小鳥が大きくなるまで、いつもそばに   作:雪詞

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更新遅くなってすみませんでした雪詞です。

今回は物語を大きく動かすはずが動かす前の段階。
次回の伏線のみで終わってしまいました。執筆時間さえあれば……!!

次回の方も今から書き始めますので早いうちには更新しつつ、この話ももしかしたら改稿するかもなのであしからず。

それでは正直これまでで一番ひどいかもくらいの出来ですが
生暖かい目でごらんください。


望まれぬ救い

「お兄ちゃん?」

「ええ、今いないかしら。」

 

目の前で真剣な表情をしている真姫とその後ろでこれまた真剣な表情の希に小さく疑問を持ちつつ、ことりは家の中を見る。今日は母は仕事で学校。兄は先ほどまで部屋にいたはずなのだが。部屋の様子と玄関にある靴の数を見て、今は兄もいないことを確認する。

 

「う~ん……どこかでかけちゃったみたい。ごめんね?」

「そう……どこに行ったかはわかる?」

「気が付いたら出かけちゃってたからそこまでは……」

 

もう一度ごめんねと謝ると、真姫は別にいいわよと言って少し考え込む。そして何か決心したのか。こちらに向かってただ一言。たった一言告げてことりに背を向けて走り出す。

 

「……絶対に連れ戻すから。」

「え……?あ、真姫ちゃん!!」

 

声をかけるも、真姫は一切振り向かずにかけて行ってしまう。その背中になんとなく胸がざわつくのを感じる。そのざわつきの正体はつかめない。そこで希が優しくこちらを見ているのに気が付く。

 

「真姫ちゃん、どうしたのかな?」

「う~ん……なんていうか、まだあきらめないことにしたみたいやね。」

「あきらめない?」

「うん。」

 

ことりが首をかしげる様子を見て、希は小さく笑ってうなずく。それから真姫のことを追いかけるためにことりに背を向けて、思い出したかのように振り向いて言う。

 

「ことりちゃんの望み。真姫ちゃんはきっとかなえてくれるよ。」

「え……?」

 

こちらに笑いかけてくれた希はそう言うと真姫を追いかけて走っていく。その表情は今の状況には全く合わないような生き生きとしたもので。決して真剣でないわけじゃない。笑顔なわけでもない。それでも、強い意志が見て取れるような、そんな表情。

 

「やっぱりみんなはすごいなぁ……」

 

小さくつぶやく。そのつぶやきは、その心からの想いは自分の胸にチクりとした痛みをもたらす。その痛みが、先ほどのざわつきが、自分の中の感情を浮かび上がらせてくる気がして。

 

「……私、弱いなぁ……」

 

小さく、小さくつぶやく言葉の意味を、自分でも深く考えたくなかった。

 

 

 

 

 

目の前の少女たちを恭介は冷めた目で見つめる。特になんら焦ることでもない。

 

「別に。関係ねえだろ。」

 

だからこそとりあえずそう答えておく。正直にいえば無視してもいい場面ではある。だが、そうはできない理由もあった。

目の前の少女たち、真姫と希はゆっくりと顔を見合わせてから真姫が口を開く。希が真姫にうなずいて見せ、斜め後ろで支えるように立っているのは理由があるのだろうか。

 

「言いたくないならいいわよ。そもそもあなたには興味ない。その路地の奥にいる人に用があるのよ。」

「誰がいるかもわかんねえのに?」

「南鷹也。いないとは言わせないわよ。」

 

小さく舌打ち。ここまでくると完全にこの少女たちは把握していると考えていい。気が付かれたのは思い出せる限り、唯一鷹也がおかしな様子を見せていたあの時だろう。路地の脇に隠れている少女が見えた気もしたことだし間違いない。

とは言っても特に何か問題があるわけでもない。ここでとぼけてもいいが、そんなことする気もない。

 

「あいつ、完全に把握されてんじゃねぇか……」

「……わかってるならそこをよけて。早くいなくなって。」

「いいのか?」

「……どういう意味よ?」

 

真姫が恭介の言葉に返す。その表情が少し歪んでいるのが見えて。やはりだ。この少女たちは気が付いている。気が付いていて、なぜ。

 

「……帰れ。お前らが首を突っ込む問題じゃねえよ。」

「帰るのはあなたでしょ。そもそも私たちにも関係が……」

「気が付いてんだろ。」

 

強気に言い返そうと、弱気に震える手を力いっぱい握りしめている真姫の言葉を遮る。恭介は真姫をまっすぐににらみつける。

 

「お前らが来ること、そんなことあいつは望んでねえよ。」

「そんなこと……!」

「ないって言いきれねぇだろ?そういうくそ野郎だもんな、あいつは。」

 

無言でにらみつけるその視線にたじろぐ真姫に向かって言葉をぶつける。この少女たちは優しい。優しすぎる。だからこそ。

 

「お前らはあいつには合わねえよ。」

「っつ……!!」

 

現実を突きつけるように告げると、真姫は唇をキュッとかみしめて黙り込む。

わかっているのだろう。鷹也が自分たちのことを考えるがゆえにこんなことになっていると。

知っているのだろう。鷹也がその状況を何のためらいもなく肯定していることに。むしろ喜んで受け入れていることに。

気が付いているのだろう。それを許せない自分たちが鷹也を助けようとすればするほど、鷹也はそれで起こるマイナスの要因をなくそうと無茶をし続けると。

感じているのだろう。鷹也の無茶を止めるのにどうすればいいのかを。自分たちがかかわらない。それが1番だと。

 

「……あいつのことわかろうとしても意味ねえよ。あんな人間を分かれるやつなんていねえ。」

「それでも……!!」

「あきらめて失せろ。」

 

恭介はそう言って2人に背を向ける。反論しようとした真姫の言葉は遮る。しかし、これまで黙っていた少女が口を開く。

 

「じゃあ、あなたは鷹也くんのことわかってるん?」

「あ?」

「……………………」

 

真剣な表情でこちらを見つめている希をまっすぐに見返す。目をそらさない希の目の奥に怯えるような色が見えないことに少し驚く。自分は自他ともに認めるくらいにはガラが悪い人相をしていると思うのだが。

小さく舌打ちをしつつ、口を開く。

 

「わかんねえよ。わかりたくもねえ。」

「それなら……」

「でもな」

 

こちらに何か言おうとする希の言葉を遮る。きっと言いたいのはそっちだってわからないなら口出ししないでとでもいうようなことだろう。

だが、そうではないのだ。

 

「俺はあいつのこと知ってんだよ。」

 

この少女たちと自分の決定的な違いだろう。そう、自分は知ってしまっている。不本意で、本当にむかつくことだが、自分はあの青年の過去に大幅にかかわってしまっている。だから今更、逃げ出すことはできない。

恭介は少女たちに背を向ける。思い出すのは昔のこと。

 

 

 

 

 

最初のあいつの印象はなんでもできるお人よしだった。なんでもできるというのは才能からみたいなものでもなんでもないのだというのは後から気が付いたことだが。

 

『ねえ、これってどうするの?』

『んっと……ここの問題はこうかな』

『おーい!こっちのチームの助っ人してくれね?』

『うん、今行く!』

 

誰かの宿題を手伝ってあげる。休み時間の遊びのサッカーや野球の助っ人。その他もろもろのお願いは基本的にみんなあいつに言っていた。

関係ないところから眺めている分には大変そうだなとしか思っていなかったのだが、あいつはそんな状況を笑顔で受け入れていた。しかし、ある時だった。

 

『は?昨日はいいって言ってたじゃん。』

『あー……ごめん。急に用事ができちゃって……』

 

その日のうちは文句を言いつつも手伝いを頼んでいたやつは引き下がっていた。しかし、その次の日からだった。

 

『おはよー』

『………………』

 

あいつの挨拶に声を返す人間は誰もいなくなった。

 

 

 

 

 

ふいに横を誰かが駆け抜けた気配でハッとして思い出していた記憶をストップする。

そして目の前で両手を広げて通さないようにとしている少女を見て小さく舌打ちをする。後ろを見れば、そちらでは希が先ほどと同じように立っている。

 

「いい加減にしろよ……」

「確かにわからないわよ。知らないわよ。」

 

少し苛立ちつつ、恭介が目の前の真姫をにらみつけてやれば伏し目がちの真姫はつぶやくように、絞り出すように言葉を紡ぐ。

 

「わかるわけないじゃない。何も言ってくれなくて、何も教えてくれなくて、何も見せてくれないのに。」

 

でも、と真姫は顔をあげる。恭介をにらむようなその眼には涙がたまっていて。そりゃあ怖いだろう。それでも真姫は話しつづける。その道を塞ぐように広げられている両手は震えているけど、足も震えているけど、それでも真姫は言葉を止めない。

 

「それでも知りたいって思ったのよ!分かってあげたいって!」

「……知ったこっちゃねえよ」

 

真姫の目の前に立ち、にらみつける。その視線を真姫はまっすぐに受け止める。

 

「絶対に行かせない。」

「……チッ」

 

その視線、言葉に舌打ちをする。恐らくこのままこの少女はここをどく気はないだろう。

 

「……そこまでしてどうなるってんだ。」

「え?」

 

恭介はそう言って、真姫に向かって一歩ずつ進む。

今更退くわけにはいかないのだ。一度離れて、でもまた再会してしまった。そして変わっていなかった。それならばこれは自分のケジメだ。

 

「退けよ。次はねえ。」

 

真姫の目と鼻の先に立ち、低い声で脅すように警告する。しかし、真姫は震えたまま、それでもそこを退かない。それどころか小さく引きつった笑みを見せて口を開く。

 

「あなたに退かされるほど弱くないわ。」

「……そうかよ。」

 

震える声で、涙目で告げられた言葉は自分に言い聞かせているようで。

恭介は手を振り上げる。後ろの希が止めようとも、何かを言おうともしないことには気が付いていた。

 

 

 

 

 

 

困惑。なによりもまず頭に浮かんだのはその感情だった。

目の前でいつもの軽い笑みを浮かべるシルバーフレームの眼鏡の青年。大学の友人である和樹の登場に鷹也は何とかことばを返す。

 

「お迎えって……何しに来たんだよ。」

「お迎えはお迎えだって。」

「誰も頼んでないけど。」

「別の人に頼まれてるんだよ。」

 

そう言うと和樹は少し考え込むように、あたりを見回すと小さくため息を吐く。その様子だけでわかる。この友人は大まかにでも状況を把握してここにきている。それは、鷹也にとって不都合極まりない。

 

「……和樹、帰りなよ。」

「そうはいかないんだよ。鷹也、ここで何やってる?」

「和樹には関係ない。」

「あっそ。でも、俺の大事にしてることに関係あるのは確かだろ。」

「根拠は?」

「……本気で心配してたぞ。」

 

驚きの表情で和樹を見る。今更誰が心配してたのかとか聞くまでもないだろう。だから驚いたのは、その関わりについて。

 

「……なんで知り合った?」

「さっきたまたま道で。鷹也、追いかけられてたよ?ずいぶんと慕われてるじゃん。」

「真姫か……今さらまた来るかよ……」

「希ちゃんもいたよ。」

 

小さく舌打ちをする。これで恭介が自分より遅い理由がわかってしまった。思考を巡らせる。こうなってしまった以上は恭介を止めに行かなくてはいけない。手は出さないだろう。恭介はあんな人間だが、それでも手を出さないだろうという確信はある。周りの取り巻きが手を出す可能性はあるが、取り巻きがいる可能性も低いだろう。

だから、心配は一つ。恭介が余計なことを話す可能性。

 

「和樹、なんで止めなかった?」

 

そこで問題になるのはここだ。和樹がこんな行動に出ている理由は大まかにわかった。でも、だからこそ真姫と希をとめなかったことが腑に落ちない。少しだけ和樹を睨みつけながら言うと、和樹は肩をすくめて言う。

 

「俺は人に踏み込むのがきらいだ。知ってるだろ?」

「……知ってるけど今は関係ない。現在進行形で俺にずかずか踏み込んできてるだろうが。」

「違いないな。」

 

和樹が笑うのに厳しい視線を鷹也は向け続ける。その視線に対し、怖いからやめろってと少しふざけながら和樹は言ってから続ける。

 

「嫌いだけど……それ以上に俺はスクールアイドルが好きだからな。そのスクールアイドルが困ってたら、多少無理してでも助けるだろ。」

「じゃあ真姫と希をあんなやつの前に放ってきたのはおかしいだろ。」

「なんだ、そこまで気が付いてんじゃんか。」

 

そう言うと和樹は小さく笑う。その笑みの奥の感情には気が付けず、鷹也はだからどうしたとでもいうような視線を和樹に向ける。和樹はその視線を受け止めつつ、口を開く。

 

「真姫ちゃんと希ちゃん。俺でもわかるくらいに真剣だった。お前のこと本気で心配して、本気で大切に思って覚悟決めてた。」

「…………………」

「なら、俺がするのはそれをとめることじゃなくて。こんな行動を起こさせてる張本人にその覚悟を見させてやること。そうだろ?」

「……だから止めないで呼びに来たってこと。」

「そーいうことだな。一応考えての行動だよ。」

 

和樹はニッと笑って答える。その言葉とは反対にあまり何も考えていなさそうな笑みに、鷹也は特に笑みを返すわけでもなく口を開く。

 

「……とりあえず何も言わないよ。和樹は本当ならかかわるはずもない人だし。真姫と希も多分無事だし。」

「まあそうだな。」

「……でも」

 

鷹也は和樹をにらむ。これだけは言っておかなくてはいけない。和樹としては考えての行動なのだろう。だが、リスクを考えたら鷹也が肯定していい行動ではないのだ。

 

「万が一あの子たちに何かあったら……和樹、本気で潰すよ。」

「ま、そりゃそうだ。そん時はなんでも甘んじて受け入れさせてもらうよ。」

「……………………」

「……っとに、なんでそうまでお互いに考えてるのにすれ違うかね。」

 

和樹が苦笑しながら言った言葉に何も返さずにその横を通って走り出す。そのときに聞こえた和樹の言葉には答えない。

 

「ほんと、ある意味うらやましいよ。」

 

 

 

 

 

目の前の青年が手を振り上げる。それに対して、真姫は一切目をそらさない。目をそらしてはいけない気がした。弱くない。言い聞かせるように放った言葉を事実にするためにも。

青年は面白くないとでもいうような視線をこちらに向けつつ、手をゆっくりと振り下ろそうとする。

 

「……………っつ!」

 

振り下ろされる手にこらえきれずに、来るであろう衝撃に備えて真姫はぎゅっと目を閉じる。それでも道を譲る気はなかった。譲るわけにはいかなかった。1秒、2秒、3秒。時間がたつのがやけにゆっくり感じられているからかと思った。しかし

 

「…………?」

 

いつまでたっても衝撃は来なくて。恐る恐る目を開けると、そこにはこちらに向かって振り下ろされるはずだった手が止まっているのが見えて。視線の奥で希がほっとしたように息をなでおろすのが見えた。その割に止める素振りを見せていなかった気もするのだが、こうなるのに気が付いていたのだろうか。

 

「……どうして逃げねえ。」

「え……」

「見て見ぬふりをしてればそれで済む話だろうが。それを文字通り望まれてもいないのに危険を冒してまで助けようとする。なんの意味がある?」

 

目の前の青年は感情の読めない表情でこちらに問いかける。一瞬その眼の奥に何かが見えた気がするが、それはこちらに向けられたものではない気がした。

真姫は少し呆けてから、ハッと我に返って口を開く。

 

「私たちが望んでるからよ。」

「……それはあいつの望みじゃねえ。」

「それでも、私たちの望みを伝える。あの人の、鷹也の望みだけ一方的にかなえさせるわけにはいかないのよ。」

「…………………」

 

目の前の青年は手を降ろし、少しこちらをまっすぐに見つめてから舌打ちをする。視線が自分の後ろに向いた気がした。

 

「……お前らの相性最悪じゃねえか。」

「言えてるね。俺も最近そう思い始めたんだよ。」

「あ……」

 

急いで振り返る。振り返った後、後ろから希の声が聞こえてくる。

 

「やっぱりここやったんやね。」

「……ほんっとうに人の考えを台無しにするっていうか……人のこと振り回してくれるね、希。今回は真姫まで首突っ込んできてさ。っていうか主犯は真姫みたいなところもあるか。」

「鷹也……」

 

なんでもないように、この状況がなんでもないとでもいうように自然な歩みで現れた鷹也は真姫の呼びかけに小さく微笑んで見せた。

 

 

 

 

 

「さてっと……」

 

あくまで平静を装う。あくまで自然に、あくまでいつも通りに。鷹也は小さく息を吐いてから目の前の3人に視線を向ける。少し前から会話は聞こえていた。

 

「まずは……希と真姫は帰んない?」

「帰るわけないでしょ。」

「だよね。」

 

真姫の即答にため息をつく。まあこれは予想の範囲内だ。それならばと恭介に視線を向ける。珍しくおとなしくなっている恭介の様子に少し疑問を抱きつつ、口を開く。

 

「じゃあ、恭介くんが帰るってのは?」

「……ふん、言われなくてもこの状況じゃ何もできねえだろうが。」

 

そう言って恭介が路地から出ようとする。これも予想の範囲内。恭介がここまで面倒な状況でここにいようとするわけがない。だが、

 

「……んだよ。」

「まだ話は終わっとらんよ?」

「希、いい加減にしとけって……」

 

その恭介の前に希が立ったのは予想外だった。めんどくさそうに視線を向ける恭介の前に立つ希は鷹也の呼びかけに答えることなく小さく笑って続ける。

 

「鷹也くんにこれ以上手を出さない。それを約束してもらわんと。それに……」

 

そこまで言って希はちらりと鷹也に視線を向ける。その探るような視線をまっすぐに鷹也は見返すが、希はそれに何も言わずに恭介に続ける。

 

「鷹也くんのことを知ってるって言ってたし、そのことも話してほしいんよ。」

「なんで俺が……」

「鷹也くんが話さないんやもん。知ってる人に聞くしかないやん?」

 

恭介の前で悪戯っぽく微笑んでみせる希の度胸にいっそ少し感心しつつ、鷹也は苛立つように舌打ちをする。状況は最悪。全部ばれた上に過去のことまでばれそうになっている。

何とかしようと考えている間に希の前に立つ恭介はこちらをちらりと見た後で希に向き直る。

 

「……チッ……どうせ話すまで退く気ねえんだろうが。何が知りたい。」

「っつ……!恭介くん、黙らないと……」

「知ってること全部。」

「真姫!!!」

 

口を挟む真姫に向かって叫ぶ。真姫はその声に臆することなく、こちらに真剣な視線をまっすぐに向ける。

 

「いい加減にあきらめなさいよ。」

「あきらめるのは真姫の方だろ。いつまでも俺に……」

「何も聞いてないみんながあなたのことあきらめるわけないでしょ。」

「それは……」

 

真姫の言葉に少し息が詰まる。ここまで自分が何か問題を抱えていることをばらしてしまった以上は真姫のいうことは正解だ。μ’sが、彼女たちが自分のことに一切かかわらなくなるのは想像できない。

真姫の目を見ていられずに恭介に視線を向ける。

 

「恭介くんまで何普通に話そうとしてるの?そんなにやさしかったっけ?」

「うるせえよ。話すか話さないかを決めるのは俺だ。」

「っていうか鷹也は少し黙ってた方がいいんじゃね?」

「和樹は黙ってて。」

 

ここまで恭介が素直に話そうとすることを意外に思いつつ、さすがに余裕がなくなってきて鷹也は後ろから出てくる和樹を一蹴する。和樹がへえと驚いたような顔をしているがそのことを考える余裕もなく、とりあえずこの場を乗り切るための方法を考え続ける。

しかし何も思いつかなくて。だから、降参の意も込めて両手を上げる。

 

「っつああもう……わかったよ。希、なにがねらい?」

 

止められないのならこちらから相手の望みに対して最大限注意して口を割った方が得だ。多少話したところで全部話さなければごまかしは聞く。そう思って言う鷹也だったが希の顔を見て大きくため息をつく。

 

「話し合いしよか?」

 

その言葉に恐らくこの状況が希のねらい通りだということを察する。希の顔には小さく、悪戯っぽい微笑みが浮かんでいた。

 





はい、いかがだったでしょうか。
あんなに弱ってた真姫ちゃんがちょっと頑張った回。

鷹也としても正直もう少し粘るかなと思ったのですが、あの状況で恭介くんが真姫と希についてしまったら対処しようがないのですぐに多少は話して、確信に触れずにごまかすという選択肢をとってしまいました。

更新の方が大幅に遅れてしまっていてすみませんでした。
今回の話が中途半端であるために次回はすぐに更新したいと思っています。

ぐだぐだの話でしたが感想・評価いただけると嬉しいです。
それでは次回もよろしくお願いします。
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