ラブライブ! ~南ことりの白と黒 笑顔と嫉妬のOthello~ 作:山梨まりか
2年生の教室
穂乃果「ことりちゃん、ちょっと相談があるんだけど」
ことり「どうしたの、穂乃果ちゃん?」
穂乃果「この間、俺くんと真姫ちゃんが一緒にいたでしょう? 俺くんに聞いたら、ただ新曲のプランを2人で考えてただけで、後ろめたいことなんて1つもないって言ってたんだ」
ことり「うん、それで?」
穂乃果「でもね、モヤモヤがどうしてもなくならないの。俺くんのことを信じなきゃいけないのに、心のどこかで疑っちゃう。きっと穂乃果が悪い子だからなんだよ。穂乃果がいけないんだ。俺くんは穂乃果の恋人。だから大丈夫。真姫ちゃんのことはただの友達としか思ってない。そうだよね、ことりちゃん? いけないのは穂乃果だけだよね」
ことり「うん。信じてあげよう、俺くんを」
穂乃果「信じる。穂乃果、信じるよ」
ことり「辛いだろうけど、頑張ってね穂乃果ちゃん。くじけないで、俺くんを信じてあげてね。ところでことりは、俺くんについていくつか不思議な噂を聞いたんだけど、言わないでおくね。穂乃果ちゃんは根拠のない噂にまどわされず、ただひたすらに俺くんを信じてあげてね」
穂乃果「……! 待って、ことりちゃん、その噂ってなに!」
ことり「だめだよ穂乃果ちゃん。気にしちゃだめ。信じてあげよう? 俺くんを」
穂乃果「で、でも……」
ことり「噂なんてあてにならないよ。『じつは俺くんは真姫ちゃんと付き合ってるし、お泊まりも済ませた』とか『海未ちゃんとも付き合いはじめて、両親同士の挨拶もできたから結婚は確実』とか、笑っちゃうようなことばかり」
穂乃果「俺くんが真姫ちゃんと付き合ってる! ありえないよ。……でも思い当たる節がないわけじゃない! あの日、俺くんは真姫ちゃんと腕を組んでた!」
穂乃果「俺くんが海未ちゃんと付き合ってる! もっとありえない! ……でも、でもたしかに2人のご両親は、知り合い同士だって俺くんも言ってた……!」
ことり「そんなに不安な顔しないで。ほら、穂乃果ちゃん、見てこのスマホアプリ」
穂乃果「……スマホGPS追跡アプリ?」
ことり「うん。μ'sのみんなが、今どこにいるかこれで確認できるの。これを使えば、俺くんが潔白だってことが証明できるでしょ? 使ってみて、穂乃果ちゃん」
穂乃果「ありがとうことりちゃん。さっそく起動してみるね…………」タップ
穂乃果「……!!!!!!!!!!!!!!!!」
穂乃果「俺くんと海未ちゃんが、同じ座標にいる! なんで! どうして!」
ことり「穂乃果ちゃん落ち着いて! 俺くんを信じてあげようよぉ!」
穂乃果「もう無理だよ! ことりちゃん! 穂乃果の俺くんを、穂乃果だけの俺くんを誘惑して、横取りしようとしてるのは誰なの! 何人いるの! 俺くんがかっこいいからって! もう誰が敵で味方なのか、分からないよ! でもただ一人、穂乃果には確実な味方がいるね……!」
ことり「うんっ。ことりだけは、いつも穂乃果ちゃんと俺くんのことを応援してるよっ」
穂乃果「ありがとうっ。ありがとうことりちゃんっ。うえええん。うわああん」
ことり「よしよし。それじゃあことりも、何一つ隠し立てせずに、俺くんと現在付き合ってる女の子を教えてあげるっ」
喫茶店
俺「よし、作詞はこの方針で行こう! 有意義なミーティングだった!」
海未「ありがとうございます、俺くん。おかげではかどります」
俺「いつもありがとな。じゃ、俺は行くから。穂乃果に早く会いたいんだ」
海未「あ、ちょっと、俺くん――」
海未「行っちゃいました」
海未「今後の攻め方については、ことりに相談しましょう。ことりだけが唯一の味方です。さっそくメールメール、と……」
真姫の部屋
真姫「ポチポチ……送信っと」
真姫「ことりは本当にいい子ね。相談するといつも的確な返事をくれるし、なにより俺くんについて詳しすぎるほど知ってるんだもの。ストーカーかってくらい俺くん情報を仕入れてるのね。それも全部私のために。本当にけなげないい子だわ」
真姫「にしても本当に、俺くんってガード固いのよね。悔しいけど穂乃果にぞっこん惚れ込んでる。オペラのあとのディナーも、2人きりかと思ったらちゃっかり矢澤家も来てたし。ステーキめちゃくちゃおいしろうに食べてたわね、みんな。見てるこっちも笑顔になったわ」
真姫「あ、ことりから返信がきた」
真姫「なになに……? 『今から2年生の教室に来てね』ですって? OK、分かった。ことりのお願いですもの。行かない理由がないわ」
2年生の教室
穂乃果「で」
海未「これは」
真姫「どういうことなの?」
穂乃果「どうして……海未ちゃんと真姫ちゃんがいるの?」
海未「それはこっちの台詞です。どうして穂乃果と真姫がここに」
真姫「私も同じこと言おうと思ってたわ。穂乃果と海未がなんでここにいるの」
3人「…………」
穂乃果「それに、どうして机の上にスタンガンが置いてあるの?」
海未「こちらにはグルカナイフが」
真姫「これは……麻酔銃ね」
3人「…………」
穂乃果「(ああ、なるほど。分かった。これはことりちゃんが用意してくれたチャンスだ。俺くんを誘惑した2人を、どうにかとっちめるための……)」
海未「(理解しました。これはことりが用意してくれたチャンスですね。私の恋敵の2人を、どんな手段を用いてでもここで打ち負かします)」
真姫「(OK。そういうこと、ね。これはことりが用意してくれたチャンス。恋の力は人を狂気に陥れるほど強力。いざとなったら……法律を踏みにじることだって辞さない)」
3人「…………」
穂乃果「えーと。まず真姫ちゃん。俺くんに変なことしたでしょ。穂乃果、許さないよ」
海未「どうやらそういうことらしいですね、真姫。淫乱、とはあなたのような人間のことを言うのでしょう。あなたは女性、というより雌です」
真姫「はぁ? 意味わかんない。言いがかりはやめなさいよ。海未は特に、作詞について相談がある、なんて口実で俺くんを誘って自宅でお泊まりしたらしいじゃない。最低ね。自分の過ちを人に押しつけるようなこと言って」
穂乃果「それ、穂乃果も聞いた。ありえないよ、海未ちゃん。どうしてそんなことするの? 人の彼氏に。気持ち悪いよ」
海未「まったく、これっぽっちも身に覚えがないのですが。言いがかりならもっとマシなのを考えなさい……!」
穂乃果「穂乃果だってまだ俺くんとは……手をつないだだけなのに! だけなのに!」
ことりの部屋
盗聴器越し
ことり「いい感じに『話し合い』がエスカレートしてきたねっ☆ だれが一番はじめに『凶器』に手をのばすかなあ?」