sd カード様、誠にありがとうございます!
それでは始まります!「バケツ頭のオッサン提督の日常」お楽しみください!
決意を新たにしたあの日から早いもので、はや数日。横須賀滞在一週間が経ちました。
榛名さん案内の元、横須賀食べ歩きツアーも行い、吹雪君はホクホク顔で日々を過ごしております。
では私、五百蔵冬悟は何をしてるのかと言いますと・・・
「磯谷嬢、ここの計算が違う!」
「そんなこと言ったって、私算数苦手ですもん!」
「苦手ですもんじゃねぇ!なんで電卓使って間違えてんだ!」
横須賀のバカ(磯谷)が仕事貯めまくって、てんてこ舞いしております。
比叡さん? 如月嬢達の看病の補佐で明石と夕張の部署に行ってるから、それを良いことにこのバカは駆逐艦のチビスケ達と遊びまくってたらしい。
「なんで、去年の書類が残ってんだ、とっとと終わらせろ!」
「うえ~! 比叡ちゃん、霧島ちゃん、金剛ちゃんカムバーック!」
金剛型の長女の金剛嬢と三女の霧島君の二人の内、三女の霧島君が比叡さんと共にバカの補佐役を担っているのだが、只今その霧島君が金剛嬢と呉の鎮守府に出張してるから、バカがこんなことになってる訳だよ。
「いいから早くしろ!」
「うえええ~」
まったく、このバカは。普段からちゃんとしてりゃあ、こんなことにはならんのにね。
「ほら、嘆いてないでさっさとする!」
「あうあうあ~」
今日中に、終わるのか?これ。如月嬢達の見舞いもせにゃならんのに
横須賀鎮守府医療棟特別治療室に、その少女は居た。桜色に近い髪を広げ、ベッドに横たわるその姿は正に、満身創痍といった有り様であった。
足は折れている様でギプスで固定されている。所々に火傷や切り傷の跡もあるが、もっとも痛々しいのはその右腕である。
ギプスと金具で固定され、巻かれた包帯には赤が滲んでいた。未だに痛みが酷いのか、その寝息は荒い。
先の演習、『不死の鳳』こと鳳 洋との対決で超規格外兵装『クワトログラインドブレード』を使用し負荷に耐えきれず右腕が圧壊その余波で足を骨折したため、他のメンバーと共にこの横須賀鎮守府で治療を受けていた。
何も無い空間で如月は目覚めた
「あら?此処は・・・」
目を覚ました如月は辺りを見回した。自分は横須賀で治療を受けている筈なのに、何故こんな場所に居るのか?
「あ、これ夢ですね」
周囲の確認と共に自分の怪我の有無を確認、怪我をしてないの上に、こんな空間は有り得ないので夢と断定した。
「しかし、我ながら妙な夢を見るものね」
何も無い空間に一人ぽつんと立っている夢なんて、疲れてるなと思っていると
「あれ?あれあれあれあれ?如月さんだ!」
「え、吹雪さん?」
北海鎮守府の吹雪が居た。
「な、ん、で、こ、こ、に、如月、さ、ん、が、い、る、ん、で、す、か?」
「あ、あの」
言葉に合わせフラフラとしたステップを踏みながら此方に近付いて来る吹雪、だが、如月は強烈な違和感を感じていた。
(この彼女は本当にあの『吹雪』さんなのですか?)
人懐っこい笑みやどこか小動物を思わせる様な動き、服装は紛れもなく北海鎮守府の吹雪なのだが、何かが違うと如月は感じた。
これは、まるで・・・
「洋さんみたい、ですか?」
「っ!!」
「そんなに驚かないでくださいよ、如月さん。夢なんですから」
「夢?」
「そうですそうです、夢ですよ」
光の無い闇よりもなお暗い瞳で自分を見上げてくる吹雪?を如月は警戒した。
鳳 洋の様だと思ったが違う、寧ろ、それ以上のなにかがある。
「でも、おかしいですね。『私』の夢なのに、なんで如月さんが居るのでしょう?」
「はい?」
『私』の夢?私ではなく?いったいそれは
「どういう・・・」
「まあ、良いです。ところで如月さん、お願いがあります」
「いや、あの、お願い?」
「はい、お願いです」
この吹雪?は自分に何を願う気なのだろう?
「『お父さん』と『お母さん』と『私』や『皆』のことを、よろしくお願いしますね」
「何を・・・?!」
「それではサヨナラです、もう会うことも無いでしょう。あっ、皆さんにプレゼントがありますんで、目が覚めたら驚くと思いますよ」
私の疑問は彼女には届かず、私はあの真っ黒な夢から『追い出されました』
「ん・・・ あら?」
目が覚めた私が最初に感じた違和感は体の異変でした。壊滅的なダメージを受けた右腕に痛みが無く、傷が塞がっており、折れた足も元通りになっていました。
「いったいどうして・・・? 夢を見ていた様な気がしますが、関係は無さそうですね」
「「如月様、お加減の方はいかがでしょうか・・・!」」
明石さんと夕張さんが回診来ましたね。さて、この状態をどう説明しましょう?
「「お、おおお!傷が塞がって!」」
「ふ、二人共落ち着いてください」
唯でさえ、二人揃ってグルグル目なのに更に高速回転しながら、ワナワナと体を震わせるのは、流石の私でも恐い。
「「奇跡、奇跡です!AMIDA 神如月様が復活為された!」」
私の傍に寄り、ひざまづき両手を合わせ私を拝み始めました。小さく嗚咽も聞こえます、この二人のキャラの濃さなら、家でもやっていけますね。
「いや、何やってんの?君ら」
「あら、五百蔵提督」
「やあ、如月嬢。調子はどうだね?あ、これ、見舞いの饅頭」
「あ、どうも」
暗い緑色のロングコートに身を包んだ巨漢、五百蔵提督が差し出した饅頭を動くようになった右腕で受け取ると、五百蔵提督は顎に手を当て、首を傾げました。
「あれ?聞いた話だと右腕が重傷だった筈だが」
「目が覚めたらこうなってまして、私にもサッパリです」
「何それ、コワイ」
「「おおおぉぉっ!AMIDA 神如月様、バンザーイ!」」
「何コイツら?」
五百蔵提督が足元に居る信者二人を指差し聞いてきますが、私にもなんだか?
「あれ?そう言えば吹雪さんは?」
「吹雪君なら、榛名さんと街に食べ歩きツアーに行ってるよ」
横須賀の街の飲食店の皆様、御愁傷様です。
「帰ってきたら、此方に顔を出すよう言ってあるから」
「そうですか、ところで五百蔵提督」
「なんだね?如月嬢」
「榛名さんとは、どうなのです?」
瞬間、五百蔵提督がフリーズしました。なかなか面白いですね。
あ、復旧しました。
「き、如月嬢。何処でそれを?」
「比叡さんと磯谷提督がぼやいてましたよ」
「オウフ、如月嬢、それはだね・・・」
「なんにしても、早めに答えを出してあげましょうね?」
「hai !」
良いお返事です。
「はあ、それじゃあ俺は執務室に戻るよ」
「あら、もう少しゆっくりしていってもいいんですよ?」
「バカが仕事貯めまくってるからね。また、改めて顔を出すよ」
「そうですか、お疲れ様です」
五百蔵提督が信者の二人を連れて病室を出ました。
それにしても、何故怪我が治っているのでしょう?不思議なことも有るものです。私でこれなら、他の皆も完治してそうですね。
如月の予想は正しく、AMIDA 鎮守府第一艦隊の面々は目が覚めたら怪我が回復しており、残すはリハビリのみとなっていた。
その際に、全員が『不思議な夢を見ていた様な気がする』と呟いていたという。
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