今回は、吹雪の新艤装のびっくりギミックと禿げ眼鏡様より使用許可を頂きました『紅椿・真改』が登場致します!
禿げ眼鏡様、誠に有り難う御座います!
「走れ!走れ走れ走れええぇ!」
「もー!何なのさ?あいつ!?」
「何だっていい!走れ!」
「き、来ました!また来ましたよ!」
「くっそ!しつけぇな!」
走る吹雪達五人の背後、崩れた建物が追跡者が放った極光に焼かれ吹き飛んだ。
五人はその爆風に巻かれながらも、懸命に走り逃げ回っていた。
横須賀¦『皆様、もう間も無く戦闘禁止エリアです!今暫くのご辛抱を!』
横須賀の案内に従い、一もニもなく走る。
背後から迫る追跡者は、容赦なく極光を放ち五人を追う。時折、巻き込まれたヒャッハーが宙を舞っている。
鉄桶男¦『ちょっ!大丈夫かね?皆!』
空腹娘¦『ダメですってこれ!提督!』
にゃしぃ¦『こっちからだと、今一何が起こってるか分からないんだけど、凄い事になってない?!』
ズーやん¦『これはアウト!マジでアウト!』
邪気目¦『マジで何なんだアイツ!』
横須賀¦『皆様、たった今IZUMOから照合が取れました!追跡者はそのエリアのボスエネミー『紅椿・真改』とのことです!』
船長¦『対策!対策案!』
横須賀¦『皆様の現在の装備では、空中を高速で機動する相手に有効打は与えられません!逃げてください!』
元ヤン¦『マジか!チクショー!』
摩耶がヤケクソに撃った砲弾が老朽化したビルに命中し、ビルが倒れる。
「やった?!」
しかし空飛ぶ追跡者が、倒れてきたビルを左腕にマウントされた菱形から出た光で斬った。
船長¦『ビームサーベル!ビームサーベル出したぞ!』
邪気目¦『バッカ!ありゃ、レーザーブレードだよ!』
元ヤン¦『どっちでもいい!逃げろ!』
ズーやん¦『銃!デッカイ銃出した!』
空腹娘¦『うわわわわわ!』
「伏せろぉぉ!」
天龍の一声に全員がその場に伏せる。頭上を朱色の線が走り、吹雪達の眼前の鉄骨に丸い穴を融解させた。
赤く湯気の立つ煌々と光る穴に、顔がひきつる。
「いや、いやいやいやいや!ゲームでも、ここまで再現しなくていいでしょ?!」
「バッカ!相手は穂波だぞ?!」
「あのア穂波がやるゲームだ!何が起きても不思議じゃないが、今は走れええぇ!」
横須賀¦『皆様、御待たせ致しました』
約全員¦『へ?』
横須賀¦『その先を右折してください。そこが戦闘禁止エリアです!』
「行け行け!」
摩耶が矢鱈滅多に砲弾を放ち、目眩ましにビルを崩しにかかる。
だが
「ダメだ!崩れねぇ!」
「摩耶!こっちだ!飛び込め!」
追跡者『紅椿・真改』が背部の砲を展開しようとしたが、摩耶が路地に飛び込んだのを最後に、展開を止め辺りを周回し始めた。
「あ、危なかった・・・」
「ど、どうします?アレ、まだ彷徨いてますよ」
「どうするって言ってもなぁ・・・」
「・・・・・・」
「鈴谷、どうした?」
鈴谷が表示枠を開き、何かを見ていた。
木曾が覗いて見ると、それはこの周辺の地図だった。
鈴谷は、表示枠でその地図を弄り、何かを計算して、程無くして、横須賀に連絡を入れた。
ズーやん¦『横須賀、総長は居る?』
横須賀¦『金剛総長様は只今、留守にしております。なので、御用件は私が御伺い致します』
ズーやん¦『それじゃぁ、課金でここら一帯のエリアを買い取って欲しいんだけど』
邪気目¦『はあ?エリアを買い取る?!』
船長¦『何言ってんだ、お前?』
「このエリア一帯を買い取って、戦闘禁止エリアにしちゃうんだよ」
「出来んのかよ?そんな事」
「課金次第で何でも出来るゲームだよ?廃人プレイヤーはエリア買ってるみたいだし」
「でも、幾ら位になるんですか?」
横須賀¦『試算が終わりました。その一帯のエリアの購入金額は約400万程になります』
紅茶姉¦『ふむ、その程度、買い取っても問題ありまセンネ。費用は私が出シマス。買い取りナサイ』
ズーやん¦『やった!流石、総長!』
鈴谷の作戦、それはこの周辺エリアを買い取って、戦闘禁止エリアに指定するというものであった。
「見た感じ、戦闘エリアから禁止エリアへの攻撃は通らないから、奴を封じ込められるかもよ」
「だけどよ、アレが大人しく封じ込められると思うか?」
木曾の疑問に、鈴谷が頭を抱えた。
「そうだった・・・アレ、絶対大人しくしない・・・!」
「どうやっても、囮役が要るぜ」
自分達を追い回した紅椿・真改。アレを大人しく封じ込めるには、どうやっても囮役が必要になる。
木曾と吹雪は装備で足が遅い。自分と摩耶も速くはない。だとすると、残るは
「俺か」
「天龍、いけるか?」
「任せろよ、俺は、横須賀の天龍様だぜ?」
天龍が自信有り気に笑い、準備を進める。
「天龍さん」
「任せとけよ、吹雪」
「ふぶっちは、管制をお願い。ふぶっちの耳なら、信頼出来るからさ」
「・・・はい!」
不安に天龍を見ていた吹雪だったが、鈴谷の言葉にヘッドホンを当て直して、索敵を始める。
「ん?え・・・?」
各員が準備を進める中、吹雪の肩をつつくものがあった。
ズーやん¦『それじゃぁ、作戦開始!』
鈴谷の号令の元、『紅椿・真改閉じ込めよう作戦』が開始された。
「天龍様の攻撃だぁ!」
紅椿・真改に、天龍の砲撃が当たるが、奇妙な力場で防がれる。
元ヤン¦『おいおい、なんだありゃ?!』
船長¦『バリアとか、反則だろ?!』
空腹娘¦『大丈夫ですか!天龍さん!』
ーー厄介だな!こんちくしょう!ーー
天龍は駆けた。水上であれば僅かに余裕が出るが、今は陸上だ。その僅かな余裕は無い。
喩え、ゲーム世界だとしても、やる事は変わらない。
ーーうおっとぉ!狙いが正確だなーー
なら、自分のやる事をやろう。
天龍は駆けた。
ズーやん¦『横須賀!状況は?!』
横須賀¦『只今、エリア買い取りの処理を行っておりますが、何分買い取り範囲が広い為、処理が遅れております!』
ズーやん¦『解った!摩耶!』
元ヤン¦『あいよ!』
天龍を追う紅椿・真改。摩耶はその追撃ルート上にある電波塔の元に居た。
ボロボロで、押せば今にも倒れそうな電波塔に手を当て、合図を待つ。
空腹娘¦『摩耶さん!カウント5!』
吹雪から合図が来た。摩耶は艤装をグリップし、腰を落とし構える。
空腹娘¦『カウント4 3 2!』
息を吸い、腹に力を籠める。体を捻り、狙いを定め最後の合図を待つ。
空腹娘¦『1 0!』
「おるぁ!」
最後の合図と共に、電波塔の基部。その最後の支えに艤装の船殻を叩き込む。
倒れる電波塔。狙いは、天龍を追う紅椿・真改。
船長¦『マズイ!反応したぞ!』
紅椿・真改が、自分を潰そうとする電波塔に気付き、左腕のレーザーブレードで斬り裂こうとする。
しかし、その左腕は動く事は無かった。
空腹娘¦『鉄腕ちゃん!』
倒れる電波塔、それに自分の肘を器用に使いフックしたチェルノ・アルファの腕が、紅椿・真改の顔面を打撃した。
鉄桶男¦『・・・・・・』
鉄桶嫁¦『・・・あの、冬悟さん?』
鉄桶男¦『いや、なんで?』
鉄桶嫁¦『なんで?と言われましても・・・』
鉄桶男¦『え?なんで、自立してんの?なんで?』
夕石屋¦『わ、私達にも何がなんだか・・・』
班長¦『戻ってから、要調査だな』
おかみ¦『ふむ・・・』
紅茶姉¦『ああ・・・』
約全員¦『何か、解ったの?』
二人¦『内緒デス』
約全員¦『ええ~!』
鉄と鉄がぶつかる激音が周囲に響き渡り、影が崩れ落ちる。
バラバラになった電波塔の下敷きになった紅椿・真改。
未だに動き続けるそれに、吹雪の艤装が鉄拳を連打で降り下ろす。
どうやら、不可思議な力場はあの極近距離では効果は無い様だ。
ズーやん¦『・・・ふぶっち・・・』
空腹娘¦『え~と、連装砲ちゃんみたいな?』
元ヤン¦『あんなアクティブな連装砲ちゃん見た事ねぇよ・・・』
邪気目¦『左右のコンビネーションがすげぇんだが・・・』
船長¦『アッパー入ったな・・・あ、フックも』
横須賀¦『・・・鈴谷様、エリア買い取りが終了致しました。これより、該当エリアを戦闘禁止エリアに指定致します』
ズーやん¦『あ、うん。お願い』
やがて、紅椿・真改が動かなくなったのを確認して、鉄腕ちゃんが四本指で器用にピースし、吹雪の艤装に再度ジョイントされて戦闘は終了した。
「大人しくなった、ね・・・」
「疲れた・・・?」
「吹雪、戻ったら、オヤジか班長に見てもらえ」
「はい・・・」
夕石屋¦『私達は?!』
横須賀¦『再度、横から失礼致します。夕石屋様、霧島副長様から、ロミオ・ブルーの再調整の依頼が入っております』
副長¦『どうにも、足回りが・・・』
夕石屋¦『ああぁ、脚部モーターが・・・!』
班長¦『新規で組み直すか。おい、設計図からモーター引っ張り出せ』
戦闘が終了し、緩んだ空気の中、聞き慣れた声が響いた。
「はーっはっはっはっ!とうとう来たね!皆!」
鈴谷達が買い取ったエリアの外にある整備された建物の屋上に、ターゲットである磯谷穂波が居た。
「まさか、エリアボスの紅椿・真改を倒すとは・・・」
「あ・・・」
「思わなっ!」
得意気に喋る磯谷に、突如再起動した鉄腕ちゃんの瓦礫アタックが直撃した。
お腹が空いた♪お腹が空いた♪キヒヒヒヒ♪