それでは、「バケツ頭のオッサン提督の日常」第2話始まります!
目を覚ますと、そこは港だった。潮の香りが香るまごうことなき、港だった。
「ここが鎮守府か、想像していたのよりだいぶ違うな、もう少し軍施設のようなものかと思っていたんだが」
着任した鎮守府は、想像と違い軍施設というより古きよき港といった感じだった。
「まあ、こういう感じの方が緊張しなくて良いのかも知れんねぇ?さて、何処に行けばいいのかまるでわからん、困ったもんだ」
誰に言うでもなく一人寂しく呟いていると、ポケットの中にある携帯が着信を報せる。
「ん?電話、誰からだ?もしもし、五百蔵です。」
「ああ、良かった繋がりました。私です。新米です。」
新米ちゃんだった。つうか新米ちゃんに電話番号教えたっけ?
「これでも、神様ですからこのくらい当たり前です。」
ということらしい
「それよりも、五百蔵さん早くそこから移動してください。貴方みたいな大男がぼっと突っ立っていたら通報されますよ?」
余計なお世話だ、好きでこんな図体になったんじゃないやい
「移動しろと言っても、何処に行けばいいのかさっぱりなんだが?」
「ええ、ですから私が案内します。あと特典の機体のことですが、貴方が使おうと思えばいつでも使えますよ。ああ、でも今は駄目ですよ、騒ぎになりますから」
分かってるよそんなこと、はしゃいでるようにでも見えたのかね、もしそうだとしたら、俺もまだ若いということかね
「それなら、さっさと案内してくれると助かる。ここは海風のせいか結構冷える」
気温は低くはないが、体感温度はかなり低めだ。とっとと屋内に行って、熱いコーヒーを飲みたい、酒でもいい。
「はい、それではご案内致します。五百蔵さんから見て右手にある建物があなたが着任する『北海鎮守府』です。」
案内された方を見てみると、建物があった、たしかに建物はあった。
「プレハブだと!?」
そう、そこにあったのは工事現場等によくあるプレハブ小屋だった。
「おい、新米ちゃんさすがにこれは冗談だろう?」
若干苛立ちながら、新米土下座神に問うと信じられない答えが返ってきた。
「いやいや、マジですよ。見た目に惑わされてはいけません風呂、トイレ完備、最大四人まで入居可能の高性能プレハブです。」
いやいや?結局プレハブじゃないですかヤダー
「結局プレハブじゃん!どうしろってんだ!あっ!鎮守府の立て直しってこういうことか?!チクショウ!!」
軍施設なのにプレハブ小屋っていろいろ問題がないか?そもそもこんなんなら最初から建てるなよ。
「これには理由がありまして、この海域は敵が少ないんですよ。まあ、居たとしても戦いを好まなかったり、こちらに対して友好的な関係を築いていたりと、そんなかんじでただ敵だといって倒す訳にはいかないんですよ。」
なるほどね、そういうこと、するってぇと、この鎮守府は
「もしもの時のための防衛のためってわけだ、それでもプレハブは無いと思うが」
「まあまあ、そろそろ鎮守府に着きますよ、ほら早く!早く!」
「わかったわかったから、そう急かすな。それじゃ切るぞ」
「はい、ではまた後程何かありましたらいつでも連絡をください。」
そういうと電話は切れた、さて行くかね。そういや姪が駆逐艦娘が可愛いとかなんとか言ってたが、まさかね、軍艦が人の姿になってるとかそんなことがあるのかねぇ?
五百蔵&新米ちゃんside end
??side start
今日、この鎮守府に提督が着任すると聞いて私は楽しみ半分緊張半分といった心境で今か今かと、提督が着任するのを待っていた。優しい人だったら良いな、怖い人だったらどうしよう、女の人かな、男の人かなとか考えながら、この北海鎮守府であるプレハブ小屋を隅々まで掃除していました。すると、外から男の人の声が聞こえてきました。いつ入室されてもいいように、身だしなみを整え、一番に挨拶できるよう扉の正面から少し離れた位置に待機する、すると、人影が鎮守府の扉の前まで来て扉に手を掛け開く、
「初めまして五百蔵提督、本日より提督の秘書艦を勤めさせていただきます駆逐艦『吹雪』です。どうかよろしくお願いいた・・しま・・・す」
私はつい唖然としてしまった、だって扉をくぐって入って来たのは、屋根に頭が当たるんじゃないかというほどの長身の男の人だったのですから。
吹雪side end
五百蔵&吹雪side start
自分にとって小さい扉をくぐり鎮守府の中に入ると、元気のいい声で挨拶をしてくる『女の子』がいた。そう『女の子』がいたのだ、俺の腰程の身長でどう見積もってもか中学生いや、下手をしたら小学生にも見える学生服を着たどうみても軍人には見えない『女の子』がいる、しかもこの子、今自分のことを『駆逐艦』と言わなかったか?どういうことなの?とか考えていたら、目の前の女の子が声を掛けてきた。
「あ、あの、五百蔵提督ですよね?」
こちらを見上げて少しつらそうだったので、しゃがみこみ目線を出来る限り合わせてから話し掛ける。
「ええ、そうですよ、君は吹雪君でいいかい?」
「はい!改めまして本日より五百蔵提督の秘書艦を勤めさせていただきます駆逐艦吹雪です。よろしくお願いいたします。」
どうやら、目線を合わせて話し掛けることによって緊張が和らいだようだ、昔から子供にはこの手に限る。
「はい、こちらこそよろしくお願いします。ところで一つ聞きたいんだがいいかい?」
「はい!なんなりとお聞きください!」
うん、やる気に満ち溢れたいい返事だ、この子は真面目らしい
「君はさっき自分のことを『駆逐艦』と言ったがあれは一体どういう意味だい?」
もし彼女が自分のことを人間ではなく、『駆逐艦』という名の兵器だと思っているのだとしたら俺は彼女に言わなければならない、君は兵器ではなく人間だと、その上で軍の本部に殴り込みをかけよう。子供を兵器として扱うような輩は死んだがマシだ。とこんな物騒なことを考えていると吹雪君が口を開いた
「えっと、提督もしかして『艦娘』をご存知ないのですか?」
「なぁにそれぇ?」
思わず変な声が出てしまった。
「わかりました、では不肖この吹雪が『艦娘』についてご説明します」
『艦娘』についての説明は長くなるので簡単にまとめる。
深海棲艦と呼ばれる現行兵器がほとんど通用しない謎の存在により人類は海洋における支配力を失い、それと同時に人類は海洋という地球上もっとも広大なフロンティアを失い大ピンチ陥る。深海棲艦を倒そうにも奴ら一隻を沈めるのにこちらの艦隊一つが沈むというどう計算しても釣り合いの取れない結果となる、各国が頭を悩ませていた。その時である、変態技術者国家日本のとある変態技術者(キチガイ)がこんなことを言い出した。
『こっちの武器が通用しないなら、あいつらの武器使えばいいじゃん!ヲ級たん、まじペロペロ』
とこんな安直かつキチガイじみた発言に対し各国は
『それだ!!お前頭良いな!!あと一番はリ級たん!異論は認めない!!!』
とこんな反応だったらしい、そこで自分たちが撃沈した深海棲艦を研究し、さまざまな苦難(キチガイ共)を乗り越え生み出されたのが、吹雪君達『艦娘』らしい、なんか一部頭のおかしいのが混じっていたが良しとしよう。キチガイ共の発言の降りを説明している吹雪君可愛かったし
「私からは以上となります、提督からはなにか質問はございますか?」
「ん~、俺からは特にないかな?」
「しかし、提督これは知ってないとおかしい常識ですよ、どうして知らないんですか?」
あんの新米土下座神、説明不足もいいところだろうこれ、今度会ったら土下座の神として崇めてやっかんな、覚悟してろよ、自分が土下座してる御神体を山のように量産されりゃいいんだ。
「提督?」
「ん?ああ、ごめんごめん、ここに来るまでいろいろあってさ、そこら辺疎いのよ、俺」
「はぁ?そうですか」
「まあ、あれだ、これからよろしくね吹雪君」
「こちらこそよろしくお願いします、提督」
そう言って、頭をペコリと下げたやはりこの子は真面目な子のようだ
この日から、鎮守府としての活動を始めた北海鎮守府、この小さな小さな鎮守府がとんでもない騒動に巻き込まれることになるのは、まだ先のお話
いかがでしたでしょうか?ようやく鎮守府に着任したオッサン提督を待ち受ける運命とは!そしてチェルノ・アルファはいつ使うのか!!作者にもわからなくなってきました!!皆様ここまでお読みくださりありがとうございます。それでは第3話でお会いしましょう。