更新遅れました……
ただいま絶賛展開に悩み中でして……
今回の話もこれ以上更新期間を空けてしまっては申し訳ないということで短めですが更新したというような感じです。ここからの展開をどうしていくかに悩んでいるので、文字数としては5000字くらいと普段の半分そこらの文量です。
それではご覧ください。
「では、とりあえず!!にっこにっこにー!!」
部室ににこの声が響く。メンバーで1人だけ立っている彼女の手には紙コップが握られており、頭にはとんがり帽子が乗っかっている。その前にはビニールシートが敷かれていて、そこには1年生の3人と穂乃果が笑顔で座っている。いや、真姫だけはチラリとこちらを見て笑顔を暗くしていたが。
そんな様子を鷹也は特に何の感情も顔に浮かべずに見つめる。
「学校の存続が決まったということで、部長のにこにーから一言挨拶させていただきたいとおもいまーすっ!」
「「おお~~!!」」
いつもよりも数段テンションの高いにこの言葉に穂乃果と凛が歓声を上げ、花陽も加わって拍手をする。ちらりと隣を伺うとそこでは椅子に座った絵里と希が顔を見合わせて嬉しそうに、どこかホッとしたように微笑んでいる。学校存続という目標の達成に1番プレッシャーを感じていた彼女たちだ。ホッとするのは当然か。鷹也はそう考えつつ、今度は向かいの方の横長のベンチのような椅子に座っている残りの2人を見る。
「思えばこのにこにーが部長として……」
にこの誰も聞いていないであろう挨拶が響く中、そこだけは暗い雰囲気が存在している。ことりと海未は周りの少女たちとは正反対の表情を、暗い表情を浮かべながら紙コップを手にしてうつむいている。それだけで察する。やはりまだ言えていないのだろう。だが、今は彼女たちのそばに自分が行くこともできない。自分が口をはさむべきことではないのだ。そばに今は行ってはいけない。
『かんぱーいっ!!』
「ちょっと待ちなさーいっ!!」
案の定誰も聞いていなかったようで、にこの挨拶を無視して乾杯が行われてパーティはスタートする。鷹也は端で壁に寄りかかって立ち、部室をもう1度見渡す。
とても、とても歪で、危ういようなバランスの悪さだった。
「鷹也」
「絵里、なんで何も言ってないの。」
隣に椅子を置いて座る絵里に声をかけられ、何かを言われる前に聞く。そもそも自分がこれ以上関わるつもりがないということは絵里には伝えている。先ほど部室に来るまでの間に聞こうとも思ったのだが、手を引いて元気よく走る凛と穂乃果についていくのが精いっぱいでそれどころではなく、部室についてからも遅いっ!とにこに言われてとりあえず始めるわよということでこれまで聞くタイミングがなかったのだ。
少し表情を歪めながら紡がれた鷹也の言葉に絵里はにやりとわざとしているのだろうと分かるような悪だくみをするような笑顔で言う。
「さあ?なんのことかしら?」
「…………あんまりふざけてると怒るよ?さっき理事長との話に割り込んだのも正式に話を進めさせないためでしょ。」
「……怒りたいのはこっちよ。」
「え?」
小さく不満げな表情になる絵里にわざと聞き返す。絵里としてもそれは分かったのだろう。何でもないわよとそっぽを向きながら口を開く。
「私は鷹也がいなくなるなんて簡単に認められない。私たちには鷹也が必要だもの。だから私からみんなに話すことはないわ。言うなら自分で言えばいいじゃない。」
「………………このタイミングで言えないって分かって言ってるだろ……」
「さあ?なんのことかしら?」
このみんなが学校存続で喜び、ことりと海未が留学の件で沈んでいる状況でさらに自分がこれからμ’sの活動に関わらないと決めたということを話して動揺を広げるなんてできるわけない。そう考えてジト目を絵里に向けながら鷹也は言うも、絵里は先ほどと同じ言葉を返し、みんなのもとにご飯を少しよそってもらいに行っていた希が戻ってくるのを見て、その前にと言う。
「言ったでしょ。私は、私たちは勝手に鷹也のことを支えるって。」
「………………………………」
合宿の時の言葉。鷹也は絵里のその言葉に何も言えずに黙り込む。支える。それはどうやってだろう。自分は期待されるようなものはない。そもそも自分はやりたいことや自分に対する期待なんてものはない。つまりは支えられるべき部分がない。そんな自分をどうやって。でも絵里は、みんなはいつも言ってくれる。鷹也を支えると。ある意味で期待からくるその言葉を言ってくれる。
そんなことを考えている間に希が戻ってくる。
「あれ?鷹也くんもえりちもなに話してるん?」
「いや、何でもないよ。」
「それよりみんな楽しそうね。」
「そうやね。でも、えりちもホッとしたみたいやね?」
鷹也の言葉にこちらを伺うような視線を向けつつ言った希の言葉に絵里は小さく微笑む。
「まあね。肩の荷がおりたというか……」
「μ’s入ってよかったでしょ?」
「……どうかしら。私がいなくてもなんとかなった気はするけれど……鷹也もいたことだしね。」
そう言う絵里の視線の先にいるのは無邪気にはしゃぐメンバーの姿。炊きたてのご飯に歓喜して、にこの茶碗に大盛に花陽がご飯をよそっているのを見て笑っている穂乃果と凛。そしてそのそばで真姫がなにやってんのよとでも言いたげに座っている。
鷹也は、それからこちらに視線を向ける絵里に肩をすくめて言う。自分はいなくてもいい存在だが、絵里がいなくてもよかったなんてことはありえないだろう。
「俺だけじゃダメだから絵里に頼ったという経緯を忘れてない?絵里はいなくちゃいけないよ。」
「鷹也くんの言う通りやね。μ’sはこのメンバーじゃないとダメなんよ。そうカードも言ってる。」
「だそうよ、鷹也?」
「……あっそ。てか、俺はμ’sのメンバーじゃなくてあくまでサポートだって。」
鷹也の抗議は軽くスルーされる。にこにことしている希に小さくため息をついていると、視界の端で穂乃果の様子が目についた。
なにかに気が付いたようだった。
嫌な予感がして穂乃果の視線をたどる。そこにはまだ先ほどの位置から動かずに暗い表情のことりと海未がいて。
「ことり…………」
「でも……今は……」
「………ごめんなさい、みんなに聞いてほしいことが……」
「海未!」
沈んだ表情のことりを真剣な表情で見てから、海未が何か決意したように立ち上がってみんなに向けて何か言おうとする。その内容を察し、鷹也が海未を止める。止められた海未が悲し気な、不安そうな表情をしているのを見て胸が痛む。
「……なんで止めるんですか。」
そもそもなんで自分は海未が言うことを止めようとしているのだろう。一瞬分からなくなる。自分が口を出すことはできない。でも海未が口を出すのは構わないのではないか。しかし、止めなくてはという感情が、考えが出てくるのは抑えられずにいて。そのまま黙り込むわけにもいかずに鷹也はすぐに口を開く。
「それはことりが言うことだろ。海未がいうことじゃない。」
「でも、もう時間がないじゃないですか!このまま黙っているわけには……」
「だからって海未が言うことでもないだろ。これはことりの問題だ。」
「それは分かってます!でもそうやって鷹也さんがことりに何も言わないから、ことりはずっと……!」
海未の表情が苦し気に歪む。怒りのような、悲しみのような。そんな表情。鷹也はその表情に息をつまるような感覚を覚える。
「ちょ……ちょっと待って!鷹也くんも海未ちゃんもなに言ってるの……?何でこんな時に喧嘩してるの……?ほ、ほら!ご飯たべようよ!!おいしい……よ?」
その様子に何か感じたのか。最初に海未とことりの様子に気が付いていたのだろう穂乃果が口を開く。本能的に何かただ事ではないと察しているのだろう。無理やり作ったような笑顔で話していたが、その声は震え、徐々に表情は不安に歪んでいった。
「待ってよ。私……何も知らないよ?ねえ……時間がないって……なに?」
「……急なことですがことりが留学に行くことになりました。」
「え…………?」
「海未!!!」
自分でもよく分からない感情のままで鷹也が海未を止めようとするも遅い。海未の言葉に穂乃果の口から呆けたように、小さな声が漏れる。海未の視線が鷹也に向く。その視線に耐え切れずに、目を逸らす。
逸らす直前に、海未の目に悲し気な、失望するような色が見えた気がした。
「……2週間後に日本をたちます。」
「何……?」
「嘘……」
「ちょっと……どういうこと……?」
混乱しているメンバーの様子を黙って見つめる。その中で鷹也と海未の言い合いの際からうつむいていたことりがようやく口を開く。
「前から服飾の勉強したいなって思ってて……。そうしたら、お母さんの知り合いの海外の学校の人から留学に来ないかって……」
震え声で語られる留学を決めるまでの経緯。ことりのその様子に胸が痛む。
「ごめんね、もっと早くに言おうと思ってたんだけど……」
「……学園祭のライブでまとまっている時期に言うのはよくないとことりは気を使っていたんです。」
「それで最近……」
小さく呟く希の、そして絵里の視線がチラリと鷹也に向くも、鷹也は気づかないふりをする。この2人はことりの様子がおかしいのにも気が付いていたのだろう。だからこそ鷹也になんで何も言わなかったのかと言いたいが、鷹也が言わなかった理由も察することができて何も言えないというところだろうか。
「……行ったっきり……戻ってこないのね?」
「高校を卒業するまでは……たぶん……」
それでもきちんと状況を整理しようとするのはさすが上級生というところか。絵里の問いかけにことりが頷く。重苦しい沈黙が部室を包む。みんな突然の事態に混乱しているのだろう。そして、このような状況を打破するのはいつも彼女で。
「……どうして……」
小さく呟いて立ち上がる。沈黙に痛いほど響く穂乃果の声。いつものように沈黙の状況を打破するのは、いつもどおりではない彼女の悲痛に満ちた声。
「どうして……言ってくれなかったの……?」
「穂乃果……」
「ですから学園祭が……」
「鷹也くんと海未ちゃんは知ってたんだ。」
「っつ……」
「それは……」
その声はいつもの穂乃果の声とは違って。いつもの明るく、元気に、みんなを引っ張る彼女の声とは違って聞こえて。真剣な表情の中に悲しさをにじませて、でもその中にかすかに怒りのような感情を見せて言う穂乃果に鷹也と海未は何も言い返せない。ことりが言うべきことであると思っていたとはいっても、実際に穂乃果に何も伝えられなかったのは自分たちだ。穂乃果は座っていることりの膝に手を置いてしゃがみ込む。
「どうして何も言ってくれなかったの?ライブがあったからっていうのは分かるよ。でも、ことりちゃんと海未ちゃんと私と、それに鷹也くんはずっと……!」
「穂乃果……」
「ことりちゃんの気持ちも分かってあげて?」
「分かんないよ!!!」
穂乃果の大声が響く。感情をまっすぐにぶつけるように言葉は紡がれていく。きっと分かんないんじゃないのだろう。分かりたくないだけ。
「だっていなくなっちゃうんだよ!?ずっと一緒だったのに……離れ離れになっちゃうんだよ!?なのに……!!」
「何度も……言おうとしたよ?」
穂乃果の悲痛な叫びに誰も何も声をかけることができない中でことりが口を開く。その言葉に穂乃果が驚いたような表情を見せる。
「でも穂乃果ちゃん、ライブに夢中で、ラブライブのことしか考えてなくて……だから学園祭の後にちゃんと話そうと思ってた。相談に乗ってもらおうと思ってた。でもあんなことになっちゃって……」
ことりの言葉に穂乃果の表情が歪む。ライブのことを思い出したのだろう。そして鷹也は小さく唇をかみしめる。痛いほど感じてしまった。この状況が自分に責任があると痛感してしまった。
「聞いてほしかったよ!ずっと相談したかった!」
ことりの目から涙がこぼれる。そしてその言葉が鷹也の胸に痛みをもたらす。穂乃果に向けてことりは言っているのだろう。でも、きっとこの言葉は鷹也にとっても無関係なものではない。
「だって穂乃果ちゃんは初めてできた友達だよ?ずっとそばにいた友達だよ!?」
ことりの様子に穂乃果が涙で潤んでいる目を見開く。ことりの目からも涙がこぼれていた。
「そんなの……そんなの当たり前だよ!!」
「ことりちゃん!!」
「ことり!!」
ことりは穂乃果の手を振り払って立ち上がると、その場から駆け出していってしまう。穂乃果が慌てて声をかけるも追いかけることはできない。きっとそんな気力もないほどに今彼女は打ちのめされている。そして鷹也もことりを呼ぶが追いかけることができずにいて。
「ずっと行くかどうか悩んでいたみたいです。いえ……むしろ行きたがっていなさそうにも見えました。黙っているつもりはなかったんです。本当にライブが終わったら話すつもりだったんです。……わかってあげてください。」
鷹也は、そして穂乃果もただ黙って海未がことりのフォローをしているのを聞いていることしかできなかった。
いかがだったでしょうか。
鷹也としてももう自分がどうすればいいのかが分からなくなっているような段階です。
自分のあり方として考える理性的な判断と自覚しきれていない感情的な判断の矛盾からくる混乱とでもいうような状態です。
気が付けばお気に入りも300件を超えていて本当に感謝のきもちでいっぱいです。こんな文章力で、それでいて展開に悩んだりと更新が遅れがちになっていますがこれからも読んでいただければ幸いです。
前々から言っている総合評価400の記念と合わせてお気に入り300の記念ともなる番外編ですが次回か次々回に更新したいと思います。こちらも少しずつ書き進めていますのでもう少々お待ちください。(本編が書き進まな過ぎてこちらも上手く書けなくなり始めているなんて言えない)
それでは感想・評価もお待ちしています。
次回もよろしくお願いします。