もし、俺がリンクスタートしたら2   作:単品っすね

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祭り

 

 

ユージオが木を切り倒したお陰で、祭りになった。

 

「驚いたな……この村、こんなに人がいたんだなぁ」

 

キリトが声を漏らした。

 

「僕も、村の人がこんなに集まるのを見たのは初めてかもしれないな。年末の大聖節のお祈りよりも多いよ、絶対」

 

そんなことを言いながら俺たちは林檎酒を飲む。

 

「しかしま、木を一本切り倒しただけでこのお祭り騒ぎたぁ……つくづくファンタジー世界だなオイ」

 

「ふ、ふぁんたじー?」

 

「気にすんな。しかし、ゴブリンが普通に生きてんのか……。こりゃもっと面白い生物がいそうだぜ」

 

「不謹慎にワクワクするなよセレナ。アインクラッドの階層ボス相手だとお前も厳しいだろ」

 

「あーまぁな」

 

「? あれ?アインクラッドって流派の名前じゃないの?」

 

「あっ、あー……。いや、それは……」

 

「あっ!こんなところにいた!」

 

良いタイミングでセルカがやって来た。

 

「主役がこんな所で何やってんのよ!」

 

「や、僕はダンスとか踊れないから……」

 

ユージオが困った顔で遠慮する。

 

「俺はほら、記憶喪失だから……」

 

で、ジロリと俺を見るセルカ。

 

「ダルいからパス」

 

「せめて言い訳しなさいよ!」

 

言われても俺は平気な顔で鼻くそほじる。

 

「女の子なんだからハナクソほじるのやめなさい!」

 

「あ?男女差別か?」

 

「んっ?女の子?」

 

ユージオが声を漏らした。

 

「ち、ちょっとまって。女の子って誰が?えっ?」

 

「俺だよ俺」

 

俺は自分を親指でさして言った。

 

「……………えっ?」

 

「ああユージオ。こいつ女だぞ」

 

キリトの援護射撃。ユージオに嫌な汗が浮かんだ。

 

「ま、マジで……?」

 

「ああ。嘘だと思うなら……」

 

俺はユージオの手を掴んで、自分の胸を揉ませた。

 

「う、うわあ!何するんだよ!」

 

「な?柔らかいだろ?そこのセルカの3倍くらい」

 

「ほっときなさいよ!」

 

「とにかく女だ」

 

「そ、そーなんだ……」

 

なんだよ。ほんとにこいつら俺の性別気付いてなかったのか。軽くショック受けてると、セルカが思い出したように言った。

 

「って、そんなことどうでもいいから真ん中行きなさいよ!」

 

「しかたねぇな……。キリト、行くぞ」

 

「えっ?お、おい!」

 

で、俺はキリトとあのほら、パーティとかで男女が踊るあの踊りみたいなやつ、アレをやった。

 

「なんでお前踊れるんだよ……弱点なしか」

 

が、周りと踊ってるダンスが違い過ぎたのですぐにやめた。なんてやってる時だ。

 

「みんな、宴もたわけなわけだが、ちょっと聞いてくれ!」

 

よく通る声が響いた。

 

「ルーリッドの村を開いた祖父たちの大願はついに果たされた!我々は新たなる麦畑、豆畑、牛や羊の放牧地を手に入れるだろう!それを成し遂げた若者、オリックの息子ユージオよ、ここに!」

 

なんか儀式か?まぁ俺には関係ないけど。

 

「掟に従い、見事天職を果たしたユージオには、自ら次の天職を選ぶ権利が与えられる!このまま森で木こりを続けるもよし、父親の跡を継いで畑を耕すのもよし、なんなりと己の道を選ぶがいい!」

 

………マジで?スゲェな。面接も学歴も関係なしに自分の就きたい職に就けるとかマジでいいな。

 

「で、ユージオさんはどーするの?」

 

「そりゃあ、村を出るつもりみたいね……」

 

「えっ?そなの?」

 

「そうよ。間違いないわ。それ以外に、何を迷う理由があるのよ」

 

そのセルカの予想通り、ユージオは言った。

 

「僕は、剣士になります。ザッカリアの街で衛兵隊に入り、腕を磨いて、いつか央都に上ります」

 

へえ。頑張って。俺はハナクソをほじりながら思った。が、その手をセルカが握る。

 

「だからほじるのやめなさいってば」

 

「うりうりー」

 

「ちょっと!なすりつけないで!」

 

「そこ、うるさいぞ」

 

怒られちゃった。見れば、いつの間にかユージオと誰かが戦うみたいになっていた。

 

「勝てるかな……ユージオ」

 

「平気だろ。剣は気組みだって近藤さんの師匠も言ってたし」

 

「近藤さん……?」

 

「銀魂な。なんでもない」

 

俺の予想通り、ユージオは向こうの剣を折って勝った。だが、驚いたのはあいつがソードスキルを発動したことだ。俺はあいつにソードスキルを教えてない。キリトもホリゾンタルしか教えてないはずだ。それなのにあいつが発動したのはスラントだった。

 

「ま、勝ったなら良いか」

 

俺はとりあえず林檎酒をもらいにいった。これ美味しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーいセレナ。そろそろ部屋に戻るぞ」

 

祭りも終わり、キリトはセレナに声をかけた。だが、返事はない。

 

「セレナ?」

 

もう一度聞くも返事はなかった。仕方ないので肩を揺する。

 

「おいセレナ……」

 

と、そこでセレナはキリトに抱き付いた。

 

「……なんだよ。どうかしたのか?」

 

いい加減慣れてるので、一々慌てたりはしない。だが、

 

「きいと………」

 

「なんだ?」

 

「だーいすきっ♪」

 

「はっ?」

 

と、セレナの口から漏れた瞬間、顔を真っ赤にする。見れば、セレナの顔も真っ赤になっていた。

 

「なーんちゃって。やーだーキリトちゃんったらちょー赤くなっちゃってるー!まったくいつまで経っても純情なんだからぁ♪」

 

「せっ、せせせセレナ⁉︎」

 

こいつ、酔ってる!と、判断するのが遅かった。セレナはキリトの耳に、ふうっと息を吹きかける。ゾワゾワっとして思わず飛びのいた。

 

「へぇーっ。かずとちゃんって耳弱いんだぁ〜」

 

「や、やめろセレナ……!」

 

だが、セレナに肉体で勝ち目はない。キリトの背後をあっさり取ると、今度は耳を齧った。

 

「はみっ」

 

「ッッッ‼︎⁉︎」

 

「耳まで赤くなってる」

 

「せっセセセセレナさん⁉︎」

 

「かわいっ」

 

この後、メチャクチャ弄られた。

 

 

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