ラブライブ! ~南ことりの白と黒 笑顔と嫉妬のOthello~ 作:山梨まりか
街中
俺「さて、買い物も済んだし帰るか。穂乃果に電話しようかな」
穂乃果「俺くん……俺くん……」フラフラ
俺「! 穂乃果! いったいどうしたんだ? 血がついてる!」
穂乃果「俺くん…………俺くんを誘惑した子はみんな、電撃でピクピク痙攣させたし、お薬をぶちこんで昏倒させたし、二度と俺くんを誘惑できないように、ナイフで顔に文字を刻んでおいたんだよ。『バカ』『アホ』『エリーチカ』って」
俺「な、なにを言って……?」
穂乃果「これでいいんだよね、ことりちゃん……」
俺「歩けるか? 俺の家はすぐそこだ。とりあえず来るんだ」
穂乃果「ねえ俺くん」
俺「どうしたんだ、穂乃果、いったい……?」
穂乃果「俺くんも悪いんだよ。どうして穂乃果じゃないほかの女の子に、はじめてを全部あげちゃうの?」
俺「まったく話が見えないぞ、穂乃果。大丈夫じゃなさそうだ。救急車を呼ぼうか」
穂乃果「答えて!」
俺「!」
穂乃果「どうして! 穂乃果のこと好きじゃなかったの?」
俺「はじめてを全部、ほかの子にあげる? どういうことだかさっぱり分からない。俺は穂乃果以外のこと付き合ったことはないし、ましてや手をつないだこともない。親しくおしゃべりすることだってそんなにない」
穂乃果「手をつないだことがない? 嘘だ。真姫ちゃんと腕を組んでたもん。俺くんもいけないんだ。俺くんも悪いんだ」
俺「穂乃果、その手に持ってるものはなんだ?」
穂乃果「俺くんの身体に、穂乃果の名前を刻んで、穂乃果以外の女の子のことはいっさい考えられないようにしてあげるからね。痛いと思うけど、それは罰だと思ってね」
俺「うわっ! やめるんだ、穂乃果!」
パシッ! ことり「お巡りさん、この人です!」
穂乃果「――!!!」
警察「14時39分。殺人未遂。現行犯逮捕」
ことり「ふう。間に合ったぁ……」
穂乃果「……ことりちゃん……?」
ことり「俺くんを傷つけるのは許さないよ、穂乃果ちゃん」
数日後
アイドル研究部部室
俺「μ'sは解散、か。海未と真姫が入院。穂乃果も逮捕。メンバーみんなが精神的ショックを受けてる。もちろん、この俺も……」
ことり「俺くん、元気出して?」
俺「ありがとう、ことり。それにしても、どうして穂乃果は俺を刺そうとしたんだろう。穂乃果は俺のことを好きでいてくれたんじゃなかったのか? 俺になにか落ち度があったのか? 刺し殺されるほどの落ち度が――? なんの心当たりもないんだ」
ことり「きっと、穂乃果ちゃんは病気だったんだよ」
俺「うん。そうなのかもしれないな。付き合い始めた頃はそんなことなかったのに、いつからか急に落ち着きがなくなって、俺のことをじっと見つめるかと思ったら、悲しそうに目を逸らしたり、深夜突然電話してきたり、しきりに現在地を聞き出したがったり、誰と一緒にいるのか教えないと許さない、なんて叫んだり。俺が穂乃果以外の女の子と、遊んだりするわけないのに」
ことり「穂乃果ちゃんは、海未ちゃんと真姫ちゃんのこと、俺くんの浮気相手だと思ってたみたいだよ」
俺「そんなはずはない。穂乃果には何度も説明した。ただのμ'sの活動の一環、ミーティングだったんだ。俺だってなるべく気を使って、2人だけではあまり会わないようにしてた。それこそ3年生組をミーティングの途中から呼んだりしてな」
ことり「全部穂乃果ちゃんの妄想だよ。たぶん、俺くんのことも正常に認識できてなかったと思う。俺くんことが好き、とは言ってたけど、たぶんそれも妄想なんだよ。穂乃果ちゃんは誰も好きじゃない。病気なの」
俺「ことりの言うことが本当だとして! 俺は、俺のほうは! 本気で穂乃果のことが好きだったんだ! 俺は死ぬほど辛い! どうして穂乃果を守ってやれなかったんだろう、気づいてやれなかったんだろう!」
ことり「……泣いていいんだよ、俺くん。悲しいときは、泣こう?」
俺「ことり……」
ことり「よしよし。俺くんはいい子ですよぉ」
ことり「ねえ俺くん」
ことり「今日、ことりの家においでよ。ね?」
ことり「落ち込んでる時は、1人でいちゃだめだよ?」
ことり「ことりの家、明日まで誰もいないから、気を使う必要もないし……」
ことり「穂乃果ちゃんに怒られる? 嫌だなぁ俺くん、もう穂乃果ちゃんはいないよ」
ことり「ね? 一緒に帰ろう、俺くんっ」
ことり「…………ふふっ。素直でよろしいっ☆」
<了>