特徴的なシルエットの二人が海上で対峙していた。
一人は装甲空母「大鳳」、一人は正規空母「瑞鶴」
二人は、海上で対峙していた。
「瑞鶴?何故?どうして?意味が、解らない」
呆然と、瑞鶴の前に立つ大鳳。それに対し、瑞鶴は余裕の笑みを浮かべた。
「大鳳、貴女達はよく働いてくれたわ」
「ずい、かく・・・?」
「私の狙い通りに、無意味なズイズイダンスを布教して、中身の無い希望を拡散させた」
大鳳はただ、呆然と立つ事しか出来ない。
瑞鶴の口から語られる内容が、あまりに信じがたいから
「貴女達は、良い道化だったわ。大鳳」
「ずい、かく・・・そんな、嘘よね?貴女が、こんな・・・」
「あのズイズイダンスは、私にしか効果の無い豊胸ダンスよ。それなのに、貴女達は私を信じて踊った」
「嘘よ」
「しつこいわね。大鳳」
大鳳がボーガンを瑞鶴に向け、告げる。
「瑞鶴、例え貴女であろうと、そんな非道は赦されない!」
「だったら、どうする?」
「瑞鶴うぅ!」
大鳳は艦載機は発艦させると同時に、ボーガンに仕込まれた銃剣を出し、瑞鶴へと突進する。
瑞鶴は、その銃剣を弓で受け止め、鍔競り合いとなった。
周囲では、二人が放った艦載機が舞っている。
弩と弓が、火花を散らしている。
「瑞鶴!龍驤は貴女を信じて!」
瑞鶴が鍔競り合いの力を抜いた。体勢を崩された大鳳は、瑞鶴が片手で抜いた剣状矢により、頭部通信塔を斬られた。
衝撃で視界にノイズが走る。だが、それでも大鳳は叫び前に出た。
「瑞鳳は!貴女を心配してたわ!最期の、命尽きる!その瞬間まで!貴女の名前を!呼んでいた!」
「そう、馬鹿ね」
「瑞鶴!!」
叫び銃剣を振るう大鳳、しかし、瑞鶴には届かない。
瑞鶴が振るう剣状矢が大鳳の身を削り、弓が銃剣を弾く。
周囲を舞っていた艦載機も、瑞鶴のしか残っていない。大鳳の艦載機は、悉く撃墜された。
「瑞鶴!!貴女になら、葛城を任せられると!」
「葛城に関しては安心して、彼女の幸せは保証するわ」
この言葉に、大鳳の中の何かが切れた。
大鳳は、最後の力を推進機に込め、突進を敢行する。
「瑞鶴!」
剣状矢が左肩に突き刺さる。肩の腱を断たれた。左腕は使えない。
銃剣を突き出す。しかし、瑞鶴の弓により流され、体勢が崩れ膝を着いてしまう。
急ぎ立ち上がろうとするも、剣状矢に膝を割られた。
それでも、そのままの体勢で渾身の力を込め、銃剣を突き出す。
だが、その渾身の銃剣すら届かず、右肩の腱を断たれる。
「サヨナラ、大鳳」
「ずい・・・!」
瑞鶴の剣状矢が、大鳳の薄い胸を貫いた。
呆然とした表情のまま、赤い血を撒き、海に倒れる大鳳。
それを見届け、瑞鶴は目を閉じ呟く。
「大鳳、瑞鳳、龍驤。貴女達と語った言葉にだけは、嘘は無いわ。貴女達は、私の唯一の友よ」
ほなみん¦『こんな感じの話を、夏の近親同好会で出そうかなって』
約全員¦『馬鹿か、お前は』
ほなみん¦『馬鹿とは何さ!馬鹿とは!』
邪気目¦『馬鹿以外に何があるんだ?』
元ヤン¦『アホ?』
ほなみん¦『コラ!そこ!ヤメロ!アホはヤメロ!』
ズーやん¦『馬鹿はいいんだ』
紅茶姉¦『ふむン、では、私の絵はどうしマスカ?』
ほなみん¦『あ、金剛ちゃんのも一緒に売るよ!と言うか、そっちがメイン!』
船長¦『待て待て待て待て!何?総長の絵?』
ほなみん¦『うん、金剛ちゃんの絵、出すよ』
金剛の絵。それは、画商達がこぞって買いたがる稀少な絵である。金剛自身、趣味の一環で描いているだけと言っている。その為、滅多に出回らない。その価値はとある画商が全財産を賭けて、たった一枚の風景画をオークションで落札したとかしないとか何とかかんとか・・・
それを、画集にして一冊五百円で前回の『絶やさぬ倫理で同人誌を交流する会』略称『絶倫交流会』で売った。
その結果、
元ヤン¦『総長の画集は、瞬間で完売。乱闘騒ぎになりかけたな・・・』
ズーやん¦『あれ、間違ってさ、一冊だけ原画が混じってた奴があって、それの争奪戦だったよね・・・』
邪気目¦『死ぬかと思ったな、あれは・・・』
船長¦『俺さ、あれが初参加だったんだ・・・』
約全員¦『うわぁ・・・』
ほなみん¦『だ、大丈夫!次の『近しき親交の為の同人誌好事会』は五百蔵さんを店番に呼ぶから』
元ヤン¦『オヤジを巻き込むな!』
船長¦『叔父貴が怪我したら、どうすんだ!』
ズーやん¦『オジサンが来るなら、ふぶっちとムッキーと榛にゃんも来るじゃん!怪我したらどうすんの?!』
ほなみん¦『お、落ち着こう、皆。大体、五百蔵さんが怪我すると思う?』
全員が思った。
ーー無いわなーー
大体、吹雪と睦月には鉄腕ちゃんが居るし、榛名には五百蔵が居る。
何も問題は無さそうだ。
元ヤン¦『で、原稿は?』
ほなみん¦『後は、チェックして印刷所へ行くだけ』
邪気目¦『何か、お前にしては早くね?』
横須賀¦『ほなみん 様が退室されました。99%の確率で鎮守府から脱走しました。承認しますか?はい/いいえ』
全員がいいえを即押しした。
元ヤン¦『よーしよしよし、ステイステイ。若葉ステイ』
邪気目¦『あれか?あの馬鹿、仕事サボって原稿やってたのか』
ズーやん¦『ほなみん、アウト』
船長¦『街に手配書出しといた』
元ヤン¦『ステイステイ・・・・・・GO!』
若葉が横須賀鎮守府から解き放たれて、横須賀の街に駆け出した。
元ヤン¦『賭けるか?』
邪気目¦『二十分』
ズーやん¦『一時間』
船長¦『三十分』
紅茶姉¦『では、勝者には私から賞品を出しマショウ』
空母勢¦『よっしゃ、待ってろ!五分!』
おかみ¦『おや?良い度胸ですね。訓練中に余所見とは』
ややあって
空母勢¦『ちょっ!マジかよ!前歯!』
暫くして、磯谷が街の住人により磔にされているのを、偶然買い物に出ていた比叡が見つけ、賭けは無効となった。
さあ、空母勢の運命は如何に?!