あと、今更ですがこの世界のイェーガーはパワードスーツ仕様になっています。
追記
活動報告に、この作品に対する作者の悩み「ふむ、どうしよう」を投稿してますので、良かったらどうぞ
「平和なのです」
「平和だね」
横須賀鎮守府超大型ドック「夕石屋」の出入口にある休憩所に設置されたベンチに座り呟くのはAMIDA 鎮守府所属の電とシュトリゴンの二人である。
「平和だね」
「平和なのです」
「あかーん!」
「ほら、どうしたのです?たかが急降下爆撃機五千機程度捌いてみせなさい」
「ドイツの魔王クラスが五千機とか無理に決まっとるやろー!」
「何を言っているのです?初代龍驤さんはこの三倍以上の数の敵を撃墜しましたよ。ならば、貴女にも出来る筈です」
「無理やー!!」
「平和なのです」
「平和だね」
空を埋め尽くす爆撃機からの攻撃を避けながら喚く龍驤と佇み微笑む鳳 洋を見ながら、瞬間で龍驤を見捨てる覚悟を決めた二人であった。
「そう言えば、なんで龍驤さんはあんなに気に入られたのです?」
「ん~?確か、空母組が鳳さんに反乱すると同時に鎮圧されてまた磔刑に処された時に巻き込まれて、一人だけ反撃してあの人に一撃当てたからだと思うよ」
「流石は龍驤さんなのです。しかし、横須賀空母組は懲りないのです」
横須賀空母組が反乱を起こし鎮圧され磔刑に処されるのは、これで電達が知る限り二回目である。
因みに、一回目は攻撃出来たのに二回目はそこに至る以前に鎮圧(○○)され、そのあまりの情けなさが鳳 洋の怒りに触れ以前より厳しく磔刑に処された。
「それにしても、鳳さんは何者なのでしょう?」
「元艦娘で大戦時の英雄、としか分からなかったんじゃなかったっけ?」
「それしか分からないというのも、考えものなのです」
電とシュトリゴンも如月同様に、横須賀AMIDA を秘密裏に飼い慣らし彼女に関する情報を探っていたが結果は空振り、当たり障りの無い情報ばかりが見つかったのだが、何体かのAMIDA は核心に迫る情報を見付けたらしく急いで報告に戻ったが、蒼白い軍勢により皆殺しにされたと、他のAMIDA の報告にあった。それも自分達が戦った軍勢とは比べ物にならない様な連中だったようだ。
「好奇心猫を殺す、と言いますし諦めるのです」
「そうだね、これ以上犠牲が出るのは避けたいしね」
二人が揃って溜め息を吐き出したと同時に、「夕石屋」から声がかけられた。
「おーい嬢ちゃん達、暇なら見学でもするか?」
「榊原班長なのです」
「榊原班長、ちーす」
「おう」
二人に声をかけたのは灰色のツナギを着込みサングラスをかけた男『榊原 孝太郎』横須賀鎮守府ドック「夕石屋」装備船舶整備班班長である。
「見学していいなら、是非したいのです」
「うんうん」
「それなら、ついてきな」
二人に手招きをし、案内を始める榊原とそれについていく二人であった。
ここで幾つか確認がある。ここ横須賀鎮守府の提督は誰か、ここ「夕石屋」の責任者は誰か、ここ横須賀鎮守府に住まうのは誰か、答えは順番にアホと変態と一部の人々のアイドルである。
そんな鎮守府のドックがまともである訳もなく、二人はいきなり変な装備を発見する。
「あの、榊原班長?」
「ん、どうした?」
「あれ、何なのです?」
そこにあるのは、恐らく金剛型戦艦娘の比叡か霧島の装備だった。
ならば、何故恐らくかと言うと
(電、あれって、オトキャだよね)
(序でに、ヒトキャもあるのです)
クロスしたアームの上部二本にガチタンの頼れる味方オートキャノン、下部の二本にはこれまた味方のヒートキャノンが砲の代わりに搭載されており、その装備が格納されているハンガーにはオートキャノンがもう二つ追加で格納されていた。
「ああ、あれか。比叡の嬢ちゃんの装備だな」
「比叡さんの・・・ですか?」
「ウソだぁ」
何がどうしてそうなった?二人が知る限り横須賀鎮守府における常識人の装備がまさかのガチタン仕様とか、なんの冗談だと叫びたい二人である。
「マジだよ、それにここの金剛型姉妹は有名だぞ」
「え?」
「『豪運の金剛』って聞いたことないか?」
「『豪運』ですか」
榊原曰く、どこぞの駆逐艦も真っ青な運の強さらしく直撃した筈の砲弾が突如反対方向へ飛んでいった。魚雷が敵に向かって戻っていった。金剛を狙ったら砲弾が不発、もしくはまともに飛ばなくなる。ならば、ゼロ距離でと敵戦艦がゼロ距離で砲撃しようとすれば砲頭が爆発し敵戦艦は轟沈、しかし金剛は無傷の上、その時舞った火で葉巻を吹かしていたり、艦載機に狙われれば艦載機が謎のエンジントラブルやら搭載した爆弾が爆発したり機銃が暴発したりして次々に撃墜されていくらしい。おまけに空母も気づけば沈んで、その沈んだ空母の巻き添えで潜水艦も沈んでいるとか、訳がわからん運の強さを持っており、だからこその『豪運』の異名だそうだ。
「霧島の嬢ちゃんも『紅霧島』とか呼ばれてるしな、妙な名がついてないのは比叡と榛名の嬢ちゃんぐらいか」
「『紅霧島』ですか」
「言っとくが、酒じゃねぇぞ。帰投してきたら、いつも敵の返り血で全身真っ赤に染まっているからだ」
砲撃戦より近接戦、比叡と共に敵陣に突っ込み戦艦だろうが鬼級姫級だろうが、問答無用で殴り倒し首を引っこ抜いている。後、潜水艦狩も好きらしく嬉々として水中から潜水艦を引きずり出しバラバラにして辺りに撒き散らしている。そのためついた異名が『紅霧島』
彼女が通った後には紅い航跡と無惨な破片しか残らない。
「訳が分からないのです」
「何その二人、戦いたくない」
「だよな」
因みに、戦艦が潜水艦に手出し出来ないとか人の姿なのになんで?という疑問のもと、試してみたら出来たので良しとしているらしい。
「えと、あの青いのは?」
「その霧島の新装備の『ロミオ・ブルー』だ」
そこにあったのは青い鉄の巨人だった。長い腕、太い手指、胸から屹立する衝角を備えた巨人が立っていた。
「あれ、これって?」
「どうしたのです?シュトリゴンさん」
「気付いたか嬢ちゃん、これは五百蔵さんと家の司令が使っているのと同じイェーガーだよ」
「イェーガーですか」
「そうだ、イェーガーだ」
「なんというか、趣味の世界なのです」
「そうだろうそうだろう、俺もこの歳でこんな機械弄れるのが嬉しくてなぁ」
「「マ、マッドエンジニア(なのです)」」
手刷りに手をつき顔を伏せ、身を震わせながら笑う榊原に二人は引いた。大いに引いた。
この後、横須賀AMIDAの繁殖場を夕石屋の二人に案内される電とシュトリゴンであった。
金剛と霧島がおかしくなった