼女の鼻眼鏡はとてもシュールな絵面になっている。

 

「えへへ~……ことりサンタですっ!」

「それならせめて白ひげにしなよ……っていうかサンタ帽でよかったでしょ……」

「もうみんな、あんたが来る前に慣れちゃってんのよ。今さら突っ込む気にもならないわ。」

「そういうこと……」

 

今回のパーティーグッズの買い出し班の悪ふざけと言ったところか。パーティーの準備は自分たちだけでするから今回は大丈夫と言われて、鷹也は今回は準備にあまり参加していないから知らないが、ことりが買い出し班のうちの1人だったのだろうか。にこに言われて苦笑しつつ、ことりが楽しそうならいいかと無理やり納得しておく。そこで絵里にクラッカーを手渡される。確かに待たせてしまったことだし、そろそろ始めてもいいだろう。全員がクラッカーを手にしているのを見て、絵里が口を開く。

 

「さ、鷹也もきたことだし始めましょ!」

『メリークリスマース!!!!』

 

クラッカーの音が部室に響いた。

 

 

 

 

 

クラッカーの火薬のにおいが少し残ってしまう中、わいわいと好き勝手に置かれた食事を手に取り始める。ちなみに、いつもロッカールームとして使っている方の部室で床にレジャーシートをひいて座っている。雰囲気としてはアイドルグッズが大量に置かれているとはいっても、テーブルの多くある部屋の方がよかったのだが、そちらは狭いということでレジャーシートの出番となったらしい。

 

「うん、おいしい。これって手作り?」

「ええ、それは私が作ったのだけれど……口にあってよかったわ。」

 

取り皿として用意されていた使い捨ての容器に入れて口に運んだポトフはとてもおいしくできていて、その味に頬を緩めると絵里が嬉しそうにそう言って微笑む。それに本当においしいよと言って、次に近くにあったポテトサラダを取ろうとして

 

「真姫、俺には食べる権利すらないと……?」

「あ、いや、そういうわけじゃないんだけど……」

 

急に伸びてきた真姫の手に遮られる。他のメンバーがとる時には何も邪魔していなかったのに、急に自分の時だけ遮られたことにちょっとショックをうけつつ、鷹也が言うと慌てたように真姫が首を振るも、依然として手は遮るようにおかれたまま。それに困っていると、にこが口を開く。

 

「ちゃんとできてるから大丈夫よ。というかポテトサラダでそうそうひどい失敗なんてないわよ。」

「ああ、もしかしてこれって真姫が作ったのか。」

「ええ、でも自信なくてつい遮っちゃったみたいね。」

 

にこの言葉に察した鷹也の言葉を肯定して言う絵里に真姫の顔が赤くなる。図星だったのだろう。慌てて真姫が口を開く。

 

「だ、だってあんまり料理とかしたことないし……絵里の後なんてハードル上がってるじゃない!」

「いつもの自信たっぷりな様子はどこ行ったのよ。」

「それは……」

 

絵里と顔を見合わせて、自信なさげな様子の真姫に苦笑する。普段は卑屈どころか自分に自信をしっかりと持っている彼女も、初めての手料理を振舞うのにはさすがに緊張するらしい。他のメンバーと違って絵里の手料理を食べて感想を言ってから鷹也が自分の料理に手を出そうとしたから、さすがに遮ってしまったのだろう。

 

「真姫、別にみんなの食べてる様子見るに失敗してないから大丈夫だよ。気にするなら、もう少し後で食べることにするから。」

「あ…………」

 

そう言って他の料理を取ろうとするとほっとしたような、でもほんの少し悲しそうな顔をする真姫。いったいどうすればいいのかと鷹也が困ったように周りに視線を向けると、にこがやれやれといったようにテーブルの向かいからこちらに寄ってくる。

 

「はい、さっさと食べなさい。作った側としては結局感想聞きたいのよ。」

「え、でも……いいのか?」

「確かに少し食べちゃったけど別に気にしないわよ。妹とか弟とかと分けるのと同じよ……でも、食べるなら残さず全部自分の皿に持っていって。」

 

はいはいと苦笑しながらにこの皿からポテトサラダをもらう。少し食べていたので嫌かと思って聞いたのだが、別に気にしないらしい。さすがに鷹也が少し食べた物をにこの皿に残すわけにもいかずに全部もらう。真姫がなにか言っているが無視。もはやあの素直じゃない子の意見を聞いていたら日が暮れてしまう。

 

「んむっ......うん、ちゃんと美味しいじゃん。」

「べ、別にお世辞言わなくてもいいわよ。」

「ほんとに美味しいって。料理もすぐに上手くなりそうだな。」

「作ってる最中もすぐに出来てたのよ。きっとセンスあるわ。」

 

恥ずかしいのか、顔を真っ赤にしてそっぽを向く真姫に苦笑して絵里と顔を見合わせる。普段自信満々のくせに人に褒められるとこうである。もごもごと小さな声で、おいしいならいいのよとかなんとか言っている真姫に、本当においしいよと言ってから次の料理に視線を向ける。

 

「ってことは、このチキン焼いたのはにこか。本当に料理上手いんだな……」

「ふふん。大銀河宇宙ナンバーワンアイドルのにこにーは何だってできるのよ。」

「料理に関しては本当にすごいから何とも言えないな……」

 

隣で胸を張るにこの様子が真姫とちがいすぎて笑いつつ、鷹也は料理を口に運ぶ。すると急に視界が暗くなった。

 

「えいっ!」

「……穂乃果、前見えない。」

「あ、あれ?」

「ったく……なにこれ?」

 

視界を塞いでいるものを取ってみると、そこにあったのはサンタ帽子。ただのサンタ帽子ではなく、どうやら白鬚が一緒についているタイプのようだ。後ろから穂乃果が急に被せたので、この白鬚が鼻下に調節されずに目の位置にきてしまって視界を塞いだらしい。鷹也が後ろに立っている穂乃果にジト目を向けると、穂乃果があはは……と申し訳なさそうに笑いつつ言う。

 

「私たちが買い出し班だったんだけど、鷹也くんだけ何もつけないのはダメってことで穂乃果サンタからサンタになれる権利のプレゼントだよ!」

「いらん。」

「えー!なんでー!!」

 

サンタ帽子を穂乃果に突っ返すと、穂乃果はむくれながらこちらにサンタ帽子を押し付けようと、サンタ帽子を持った手で背中をポカポカと叩いて来る。そんな穂乃果に鷹也が困っていると、にこと絵里が言う。

 

「それくらいつけてあげたらいいじゃないのよ、ノリ悪いわね。」

「いや、さすがにそこまではしゃいでも……というか、つけるの恥ずかしい。」

「いいじゃない、きっと似合うわよ?」

「絵里、顔が笑ってるよ?」

 

トナカイのカチューシャのにこはまだしも、赤いカーディガンで無難にクリスマスを表現しようとしている絵里には言われたくないところだ。こらえきれないというように笑う絵里をジト目で見返すと、ごめんなさいという言葉で誤魔化される。

 

「とは言っても確かに1人だけ何もつけてないのは寂しいわよね。花陽、何か他に残ってないの?」

「えーっと……」

 

鷹也の背中を叩き続けている穂乃果をなだめつつの絵里に言われて花陽が自分の後ろにあった袋をあさり始める。先ほどのクラッカーもそこから出てきていたし、パーティーグッズは買い出し班の手によって買われてあそこにまとめられているようだ。花陽はそこからいくつかのアイテムを取り出す。

 

「アフロのかつらにぐるぐる眼鏡に白の付け髭にひげなしの鼻眼鏡に虎のマスクに額に肉の文字の書いてある覆面に……」

「いや、待て!明らかにおかしいよね、そのラインナップ!」

「なによ、全部似合いそうじゃない。」

「真姫、後で覚えてろよ……」

 

先ほど勝手にポテトサラダを食べた仕返しだろうか。不敵な笑みを浮かべる真姫を鷹也はにらみつける。何も真姫に恨みを買うようなことはしていないはずなのだが。というか買い出し班はなぜこんなものばかり買ってきているのだろう。明らかにふざけて買ってきたのが分かる。たまにある暴走が買い出し班の中で起きてしまったのだろうか。様子を見るに、買い出し班のメンバーが花陽とことりと穂乃果だったことからも、穂乃果を止められずに最終的に変なものばかり買っているのが目に浮かぶようではある。

 

「さあ!お兄ちゃんも何かつけるのじゃ~♪」

「ことり……お前はそれの何を気にいってるんだ……」

「~♪」

 

相変わらずなぜか御機嫌で鼻眼鏡(ひげ付き)を装備していることりにため息をついて、花陽のもとからグッズを持ってきた穂乃果に向き直る。

 

「はい!選んで!」

 

選ぶまで逃がさないというような穂乃果の様子にもう1度ため息。どうやら逃げ場はないらしい。

 

「……わかったよ。」

 

ため息をついてある物を手にとる。この中ではこれが1番マシだろう。装着してからのみんなの面白そうな顔がとても印象的で、ひそかに後で練習の量を増やすことを決める鷹也だった。

 

 

 

 

 

「これをこうすれば……どう?」

「そんなことも分かるのですね……」

「希ちゃんすごいにゃ……」

 

鷹也は少し離れて何かやっていた希と海未、凛のもとに向かう。あれ以上あの場所にいたら、すべてのグッズをつけることになりかねない。部屋の端っこにあるベンチに座る赤いカーディガンの希の前で座るトナカイと猫の海未と凛の後ろから声をかける。

 

「なにやってんの?」

「あ、今は希に……鷹也さん……?」

「おお、鷹也くんこそ気づかないうちにずいぶんはしゃいどるね?」

「サンタさんだにゃー!!」

 

きょとんとした海未、にやにやとする希、そして満面の笑みで楽しそうにして、凛も何かかよちんにもらってくる!と言って花陽の方に向かって行く凛にため息をついて何も言わないでと希と海未に手で示す。

 

「穂乃果とことりですか?……止めに行けばよかったですね……」

「いいよいいよ。海未も気にしないで好きに過ごして。少し恥ずかしさで死にそうだけど……」

「いいやん、似合ってるよ?」

「にやにやしながら言われてもね……」

 

結局鷹也が選んだのはサンタ帽子(ひげ付き)。普通のサンタ帽子をもらおうとしたのだが、それは穂乃果と真姫がかぶっているものだけだったらしい。買い出しのラインナップが偏りすぎている気がするのは気のせいではないだろう。申し訳なさそうな海未に苦笑しつつ、希をジト目で見る。しかし、そうしていても自分が変な格好している自覚はあるのであきらめて聞く。

 

「で、何やってたの?」

「占いやってたんよ。鷹也くんもやってみる?」

「へえ……海未とかは占い信じなさそうだけどな。」

「希のはなぜか当たる気がして……いい結果でよかったです。」

 

詳しく話すと占いの効果が薄れてしまうとかで詳しくは聞かなかったが微笑む海未の様子を見るに結果はよかったらしい。鷹也は希に向かって言う。せっかくなので話のネタにするためにも占ってもらってもいいだろう。

 

「じゃあ、俺も占ってもらおうかな。」

「ええよ。でも最初に注意点。この結果はできるだけ人には言わない方が、よりいい結果になるから気を付けてね?」

「りょうかい。」

 

そう言って頷いて希が指定するように占いを進めていく。鷹也はタロットはよく分からないが希には分かるらしい。いくつかの工程に分けてタロットをひいていく。

 

「うん、これやね。えっと……」

 

希があるカードを取って、それを見て少しにやりとしてから紙に何か書き込んでいく。先ほども海未と凛を占った際はこのようにして他の人に分からないように渡していたらしい。それからはいくつかの凛と海未の性格診断のような物を簡単な占いでやって遊んでいたようだ。

 

「これ、思ったより本格的なのな。」

「私も最初そう思いました。本当に希って何者なんでしょうか……」

「そんな人のことを変な人みたいに言わんといてよ。はい、鷹也くん。」

 

希の手から紙きれを受け取る。海未が見ないようにしますから大丈夫ですよと言ってくれるのにお礼を言いつつ、紙に書かれた内容をみる。そこに書かれていたのは“大切な人の手の温かさ”。

 

「……どういうことなのかは分かんないけど……当たる気がするからなんとなく不思議だな。」

「ほんまに?それならよかった。」

 

にこやかに言う希に引き気味に笑いかける。スピリチュアルとか、カードとかよく言っていたと思ったら占いである。本当に不思議な子だなと思いつつ、そういえばと後ろを見る。先ほど花陽のもとに向かって行った凛が帰ってこない。

 

「たっかやくーん!見て見てー!!」

「凛?ってうわぁ……」

「じゃーん!!」

 

ちょうど戻ってきた凛に視線を向けると、そこにいたのは先ほどまでつけていた猫耳、鈴をはずしてアフロのかつらをつけて鼻眼鏡をかけた凛。なんか変な感じーと言って笑う凛から目を逸らし、希と海未と目を合わせる。そして意見を一致させる。希は面白がっている様子だが、これは絵面的にシュールすぎる。

 

「とりあえずアフロのかつらは没収な。」

「えーー!」

「鼻眼鏡だけでもだいぶシュールな絵面なのにアフロまで盛り込もうとするなっての!なんとなく見てて微妙な気分になるから!」

 

むくれている凛に呆れつつ、アフロを没収してこれを渡したであろう花陽の方に視線を向ける。そこには苦笑いでこちらを見る花陽の姿。どうやら凛がふざけて勝手にこれを取ってきてしまったようだ。アフロを取り上げられた凛が頬を膨らませる。

 

「せっかく面白かったのにー」

「なんでアフロに愛着感じてんのさ……」

 

 

 

 

 

それからしばらくしてプレゼント交換の時間。袋にそれぞれが持ってきたものを入れて、誰のものか分からないようにする。

 

「今回は決めるの大変だったわ……」

「誰に当たるか分からないものね。」

「何かごめんな?」

「別にあんたのこと言ったわけじゃないわよ。」

 

そう言ってくれるにこと頷いてくれる絵里に苦笑しつつ、お礼を言う。実際は男の自分がいることも考えて気を使ってくれたはずだ。男子に当たることを考えたら、あんまり女子らしい物を選べないとか。

 

「はーい!じゃあ配るよー!!」

「いっくよ~!」

 

穂乃果とことりが元気よくそう言って順番にメンバーの前に袋を差し出していく。さすがにことりも鼻眼鏡はとり、サンタ帽子を被っている。まだ普通の残ってんじゃんかという鷹也の抗議は無視されてプレゼント交換は進んで鷹也の順番。

 

「はい!」

「お兄ちゃんにプレゼントの配達ですっ!」

「どーも。」

 

せっかくのサンタからのプレゼントなのにテンション低いなーとむくれる穂乃果に構わずに、鷹也は袋に手を入れて最初に手に当たった箱を手に取る。それを袋から取り出すと、ことりがあっ……と声を上げる。

 

「それ私のだ……」

「ことりの?へえ、開けていい?」

「う、うん。いいんだけど……」

 

何故か少し歯切れの悪いことりに首を傾げつつ、箱を開けるとそこから出てきたのはニットの帽子。先に丸いポンポンが付いているような帽子だ。白なのでまあ鷹也も使えるだろう。

 

「おお、もう寒いしちょうどいいな。ありがとう、ことり。」

「うん!喜んでもらえたならよかった!」

 

首を横に振って気持ちを切り替えたのか。ことりが元気よく今度は言うのを見ながら微笑む。最近は寒いし、たまにはこういうのをもらうのもいいだろう。

 

「よし、さっそく……」

「後でかぶってね?」

「これはとらせてもらえないのかよ……」

 

さりげなくかぶっていたサンタ帽子(ひげ付き)を脱いでそれを被ろうとして止められる。どうやらこの帽子を被っているのはパーティー中ずっとらしい。それから、他のメンバーもこれは誰のプレゼントだなどと言って、嬉しそうにプレゼントを受け取りながら進んでいく。そして最後に残ったのが

 

「私が最後かな?」

「うん!ことりちゃん、どうぞ!」

「ありがとっ!……えっと……」

「あ、そうか。残ってんのは俺のだけだ。」

 

そう言って手にとったプレゼントは誰のだろうと首を傾げることりに鷹也が言う。そういえば誰も引いていなかった。

 

「おにいちゃんの?」

「なんか兄妹で交換しただけみたいになっちゃったね。」

「そんなこともあるんやね~」

「さすが兄妹というかなんというか……」

 

花陽と希、真姫が苦笑するのを聞きながら、開けていい?と聞いて来ることりに頷いて見せる。正直鷹也としてもことりに渡るのは予想外だった。結構な確率なはずなのだが。

 

「わぁ!可愛い~っ!」

「そんなにいい物じゃないけどね。寒くなってきたし、これから使えるかと思って。」

 

ことりが手に取った箱から出てきたのは薄い水色のマフラー。色は完全に好みの問題だ。もっと暖色系の方がいいかとも思ったのだが、水色のマフラーなら誰も持っていないだろうと思ってこれにした。さっそく首に巻いて見せる笑顔のことりに微笑んで聞く。

 

「気に入ってくれた?」

「うんっ!ありがとう、お兄ちゃん!」

 

ことりに笑顔を向けられて、鷹也は微笑む。喜んでもらえたのなら嬉しい限りだ。

 

「あの白鬚のサンタ帽子かぶってあんなに穏やかな微笑み……なんか本当におじいちゃんみたい……」

「ダメだよ、穂乃果ちゃん……!まだ鷹也くん20歳なったばっかりなのにそんなこと言ったら可哀想にゃ……」

「おーい穂乃果、凛。聞こえてるぞー。」

 

 

 

 

 

それから時間もいい頃合いになってきたので片付けをして解散することにする。ある程度の片付けをして、残りは明日にすることにして外に出る。ようやくサンタ帽子(ひげ付き)を脱ぐことのできた鷹也の頭にはことりからもらった帽子。ことりの首には水色のマフラーが巻かれている。

 

「うわぁ……今にも降ってきそう……」

「そうだな……さ、暗くなるのも早いんだから早く帰るよ。」

 

空を見上げて言う花陽の言葉に頷きつつ、鷹也はみんなを促して帰り道を歩く。そして、1、3年生がそれぞれに帰路について手を振って歩いて行くのを見送ってから、2年生組の3人といつもの帰り道。

 

「あー!楽しかったー!!」

「そうですね。みんなでクリスマスパーティーなんて初めてでしたし……」

「みんなでできてよかったね!」

 

少し前で歩く3人を見ながら、適当に相槌をうっていると不意に穂乃果が声を上げる。

 

「あ!」

「ん?どうした?」

「今日は早く帰んないと雪穂にケーキ食べられちゃう!!」

「さっき散々食ったじゃんか。まだ食うのか……」

「甘い物は別腹だよ!和菓子屋だからケーキ食べれる日なんて珍しいんだもん!」

 

そう言って穂乃果がじゃあ先に帰るね!と言って駆け出していく。その際にことりの肩を叩いて微笑んでいたのは気のせいだろうか。

 

「慌ただしいなあ……」

「あ!そういえば私も家の人に買い物頼まれてたんでした。」

「……海未、演技下手か。」

「え、演技じゃないです!本当に買い物を頼まれてます!」

 

あまりにも棒読みだったのでそう言った鷹也は顔を真っ赤にする海未に訝しむような視線を向ける。鷹也としては先の穂乃果ですらおかしい様子だったのに、海未までこんな様子なのだから違和感に思うのは当然だ。しかし、海未はもはや隠すのを諦めたらしい。開き直って口を開く。

 

「そう言うことなので、ちょっと寄り道しますから先に帰っててください。」

「……………………………」

「な、なんですか?」

「……はぁ……まあいい。何を狙ってんのか知らないけど見逃してあげる。」

「だから何も狙ってません!」

「はいはい……」

 

反論してくる海未に苦笑しつつ、早く行けと促してやる。少し不満げながらも、これ以上言い合っても墓穴を掘るだけだと思ったのか、海未が鷹也とことりに軽く手を振ってから反対方向に歩いて行く。そしてことりと2人になる。

 

「あの、お兄ちゃん?」

「はぁ……ことりはどこか寄るところは?」

「う、ううん、ないよ。」

「じゃあ、この状況があの2人の狙いね……」

「あ……!」

 

寄るところがあるとでも言っておけばこの状況が狙いだとは悟られなかったことに気が付いたのだろう。ことりが口を手に当てるのを見て確定。その反応しちゃだめだよと笑いながら言うと、ことりもそうだよね……と照れ臭そうに笑ってから言う。

 

「穂乃果ちゃんたちが気を使ってくれたみたい。」

「気を使う?」

「うん。あのね……」

 

そう言ってことりは持っていた手持ちの鞄から何か包みを取り出す。そしてそれを笑顔でこちらに差し出す。

 

「お兄ちゃん!メリークリスマスっ!!」

「……え?」

 

少し呆けていると押し付けられるように包みを手渡される。ことりが言う。

 

「お兄ちゃんには別でプレゼント買っておくって穂乃果ちゃんたちには話しておいたから……きっと渡しやすいように2人きりにしてくれたんじゃないかな?」

「……ああ、だからプレゼント交換の時に驚いてたのか……」

 

そう言ってことりの様子を思い出す。大方、鷹也に当たるとは思っていなかったのだろう。ようやく頭が驚きから覚め、状況を把握した鷹也が穂乃果たちの気遣いに苦笑して、そしてこの状況に苦笑して、持っていた鞄からある物を取り出す。

 

「考えることは同じってな。メリークリスマス、ことり。」

「え……?あ……あ、ありがとう!」

 

手渡してやると、少し驚いた表情で固まった後に満面の笑みを見せることり。普段から毎年プレゼントはお互いにするようにはしている。しかし、今年はμ’sのパーティーでプレゼント交換をするということになっていたので迷っていたのだ。結局お互いに買ってきていたようだが。寒い外で温かい気持ちになりつつ、お互いに開けていいかと確認して包みの中身を確認する。

 

「あ!手袋だ~!可愛い!!」

「これは……マフラーか。ここもかぶってたんだな。」

「うん、だからちょっとびっくりしちゃった。」

 

ことりと顔を見合わせて笑う。そりゃあここまで完全に同じ思考なら驚くだろう。ほとんど身に付ける防寒具で、違いはマフラーか手袋かだけなのだから。さっそくお互いに身につけて笑いあう。

 

「あったか~い……♪」

「ことりなら自分で買ってるとは思ったんだけど、たまにはいいかと思って。たまにでいいから使ってくれると嬉しいよ。」

「うんっ!いっぱい使う!!」

「そうしてくれると嬉しいよ。」

 

満面の笑みを見せることりに、マフラーもあったかいよとお礼を言いつつ微笑む。すると、そこで

 

「あ……」

「うわ……降ってきた……」

 

雪が空から降ってくる。空を見上げて少し嫌そうな顔をする鷹也に苦笑しつつ、ことりが楽しそうに向かいから隣に並んでくる。そして鷹也の顔を覗き込んで言う。

 

「ホワイトクリスマスだ~。珍しいね!」

「ホワイトクリスマスはいいんだけどさ……雪かぁ……」

「寒いの苦手だもんね、お兄ちゃん。」

「雪なんか降らなきゃいいと思ってるからね。」

「お兄ちゃんそうかもしれないけど……今日は雪は降ってもいい日なのっ!」

 

そう言ってふくれっ面を見せることりにはいはいと言いつつ、鷹也は手に息をはく。手袋は普段から冬にはしているのだが、あいにくと今年はまだ買っていない。去年のものを横着して使っていて、昨日穴が空いてしまったのだ。かじかむ手に顔をしかめつつ、ホワイトクリスマスはいいけどさっさと帰ろ?とことりに声をかけて鷹也は歩き出す。

 

「お兄ちゃん、これ使って?」

「え?いや、それだとことりが……」

「いいのいいの~。それで……はいっ!」

 

するとそこでことりが何を思ったか、先ほどつけたばかりの手袋を片方はずしてこちらに差し出してきた。戸惑いつつも、押し付けられるように受け取った鷹也に満足そうに頷きつつ、ことりは手袋をはずして素手となった方の手を差し出してくる。

 

「あ~……そういうこと……」

 

そこでで察する。漫画とかでは見たことあった気がするが、まさか自分がそれを求められるとは。鷹也はそう思いつつ、ことりを伺う。すると、ことりはこちらを上目遣いで見上げながら言う。

 

「ダメ……かな……?」

「はぁ……」

 

こんなの断れるわけがない。昔からことりのお願いを断れたことのない鷹也は正直に言えば恥ずかしいのだが、ため息をついて渡された手袋をはめる。そして、

 

「……今回だけだからね。」

 

素手の方の手でことりの手を握る。寒さで冷たくなった手をお互いに温めるようにぎゅっと握る。満面の笑みを見せてくることりに少し恥ずかしさを覚えて鷹也は視線を逸らして、今度こそ歩き出す。

 

「こんなことしなくても別にことりが両方つければいいじゃんか。」

「それだとお兄ちゃんの手が冷たくなっちゃうからダメなの。」

「……はぁ……まさか大学生なって高校生の妹と手つないで歩くことになるとは……」

「あ……いやだった……?」

「そんなことないけど……」

 

不安そうな顔になることりに、鷹也は気まずげに頬をかいて言う。

 

「……あったかいよ、ありがと。」

「……うんっ!!」

 

すぐに御機嫌な笑顔になる妹に苦笑しつつ、2人で手をつないで歩く。大切な人の、妹の手の温かさを感じて歩く。

 

「えへへ……お兄ちゃんの手、あったかい~……♪」

「はいはい、風邪ひく前に帰るぞ。」

「は~いっ!」

 

横を歩く幸せそうな妹と楽し気に会話しながら鷹也は家路をたどる。子供のころはよくこんな風に手をつないで歩いてたっけとふと思い出す。もう子供でもないけど、でもまあ今日くらいはいいだろう。鷹也はそう結論づける。今日は1年に1度の聖なる日。子供の時から楽しみに毎年待ち続けている冬の特別な日。

 

「クリスマス……だもんな。」

「うん、クリスマスだもん。」

 

冬の寒さの中、少しあったかくなった気持ちに頬を緩めつつ2人は顔を見合わせて微笑んだ。

 

 





いかがだったでしょう。
あーこんなクリスマス過ごしたいなーパーティーしたいなーと作者は少し書いててやさぐれました。

今回少し更新遅れてしまいましたが、次はできるだけ早くしたいと思います。

できれば感想・評価いただけると嬉しいです。
それでは次回も引き続きよろしくお願いします。
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