バケツ頭のオッサン提督の日常   作:ジト民逆脚屋

19 / 130
どうも、逆脚屋です。「バケツ頭のオッサン提督の日常」第18話です。今回は、前回の続きです。また、今回で横須賀編が終了します。長かった。

それでは始まります!「バケツ頭のオッサン提督の日常」お楽しみください


オッサン、戦う その2

ロミオ・ブルー擬きとの戦闘を終えた俺達は、横須賀鎮守府のドックへと戻るため、歩みを進める。

 

「疲れた、早くお風呂入って寝たい!比叡ちゃんを抱き枕にして!比叡ちゃんに溺れたい!」

「いきなり何言ってんのよ?余計に疲れるからやめてくれ。」

 

割りとマジで勘弁してくれ、オッサン結構疲れてんのよそんな性癖暴露されても困る。

 

『提督、こちら吹雪です。避難誘導が終了しました。』

「おう、吹雪君こちらも、ちょうど終わったよ。」

『そうですか、では、私達も帰投します。』

「あいよ~、注意しながら帰って来なさい。もしものことがあったら、怖いからねぇ。」

 

無いとは思うが、こちらが陽動で向こうに本隊が居るとか、悪夢でしかない。

まあ、あの感じだとそんなことは無いだろうが、注意するに越したことはない。

 

『了解です、横須賀から交替要員が到着しだい、帰投します。』

「はいは~い、それじゃ頑張ってね。」

 

吹雪君との通信を切り、磯谷嬢の方を見ると彼女も通信中の様だ。

 

「うん、・・・それじゃその手筈でお願い、回収は・・・ああ、二人が回収用のAMIDA を向かわせてるのね、了解、それじゃぁ、比叡ちゃんと榛名ちゃんも気をつけて帰って来てね。」

「そっちも、終わったようだね。」

「ええ、アレの回収も、近隣の避難も無事終了しました。」

「んじゃぁ、帰るか、機体の整備もせにゃぁならんし」

「そうですね、アレの体液でベトベトです。早くキレイにしないと、跡が残りそう。」

 

確かに、磯谷嬢のストライカー・エウレカは色的に目立つよね、腕を中心に顔やら胸やらにアレの黄緑の体液がべったりだ。俺も似たような物だがね。

 

「確かに残りそうだ、徹底洗浄だな。」

「はぁ~、最悪です。」

 

こんなことを話ながら、ドックへ戻ると、あの二人が例のギラギラした目で揃って出迎えてくれた。

 

「「二人共!おかえりなさい!整備は私達に任せて!二人はシャワーでも浴びててください!さぁ!さぁさぁさぁ!」」

「わかった、わかったから!落ち着け、二人共。」

「ただいま~、明石ちゃん、夕張ちゃん、後よろしくね」

「「了解です!2機とも新品同様に仕上げて見せますよ!」」

「あ、ああ、よろしく」

「よろしく~」

 

そう言って俺達は、ドック内にある整備用のガレージに向かい、機体を解除する。

 

「チェルノ・アルファ、解除」

 

ガレージの壁に背を預け、解除をコールすると、機体の中心から左右へ装甲が開き、外気が頬を撫でる。機体に脚を固定しているフックを外してから降りる。

 

「ふぅ~、疲れた、さてと、シャワーでも浴びるかね。」

 

チェルノ・アルファから降り、シャワールームへと向かう。その途中、避難誘導から戻って来た榛名さんと吹雪君に会った。

 

「あ!提督、お疲れ様です。」

「おお、吹雪君もお疲れ、榛名さんもお疲れ様」

「いえ、五百蔵提督もご無事で何よりです。」

「ありがとう、榛名さん達も無事で良かった。それじゃぁ、俺はシャワー浴びるから、ここで」

「はい、呼び止めてしまいすみません。」

「それじゃ、また後で」

 

榛名さんと吹雪君と別れ、シャワールームに到着した。

しかし、なんで榛名さんと話している時に吹雪君はニヤニヤしてたんだろうね?まあ、いいや、シャワー浴びよ

シャワーシーン?カットだよ!オッサンのシャワーシーンなんて、誰得だよ!

 

 

オッサン、シャワー中・・・

 

 

 

「ふぅ~、さっぱりした。」

 

さっぱりして、シャワールームから出ると、榛名さんがいた。

 

「おわ!榛名さん、どうしたの?」

「五百蔵提督、磯谷提督が至急、執務室まで来てほしいそうです。」

 

執務室?何だろうね?榛名さんに案内され、執務室へと急いで向かう

 

「しかし、至急とは、いったい何があったんだ?」

「分かりません、ですが、あの磯谷提督が慌ててましたから、よほどのことがあったのでしょう。」

 

確かに、あの磯谷嬢が慌てるなんて・・・結構あったような気がするが、気のせいだろう。

しかし、何があったんだ?アレの事が解ったとか?それは、いくらなんでも、早すぎるだろう。とまあ、考え事をしていたら、執務室に着いたようだ。榛名さんがノックをし、磯谷嬢に声を掛け、返事を待って入室する。

 

「提督、五百蔵提督をお連れしました。」

「どうぞ~、あっ、榛名ちゃんは吹雪ちゃんと休憩してて良いよ。」

「わかりました、では、失礼します。」

 

榛名さんが退席し、一対一になったので、質問をする。

 

「磯谷嬢、何があった。」

「五百蔵さん、早速で悪いけど、この書類を見てもらえる?」

 

そう言って、クリップで簡単に纏められた書類の束を渡してくる。

 

「何だこりゃ?」

「アレに関する報告書。」

「いくらなんでも、それは早すぎやせんか?」

「そこは、あの二人が優秀だからということと、私達の機体の整備を後回しにして、仕上げたからよ。」

「なるほどねぇ、さて、いったい何が書いてある・・ん・・・だ・・、おい、磯谷嬢、これに書いてあることは事実なのか?」

「ええ、事実よ。あの二人が珍しくキョドりながら報告してきたし、二人が、嘘をつく理由がない。」

「確かにな、だが、これは・・・」

「いい気はしないわね。」

 

そこに書かれていた内容は、想像を絶していた。もしこれが、嘘であればどれだけ良かっただろう、ただの敵の新型だと言われた方がまだマシだろう。

あのロミオ・ブルー擬きの正体は、人工の深海棲艦だったのだ。

 

「アレの正体が、これほどのものとはな、これを考えた奴はイカれてる。」

「ええ、完璧にイカれてるわ。こんなものを造るなんて」

 

様々な種類の深海棲艦を材料に、あの『気味の悪い海洋生物擬き』でそれを繋ぎ、装甲や武装を施した。それが奴の正体だ。

 

「人工の深海棲艦とはな、いったい何処のイカれ野郎だ。」

「さぁ?それは分かりませんが、軍が関わっているのは間違いないですね。」

「だろうな。」

 

目的は分からんし、誰が造ったのかも不明、分からんことだらけ、ただ、分かるのは敵であるということだけ。

面倒臭いことこの上無い、あれ1匹であることを祈りたい。

 

「まあ!難しい話は置いといて!御飯にしましょう!そうしましょう!」

「何言ってんの!君!?」

「今、こんなこと考えても仕方ないですよ。情報が無さすぎるんですから、情報がもう少し集まってから考えましょう。」

「はぁ~、それもそうだな。」

「そうですよ、さぁ、食堂へ行きましょう!吹雪ちゃんも居ますよ!」

「へ?吹雪君、食堂に居るの?!」

「ええ、居ますよ。」

「何やってんの!学習しなかったの?」

 

マズイ、間に合うか。言うや否や食堂へ向かい走り出す。

少し走ったところで、食堂の扉が見えてきた。

 

「吹雪君!」

 

彼女の名前を叫び、食堂に飛び込む、そこにあった光景は

 

『さぁ!横須賀カレー大食い大会決勝戦、いよいよ決着の時です!勝利の栄光はどちらに輝くのか!』

 

「お代わり下さい!」

「私も、お代わりください!」

 

ドチクショウ!間に合わなかった!またか!チクショウ!

 

『おっーと!加賀選手、苦しそうだ!これは勝負あったかぁ!』

 

「まだよ!私は!まだ!まだ、戦える!ここが!この戦場が!私の魂の場所よ!」

 

ここたま!ってやかましい!君の戦場は食堂じゃないだろ!

 

「お代わりください!特盛で!」

 

もう止めて!オッサンのライフはもう0よ!

 

「赤城さん、御許しください。加賀はご信頼に背きました・・・」

 

『加賀選手、ダウン!勝者、北海鎮守府所属吹雪選手!堂々の二連覇達成です!』

 

「提督!二連覇です!やりました!」

 

うわ!めっちゃ良い笑顔だ!

 

「いや~、やっぱり吹雪ちゃん凄いですね!」

「うん、もういいや。」

 

その後、俺達はヒーローインタビューされている吹雪君達の横で、普通に食事をした、さりげなく、榛名さんが隣に座って甲斐甲斐しく世話をしてくれたんだけど、何なんだろうね?

そして、いつの間にか戻って来た吹雪君は、榛名さんの膝の上に乗ってお菓子食べてるし、てか、さっきまでカレー食ってたよね?君、いつまで食べてるの!

 

まあ、そんなこんなありまして、機体の整備も終わり、やっと家に帰れます、ていう時に、あの横須賀の変態1号2号がちょっとした爆弾を落としてくれた。

あの、ロミオ・ブルーをイェーガーとして復活させると、宣言しやがった!俺は嫌だ、アレのお古なんて装備したくない!

 

「だから、磯谷嬢、君がアレを使え!」

「私も嫌です!五百蔵さんどうぞ!」

「絶対、嫌だ!」

「私も嫌だ!」

「じゃあ、どうする?」

「家のドックで使用者が現れるまで、眠ってもらいましょう。それしかありません!」

 

結果、ロミオ・ブルーは完成しだい、使用者が現れるまで横須賀のドックで眠ってもらうことになりました。

使いたい人がいたら、横須賀鎮守府に連絡してください!

 

「それじゃぁ、問題も解決?したことだし、俺達は帰るよ。磯谷嬢、世話になったね。」

「いえいえ、こちらこそ、御迷惑をお掛けしました。」

「ははは、まったくだ、それじゃ、吹雪君!帰るよ。」

 

また、榛名さんの膝に乗りながらお菓子を食べていた吹雪君に声を掛ける。

 

「はい、提督。それでは榛名さん、また会いましょう!」

「ええ、吹雪ちゃん、また会いましょう。」

 

榛名さんの膝から降りて、挨拶をしてこちらへ戻ってくるのを待ってから、俺も榛名さんにも挨拶をする。

 

「榛名さん、家の吹雪君の相手をしてもらって助かりました。ありがとうございます。」

「いえ、構いませんよ。また是非、いらしてください、五百蔵提督」

「榛名ちゃん!それ私のセリフ!」

「ははは、では、私共はこれで、今度は家に来てください。大したことはできませんが」

「ええ、是非」

「それではまた、磯谷嬢、榛名さん」

 

そう言い残し、俺達は家に帰った。言い忘れたけど、家のカレーは暫くの間、辛口になった。それで吹雪君と少し喧嘩になったが、ちょっと高級な羊羹を献上したら、すぐに収まった、チョロい!

あと、榛名さんからよく手紙が届くようになった。事務仕事の清涼剤ができて嬉しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?読み辛くなかったでしょうか?少し、無理矢理終わらした感がありますが、横須賀編これにて終了です。次回からいつもの北海鎮守府に戻ります

それではまた次回お会いしましょう!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。