バケツ頭のオッサン提督の日常   作:ジト民逆脚屋

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どうも逆脚屋です。バケツ頭のオッサン提督第5話です。今回、ようやくチェルノ・アルファが活躍します、長かった本当にここまで長かったよ!
それでは始まります!「バケツ頭のオッサン提督の日常」第5話!お楽しみください!

追記
村雲洋さんの名字を変更しました。


オッサン、出撃する 

あっ、どうも五百蔵冬悟です。只今、私は北海鎮守府近海沖にいます。いやぁ、こんな天気のいい日に水上散歩が出来る日がくるなんて夢にも思わなかったよ。それもこれも今装備しているチェルノ・アルファのおかげだね!

話が逸れましたが、何故私がこんな沖合いに居るかと言いますと

 

『提督!目標、右後方から接近中!!』

「っ!今度はそっちからか!」

 

とまあ、こんな具合で戦闘中なんですよね、現在進行形で、とにかく吹雪君の指示に従い、右後方に振り返りながら『ソイツ』に打ち下ろし気味の左フックを放つが『ソイツ』は空中で身をよじり簡単にこちらの攻撃を避ける。しかもこちらに一撃かましていくオマケつき

 

「くそが!やっぱ早ぇしめんどくせぇこいつ!」

『提督!大丈夫ですか?!』

「問題ない、ダメージはゼロだ!」

 

俺がなにと戦っているかというと、皆さんも歴史とか生物の授業で一度はその名を耳にした事があるであろう生物、日本語に直訳した名は『奇妙なエビ』、中国語で『奇蝦(きか)』と呼ばれる生物

 

『キアアアアアァァァ!』

『提督!次正面から来ます!』

「こんにゃろぉ!調子に乗んな!」

 

古代地球、カンブリア紀最大にして最強の頂点捕食者、かつての大海の支配者、その名は!

 

 

 

      〔アノマロカリス〕

 

 

 

 

ことの始まりは今から三日前に遡る、いつものように執務室で書類を処理しながらあることを考えていた。

 

(やっぱ、車は必要だよなぁ、今のままだと買い出しが後々しんどくなりそうだ。)

 

つい最近、吹雪君から聞いたことなのだがこの鎮守府には他の鎮守府にある設備が無いそうだ。いや、まったく無いという訳ではないのだが、本当に最低限しかないらしい 

例えば、艦娘用の整備ドックこれは現時点での稼働率が最低レベルであり艦娘の治療及び装備の整備点検は出来るが艦娘の建造、装備の開発は不可能とのこと。ただし、装備の開発に関しては民間の工房を買い取って鎮守府の敷地内に移してあるのでそこで行うらしい。

それでなぜ車が必要になりそうなのかと言うと、吹雪君曰く、

 

「新しく建造するのは不可能ですが、もしかすると他の鎮守府から配属されるかもしれません。ですから頑張りましょう提督!」

 

とのことであり、今から車を用意していた方がなにかと便利なのだ。正直なところいまでも買い出しはしんどいのだ。現在、二人分の食糧や日用品を一週間分まとめ買いするという方法をとっている。これだけ聞くと問題無いように聞こえる、移動手段が原付か自転車もしくは徒歩でなければ

 

(財政的にも車を買う余裕は無いし、どうすっかなぁ?)

 

すると、外から原付のエンジン音が聞こえてきた。

 

「吹雪君がお使いから帰ってきたか」

 

鎮守府前の駐輪場に原付を停め、執務室に入ってきた。何故か慌てながら

 

「提督!提督!ビッグニュースです!」

「うん吹雪君、なにかあったのはわかったから、少し落ち着こうか?」

「すいません提督、でもビッグニュースなんです!」

 

いったい何があったんだろう?少なくとも彼女が愛用のゴーグル付きのヘルメットを脱ぐのを忘れる程の事があったのだろう

 

「でいったい、何があったの?」

「はい!提督、車が手に入るかもしれません!」

「マジで!?」

「はい!マジです!」

 

マジか!やった!

 

「それで、どこでそんな話を聞いてきたの?」

「魚屋の洋さんからです。」

「洋さんから?」

 

洋さんとは、買い物に行くとよく出汁に使う昆布とか小魚とか一緒に売ってる惣菜とかをオマケしてくれるうち行き着けの魚屋の女将さんだ、あそこの昆布巻き、甘めの味付けで好きなのよ、俺も吹雪君も。

 

「しかし、なんでいきなりそんな話になったの?」

「この間、買い出しに行った時、車が欲しいっていう話してたじゃないですか?」

「うん、してたねぇ」

「それで、その話を聞いた洋さんが家で使ってない車が有るからって」

「よし!さっそく洋さん家に行こう」

 

善は急げ、思い立ったが吉日だ

 

「はい!」

 

そして、俺たちは洋さんの待つ待つ〔鳳鮮魚店〕へ向かった。

 

「洋さーん!提督連れてきましたよ!」

「毎度ぉ、五百蔵でぇす!」

「いらっしゃい、二人とも」

 

そう言い店の奥から顔を出したのは、雪のように白い肌と抜群のプロポーションを持つ美女〔鳳鮮魚店〕の女将『鳳 洋』さんである。

 

「今日は、吹雪君からお話を聞いて来ました。」

「連れてきました!!」

「あらあら、吹雪ちゃん偉いわねぇ」

「それほどでもないです!」

 

こんな感じでとてもおっとりした人で、吹雪君はとてもなついている。

 

「五百蔵さん、車の件なのですが、少し条件がありまして」

 

申し訳なさそうにそんなことを言われた。

 

「条件?ですか、それは一体どのようなものでしょうか」

 

申し訳なさそうに、告げられた内容は以下の通りである。

最近、沖に出た漁船が何者かに襲撃されるという事件がおきており、問題になっているのだという。襲われた漁師の話によると、最初は近海に棲む深海棲艦のイタズラかと思ったらしく、船に備え付けてあるお菓子をやろうと操舵室から出て甲板縁から海を覗くと、体長およそ6mの巨大生物がいたらしい、驚きながらも急いで船を急発進させなんとか逃げ切れたと思った処が突然、船に衝撃が走り船員に確認させると、側面に深く切りつけたような跡があったらしい、幸いにして、死傷者は出てないが今のままだと時間の問題だ。なのでその巨大生物をなんとかして欲しいとのことだ。

 

「もし、無理でしたら構いませんよ。」

「そう言われましても、こちらも一応軍属ですので、市民からの陳情を無視する訳にはいかんのですよ。」

「提督もそう言ってますし、喜んでお請けします。」

「ありがとうございます!」

 

とまあ、こんな感じで海域の調査を始めたのが三日前、そしてこの戦闘が始まったのが約30分前である。

 

 

『提督!付近の漁船の避難完了しました!』

「吹雪君はそこで漁船の護衛を続行してくれ!」

 

チェルノ・アルファの頭部内にある通信機に向かって叫ぶ

 

『り、了解しました!』

「頼んだ!」

『提督、後ろです!』

 

瞬間、背中に衝撃が走り吹っ飛ばされた。

 

「くっそが!」

 

つうか、俺が知ってる〔アノマロカリス〕と全然違うんだけどアレ!

体の形や特徴的な触手とかは一緒なんだけど、細部が全然違う、俺が知ってる〔アノマロカリス〕は飛び魚よろしく海面から飛び出して滑空しないし、体の側面にあるヒレで切りつけたりしない。

とにかく、急いで体勢を戻し、襲撃に備える。

 

「吹雪君、次は何処からくる!」

『右から来ます!』

「よっしゃ!来いやぁ!」

『キイイイイイィィィ!』

 

〔アノマロカリス〕の突撃を受け止め、抱き抱えると頭部にある触手でこちらの頭を抱え込みかじりついてきた。

 

「うおぉ!ガリガリうるせぇ!」

『提督!?』

「心配しなさんな、こんなもん効くわけないだろう」

 

こちらにかじりついている〔アノマロカリス〕を力任せに引き剥がし、近くにあった岩礁に叩き付け押さえ込む、

 

『キアアアアアァァァ!』

 

暴れる〔アノマロカリス〕を無視し、その頭に鉄拳を叩き込む。

 

『キイィィィ』

「まだ、生きてんのかしぶといな。」

 

いまだに暴れ続ける〔アノマロカリス〕の頭に再度、拳を叩き込む。今度はギミックを起動して

 

「これで、終わりだ!」

 

ガコンッという音の後、チェルノ・アルファの拳がパイルバンカーのようにアノマロカリスの頭部目掛けて撃ち出され、頭部ごと岩礁を粉砕する。

 

『ギイイィ』

「やっと終わりか、あ~疲れた」

『提督、お疲れ様です。』

「吹雪君もお疲れ様、今から帰るよ」

『はい!港で洋さんとお待ちしてます。』

 

通信機から聞こえくる吹雪君の声に癒されながら、港への帰路についた。

 

港に帰りつくと、担いでいたアノマロカリスを下ろしチェルノ・アルファを解除した。

 

「ただいま~」

「お帰りなさい、提督」

 

吹雪君が笑顔で出迎えてくれた。可愛い、癒された。オッサンのSAN値が100回復した。

 

もって帰ってきたアノマロカリスだが、なんとコイツ喰えるらしい。なんでもこの世界では最高級品であり、味は伊勢海老や牡丹海老、車エビなどの良いところを全部足して2を掛けたような味とのこと、しかし捕獲難度が高いのと滅多に人前に現れない希少性、そして調理に資格が必要というなんともめんどくさいヤツである。

しかも、資格が必要な理由が、オメーどこの少年誌に連載してるグルメハント漫画に出てくるフ○鯨だ!と言いたくなるような特性なのだ。

 

「しかし、洋さん本当に貰っていいんですか?」

「構いませんよ、この程度の物で良かったらいくらでも持っていって下さい。」

 

なんと、最高級品である〔アノマロカリスの肉〕を車と一緒にくれるというのだ。少し申し訳ない気がするので確認すると上のような答えが返ってきた。やったね

 

「それでは、私どもはこれで」

「はい、今回は本当にありがとうございました。次、お買い物に来られたときは、いっぱいオマケしますね」

「いえいえ、お構い無く。吹雪君、帰るよ。」

「はい、提督、洋さんもまたなにかあったら家に連絡してください。」

「ええ、吹雪ちゃんも今日はありがとう」

「洋さん、吹雪君の言う通り何かありましたら家に連絡してください。それでは」

 

報酬の車(軽トラ)に乗り、鎮守府に帰る、今晩はご馳走だ。

 

その日の夜、吹雪君が寝静まるのを待って、アノマロカリスの刺身で一杯やろうとしていると

 

「提督、何してるんです?」

「ふ、吹雪君、いやこれはだね」

 

どうやら、起こしてしまったらしい、こちらの手元にある刺身を見ると、寝ぼけた目をクワッと見開き

 

「提督だけズルイです!」

 

そう言って、半分以上の刺身を奪われた。オッサンのつまみが、まいっか、吹雪君可愛いし

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?初の戦闘回がこんなんでいいのかと、自分でも疑問でしたがシリアスは次回からだし、問題ないよね
ちなみに作者は、ホタテの刺身が好きです

それではまた次回お会いしましょう!

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