バケツ頭のオッサン提督の日常   作:ジト民逆脚屋

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どうも、逆脚屋です。「バケツ頭のオッサン提督の日常」第42話です。
今回は、伏線回収!榛名編です!強引に回収します!

それでは始まります!「バケツ頭のオッサン提督の日常」お楽しみください!


オッサン、答えを出す

横須賀鎮守府第二執務室、普段は資料室として扱われている部屋であるが、最近は違う。埃が積もった資料は脇に退かされ、真新しい書籍や資料が山脈の如く山積みにされていた。

その山脈を構成する山積みの資料や書籍に劣らぬ巨体の持ち主が執務机に向かい、資料片手に只ひたすらにペンを走らせていた。

 

「終わらん、何故だ。いかん、このままでは間に合わなくなる」

 

時刻は午後四時を回っており、『彼女』と約束した時間まであと三時間である。だが、身仕度を整え準備をしていたらギリギリの時間だ。

吹雪君も頑張ってくれてはいるが、資料が膨大で手が回りきってない。

 

「提督、私のことは良いので早く行ってください!」

「そこまで必死にならなくても、良いじゃないかな?」

「何言ってんですか!いいから早く!GO!!」

「イエスマム!」

 

凄い剣幕で言われたよ。確かに、時間に遅れるのはイカンが、吹雪君があんなに必死になることかな?俺の問題なのに。

如月嬢達とコソコソしてたのを何回か見たことがあるが、なんかあるのかね。

おっと、イカン。早く準備をせねば、マジで時間が無い。

 

 

 

 

 

 

 

計画第一段階成功です!早速、司令部に報告しましょう。

 

『HQ HQ 、こちらマロース。目標は行動を開始した。繰り返す、目標は行動を開始した』

『こちらHQ 、こちらでも確認した。マロースは引き続き任務を続行せよ』

 

了解、の言葉を無線を切り追跡を行う為にヘッドホンを装着、おまけにパーカーの迷彩機能をスイッチon。

フフン、これで完璧な追跡者の完成です。さあ、レッツゴーです!

 

「HEY!吹雪。そこで何してるネ?」

「え、金剛さん?」

 

そんな!私の追跡は完璧な筈なのに、どうして?というか、この人何処から現れて?あれ、迷彩機能のスイッチが入ってない。

いえ、今はそんなことより提督の追跡が重要です。なんとかして、誤魔化さないと!

 

「あ~、その、ですね?」

「吹雪、良い茶菓子がありまス。ティータイムにしましょウ」

 

ティータイム!素晴らしい響きです!ホアァッ!いけません、私には任務が・・・

 

「榛名特製ケーキもありますネ」

「行きます!」

 

榛名さん特製ケーキです!イヤッフー!今が駆け抜ける時ですよーう!いざ、金剛さんのお部屋デース!

 

『マロース?おーい!マロース!マッロースッ!』

「HQ HQ 、こちらハードラック」

『!!』

「私の大事な義弟と妹が、これから己の答えを出すのでス。余計な手出しは無用でスネ」

『もし、手出しするなら?』

「悪戯の過ぎた悪い子はオシオキされるのが、世の定めでスヨ。如月?」

『ッ!総員、撤退!繰り返す総員、撤退!』

「グッドラーック、ガールズ」

 

金剛はそう言い残すと、無線機を近くのゴミ箱に放り投げ、僅かに息を吐いた。

 

「フ、良いものデスネ。家族が増えるのハ」

 

嘯き、コートの内ポケットから葉巻を取り出し火を灯し、壁に背を付け煙がたゆたうのを暫くの間、目を細めながら眺め、紫煙を口の中で転がし吐き出し廊下を流れる風に引かれながら、ゆっくりと消えていく紫煙を見送り微笑む。

 

「さ、楽しい楽しいティータイムの時間でス」

 

コートを翻し、自室へと戻る。早く戻らねば可愛い可愛い姪が待ちくたびれてしまう。どんな茶を淹れようか、ダージリン?アッサム?それともアールグレイ?いっそのこと、オリジナルブレンドにしようか。

いや、ここはミルクティーでいこう。少しだけ濃いめに淹れた紅茶にたっぷりのミルクと砂糖を入れた、蕩ける様に甘い甘いミルクティー。吹雪の喜ぶ顔が目に浮かぶようだ。

 

「フムン、折角ですシ如月達も呼びましょうカ」

 

楽しい時間は人数が多い方が良い。しかも今日は、最高に良い事が起こるのだ。否、起こすのだ己の『豪運』が。

 

「さて、冬悟、榛名。貴方達の答えを、私は楽しみにしてまスヨ」

 

『豪運』は笑う。愛する家族の幸せを確信して静かに紫煙を燻らせ笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

ど、どうも榛名です。いい、今私は横須賀鎮守府の入り口に居ます。

じ、実はですねね、いいいい五百蔵さんにですね!なななんと!お食事にさ、誘われれれれましてですよ!

ここに居るわけですますよ!

 

「大丈夫でしょうか?変じゃないですかね」

 

誰が居るわけでもないのに、確認してしまいます。だって、今着ているのはドレスなんですよ!ドレス!こんなの初めて着ましたよ!

金剛お姉様と比叡お姉様二人によるコーディネートですが、ちょーっと露出が多すぎやしませんか?背中とか胸元バックリ空いちゃってますよ!

 

「申し訳無い榛名さん。待たせてしまったようだ」

 

その謝罪の言葉と共に、五百蔵さんが来ました!急ぎ振り向き、そちらを見ると・・・

 

「榛名さん、どうかしたのかね?」

 

スーツ姿の五百蔵さん!アリです!大いにアリです!大アリです!ホアァー!

 

「なんでもないですよ?」

「そうなのかね?」

 

そうなんです!そうなんですよ!

 

「では、行こうかね榛名さん」

「は、はい」

 

五百蔵さんが腕を差し出して来ました。これはまさか!掴まれということなんですね。月が照らす下、殿方と腕を組んで歩くなんて、夢のシチュエーションですよ!

ホアァーッ!ホアァーッ!!腕!腕組んでますよ私ぃ!Fooooo !!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヨォーシヨォーシ、落ち着け俺。素数とか色々数えるんだ。右ヨーシ左ヨーシ俺にヨーシお前にヨーシ、何言ってんだ俺?

いやね、エスコートしようと腕を差し出した訳なんですよ。榛名さんのことだからそっと来るもんだと思ってたら、割と勢い良く掴まってきてビックリしたよ。

しかも、ドレスが露出がかなり際どい奴で、正直な話、目のやり場に困る。

これ絶対、金剛嬢と比叡さんの差し金だ。オノレェ・・・

 

「しかし榛名さん、すまないね。急に食事に誘ってしまって」

「い、いえ、全然問題無いですよ!」

「そうなのかね?」

「そうなんですよ」

「・・・」

「・・・」

 

話が、続かない!誰か助けてください、俺に、俺にトークスキルをください!四葉さん!君の軽快なトークスキルを俺に授けて!

あああぁ、そうこうしてる内に店が見えてきちゃったよ。

 

「五百蔵さん、彼処ですか?」

「ああ、此処だ」

 

着いちゃったねぇ、金剛嬢オススメの店にさ。

覚悟は決めた。後は、それを行うだけだ。さあ、行こうかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金剛お姉様。想い人と食事が出来て榛名は今、最高に幸せです!幸せなんですが、肝心のお料理がちょっと・・・

 

(あの、五百蔵さん。これ)

(おかしいね、金剛嬢のオススメの筈なんだが)

 

なんと言いますかそのぅ、味が濃いと言いますか、味付けが大胆と言いますか、えぇと、はっきりと言いましょう。

 

((マズイ))

 

美味しくないんですよね。サラダとかパンは美味しいのに、メインのビーフシチューが美味しくないんですよね。味が濃すぎますし、脂が浮いてますし、お肉はホロリと崩れずにグニュリと切れる。なんですかこれ?

 

(あのお姉様がこの様なお店を薦めるとは思えません)

(確かに、あの金剛嬢が薦める訳が無いな)

 

金剛お姉様は高級嗜好で、衣服や小物茶器、茶葉や茶菓子、葉巻に至るまで全てが最高級品という拘りを持ちます。そのお姉様がこの様なお店を薦めるとはとても思えません。

 

(取敢えず、これは下げてもらってデザートか飲み物を頼もうか)

(そうですね、これ以上はちょっと・・・)

 

厳しいですね。正直な話、ビーフシチューではなくビーフシチュー味の脂を食べている気分です。

五百蔵さんも同じのようで、顔をしかめています。結構辛そうです。

 

この後、私はレモンティーを五百蔵さんは珈琲を頼み、ゆっくりと飲みながら色々な事を話しました。

最近、北海鎮守府の隣に深海棲艦との友好の為に大使館が建てられた事や、吹雪ちゃんの食欲暴走事件の事、色々なお話をしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、食事も済んだ。目的はここからだ、榛名さんとの関係にケリを付けよう。

 

「あ~、榛名さん?」

「な、なんでしょう?」

 

気付かれてるかな?まあ、どちらにしても突っ切るだけだ。

 

「俺は、決めたよ」

「何をでしょう?」

「君に言わなければいけない言葉をさ」

 

さあ、五百蔵冬悟よ。一世一代の大勝負。丁度良く、月も出ているんだ、決めろよ。

 

「月が綺麗ですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『月が綺麗ですね』この言葉を聞き理解した瞬間、私は己の心臓が飛び跳ねるのを感じました。

だって、いきなりですよ。いえ、薄々感じてはいました、何かあるんじゃないかって。

金剛お姉様や比叡お姉様が、如月さん達が、提督が、吹雪ちゃんが何かコソコソしているのは知ってましたし、今日のドレスだって二人のコーディネートです。

 

「私は、榛名は・・・」

「ああ、榛名さん。これを受け取って貰えないかな?」

 

五百蔵さんがコートのポケットから、小さな箱を取り出し開けると、そこには大小の銀の輪が二つ並んでいました。

 

「榛名さん、俺と結婚を前提に付き合ってくれ」

 

ああ、私は幸せです。

恋に恋した小娘に、ここまで真剣に考えてくれる貴方が好きです。

 

「冬悟さん、良かったらその指輪。着けてもらえませんか?」

「ああ、では失礼」

 

私は貴方に逢えて良かった。

貴方の手が私の手に触れ、薬指に指輪を通す。只、それだけで私の胸は張り裂けそうです。

一目惚れという軽いとも言える想い、これを捨てなくて良かった。

喩え、安い女と呼ばれても構いません。私は貴方の傍に居たい。

 

「どうかね、キツくはないかな?」

「大丈夫です」

 

貴方は私の想いに答えてくれました。次は私が貴方の言葉に答えます。

 

「五百蔵さん、いえ、冬悟さん。私は死んでも良いです。私は貴方の傍で最期を迎えたい」

「俺もだ、榛名。俺も君の傍で朽ち果てよう」

 

「「死が二人を別つまで共に居よう」」

 

この後、月に照らされながら二人並んで鎮守府への海沿いの帰り道を歩みました。

鎮守府に着いても誰も居なかったのは皆、気を使ってくれたのでしょうね。




これで一応、榛名は片付いた、次は吹雪だ!

今回出てきた店は、後日潰れました。どうやら『運』に見放された様です。
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