バケツ頭のオッサン提督の日常   作:ジト民逆脚屋

63 / 130
安心と信頼のネタ回


艦息セレクション

目の前に広がるのは海、そして

 

「なあ、木曾」

「なんだ、天龍」

「始まりの町が廃墟って、初体験だな」

「・・・そうだな」

 

廃墟となった町並みであった。

まるで、何かに襲撃されたかのように、ビルは倒れ道は崩れ、刺々しい肩パッドを付けた連中がバイクで走り回っていた。

 

「ねえ、摩耶」

「なんだ、鈴谷」

「あれ、こっちに来てない?」

「ん?ああ、来てんな」

「来てますね」

「どうするよ?」

「先ずは話し掛ける。ダメなら、ボコる」

 

遠く、砂煙を巻き上げてバイクが数台けたたましい音と共に、こちらに向かって走ってきていた。

皆、一様に刺々しい肩パッドやらを身に付けている。

何か情報を持っているかもしれないから、先ずは話し掛ける。ダメならボコる、メッチャボコる。

摩耶が話し掛けようと

 

「ヒャッハー!新鮮な新人だー!」

「さあ、有り金出せぇー!」

 

したが、どうやら、言葉が通じない種族の様だ。

此方を囲んで回っている。バイクが蹴り立てる砂埃が鬱陶しい。

 

「お?なんだー?コイツら、吹雪連れてるぜぇ?」

「主人公!」

 

ヒャッハーの一人がヘッドホンで耳を押さえている吹雪を指差す。

どうやら、吹雪の様子に怯えていると勘違いしている様だ。吹雪はバイクの音が喧し過ぎて耳を塞いでいるだけだ。

その吹雪が狙い目と、ヒャッハー達は吹雪を狙うが

 

「あぁ?」

「え?」

 

先ずは二台、バイクが真っ二つに斬られた。

木曾と天龍が斬った。ヒャッハーは少しだけ斬った。

 

「はーい、ふぶっちはこっちね~」

「あ、はい」

「そんじゃ、摩耶」

「あいよ」

 

鈴谷が吹雪を抱き寄せ、摩耶が艤装を展開、その左腰を囲う様な曲線を描く艤装の内側にあるグリップを掴む。

ヒャッハーがバイクのエンジンを鳴らし、突っ込んでくる。両者の距離が限り無く零に近付いた。

そして

 

「ぶっ殺されてぇかぁっ!」

 

衝突の瞬間、摩耶の左フックとアッパーの中間のパンチ、スマッシュでヒャッハーはバイクごと瓦礫に叩き付けられた。

 

 

夕石屋¦『え~、聞こえてますか~?』

ズーやん¦『聞こえてる聞こえてる』

夕石屋¦『これから、吹雪さんと鈴谷代表の艤装を送ります。現状は大丈夫ですか?』

ズーやん¦『なんか、世紀末な襲撃受けたけど、解決』

 

「あ?テメエら、誰の妹分に手ぇ出そうとしてんだ?」

「俺達、横須賀の妹分に手ぇ出せばどうなるか、教えてやろうか?アぁ?」

「ヒィ!」

 

おら、飛べ!とか言いながら、ヒャッハー達から小銭を巻き上げている天龍と木曾。

まだ、納得がいかないらしく右ストレートが入った。

 

元ヤン¦『まあ、あんな感じで解決だ』

夕石屋¦『成る程、若葉代表でなくて良かったですね』

邪気目¦『おいおい、若葉はマズイだろ』

船長¦『多分、コイツらを平然と拷問するだろうな。リスキルしながら無言で』

ズーやん¦『だね』

 

密かにヤバイ若葉の話をしていると、吹雪と鈴谷の体の至るところに表示枠が浮かび、艤装が再現されていく。

鈴谷は航空甲板装備、吹雪は何時も通りの艤装、その筈だったのだが

 

空腹娘¦『あの、なんか、艤装が・・・』

ズーやん¦『あれ?ふぶっち、艤装に腕生えてない?』

元ヤン¦『オヤジのチェルノ・アルファの腕じゃねぇか』

 

吹雪の艤装に、チェルノ・アルファの両腕がくっついていた。

吹雪の動きに合わせて、邪魔にならないようにガチャガチャ動いている。

 

船長¦『間違いない、叔父貴の腕だ』

邪気目¦『なんで?』

鉄桶男¦『え?なんで?』

夕石屋¦『ほら、今チェルノ・アルファはオーバーホール中じゃないですか。その中で、廃棄予定だったパーツを整備して吹雪さんの艤装に取り付けてみました!』

鉄桶男¦『何やってんの?!』

 

吹雪が、おー、と感心しながら腕の動きを見ている。

鈴谷が何かを持たせたりして、動きを確かめているとゲーム世界だからか、存外に正確な動きが出来る事が分かった。

 

にゃしぃ¦『吹雪ちゃん、何だか凄い事になっちゃったね・・・』

空腹娘¦『うん、でもこれ、便利だよ』

 

ふぶっちの言う通りに、蝶々結びも出来るようだ。

ヒャッハー達を柱に縛り付けている。ヒャッハーAが抵抗したが、瞬時に押さえ付けられた。

変な方向に折れ曲がっているが、ゲーム世界だし大丈夫だろう。

どうやら、半自立稼働らしい。

 

鉄桶男¦『何で付けた?便利だけど』

夕石屋¦『便利ならいいじゃないですか。班長もノリノリでしたし』

班長¦『いや、済まんな。年甲斐もなくはしゃいじまった・・・』

約全員¦『班長なら仕方ない』

夕石屋¦『あっれ?私達と班長の扱い、あっれ?』

横須賀¦『横から失礼します。夕石屋様と榊原班長様の扱いの差ですが、致し方ないと艦隊総意が取れました事を、ご報告致します』

夕石屋¦『何でだー!』

 

表示枠が中々に騒がしくなってきた。

鈴谷がそう思い、表示枠を閉じようとすると

 

空母勢¦『急募「空の魔王5000機から逃げ切る方法」』

 

とあったが

 

おかみ¦『はい、死んだー ・・・そちらは気にせず、どうぞ』

 

空母勢がまた死んで終わったようだ。

 

「ふぶっち、何か聞こえない?」

「ん~、今のところは何も聞こえませんね」

 

ヘッドホンを耳に当て、探りを入れるが何も反応は無い。

相変わらず、バイクのエンジン音が五月蝿い。

ヒャッハー達はまだ居るみたいだ。

 

鉄桶嫁¦『人は、世紀末になるとバイクに乗る習性があるのでしょうか?』

鉄桶男¦『何なんだろうね、一体』

にゃしぃ¦『寧ろ、そう言う人達が世紀末に生き残るんじゃ・・・』

元ヤン¦『どちらにせよだ、このままだとキリがない』

邪気目¦『あのビルでやり過ごして、情報集めるか』

船長¦『だな』

 

木曾が先導で、廃ビルの中に入る。

中は以外と広く、所々罅が入ったり崩れたりしているが、確りとしていた。

 

「あれか、仮拠点にも使えるってやつか?」

「まあ、あまり長居は出来ないな」

「・・・おい、お前ら、あれ」

「どうしたよ、摩耶」

 

摩耶が窓を指差し、天龍達が静かに覗きこんだ。

その先には

 

『提督・・・提督が、悪いんだ・・・俺より、あんな、あんな男を選ぶから・・・』

『司令か~ん~』

『雷~』

『『アハハ、ウフフ』』

 

約全員¦『うわぁ・・・』

 

木曾によく似た艦息が提督を刺して笑っている横で、セーラー服の艦息と提督がにこやかに弁当食べてた。

 

邪気目¦『え?何これ?』

ズーやん¦『昼ドラの隣で、少女まんがやってる・・・』

船長¦『つかよ、あの提督滅多刺しにしてるの、俺じゃん・・・』

元ヤン¦『すげぇな、宇宙海賊が提督に馬乗りになって、滅多刺しにしてるぜ』

空腹娘¦『何ですこのソリッドワールド・・・』

横須賀¦『横から失礼致します。どうやら、この世界では自分の理想とする鎮守府を再現出来る様です。なので、非常に申し上げにくいのですが、これがあの方々の理想という事に・・・』

にゃしぃ¦『業が深いね・・・』

 

「兎に角だ、この世界に居たらこっちまで頭おかしくなる」

「とっとと、穂波のアホ見付けてボコって連れ帰るぞ・・・!」

 

摩耶と天龍の言葉に全員が頷いた。

これ以上、この世界には居られない。

これ以上居たら、頭がおかしくなる。

全員の心が一つになった。

 

鉄桶男¦『あ~、早いとこ磯谷嬢見付けてね。若葉君が、磯谷嬢のベッドの横にやっとことかスポイトに似た器具を並べ出したから・・・』

わかば¦『生皮・・・』

 

このまま、若葉に任せるのも良いかな?とか思いだした瞬間でもあった。

 




洋さん入れれば一発じゃね?
しかし

親を亡くし艦息になるしかなかった系艦息

「僕、洋が提督で良かった。洋のおかげで、人になれたから」
「・・・・・・い」
「洋?」
「・・・・・・・・・さい・・・・・・なさい・・・・・・ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ご め ん な さ い 」

こんな感じで、軍勢が湧き出てきて阿鼻叫喚の地獄絵図が、開幕されるから、無理!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。