それでは始まります!「バケツ頭のオッサン提督の日常」お楽しみください!
追記
村雲 洋さんの名字を『鳳』に変更しました。ご迷惑をお掛けします。
活動報告にリクエストコーナーを設けました。よろしければどうぞ
夜の町、良い子は眠り悪い子は起きてる時間、昼間の喧騒は何処に行ったのか、すっかり静かになった町でいまだに昼間の喧騒を保っている場所がある。
「「「カンパーイ!!!」」」
アルコールが入った者特有の陽気な声が響く、昼間の仕事の疲れを癒し、明日への活力を満たす場所、この町における大人の夜の憩いの場、『鳳鮮魚店』の女将「鳳 洋」さんが鮮魚店と共に経営する『居酒屋 鳳』である。
体格のいい漁師達がたむろする店内で、一際異彩を放つ巨体を持つ男が一人、カウンター席で酒を呑んでいた。
「洋さん、お銚子もう1本ちょうだい。」
北海鎮守府の提督「五百蔵 冬悟」35歳のオッサンだ。吹雪が寝ついた後、時折こうして町に呑みに来ているのだ。
「五百蔵さん、おつまみはどうします?」
「あ~、そうね?それじゃ『あさりのだし巻き玉子』ください。」
「はい、少々お待ちください、先にこちらお銚子です。」
「あ、どうも」
お銚子を受け取り中身を猪口に注ぎ口へ運ぶ、すると日本酒独特の米の味と薫りが口に広がる。
「ふう」
「お待ちどうさま、『あさりのだし巻き玉子』です。」
「おお、旨そうだ!」
運ばれた『あさりのだし巻き玉子』を一切れ、半分程に割り大根おろしを乗せて食べる。だし巻き玉子の柔らかな食感の中にあさりのくにくにとした歯応え、出汁の味と香りが広がり、それを大根おろしがすっきりと纏める。
「旨い、これは酒に合う。さすがですね、洋さん」
「お口にあったようで、なによりです。」
「ご謙遜を、私も料理はしますが、だし巻き玉子をこんなに上手に作れはしません。」
「ふふ、お褒めにあずかり光栄ですわ。提督」
目の前の美女、洋さんは噂によると、昔は艦娘だったらしい。詳細は知らないが今でも軍の上層部に顔が利くそうだ
「五百蔵のダ~ンナ、呑んでる?」
かなり酒が回った様子で声を掛けてきたのは『鈴木 浩市』という漁師で、この間のアノマロカリス事件で俺達が助けた一人だ。
「ダンナのお陰で、俺たちは安全に漁が出来るようになった!感謝感謝感激雨あられだよ!」
「あんた、かなり酔ってんじゃねぇか、奥さんに迷惑かけねぇうちに帰った方がいいぜ」
「そう言うダンナこそ、吹雪ちゃんのことはいいのかよ」
痛いところを突かれた。
「あ~、それは言わないでよ、それを言われるとなにも言えん」
「ダンナも俺と変わんねぇじゃん」
と、そのとき店の扉が勢い良く開かれた。
「提督!見つけましたよ!」
発見の報告と共に現れたのは、吹雪君だった。
「ふ、吹雪君、どうしてここに?」
「勘です!あっ、洋さん、唐揚げください!」
「勘かよ!しかも流れるように注文しやがった!」
「いいじゃないですか、五百蔵さん」
「いや、しかしこんな時間に子供が出歩くのは・・・って!吹雪君!それ俺のだし巻き!」
ハムスターの様に口一杯にだし巻き玉子を詰め込んだ吹雪君がそこにいた。そして口の中のだし巻き玉子をしっかりと飲み込んでから口を開いた。
「提督だけ洋さんの料理を食べようなんて、私が許しません!」
「なんなのそれ!」
「ふふ、はい吹雪ちゃん、唐揚げお待ちどうさま」
「ありがとうございます!洋さん」
「はあ、もういいや、洋さん俺も追加で『焼き茄子の肉味噌餡掛け』ちょうだい」
「はい」
「提督!それ少しください!」
「君は、唐揚げ食べてなさい」
「もう食べました!」
「早い!もっとゆっくり食べなさい。」
こんな感じでオッサンのつまみはこれからも奪われ続ける。
いかがでしたでしょうか?甥や姪を連れていくとオッサンと同じ目に遭う作者です。
それではまた次回お会いしましょう!
活動報告にも書いてありますが、家の二人を使いたいという方がおられましたら、どうぞご自由にお使い下さい