ラブライブ! ~南ことりの白と黒 笑顔と嫉妬のOthello~   作:山梨まりか

4 / 6
第3話

XX日 

某国立劇場

演目 モーツァルト『コジ・ファン・トゥッテ(女はみなこうしたもの)』

 

俺「オペラ、最高だったな。モーツァルトは神だ」

 

真姫「ほんと、最高だったわ(俺くんとのデートが)」

 

俺「感激冷めやらぬうちに、新曲ミーティングをしよう。じつは六本木の高層ビルにあるレストランに、予約をいれてあるんだ。そこでディナーをとりながら……どうかな?」

 

真姫「もう、最高。最高ね。行きましょう」ギュッ

 

俺「おっと。真姫、俺は穂乃果と付き合ってる身だから、腕を組んだりといったことはいちおう……ご遠慮願いたい。いや、女性にこんなことを言うのは大変失礼だと思うけど」

 

真姫「あっ。ごめん、オペラが素晴らしすぎてつい身体が勝手に動いたわ」テヘペロ

 

俺「ははは。たしかにそういう気分になる不道徳なオペラだったよな」

 

某国立劇場前

 

穂乃果「ことりちゃん、チーズケーキ最高だったよ!」

 

海未「さすが、ことりオススメの店にハズレはありませんね」

 

ことり「でしょぉ? えへへっ」

 

ことり「あっ。ねえねえ、あっちに見覚えのある人影があったような気がするよ」

 

穂乃果「えっ。どこどこ」

 

海未「見覚え? 知り合いでもいたのですか? それとも芸能人でも?」

 

ことり「ほら、あそこ」

 

穂乃果海未「――俺くん! 俺くんがいる!」

 

ことり「俺くんの隣に誰かいるね。誰だろう?」

 

ことり「女の子みたい。あっ、腕を組んでるよっ!」

 

海未「あれは……真姫? 真姫ですね……?」

 

穂乃果「……! えっ。なんで……? なんで腕なんか……」

 

ことり「でもすぐに離れたね」

 

穂乃果「俺くん、俺くん……。ちょっと穂乃果、俺くんと真姫ちゃんのところに行ってくるよ!」

 

ことり「待って、穂乃果ちゃん!」

 

穂乃果「なあに、ことりちゃん。急がないと2人ともどこか行っちゃうよ」

 

ことり「2人はきっと新曲の相談をしてるんだよ。だから邪魔しちゃ悪いよぉ」

 

穂乃果「で、でも。腕を組んでる……ように見えたよ? ふつう、そんなことするかなあ? 俺くんのことを疑うなんて穂乃果にはできないけど、どうしてだろう、心がぞわぞわして、こめかみがジンジン痛んでくる。いてもたってもいられない感じ」

 

ことり「(人はそれを嫉妬と呼ぶんだよ、穂乃果ちゃん)」

 

ことり「ええっ。大変っ。俺くんを追いかけるどころじゃないよ、穂乃果ちゃん。その症状、もしかしたら重病かもしれない! 海未ちゃん、穂乃果ちゃんを引きずってでも家に帰らせようっ!」

 

海未「……は、はいっ。分かりました……」

 

海未「(なぜ俺くんが真姫と……? あれはたしかに、腕を組んでるように見えました。穂乃果と付き合っているはずなのに、俺くんはほかの女の子とも腕を組んだりするんでしょうか? ……それなら私にもチャンスが……? いやいや。私は穂乃果を応援すると決めたのです)」

 

穂乃果、実家強制収容後

帰り道

 

ことり「海未ちゃん、うかない顔してどうしたの?」

 

海未「いえ……なんでもありません」

 

ことり「なんでもないはずはないよぉ。ぜったいおかしいもん、海未ちゃん」

 

海未「はあ。ことりに隠し事はできませんね」

 

ことり「なにか悩み事?」

 

海未「はい。今日目撃した俺くんと真姫……あれはいったいなんだったのでしょうか? 本当にただ新曲のミーティングをしていただけだったのでしょうか? 私にはそうは見えませんでしたが」

 

ことり「どうしてそんなことを、海未ちゃんが気にしてるの?」

 

海未「だって親友穂乃果の彼氏のことですよ? ありえないことではありますが、ぜったいにありえないはずですが、もし俺くんが浮気などをしていたら、穂乃果は想像を絶するほどに傷つくでしょう。そうならないようにしなくてはいけません」

 

ことり「ふうん。海未ちゃんは嘘をついてるね」

 

海未「う、嘘? なんのことですか」

 

ことり「穂乃果ちゃんのことが心配で、そんなに落ち込んでるわけじゃないんでしょ、海未ちゃん?」

 

海未「な、なにを……」

 

ことり「本当は海未ちゃん、俺くんが真姫ちゃんといちゃいちゃしてるのを見て、嫉妬すると同時に、自分にもチャンスがあるんじゃないかって、心を躍らせてるんだよ。苦しさと嬉しさの矛盾を、心の中で持て余してるんだね」

 

海未「!? そんなはずは!」

 

ことり「ほら、図星だねっ」

 

海未「……ことり、いい加減にしてください!」

 

ことり「勇気を持って思い切りグイって、弓を引き絞りさえすれば、海未ちゃん、俺くんの心を射当てることだって難しくないんだよ? 海未ちゃんは可愛いし、綺麗だし、俺くんはすぐに海未ちゃんのとりこになる。やり方さえ間違わなければね」

 

海未「俺くんが私のとりこに……い、いいえ。いいえ。ことり、なにを言っているのですかあなたは」

 

ことり「勇気のない意気地なしの海未ちゃんに、いいこと教えてあげるね」

 

海未「…………」

 

ことり「真姫ちゃんは今日、俺くんと新曲の打ち合わせをするっていう理由をこじつけて、デートしてたの。たぶん2人は、これから夜……」

 

海未「夜、夜、に、なんですか。なにをするというのですか」

 

ことり「さあ? ことりには分からないけど、六本木の高層ビルに用事があるみたい」

 

海未「六本木! 高層ビル! 夜! ああ、いかがわしいワードが3つも揃っています! これから2人の間でなにが行われるのか……考えるだに恐ろしいことです!」

 

ことり「(エレベーターに)乗っかったり、(高速エレベーターで上層階まで上昇して)天にものぼる心地になったり、(ノンアルコール・シャンパンを開封して)液体をびゅびゅっと放出したり、(デザートのケーキの生クリームを)舐めたり、(音楽への)愛を語り合ったりするんだろうね」

 

海未「(身体に)乗っかるですって! (快楽で)天にものぼる心地になるですって! (エクスタシーを迎えて)液体をびゅびゅっと放出するですって! (身体を)舐めるですって! (事後)愛を語るですって! いけません! いけません! ああ、ああ!」

 

ことり「素直になろう? 海未ちゃん。諦めたふりしててもだめ。急がないとほら、真姫ちゃんにとられちゃう。でもまだ海未ちゃんにもチャンスはあるんだよ。俺くんって意外とそういう遊び人だから、ね」

 

海未「で、でも。私は………………遊びじゃ嫌です。本命の恋人になりたい」

 

ことり「あのね、海未ちゃん、海未ちゃんだけが俺くんを立ち直らすことができるんだよ! μ'sのなかで一番しっかりものの海未ちゃんだからこそ、悪い遊びを覚えた俺くんを改心させて、海未ちゃん無しでは生きていけない人間に仕立て上げちゃうことだってできるの!

 

海未「私無しでは生きていけない俺くん……」ゴクリ

 

ことり「恋に友情は禁物。もともと友情なんて、恋の前では無力なもの。穂乃果ちゃんと同じ人を好きになっちゃった時点で、海未ちゃん、もう穂乃果ちゃんとは敵同士になっちゃう運命だったんだよ?」

 

海未「残酷な。なんて残酷なんでしょう、人の恋心というものは!」

 

ことり「でも安心して。ことりがいるから、ね? この恋の決着がついたとき、ことりだけは中立の立場から、2人の友情を修復させられる。だから今は、今だけは、正々堂々恋の戦争を戦い抜こう? ひどい喧嘩をしたって、きっと大人になってから、良い思い出に変わるはずだよ。それよりも恐ろしいのは、勇気がくじけてなにもせず、結局後悔してしまうこと。でしょう?」

 

海未「…………ことりの言うとおりです。私も真姫と同じ手口で、俺くんを作詞ミーティングに誘うことにします」

 

ことり「うんっ☆」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。