パート2!
もはや完全に南家の中の話。μ'sほぼ目立ってない気がする。最後の番外編だから早く終わらせて2期に行きたかったんじゃ……
話まとまってないのでつまらないですがそれでもよければ。どうぞ!
しん……とした部屋でことりは俯く。自分のせいだ。今回も自分のせい。自分のあの時の態度がこの話を起こしていて。
どうすればいい?
何をすることが出来る?
そもそも自分が口を出してもいいのか?
一瞬思考がフリーズしかけて
「とめなきゃ!」
「うんっ!!」
「あ……」
穂乃果の言葉と元気な凛の返事に我に返る。パッと顔を上げてみれば、そこには真剣な顔をした穂乃果と凛。それを周りのみんなは苦笑して見つつ、徐々に真面目な表情になる。
「でもどうするのよ?」
「えっと……それは……凛ちゃん、パス!」
「ええー!穂乃果ちゃん、何か考えてたんじゃないの!?」
「穂乃果も凛も考えてないんですね……」
「いっそのこと鷹也くんのこと連れて逃げればいいんやない?」
「そ、それはちょっと……」
「希、ふざけないの。でも説得するにしても代案もなしには難しいわよね……」
考え込んだり、自分のように思い悩むこともなく話し始めるみんなを見つめる。そこでにこがこちらを見もせずに声をかけてくる。
「まさか自分のせいだとか思ってないわよね?」
「それは……」
にこの言葉に言いよどむ。そんなことりの様子に対し、ふんと鼻を鳴らしながらも、にこは話し合うメンバーを見つめつつ口を開く。
「あんた、また同じ目にあいたいの?」
「あ……」
「ことりちゃーん!どうしようー!!」
「穂乃果はもう少し落ち着いて?ことり、お父さんの仕事のこともう少し詳しく……」
にこの言葉に一瞬呆けて、声をかけてくる穂乃果と絵里の方を向けば、みんながこちらを真っ直ぐに見つめていて。
「……そうだよね。ありがとう、にこちゃん」
「別に。にこは何も言ってないし」
「そんなことないよ」
「なになに?何話してたの?」
「ううん。あのね、みんな」
お礼を言えばにこは軽くそっぽを向く。その頬が少し赤くなっているのを微笑ましく思いつつ、ことりはみんなに向き直る。そうだった。自分のせいだとか自分が悪いとかは後で考える。後でいくらだって償おう。今一番考えなくてはいけないことは他にある。
大切なものを大切にするために。
「私はお兄ちゃんと一緒にいたい。みんなも……手伝ってくれる?」
「うんっ!」
「とーぜんにゃ!」
元気な穂乃果と凛の返事。ほかのメンバーも力強く頷いてくれて。ことりは自分でもわかるくらいの満面の笑みをこぼす。
1人なら罪悪感で、困惑で、悩みで立ち止まってしまうかもしれない。立ち止まってしまった経験もある。
でも、1人じゃないなら。誰かがいてくれるなら。それが大きな力になることを自分は知っている。そうだ。
私は1人じゃない。
そのころ、リビングで鷹也はコーヒー片手にソファに座ってぼーっとしていた。そんな鷹也の様子を見ていた鷲一が声をかけてくる。
「おーい息子ー」
「なに?」
「もう少し話し合おうという気はないのか?」
「話し合う必要ある?」
「ひな子!息子が反抗期なんだけど!!」
「あら大変ね」
「危機感なしっ!」
食事をする時のテーブルに突っ伏して1人で騒ぐ父を冷たい目で見つつ、鷹也は状況を整理する。そしてため息。
「なんだ、息子。幸せが逃げるぞ」
「俺の不幸の原因が何を言っているんだろう」
「父親を不幸の原因扱いはねえだろ!?」
「今の状況を不幸と言わずになんというのさ」
「自業自得だろう」
「……否定出来ないからつらいなぁ」
天井を仰ぎつつ、鷹也は鷲一によってもたらされた不幸を完全に把握するためにひな子に最後の確認をとる。
「……母さんが認めたって本当?」
「ええ。鷹也にもことりたちにも悪い考えではなかったから」
「ことりたちにも……ね」
キッチンで鷲一に出すためのお菓子を用意しているひな子。なんだかんだで帰ってきたのが嬉しいようで、その表情には笑みが浮かんでいる。
「当たり前でしょう。私はことりのことも、鷹也のことも全部考えてるわよ」
「あれ?ひな子、俺は?」
「……俺も母さんとことりを信用しなきゃね。まぁなるようになるか」
「鷹也?俺は?俺が主導なんだけど?」
「あ〜はいはい」
「適当!?」
そうやって鷲一を適当にあしらいつつ、コーヒーを一口。手元のスマホを見つめる。そろそろ来るかなと思っていた連絡がちょうど来る。
『お兄ちゃん、話し終わった?相談したいことがあるんだけど……』
「父さん、ことりに呼ばれたからもう戻る」
「おお、じゃあ行くか」
「いや、なんで……まぁいいか」
ことりからの連絡に今行くと返す。同じ家の中なのに連絡をスマホで取り合う違和感を少し感じつつ、着いてこようとする鷲一を止めようとして思いとどまる。チラリとひな子を見ればひな子も苦笑して頷く。
「連れていってあげてくれないかしら。こんなのでもあなた達のことが心配なのよ」
「こんなのって言い方しなくても良くねえかなぁ……」
「心配性だよね、ほんとに……」
「それが親だ。親バカ上等!!家族愛バンザイ!!」
「……母さん、行ってくるよ」
「無視!?あ、おい!鷹也!」
部屋に戻ると、そこでは9人が真剣な表情で鷹也を待っていた。その緊迫した様子に少し気圧される。しかし、その視線を一身に浴びているはずの鷲一は特に驚きもせずに部屋に入って座り込む。
「おーおーなんか緊張感すごいな」
「誰のせいだっての……で、だいたい分かるけど話って?」
「私たちの考えを伝えておきたいなって」
「考え?」
鷲一の様子に呆れつつ、鷹也が聞けばことりから真剣な言葉が返ってくる。その言葉に鷲一が少しピクリと反応したのを見つつ、鷹也が聞き返すと、ことりの代わりに隣にいたにこが口を開く。
「あんたは言ってたでしょ。絶対に行かないって。家族のピンチに対して、手伝いになんか絶対に行かないってね」
「その言い方はやめてほしいんだけど……」
「実際そうだろー薄情息子ー」
「薄情息子って……」
「だから、私たちも考えて決めたのよ。あなたにどうしてほしいか。私たちのサポート係なんだから私たちにも意見を言う権利はあるでしょ」
父親の野次に頬を引き攣らせつつ、鷹也は真姫の言葉に頷く。これは道理だ。鷹也も浅からず関わっている。最近離れがちではあったが引き戻してもらってもいる。そんな彼女たちからの意見は聞かないといけない。
「本当は鷹也さんに相談してから、親御さんに言うつもりだったのですが……」
「親御さんだなんて冷たいな。鷲一さんでいいよ?」
「親御さんが来てしまったのならしかたないです。この場ではっきりさせるべきですね」
「あれー?気を使わないからこそ家族は無視するけど、ある程度気を使ってくれるはずの海未ちゃんにまで無視された?」
「父さん、いいから」
「いいからってなんだよ!泣きそうな父親の心境察しろよ!」
「もう泣いてるけど……てか泣かないでよ……」
「ちくしょう!鷹也ばっかり良い目にあいやがって!」
現在進行形で悪い目にあっている気がしなくもないが。涙目で悔しがる父親にジト目を向けてから、メンバーに目を戻す。恐らく次話すのはと思い、穂乃果に視線を向ける。別に話す順番なんて決めていないが、グループとしての意見を強い意志を持って告げるのは自然といつも穂乃果だったから。無意識にでもそういう雰囲気を持つ、みんなの中心にいる穂乃果に鷲一も視線を向けていた。でも、声は意外な方から聞こえてきて。
「た、鷹也さんを……私たちは全力で引き止めます」
「花陽……」
「へぇ……また意外なとこから……」
「鷹也さんにはまだそばにいてほしいんです。まだたくさん助けてもらいたい。これが……私たちの考えです」
真っ直ぐにこちらを見る花陽を意外そうな表情で見つめれば、花陽は少しキョドりつつも、すぐに決意を固めたように見返してきて。鷲一が意外そうに呟く言葉にも力強く自分の、自分たちの意見を告げる。
それに対して鷲一は笑う。父の珍しい、本当に珍しい冷たい笑顔。
「あのね。遊びじゃないんだ。分かってる?」
その声は少しトーンが落ちていて。少し苛立っているような印象を受けた。鷹也は隣の鷲一を見て、止めるか迷う。しかし、その結論を出す前に今度こそ穂乃果が口を開く。
「分かってます。鷲一さんが大変で、それは私たちにも責任があって、それを鷹也くんが何とかできるならする義務があるだろうってことも」
「まぁ義務とまでは言わないけどね。それが道理だ。自分のやったことで家族の収入がピンチ。それだけじゃねえ。うちの会社の社員はどうする?あいつらにだって家族がある。大切な人がいる。それを危険に晒しながら、元凶の一つにして何とか出来る可能性がある鷹也が何もしない。そんなの筋が通らない」
「分かってます。それは分かってます。でも、それでも私達は鷹也くんと一緒にいたい」
真っ直ぐ、力強い視線を向けてくる穂乃果の言葉に少し気恥ずかしくなる。そこまでして一緒にいたいと思ってくれるのは純粋に嬉しくて。素直に受け止めている自分がどこか新鮮で。
「……全部わかった上で引き止めるんだね?」
「はい」
「それが全員の意思なんだね?」
鷲一の言葉に全員が頷く。その様子に小さくため息を鷲一はつきつつ、口を開く。
「なら代案は?」
「ないです」
「だよね。普通はある……え?ない?」
「ないです」
呆気に取られたような表情になる鷲一に対して、凛が繰り返すようにもう一度言う。
「代案はないです」
「……はぁ…あのね?」
「色々考えたんです。でも思いつかなくて」
苦笑してあははと乾いた笑いを浮かべる希や周りで気まずそうな表情だったり、開き直った笑顔だったりを浮かべる9人。そんな9人に鷲一が引き攣った表情を浮かべる。
「思ったよりめちゃくちゃだな、おい……」
「めちゃくちゃなのは分かってます。でも、私たちはもう後悔は嫌というほどしましたから」
「後悔?」
「はい……だからもう……伝えないで後悔はしたくないんです」
絵里の言葉に全員の表情が変わったのが少し分かった。ことりが留学するかどうかの時。その時にあそこまで複雑になった理由ははっきりしている。だからもう、間違えない。間違えられるわけがない。
「私たちはお兄ちゃんとまだ一緒にいたい。それだけは伝えなきゃいけないと思ったの。だから……」
ーーーーーーーーーお願いします!
鷲一と鷹也が何も言えずにいる中、彼女達が目の前で頭を下げる。真剣な表情で、本当に心の底からそう思っていることを全面に押し出して。鷹也は小さく笑う。
もう間違えない。それは自分も同じだろう。だから告げる。伝える。自分の望みは口にする。
「父さん、俺は行きたくない。俺も代案なんて思いついてないけど……それでも行きたくない」
まだ、この子たちのそばにいたいから。これから羽ばたいていく彼女たちをまだ見ていたいから。
「まだ……この子たちの力になりたいから」
そこまで口にして、鷲一が意外そうな顔を少しほっとしたようなものに変えたのを鷹也は見逃さない。だからこれでいいのだろうと判断する。
少し黙れば、案の定鷲一は頭をかきつつ口を開く。その口元は少し緩んでいて。
「……ったく……勝手にしろ」
「お父さん!それって……!!」
「あくまでことりたちのお願いに免じてだ。鷹也、お前にはいつか責任とってもらう。貸しだからな」
「……分かってる」
「あーあ!会社倒産しても知らねーぞ!家計苦しくなっても知らねーぞ!ばーか!」
「ばーかって」
父親が立ち上がりつつ言った捨て台詞に笑ってしまう。そして、ドアをあけて出ていこうとする父にお礼を言う。
「気にしてくれてありがと」
「気にすんな。親だからな」
鷲一が鷹也の部屋を出てからリビングに戻れば、そこではひな子がコーヒーとお菓子を用意してくれていた。テーブルの前の椅子に座り、何もかもを見透かしたかのような笑みを浮かべるひな子に降参だと手を挙げる。
「ここまで変わってるとは思わなかった」
「子どもの成長は早いものなのよ。特にあの子達はすごくいい経験をしたもの」
「近くにいる人の言葉は説得力あるなぁ……」
ひな子の向かいに座ってお菓子を口に放り込み、頬杖をつく。このお菓子を口にすると帰ってきた実感がわく。その分多少の罪悪感がよぎるのも確かだが。
「どうだったかしら?あなたから見たあの子たち」
「いい顔するようになった。さすが我が子供とその友人って感じだな」
そこまで言って、チラリとひな子を見れば優しく微笑んでこちらを見ていて。見透かされていたことを確信する。
「本当に連れていく気があったとしても、きっと取り消してただろうと思うくらいには成長が見えたさ」
「あら?あたかも本当は連れていく気がなかったみたいね?」
「気がついてただろ。たぶん鷹也も感づいてたけど」
どこで感づかれたのかなぁと呟けば、ひな子はコーヒーを味わうように飲みながら、ゆっくりと口を開く。
「家族が気づかないわけがないでしょう?あなたが私や鷹也やことりの嫌がることをするわけがないもの。ことりは状況が状況だから、余裕がなくて気づいてなかったかもしれないけどね」
「……そんな理由で確信してたのか?」
「十分な理由よ。あなたは鷹也のことも、ことりのことも、もちろん私のことも大好きですから」
そう穏やかな様子で言うひな子に脱力してしまう。そして笑ってしまう。自分は家族のそばにいることは本当に少ない。だからこそ、そばにいる時は全力で家族のためになろうと思っている。それでも、どこか不安を抱えていた。それをひな子の言葉は一蹴してしまって。
「……俺をきちんと家族として見てくれてるんだな」
「当たり前じゃない。あなたは私の夫で鷹也とことりの父親よ。それは一生変わらないわ」
「そうか」
気恥しさを誤魔化すようにコーヒーを口に含む。向かいで優しく微笑んでいる妻の顔は一生忘れることはないと、そう思えるほどに暖かかった。
その後、結局μ's全員が連れられて焼肉を食べに行き、遠慮気味だった絵里も含めて結局全員が楽しんだ。そんな時間も過ぎ、次の日の朝にはあっという間に鷲一が戻らなくてはいけない時になる。
学校が始まるよりも早い時間。見送るためにきた空港で、鷹也は鷲一に荷物を渡す。
「おお、ありがとな」
「別に気にしなくていいよ……これで貸し借りなしに……」
「ならねえよ」
「だよね」
軽くふざけて見せている間に、飲み物を買いに行くために少し離れていたひな子とことりも戻ってくる。
「もう少しゆっくりできないの?」
「仕事場をあんまり空けるわけにいかないしな」
「お父さん、あの……」
「別にことりが気にすることじゃない。親の仕事の心配すんなって」
ことりを慰める鷲一に対して、どの口が言うのかとジト目を鷹也とひな子が向けてやれば、鷲一は首をすくめつつ口を開く。
「実際に鷹也もことりも成長してたしな。周りの子たちも」
「成長……?」
「別に何もなきゃ俺だってあんな理由で鷹也連れていくのを断念しねえよ。お前らがμ'sのみんなと一緒にいるのがいいことだって判断したから断念したんだ」
そう言って鷲一はニカッと笑ってみせて、目の前にいたことりの頭をくしゃくしゃと撫でる。
「ことりは自分のせいだって潰れなかった。周りの仲間と立ち向かった。μ'sの子たちだってそうだ。花陽ちゃんは引っ込み思案なのに、俺に真っ向から自分たちの意思を告げてきた」
「お父さん……」
「前は穂乃果ちゃんとかに引っぱられるだけだって引け目感じてたっぽいのに……強くなったじゃんか、ことり」
鷹也も気がついていなかったことりの悩み。そこに気がついていたこと、そして褒められたことでことりが顔をぱっと明るくする。その様子に微笑みつつ、ことりの頭から手を放した鷲一は鷹也の目の前に。
「鷹也もだ。人のことばっかだったお前が、初めて自分本位の希望を口にしていた」
「……ただのワガママだけどね」
「ハッ…ワガママ上等だ。親とか仲間の前でまで自分を押し殺す必要ねえ。それに気がつけたのは成長でしかねえさ」
照れ隠しのように告げる鷹也の言葉を笑って否定する鷲一はそこまで言って、ことりと鷹也を抱きしめる。そして告げられた言葉は、体温は、心は、本当に暖かくて。
「ほんっとうに大きくなったな。俺の自慢のこどもだ」
その言葉に一瞬呆然としてるうちに、鷲一は鷹也たちを解放して伸びをする。そして一言告げて歩き出していく。
「じゃあまたな。次会うときはμ'sのみんなともっと話させろよ」
歩いていくその背中を鷹也は見つめる。悔しいけど、その背中はとてもかっこよく思えて、大きくみえて。いつでも自分たちを思ってくれるその存在が遠くにまた行ってしまうことが、やっぱり寂しくて。
「次は!」
気がつけば声をかけていた。振り向く父にいたずらっぽく笑ってやる。寂しいとは直接口にしたくない。口にしたくないのはあっちも一緒だろうから。
「次はμ'sのみんながいない時ね」
「……そうか」
「うん!たまには家族だけっていうのもいいと思うな!」
一瞬驚いた様子を見せた鷲一が笑えば、ことりが笑顔で続けてくれて。ひな子も微笑んで見守ってくれる。
「家族だもんな。たまには家族サービスしなきゃな」
「そうだよ。父さんは母さんの夫で、俺とことりの父親。それは一生変わらないんだから」
そう口にしてやれば鷲一はまたも一瞬驚き、諦めたように笑ってから頷いて、今度こそ歩いていく。その背を今度こそ見送り、学校に向かうためにも家に戻ろうとした時にひな子が口を開く。
「鷹也、聞いてたの?」
「たまたまね。あんなに怪しい様子なのに出ていったあとの様子を伺わないわけないよ。ちなみにことりも聞いてた」
「お、お兄ちゃん!言わないでよ〜」
慌てた様子のことりにごめんごめんと笑いつつ、許してくれるひな子にも謝っておく。そして母と父の言葉を思い出し、笑ってしまう。
「ほんとに親バカだね、母さんも父さんも」
「子どものことを思うのは当然よ。親バカでもなんでも構わないわ」
「うん。ありがとう、お母さん」
母の言葉にことりが笑顔で返す。その様子を、見つつ鷹也は暖かくなった心を感じていた。
不安だったのが第1の理由だ。自分はいつもそばにいることが出来なくて、話を聞くだけだったから。
鷲一は空港を飛び立った飛行機の中でわざわざ現像した写真を見つめる。焼肉を食べている時に撮った写真。どの写真も本当にいい表情で全員が写っていて。ほんの少し前にバラバラになっていたメンバーとは思えない様子だった。
(色々悩んでたみたいなのに乗り越えて。いつの間にかたくましくなってるよなぁ)
様子だけはひな子から聞いていた。でも、ことりの留学の準備やらドタキャンやら通常の仕事やらで何も出来なかった。何も出来ずにいたから、また集まったあのメンバーが一緒にいることが良いことなのかすら判断出来なかった。だから少しかき乱してやろうと思ったのだ。 結果は心配するまでもなかったようだが。
大切に思ってくれる人達、大切にしたい人達と一緒にお互いに言いたいことが言えるようになってきているあの場は鷹也たちにとてもいい場だ。それこそ何もできない自分がいらないほどに。でも
(次は家族だけで……か)
妻は、息子は、娘は、自分を家族として大切にしてくれていて。それは本当に嬉しくて。自分が大切にしている人達から大切に思われる。それが嬉しくないわけがなくて。だから鷲一は写真を一通り見てから気持ちを切り替える。家族のために、今は仕事を頑張らなくてはいけないのだ。次はもっと早く帰るために。愛しの家族と過ごすために。気持ちも新たに鷲一は写真を大事にしまいこんだ。
いかがでしたでしょうか?
これまでの話の中でトップスリーに入る話のまとまってなさだと思われます。
これで本当に『小鳥が大きくなるまで、いつもそばに』は完結です。次は2期編。別タイトルで書き始めますのでお楽しみに!
では、これまで本当にありがとうございました!
雪詞の次回作にご期待ください!