それでは始まります!「バケツ頭のオッサン提督の日常」お楽しみください。
リザァ!イナイィ!ナンデェ!リザァ!ホシイィ!
「あうう、ここは?」
「「「提督!大丈夫ですか!」」」
どうやら、磯谷嬢が目覚めたようだね。
「やあ、磯谷嬢、目覚めは良好かね?」
「あ、五百蔵さん、私は・・・・!」
おや?どうしたのかね磯谷嬢?そんな顔して、そこの四人も、なんで俺から離れるんだい?
ああ、そういうことか、安心しなさい。怒ってないからさ、ただ少し、苛ついているだけだよ。
「さて、磯谷嬢、俺は君に言わなければならない事がある。」
「は・・はい」
「何故この様な事をした?」
「それは、貴方に「勝ちたかったから、などとほざくなよ、小娘」・・!」
「もし、それが理由だとしたら俺は君から、あの機体を取り上げる」
「ッ!何故ですか!」
何故?面白いことを言うじゃないか。
「君は、あの機体の設定を勝手に弄った。それに間違いはないね?」
「はい」
「それは、そこに居る二人、明石さんと夕張さんを信用していないということだ」
「そんなことは!」
「ならば何故、二人に相談しなかった。」
「それは・・・」
努めて平坦な口調で続ける。
「作品に勝手に手を加えられ、そのうえ事故を起こされる。技術者からして見れば、信用していないと言われている様なものだ。」
「・・・・」
「ましてや、君は提督だ。自分達が作った作品で君にもしものことがあったら、君は二人に何と言うつもりだ?」
「・・!」
「今回の事について、俺から言えるのは以上だ、後は、君達で話し合いなさい。」
「はい、」
ふう、疲れた。急に真面目になるもんじゃないね。磯谷嬢も反省してるみたいだし、まあ、良いか
「磯谷嬢」
「は、はい!」
「俺達は、暫くここに滞在する。その間に機体の改修を手伝おう、改修が終わり次第で演習のやり直しだ。」
「え?良いんですか?」
何を言ってるんだろうね、この子は
「その為に呼んだんだろう?吹雪君行くよ」
「ま、待ってください提督、磯谷提督もお大事に、それでは失礼します。」
そう言って、吹雪君を連れて医務室を出る。後は彼女達の問題だ。
五百蔵さんと吹雪ちゃんが出ていった医務室は、とても静かだった。
「「あの、提督・・」」
明石ちゃんと夕張ちゃんが口を開いた。
「「私達が、もっとちゃんとチェックしていれば、こんなことには・・・」」
「それは、違う!私がはしゃいで勝手に機体を弄ったから!」
「「ええ、ですから・・・・」」
「ふ、二人共、どうしたの?」
フフフと笑い出した二人は、少しというか、かなり怖い。だって二人同時に同じ笑い方なんだもん、いつもだけど。
「「五百蔵提督の指導の元、ストライカー・エウレカの改修を行い、あのオッサンの緑バケツをケチョンケチョンに伸してやりましょう!!提督!」」
ああ、この二人は本当に強い
「ええ、そうね!やってやりましょう!」
「「そうです提督!そうと決まれば、早速・・「ダメですよ」・・榛名さん?何故?!Why !?」」
「今日は安静にするようにと、医務官からの言い付けですからね、提督また五百蔵提督に怒られたくないでしょう?」
うん、嫌だ。あのオジサン、怒るとメチャメチャ怖い。怒鳴らずに静かに怒るんだもん。
翌日、ストライカー・エウレカの改修が行われた。五百蔵さん曰く、私の無茶苦茶な調整のせいで、脚回りの駆動系や動力部はかなりのダメージを受けている様だが、それ以外は問題は無いとのこと、これなら一週間以内で終わるらしいが、この言葉を聞いた明石ちゃんと夕張ちゃんが
「「それなら、三日で蹴りをつけてやりますよ!」」
とか叫び始めて、五百蔵さんに拳骨喰らってた。
そして、演習当日
「よお、磯谷嬢、準備は良いかね?」
「いつでも、良いですよ、五百蔵さん」
私達は、前回と同じ演習場で、向かい合っている。そして
「ストライカー・エウレカ」
「チェルノ・アルファ」
「「起動!」」
二人同時に、機体を起動させ、相手に向かって突っ込む、だが、自分の距離まであと一歩というところで、前回と同じ左アッパーが此方の顎目掛けて放たれた。
(さて、前回は反応すら出来なかったが、今回はどうだ)
前回と同じ様に、真っ直ぐ此方へ突っ込んで来た磯谷嬢に合わせて、左アッパーを放つ、だが、避ける気配がない
(前回と同じか?いや、違う!)
此方の拳が自分の顎を捉える瞬間、上体を起こし空振らせ、体勢を整えながら、その場で回転し、がら空きになった此方の左脇腹にまさかの回し蹴りを叩き込む。
「がぁっ!」
衝撃が装甲を貫き、骨と肉が軋み、内蔵が揺さぶられ、息が詰まる、油断した。まさか、蹴りを叩き込んでくるとは、元ネタを知ってるばかりに蹴りは無いと思っていた。だが、
「捕まえたぞ!」
脇腹に入れられた右足をがっしりと掴んで拘束し、右フックを打ち込む
「うぁっ!こなくそ!」
反撃とばかりに、腕部のブレードを展開し、此方の左肘に差し込もうとする。
(冷静だな、脱出狙いか。)
片腕を壊されたら余計に不利になる、性能は向こうの方が上なのだ。
急いで、足を離し、磯谷嬢を突き飛ばす様に距離をとる。
その時だ
『二人共!回避してください!』
管制室で見学していた吹雪君から通信が入る、その瞬間、俺と磯谷嬢の間に人間程の大きさの岩が飛んできた。
「なんだ?!」
「なに?!」
二人同時に岩が飛んできた方向を睨む、そこには予想外のモノが立っていた。
「あれは!」
長い手足、鮮やかな青のボディ、特徴的な手、そして胸部の装甲の中央から伸びるブレード状の突起
アメリカ製第一世代イエーガー『ロミオ・ブルー』
その機体が横須賀鎮守府の演習場の正面に立っていた。
いかがでしたでしょうか?
今回、新しいイエーガーが登場しました。その正体は!
それではまた次回お会いしましょう!