あと、これからの伏線的なサムシングがあったり無かったり
ーー陸軍は、
ーー軍大本営は、機竜の建造・・・急ぐ・・・ーー
「ちっ、録なもんやってねえな」
摩耶がハンドル片手に、カーラジオのチャンネルを弄り好みの番組を探していた。
ーー大本営は今年の夏に、大演習を開催すると・・・ーー
「へえ、今回の大演習は夏か」
「大演習ですか?」
ラジオを聞いた摩耶の呟きに、助手席に座る睦月が疑問する。
「ん?ああ、睦月は大演習は初めてだっけか」
「はい、一応呉で習ってはいるんですが」
「まあ、そんなに緊張する事でもないな。睦月や吹雪が、この大演習に参加する事は無いだろうし」
「え、そうなんですか?」
摩耶の答えに、演習の二文字を聞いた睦月の緊張が少し和らいだ。
どうやら、未だに最後の演習でのトラウマは癒えてはいない様だ。
その様子を横目で見つつ、摩耶はチャンネルを変えていく。
「もし、参加する事になってもアタシらと一緒に参加だろうな。北海鎮守府は規模が小さすぎるし」
「はあ?」
「ま、緊張する事は無いし、それ程大したアレでも無いしな。お?」
チャンネルを弄る摩耶の手が止まり、スピーカーから荒々しいギターの音色が車内へと飛び込んできた。
「『motherbear&rabbitgirl』か。良いの選ぶリスナーが居るじゃねえか」
どうやら、摩耶の音楽の好みはハード系の様だ。ハンドルを握る手が、リズムに乗って動いている。
ズーやん¦『ちょっ!摩耶、今何聞いてるの?!』
運転中の摩耶の顔横に、鈴谷の表示枠が飛び込んできた。
表示枠の映像を見るに、荷台の方では混乱が起きている様だ。
元ヤン¦『ん?どうしたよ』
船長¦『どうしたもこうしたもねえよ』
邪気目¦『吹雪が物凄いヘドバンし始めてんだ』
空腹娘¦『おうおうおうおうおうおう!?』
吹雪の表示枠の映像が、凄まじい上下運動を見せる。
どうやら、表示枠は持ち主の頭の動きに連動している様だ。
元ヤン¦『「motherbear&rabbitgirl」はキツかったか?』
にゃしぃ¦『吹雪ちゃん、その癖直ってなかったんだ』
睦月は懐かしく思った。吹雪は昔から、激しい音楽を聞くとこの様に、頭を激しく振っていたと。
空腹娘¦『おうおうおう直らないよおうおうおう!?』
ズーやん¦『ふぶっち、何かの歌みたいになってるよ!』
船長¦『こんなアクティブな吹雪、飯時しか見たことねえよ』
邪気目¦『いやいや、訓練の時も大分アクティブだぜ。鉄腕ちゃんと・・・』
荷台は中々に、賑やかな事になっていた。
何か、ガシャガシャ音がしているから、鉄腕ちゃんが格納空間から出てきたのだろう。
元ヤン¦『おーい、そろそろ駐車場だからな』
約全員¦『ほーい』
摩耶が運転する軽トラが、立体駐車場へと入る。
「よし、到着」
「は~い、ムッキー。こっちね~」
「あ、は~い」
荷台から降りた鈴谷が助手席の睦月を抱き寄せ、車椅子に座らせる。
天龍が伸びをし、木曾が首を鳴らす。吹雪は鉄腕ちゃんに髪を整えてもらっていた。実に器用なものである。
「さて、先ずはどうする?」
「ちっと、喉乾いたし喫茶でも行くか?」
「あ、それなら良い店ありますよ」
「んじゃ、吹雪おすすめの店行くか」
「「「さんせ~」」」
六人が駐車場から出ると、周りがざわつき始めた。
六人が全員、所謂美女美少女に分類されるからだ。
摩耶と吹雪はパンク系、天龍、木曾がボーイッシュ系、鈴谷と睦月はガーリー系で決めていた。
吹雪と睦月が、若干浮いている感があるがご愛敬だろう。
「あ、そういや、今回の大演習は夏だってよ」
「え、マジで?摩耶」
「マジマジ、さっきラジオでやってたし。な、睦月」
「はい、ノイズが強かったですけど、確かに夏だと」
「うわぁ、マジかよ。穂波は知ってんのか?」
「知らねえかもな」
「大演習ですか?」
悪ガキ隊の会話に、いまいちピンてきていない吹雪。睦月は車内で摩耶から少し聞いているので、吹雪よりは解っている。
その吹雪に、悪ガキ隊が順に説明する。
「大演習ってのはだな。各鎮守府、泊地に警備府の代表格の艦隊が大本営の演習海域に集まって、演習するやつだ」
「天龍、ザックリし過ぎじゃない?まあ、天龍が言った通りに、鎮守府内じゃなくて全部の鎮守府の艦隊が集まって演習するのさ」
「鈴谷、お前も変わんねえよ。睦月には、さっき言ったが、北海鎮守府は出ないだろうな。出ても家との合同だろ」
「摩耶、お前もだよ。三人が言った様に、各鎮守府の代表格が集まって演習するのが大演習だ。まあ、参加鎮守府の名物とかの出店も出るから、一種の祭りだな」
「そうなんですか~」
海軍大演習、不定期に大本営演習海域で開催される全鎮守府、泊地、警備府合同の演習である。
各艦隊の練度の確認と交流を目的とした演習で、其々の所属の力関係を決める政治的意味合いも持ち合わせる。
だが、その政治的意味合いを持つ反面、地域還元的な催し物の面も持ち合わせている。
嘗ては、本格的な軍事演習だったが、現在の大本営は過去の罪、第二次侵攻を引き起こしたという大失態により、各鎮守府、泊地、警備府間の渉外役並びに鎮守府、提督の任命権程度の実権しか無い。
あくまで、大本営『に』ではあるが。
「大演習に参加しても、演習自体に参加するかは、個人の自由だ」
「家だと、副長は確実だね」
ほなみん¦『あ、今回は雅楽祭もセットらしいよ』
悪ガキ隊¦『は?』
雅楽祭、夏の近親や冬の絶倫等のイベントと同時に開催される音楽祭の事である。プロアマチュア問わず、音楽活動をしている者達による一大イベントだ。
元ヤン¦『待て待て待て!はあ、雅楽祭もセット?!』
ズーやん¦『ほなみん、マジで?』
ほなみん¦『マジマジ、今さっき通達があったよ』
船長¦『マジかよ・・・』
ほなみん¦『ついでのついでに、夏の近親もセット・・・』
約全員¦『マジか・・・』
空腹娘¦『・・・どうしましょう?』
にゃしぃ¦『諦め・・・?』
紅茶姉¦『ふむン、日程をズラさせマスカ?穂波』
ほなみん¦『いやいや、流石の私もそこまで金剛ちゃんにおんぶに抱っこはダメでしょ』
約全員¦『穂波がまともな事言った・・・!』
ほなみん¦『なにをう!?』
サークル『磯波屋』として、夏の近親に参加し、大演習にも参加、そして
「はぁ、どうすっかなぁ」
「まさか、雅楽祭に近親までセットだなんて」
「まあ、最悪。夏の近親は何とかなるとして、雅楽祭はどうするよ?」
「多分だが、俺達は参加だろうな」
「だね、あ、あれかな?」
一行の前にゴシック調の落ち着いた店構えが現れた。
どうやら、この店が吹雪のおすすめの店の様だ。
「おおぅ、ふぶっち。シブイ店を知ってるね」
「提督の買い物に付いていった時に知りました」
なお、その際にオッサンの財布は少なくない打撃を受けた模様。
「そんじゃ、夏の打合せといこうぜ」
「「「「ういうい」」」」
少し早めの、打合せが始まった。
次回予告?
「んじゃ、摩耶がボーカルか」
始まる打合せ
「お、君達カワイイね」
「これから、俺達とどう?」
現れる
そして
「ん~、じゃあさ、ふぶっちに勝てたら良いよ」
喫茶店で開催される
可哀想な人達の運命や如何に?
ネタ
もしも、洋さんの前に『自衛隊かの地にて斯く戦えり』の門が開いたら?
「あら、どうしましょうか?」
「女一人、何する者ぞ!総員、とつげ・・・!」
「「「「「洋様万歳!洋様二勝利ヲ!!」」」」」
多分、帝都まで一気に突っ走って行くかな?