バケツ頭のオッサン提督の日常   作:ジト民逆脚屋

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いやね、違うんですよ。
横須賀悪ガキ隊の使い勝手の良さが半端じゃなくてですね・・・


あ、活動報告にバケツワールドの艦娘の型式を簡単に纏めたりしてます。宜しければ、どうぞ


吹雪&睦月With横須賀悪ガキ隊の休日 前編

「うぇ・・・?」

 

吹雪が目覚める。首を動かし、寝惚け眼で枕元の目覚まし時計を見る。

目覚まし時計は既に午前6時、アラームは鳴っていた様だ。

しかし、おかしい。自分の腕は布団から出ていない。さて、どうしたものかと起き上がろうとするが、体が動かない。

 

ーー金縛り?ーー

 

寝惚けた頭でぼーっと考えていると、横から抱き寄せられた。

 

「・・・ん~、ふぶっち。今日の訓練はお休みだよ~・・・?」

「あ~・・・」

 

吹雪の隣で眠る鈴谷に、軽く起き上がった身を抱き寄せられ、布団の中に引き摺り込まれ、鈴谷に抱き締められる。

 

「んや~、ふぶっち温いわ~・・・」

「んぃ・・・!」

 

鈴谷の胸に抱かれながら、吹雪は思い出した。

 

ーーああ、鈴谷さん達が遊びに来てたんですねーー

 

先日、貯まりに貯まった有給休暇を消化する為に、鈴谷を始めとした横須賀悪ガキ隊が泊まっていたのだった。

泊まると言っても、北海鎮守府はお世辞にも広いとは言えない。なので、鈴谷は吹雪の部屋に摩耶は睦月の部屋、天龍と木曾が空き部屋となっている。

 

因みに、木曾は榛名と同室になる予定だったが、それだと天龍だけが一人部屋になるし、榛名からのプレッシャーで木曾がヤバイと判断されて天龍と二人部屋になった。

 

「うへへへ、ふぶっち、ちっちゃーい、柔らかーい」

「おぶぶぶ・・・」

 

吹雪を深く抱き込み撫で回す。鈴谷は吹雪と睦月に対し、こう言った接触によるスキンシップを取る事が多い。

寒い日は特に多い。吹雪と睦月も、それが嫌という訳ではない。ないが、多いなあと思ってしまうのだ。

 

元ヤン¦『うおーい、起きてるかー?』

 

摩耶の表示枠が枕元に浮かんだ。

 

空腹娘¦『起きてますよーう』

ズーやん¦『起きてる起きてる。今は、ふぶっちを堪能中』

元ヤン¦『何やってんだ?お前ら』

ズーやん¦『いやぁ、ふぶっち。温いわ柔らかいわちっちゃいわで、堪らないね』

邪気目¦『何やってんの?ホント。摩耶も睦月、抱き抱えてるけどよ』

元ヤン¦『あれだな。吹雪も睦月も温くてな』

にゃしぃ¦『摩耶さんも温かいよ』

船長¦『ほら、吹雪の語尾が伸びてんぞ。朝飯の支度出来たから降りてこい』

 

朝から表示枠が賑やかだ。

そう思いつつ、二人は寝間着から着替え皆の待つ執務室へと向かった。

 

邪気目¦『あと、今日はパン食な』

空腹娘¦『ほっほーう!』

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

「それで、今日はどうするよ?」

 

天龍がこんがりと焼けたトーストにジャムを塗りながら聞く。それに摩耶が全員分の小皿にサラダを取り分けながら答える。

 

「ん~、天気も良くはないみたいだしな。一日中、ゲームに映画で騒ぐか?あ、ドレッシングは好きなのかけろよ」

「あ、それなら『げこどす』の拡張パッケージが出たらしいですよ」

「おお、早いな」

「あれだったか?確か、イベント討ち入りでマツノロウカとサクラダモンが追加されたんだったか」

 

睦月の言葉に、木曾がスクランブルエッグを口に運びつつ話す。

 

「ふぉれはあ、ふひほおヴれえいほもおあおうぃあいみあいえすお?」

「ふぶっちふぶっち、大丈夫だから、口の中のものが無くなってから喋ろう!」

 

両頬を頬袋よろしく膨らませた吹雪が、何かを言っているが、何を言っているのかさっぱり検討のつかない新言語になってしまっている。

 

もっもっもっと咀嚼し、口の中のつぶ餡バゲットを飲み込み、吹雪が二本目のバゲットに手を伸ばしながら仕切り直す。既に、食パン二斤を平らげてのバゲット二本目である。

 

「それなら、『ブシドーブレーキ』とコラボみたいですよ」

「あ~、『ブシドーブレーキ』か。あれ、すぐにテンション上がってHARAKIRIしようとするから、それブレーキして超必出すのが面倒なんだよなぁ」

「でもさ、カジカワの超必『電柱』超強いじゃん」

「あれ、アサノタクミノカミに特攻だろ。壊れ性能じゃねえか」

「あれだって、利休の投げ茶器も壊れ性能じゃん。レバガチャ決定じゃん」

 

元ヤン¦『オヤジ!どう思うよ?!』 

鉄桶男¦『いや、うん。ちょっと、話がいきなり過ぎるかな?』

鉄桶嫁¦『私的にはテンション上がって、それを無理矢理ブレーキかけられる『電柱』は壊れ性能でしょうね』

ほなみん¦『あれだよ。半蔵の対空弱体してたよ』

船長¦『早えよ!』

 

睦月は会話の流れを見ながら思う。

 

ーー流れが早いよーー

 

オレンジジュースを飲みながら表示枠を弄る。

 

にゃしぃ¦『あの、今日の予定は・・・?』

約全員¦『あ!』

 

天龍が新しいバゲットにバターとハチミツを塗り、吹雪に丸々一本渡す。

吹雪は既に食パン二斤にバゲット四本、スクランブルエッグとローストベーコン六皿とサラダを五皿平らげているが、その食欲に陰りは見えない。

 

「拡張パッケージ買いに行って昼飯食って、夜は」

『春華楼』(しゅんかろう)行こうよ!『春華楼』(しゅんかろう)!この町にも出店してるし!」

 

横須賀の名店『春華楼』(しゅんかろう)、吹雪達が北海に帰る手前にこの町に出店していた。

出店の裏で、ある人物からの莫大な資金援助があったという噂があるが、真偽の程は定かではない。

 

「叔父貴と榛名も、横須賀行ってるからな」

「チェルノ・アルファのオーバーホールが終わって、今は試験中だっけか」

「榛名も艤装の修復が終わって、その試験だな」

「春華楼なら、エビチリ食べたいです」

 

睦月が言って、全員が頷いた。

予定が決まった様だ。

 

「んじゃ、町に行くか」

「車はどうするの?」

「行きはアタシが、帰りは・・・」

「俺か天龍だな」

 

摩耶が五百蔵の机から軽トラの鍵を取り、ソファーに掛けていたジャケットを羽織る。

 

「おい、摩耶。洗い物はどうすんだよ?」

「アタシは軽トラに幌掛けてくる。雨来そうだからな」

「クッションも忘れないでね」

 

摩耶が手を振り返事の代わりとする。

それを合図に、残る全員が朝食の片付けを始めた。

 

「鈴谷、無料チケット忘れんなよ」

「分かってる分かってる。あれ無しだと、春華楼は高過ぎて入れないよ」

 

吹雪がリンゴをかじりながら、格納空間から鉄腕ちゃんだけを器用に出して皿を片付けていくのを横目に、全員が其々に準備を始めた。

 

吹雪と睦月、横須賀悪ガキ隊の休日が始まった。




『春華楼』(しゅんかろう)

横須賀の中華の名店。軍の高級将校や政治家等のVIPが足繁く通う。
とある鎮守府の総長の戦友が創業者らしい。

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