それでは始まります!「バケツ頭のオッサン提督の日常」お楽しみください!
突然ですが、ティエレンって良いですよね?
あ、どうも榛名です。只今私は、横須賀屋外格技場にて幸せの絶頂にいます!
何故なら
「ほらほら、二人共動きが悪いよ」
「くそっ!」
「このオッサン!」
五百蔵さんの訓練風景を生で見ているからです。AMIDA 鎮守府のピクシーさんとサイファーさんの二人を同時に相手し、軽く圧倒しています。因みに、リハビリの為に三人共に生身での格技訓練です。
あ、ピクシーさんが蹴りにいきましたね
「残念、それは悪手だ」
「嘘!」
ピクシーさんが前蹴りを繰り出そうと膝を上げた瞬間に、彼女の膝をその右腕で内側からはたく様に掬い上げました。
「はい、ピクシー嬢アウト」
「ちっ!」
掬い上げられ体勢を崩したところで左の正拳が突き付けられピクシーさんはリタイアしました。
ピクシーさん、悔しそうですね。
「サイファー!このオッサン、叩きのめせ!」
「ハッハッハッ、オッサンは酷くね?いや、その通りだが」
「取らせていただきますよ、五百蔵さん!」
「うんうん、さ、来なさい」
サイファーさんが腰を落とし構えたのを見ると、五百蔵さんはどこかで嬉しそうに首を鳴らしながら、両腕を腰辺りの高さで広げ待ち構えます。
あの太い腕で抱きしめられたら、どれほどまでの夢心地なのでしょう。
「ハッ!」
「お?なるほど」
どうやらサイファーさんは、ヒット&アウェイ戦法でいくみたいですね。
しかし、彼女は忘れているようです。自分とのリーチの差を
「考えたみたいだけど、その手の戦法は嫌という程見てきてるよ」
「くっ!このロートルが!」
自分の射程外から、鉄鎚のごとき拳が風を切る音と共に繰り出され、ヒット&アウェイがアウェイしか出来てません。おや?サイファーさん、これは何か狙ってますね。
「隙あり!」
「なるほど、そう来るか!」
五百蔵さんが突き出した右ストレートに飛び付き、腕ひしぎを極めました。いえ、極ってませんね、軽々と持ち上げられてます。
やはり、今流行りの見た目だけの筋肉とは違いますね!
「ふむ、サイファー嬢。少しばかりタイミングが不味かったね」
「ちっ!」
どうやら、五百蔵さんの勝ちみたいです。サイファーさんをピクシーさんの隣に降ろして、評価をくだしてますね。
「二人共、筋は良いけど格技訓練あまりやってないでしょ?」
「必要無かったから」
「近付かれないから」
「でも、それで洋さんにやられたよね?」
「「うっ!」」
図星の様です。しかし、あれは仕方ないかと。寧ろ、あのお方相手によくぞあそこまで食い下がったものです。私達では、霧島か金剛姉様ぐらいでしたよ。あのお方とまともにやりあえたのは。
私と比叡姉様ですか?あの軍勢の半分までは行けたのですが、そこで大破判定貰いまして終了です。
「洋さん言ってたよ?あれで格闘技術が身につけば、見違えるのにって」
「「むぅ・・・」」
考えてますね。あ、五百蔵さんが此方に来ます。
「榛名さん、コート預かってもらってすまないね」
「あ、いえ、このぐらい構いませんよ」
お礼!お礼言われましたよ!FOoooo!
「それじゃあ二人共、医務室行って診てもらってきなさい」
「「ういーす」」
ピクシーさんとサイファーさんが医務室に向かいますが、何故か五百蔵さんに見えないように生暖かい笑顔とサムズアップを私に向けてきました。
もしかして、バレてます?
「なあ、榛名さん」
「なんでしょう?五百蔵さん」
まさか、五百蔵さんにまでバレた?!かくなる上は、ここで金剛姉様直伝『バーニング・ラブ』するしか・・・
「あれ、何?」
どうやらバレては無い様です・・・
ともあれ、五百蔵さんの指差す方向を見ると家の空母組が磔刑に処されていました。
「どうやら、あのお方をまた怒らせたみたいで・・・」
「ああ・・・ 洋さん怒らせたのか、何やってんだか」
簡単な顛末はこうです。
瑞鶴さんが射撃訓練でヘマをしまして、それをあのお方が咎めて、瑞鶴さんが謝れば良かったのですが、何を思ったのか瑞鶴さんがあのお方に反抗しまして、瞬間で磔刑に処されました。
因みに、あのお方はAMIDA 鎮守府の龍驤さんを気に入って、横須賀訓練海域にてタイマン訓練してます。
強く生きてください、龍驤さん・・・
「あの人怒らせるとヤバイのに、学習せんのかね?」
「アハハ・・・ ささやかな反抗のつもりだったんでしょうね、その代償は凄まじいモノになりましたが」
「まったくだ」
そう言いコートを羽織る五百蔵さんの両腕をチラリと見てみると、その腕と拳には細かな傷が幾つも刻まれていました。
「あの、五百蔵さん。その傷は?」
「ん?ああ、これかね、恥ずかしい話、若い頃はちょっとばかりやんちゃしててね、その時の傷だよ」
「そうなのですか?意外ですね」
「そうかね?」
「はい、意外です」
秘められた過去?まであるとは、最高です!最高です!
このあと、如月さんのお見舞いに行った吹雪ちゃんを迎えに行くと言うので、一緒に行きました。
如月のお見舞いに行った吹雪を迎えに行く二人を、茂みから観察する影が二つあった。
「フムフム、あの人が榛にゃんの想い人かね?ほなみん」
「そうなのだよ、鈴やん」
横須賀鎮守府提督『磯谷 穂波』と横須賀鎮守府所属重巡洋艦娘『鈴谷』だ。
この二人、歳が近いせいか仲が良いのである。
「見た感じ、悪くはなさそうね」
「多分、あと一押しだと思うけど榛名ちゃんだから」
「榛にゃん、あんまりグイグイ行くタイプじゃないもんねー」
二人して仕事をサボっての覗きである。
関係無いことだが、我が国には『因果応報』という言葉がある。簡単に言うと、悪いことすると悪いことあるよ、ということである。
何故こんなこと言い出したかと言うと
「ドーモ、テイトク=サン、スズヤ=サン。ケンペイデス」
「「アイエエエエエ!ケンペイ=サン?ケンペイ=サンナンデ?」」
こう言うことである。
「カイシャクシテヤル、ハイクヲヨメ」
「「アババババ、慈悲は!救いは無いんですか?!」」
「ナイ!イヤー!」
「「グワー!」」
テイトク=サンとスズヤ=サンはしめやかに爆発四散!
「んあ?何か聞こえたような?」
「気のせいですよ、五百蔵さん」
提督、鈴谷さん。勝手は榛名が許しません・・・
オマケ 龍驤さん危機一髪
「アカンアカン、こんなん無理や!」
「何を言っているのですか龍驤さん?たった『千機』程度の艦載機、落とさずして空母艦娘は名乗れませんよ」
「そんなんアンタだけやー!」
龍驤さん、強く生きて!
ルート正常に進行中