小鳥が大きくなるまで、いつもそばに   作:雪詞

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前回の番外編。あとで見返してみて気が付きました。
海未ちゃんだけ全然出番ないですね!
違うんです。わざとじゃないんです。ちょっと考えがそこまで及んでいなかったといいますか……
海未ちゃんファンの方すみません!次の番外編の機会があればもっと出番を持たせたいと思ってます!ちなみに今回の話も海未ちゃんの出番ありません!!

というわけで
今回のお話。いろいろ難しかったのですが頑張ったのでどうぞご覧下さい。


少女たちの本心は。

μ’sのファーストライブがネット上にアップされていると聞いたその後、鷹也は授業が少し延長してしまったために見れなかったその動画を、所属しているダンスサークルの活動でもう1度会った和樹に見せてもらっていた。

 

「ほらこれ。μ’sのページにアップされてるからてっきり知ってるもんだと思ってたんだけどな。」

「ほんとだ……」

 

和樹に見せられたサイト。そこは先日自分が公開設定をしたμ’sの公式ページ。学校に認可されていない以上公式と言っていていいのかは怪しいが。そこには画質は荒いが確かにμ’sファーストライブの様子が映っていた。

 

「それにしても結構いいよなー。鷹也、妹さん紹介してくれよ。」

「ダメだっての。それより誰が……」

 

調子のいいことを言う和樹の頭を軽く叩く。しかし和樹の評価は間違っていないようで、動画に対するコメント欄を少し見てみるが、肯定的な意見がほとんどだった。だからこそ考える。こんなことをしてくれたのは誰なのか。和樹なら何らかのヒントを持っているかと思って視線を向けるが和樹は首をすくめてさぁ?といった表情。

 

「誰かまでは特定は無理だな。誰だって投稿できるサイトだし。ていうか無断投稿なら削除もできるけど……」

「いや、削除はしなくてもいいかな。見たところこっちの有利な方向に進んでるようだし。」

「だよな。でも、なんで肯定的な評価されるような投稿して一切の許可なしなんだ?」

 

そこなのだ。名乗り出てくれればお礼を言うなりなんなりできるのになぜ名乗り出ないのか。否定的な投稿ならまだしも、肯定的な意見が多いこの動画の投稿を名乗り出ない理由が分からない。それにあの場に鷹也が見たところカメラを構えてる人間などいなかった。和樹と2人で頭を捻っていると、ダンスの練習を行っていた内の1人の女性が2人に近づいてきた。

 

「どーしたの?」

「あ、沙希先輩。もう大丈夫なんですか?」

 

大丈夫大丈夫。そう言ってタオルで汗を拭きながら、笑顔でピースサインしてみせるのは沙希。最近まで体調不良で入院していた3年生である。

 

「お見舞い行けなくてすみませんでした。ちょっと忙しくて……」

「いーよいーよ。あんな暇な病室なんかに来てもらっても申し訳ないし。で、なに見てんの?」

 

本当に退屈で仕方なかったのだろう。うんざりとした表情を見せる沙希に和樹がこれですよとパソコンの画面を見せる。

 

「おー……まだまだだけど練習がんばったんだろうなっていうのは伝わってくるね。」

「沙希先輩から見てもそうですか?」

 

鷹也は少し嬉しく思って聞く。彼女はこのサークルの中では珍しく、小さなころからダンスを習っていて、その腕前も相当なものであったはず。そんな人から肯定的な意見がもらえるのならば上出来だ。そんな鷹也に沙希は笑顔を見せる。

 

「なんで鷹也が嬉しそうなのさ。でも、うん。見たところ始めたばっかりのようで、上手いとは言い難いしむしろ下手とも言えるけど、十分な素質はあるんじゃない?」

「よかったな、鷹也。」

 

沙希にそう評され、嬉しそうな鷹也に和樹がそう声をかける。1人話についていけていない沙希はそんな2人を見て頬を膨らませる。

 

「だーかーらー!この動画がなんなの?」

「ああ、すみません。鷹也の妹がスクールアイドル始めたらしくて。そのグループのライブの動画なんです。」

 

ほんとに?と視線を向けてくる沙希に鷹也は頷くことで答える。もうネットにアップされているようなことを隠しても仕方ない。すると沙希は急に満面の笑みを見せる。

 

「そーなんだ!すごいね!」

「ちょ、沙希先輩?なんか急にテンション高くないですか?」

「いやー身近に同じような境遇の人がいるとは……」

「同じ境遇……?」

 

首を傾げる鷹也と和樹に向かって沙希は笑いかける。

 

「うん、あたしの妹もやってるんだ。スクールアイドル。」

「え……?」

「ちょっと待ってください。沙希先輩、確か先輩の苗字って……」

 

呆けている和樹に代わって鷹也が恐る恐る聞く。昔1度だけ聞いたことがあった気がするが特に気にも留めていなかったし、それから一緒にサークルにいるとしてもわざわざ苗字を聞くような機会はそうそうない。だけれども印象に残っている。偶然だろうと思っていたが、この人。あのアイドルと同じ苗字じゃなかっただろうか。

 

「綺羅だよ。綺羅沙希。スクールアイドルA-RISEの綺羅ツバサの姉です。」

「マジか……」

 

呆然としている鷹也と和樹に向かって沙希先輩こと綺羅沙希はいたずらっぽく、楽し気に笑って見せた。

 

 

 

 

 

「ただでさえA-RISEに勝てる気が今のところしないってのに……」

 

ダンスサークルが終わって帰路についた鷹也は帰りに穂乃果の家に寄るためにいつもとは違う道を歩いていた。ようやくμ’sのライブがネットにアップされていることに気が付いたらしいことりから放課後にそこで話し合いを提案されたのだ。時間に余裕はあるのでゆっくりと歩きながら、鷹也は先のサークルでの沙希の言葉を思い出す。

 

『綺羅ツバサの姉ってこともあって、ダンスに関しての指導というかサポートさせてもらってるんだよね。あの子たちだけじゃ心配だし、将来ダンスの講師とかも興味あるからこういうのに関わるのいいかと思って。』

 

和樹はすげえと言って大興奮していたが鷹也としてはそれどころではなかった。沙希のダンスの腕前は散々目にしてきている。なぜこの大学のこんな遊びのようなサークルにいるのかと疑問に思う程のレベル。中、高と全国区の大会でいいところまで行っていたと他の3年の先輩が言っていた。つまり彼女のダンスは全国区。その彼女がすでに全国区のA-RISEのサポートとしてついている。

 

『妹がってことは鷹也もサポートとしてなんかしてるの?』

 

沙希のその言葉に鷹也はなぜか苦笑いを返して誤魔化すことしかできなかった。理由はわからない。いや。分かろうとしていないだけか。その感情に目を背けながら鷹也はため息をつく。音ノ木坂学院の生徒減少。その原因の一端は近くにあるA-RISE擁するUTX学園の存在だ。つまり、A-RISEに勝つ、少なくともギリギリでもいいから張り合える状態にならなければ生徒を増やすのは難しい。音ノ木坂学院にはA-RISEに張り合えるだけのアイドルがいることを示さなければいけないのだ。

 

(くそ……思ってたより難しいことしようとしてるんだな……)

 

ただでさえ厳しい壁だとは分かっていたのにさらに沙希の存在が分かり、さらに壁が高く、険しくなった。まだあきらめるわけにはいかないし、諦める必要はないのだが少し心が折れそうになる。

 

「「どうしよう……」」

 

え?と鷹也は後ろ振り返る。完全に鷹也と同じことを呟き、同じような反応で振り向いてそこにいたのは、

 

「えーっと……花陽さん……だっけ?」

「は、はひ!!小泉花陽と言います……!」

 

こちらをどこか怯えたような、緊張したような様子で見る小泉花陽であった。

 

 

 

 

今日は本当についていなかった。登校時には凛のおかげで全力で朝から走る羽目になり(凛に悪気はなく、自分の性格が悪いのだが)、授業中はただでさえ大きな声を出すのは苦手なのに国語の朗読を指名され(先生は悪くなく、自分の性格と声の小ささが悪いのだが)、昼休みにはせっかく高坂先輩たちと話す機会があってアイドルに誘われたのに逃げるように真姫の名前を出して逃げるように去ってしまった(これはもう間違いなく自分が悪い)。極めつけは放課後。生徒手帳を落とした真姫に気づいたのだが、その場で渡せず、ならば家まで行って渡そうと思って、陸上部の見学に行ってしまった凛に断り、1人で生徒手帳に書かれた住所に向かった。しかし、現在絶賛迷子中。本当に自分は何かしたのだろうかと泣きたくなる。確かに、人に誇れるようなものは何もないけどその分、誰にも迷惑はかけないようにしてきたつもりだったのだが。

 

「あ、あの……本当にいいんですか……?」

「ん?なに?」

「い、いえ!なんでも……ないです……。」

 

またも自分の声の小ささが嫌になる。花陽はうつむいた視線の先にある男の人の靴を見ながら小さくため息をつく。道に迷った自分に気づいたこの男性。一目見て分かったが、この人はどうやら自分の通う音ノ木坂に誕生したスクールアイドルμ’sのファーストライブにいた人物と同一人物らしい。先ほどお互いに自己紹介した際、名前は南鷹也と名乗っていた。今、彼は自分が向かおうとしていた場所に自分を案内してくれている。

 

「あのさ……」

「は、はい……!」

 

あのμ’sのメンバーの1人である南ことり先輩のお兄さんだろうか。それにしてもなぜ見ず知らずとは言わずとも親交など全くない自分のことを助けてくれているのだろう。などど考えていたところに急に声をかけられ、花陽は少し驚きながら緊張して返事をする。その緊張が伝わったのか。いつの間にか前から隣にきて歩いている鷹也は、そんなにかしこまんなくていいよ。と苦笑しながら言って続けて話しかけてくる。

 

「小泉さん。あいつらのライブ見に来てくれてたよね?」

「あいつら……?」

「音ノ木坂学院スクールアイドルのμ’sのファーストライブ。」

 

言われてもう1度思い出す。キラキラのステージ。キラキラの可愛い衣装。可愛く、カッコイイダンス。そしてなにより笑顔。アイドルが大大大好きである花陽の目から見ても、最後までこちらも楽しくなるような笑顔でやりきっていたあの3人の姿はアイドルそのものだった。

 

「ありがとね。小泉さんが来てくれたからこそ、あの3人も頑張れたと思うから。」

「いえ、そんな……私なんかがいなくても……」

 

笑顔でお礼を言ってくる鷹也に花陽はそう返す。私なんかが。その言葉は自分で言ったにも関わらず、太い鎖のように自分の心を締め付ける。そんな花陽を見て、鷹也は一瞬不思議そうな顔をするも、話を続ける。

 

「そんなことないよ。ほんとに助かった。それでなんだけど、小泉さんはあのライブどう思った?」

「すごくよかったと思います!!……あ……」

 

やってしまった。そう思うがもう遅い。自分の悪い癖。自分みたいにだれもがアイドルにここまでの興味を持っているわけではないのに、つい熱が入ってしまう。

 

(変な人に思われちゃったかな……)

 

恐る恐る花陽は隣の鷹也のことを見上げるが、鷹也は驚いた表情をしていたのも一瞬。いきなりふきだした。

 

「そう言ってもらえると嬉しいよ。小泉さんはアイドルが好きなの?」

 

心底面白そうに言う鷹也に花陽は顔が熱くなるのを感じる。バカにされているわけではないのは言葉の調子から分かった。だが、そんなに笑わなくてもいいではないか。自分だって急に熱が入ってしまったのは変だと思っているのだから。だが、性格上そんな文句を花陽が言えるわけもなく、ただ鷹也の言葉にうなづく。

 

「は、はい……。昔からアイドルは大好きであこがれてて……」

「そうなんだ。じゃあ、やってみようとか思わないの?」

「そんな……!無理ですよ……!!」

 

鷹也の言葉に花陽は全力で首を横に振る。やってみたい。それは事実だ。ずっとあこがれていたのだから。でも、凛に、高坂先輩に、誘われたときにも思ったのだ。『私なんかが』スクールアイドルをやっても仕方ない。向いてないのだ。こんな小さな声で上がり症の『私なんかには』。無理ですよ。そう言って小さくなる花陽に鷹也は続けて言う。

 

「でもさ、向いてるかなんて関係ないよ?」

「え……?」

 

一瞬自分は声に出してしまっていたのかと花陽は思うが、そんなことはないらしい。鷹也はただの勘だよ。といたずらっぽく笑う。

 

「やりたいならやってみればいいんだよ。アイドルが好き、ああなりたい。その気持ちが強いことはこの少しの時間で伝わってきた。その気持ちさえあれば充分。」

 

まあ、μ’sのメンバー足りないから関係者の俺が勧誘するために言ってる可能性も考えられるだろうから話半分で聞いて、少し考えてみて。そう言う鷹也は絶対にそんなこと考えてなくて、花陽に向かって本心でアイドルを勧めていることが花陽にはなんとなく分かった。

 

「さ、ついたよ。住所はここ……ってでっか、この家……」

 

住所の場所、つまり真姫の家に着き、その大きさに驚いている鷹也を見ながら花陽は鷹也の言葉を小さな声で繰り返す。

 

「やりたいならやってみる。アイドルが好きって気持ちがあれば充分。かぁ……」

 

 

 

 

 

迷っていた花陽を案内して住所の場所にたどり着いた鷹也は目の前の光景に唖然としていた。なにより家がでかい。そこも驚きだ。しかし、それだけでない。豪華な門の横に付いた表札。そこに彫られていた名前は『西木野』。

 

「あ、ありがとうございました。助かりました。」

「いや、それはいいんだけど……」

 

お礼を言う花陽に鷹也はそう返す。西木野。そういる苗字ではないだろう。とするとここは西木野真姫の家。病院を経営している一家の家とすればこの大きさも納得がいく。と、すれば少し鷹也には考えがある。

 

(西木野真姫。あの少女をμ’sに入れることができれば……)

 

そう。西木野真姫をμ’sに入れる。それは朝練の時に3人とも話し合ったこと。まず生徒会に部活として認可してもらわなくてはこれから活動を本格化していくにあたって、確実に障害となるのだ。そこで重要なのはメンバー集め。これは絶対条件である。とすれば、あの音楽の才能、美貌を持つ少女を逃す手はない。できれば入ってもらってこれからも曲を書いてもらう。そしてμ’sの一員として歌って踊ってもらう。3人も学校で勧誘してみると言っていたがそれには鷹也も賛成だ。あれほど完璧な少女が他にいるとも思えない。それに……

 

「あ、あのぉ……」

「あ、ごめんごめん。」

 

少しの間考え込んでいた鷹也に花陽が遠慮がちに話しかけてくる。確かに道案内も終わったのにいつまでもここにいるのは不自然だろう。どうするか。鷹也は考え込む。花陽は真姫に用事があるようだし、今自分が真姫に用があるから自分も一緒に。と言い出すのはさすがにダメだろう。鷹也は諦めてその場を離れることにする。

 

「じゃ、もういくな。小泉さん、アイドルのこと考えてみてね。」

 

あ、ありがとうございました!そう言って頭を下げる花陽にいいよいいよ。と言ってからその場を離れる。結局最後まで緊張は解けなかったなぁなどと思いながら、今度こそ穂乃果の家に向かおう。そう思った時、

 

「なんであんたがこんなとこにいるのよ。」

「え?西木野さん……?」

 

今日の自分はなんでこんなにも重要なことに関わり合いになるような人と遭遇するのだろうか。他に誰に見えるっていうのよ。そう言って不機嫌そうな顔をしているのは、先ほどまで呆然と見上げていた家に住む少女。西木野真姫だった。

 

 

 

 

 

このチャンスを逃してはいけない。そう鷹也が思うのと真姫が話しかけるべきじゃなかった。そう思うのはほとんど同時だった。

 

「西木野さ……」

「ま、まあ、あなたがどこにいようと私には関係ないけど。」

 

話しかけようとする鷹也を遮り、真姫はそう言って歩き出す。今日は散々高坂穂乃果を筆頭とするμ’sの先輩3人組に言い寄られたのだ。その関係者である鷹也にまで同じ話をされてはたまらない。しかし、

 

「ちょっとくらい話聞いてくれてもいいんじゃないか……な……!!」

「ちょ……!離しなさいよ……!!」

 

逃げようとする真姫を鞄をつかんで鷹也は阻止する。だんだんこの少女の性格なども把握できてきている鷹也。話した回数も増えてきて、仲がいいとは言えないがだいぶ対応に遠慮がなくなってきている。真姫も大声を上げるわけでもなく、鞄を引っ張って取り返そうとしているところから鷹也をある程度信用しているのだろうか。

 

「ちょっと話を聞いてほしいだけだからさ……!」

「なにそれ、私には関係ないし……!!」

「そう言わずに……!!」

「お断りします……!!」

 

会話をしながらも鞄を引っ張り合う。鷹也としてもゆずれないのだ。こんな無理に話を聞いてもらうのは性格上心は痛むが致し方ない。と、そこであることに気が付く。

 

「なんだ?これ?」

「ちょっと急にはなさ……うわぁあ!」

 

鷹也が鞄から手を離し、側面のポケットからなにか紙を取り出した時、反対で引っ張っていた真姫は急なことに対応できずしりもちをつく。

 

「いったぁ……なにすんのよ!!」

「あ、ごめんごめん。で、西木野さん。これなんだけど……?」

「なによ、もう……ってあ……!!」

 

真姫の顔が怒りによる赤から羞恥の赤に染まったのがなんとなく鷹也にも分かった。鷹也が真姫の鞄のポケットから引き抜き、広げたその紙。それは、穂乃果がライブのポスターを無理やり書き直して作った、極めて雑なμ’sのメンバー勧誘ポスター。

 

「な、なにそれ……?別に私はそんな物……」

「今更そんな言い訳されても……」

 

この後に及んで素直じゃない真姫に鷹也は苦笑する。そっぽをむいている真姫の前でポスターを見る。このポスターを持っているということは少なくとも全く興味がない。そういうことではないということだろう。鷹也はそう判断して、真姫に話しかける。

 

「西木野さん。興味あるなら……」

「無理よ。」

「え……?」

 

最後まで言い切る前に告げられたその言葉に驚いて真姫を見る。そっぽを向いていた真姫はいつの間にか鷹也を真剣に見返していて。いつもの真姫の雰囲気とは違う。なにか諦めたような。そんな表情。

 

「無理なのよ……。」

「それは……1人で音楽室でピアノを弾いていたのと関係ある?」

 

聞くべきか迷った。鷹也の嫌な想像どおりならこれは繊細な問題であるから。でも聞かずにはいられなかったのだ。真姫の表情。それはなぜか、とても放っておけるものではなかった。しかし、真姫は首を横に振る。

 

「関係ないわよ。」

「でも、なんで1人で……寂しいんじゃないの?だから、無理って言ってもμ’sのポスターを……」

「違うわよ。ただ1人が好きなだけ。ポスターもたまたま手に取っただけよ。」

 

そう言う真姫の表情は影が差していてよく見えない。だけど、何かを我慢しているような、つらいのを隠しているようなそんな気がして。鷹也が声をかける前に真姫は彼に背を向ける。

 

「でも……」

「無理なものは無理よ。そう決まってるんだから。」

 

そう言って真姫は歩きだす。鷹也はその背を追おうとするも足が動かない。無理だ。そう言う真姫はもう話しかけてこないで。そんな雰囲気を醸し出していて。でも、声を、言葉をかけてやらなくてはいけない。鷹也はそう感じていた。だから言葉を投げかける。

 

「西木野……!」

 

西木野さん。そう声をかけようとして踏みとどまる。そう呼んでも、いつも通りに呼んでもあの少女はこちらの話を聞いてもくれないだろう。ならば

 

「真姫!!」

「っっ……!」

 

一瞬確かに反応するが歩みは止まらない。それでもいい。聞いてくれているのならば。

 

「無理なんかじゃない!やりたいってそう思うならやってみてもいいんだよ!穂乃果なら、ことりなら、海未なら!あいつらなら真姫のこと受け入れてくれるから。ありのままの真姫のことを受け入れてくれるから!!」

 

真姫の歩みは止まらないが関係ない。鷹也は目いっぱいの気持ちをこめて叫ぶ。自分の想像は見当違いかもしれない。真姫が悩んでいるのはそんなことではないかもしれないし、もはや悩んでないかもしれない。でも、あんな表情をしている人間が、真姫が悩んでいないわけない。ならばこの言葉は無駄にはならないはず。そう鷹也は思うのだ。

 

「あいつらなら真姫が別世界の人間のように思うことなんかないから!!だから……1人を我慢するな!!」

 

大声を出して肩で息をする鷹也を振り向きもせずに真姫は歩いていってしまう。小さく、本当に小さくつぶやきながら。

 

「無理だって言ってるじゃない……別に寂しくなんか……寂しくなんか……ない……」

 

鷹也には見えない真姫のその表情はとても苦し気に、つらそうに歪んでいた。

 

 

 

 

 





前回の本編の後書きでまきりんぱなの加入と言ったじゃないかと思う人もいるでしょう。ちゃんとみてください。番外編でしっかり加入してるじゃないですか!

……はい、すみません。
そこまで書くと長くなりそうだったのであきらめました。ごめんなさい!
本編でも凛ちゃん早くでてきてほしいという人、もう少しお待ちを。私も凛ちゃんの出番を心待ちにしてます。

真姫ちゃんの性格上、こんなに簡単に自分の弱さというか本心を垣間見せることはないのではと思う人もいるかもしれませんが、一応理由はあるのでそこは目をつぶっていただければと思います。

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