バケツ頭のオッサン提督の日常   作:ジト民逆脚屋

81 / 130
始めに言っておきます!
Gateの原作を無くしました!
なので、今回から私の記憶のみで生きます!
大変申し訳ありません!

あ、後ですね。洋さんはとても情緒不安定な人です。実は





あ・・・やっちゃった・・・

さて、どうしたものか?

捕らえた捕虜の返還の為にこのTHE・ファンタジーな世界に来たは良いものの、これは予想外過ぎる。

 

(冬悟さん、どうしましょう?)

(うぅむ、どうも出来ないかな?)

 

イタリカという街に着き、現地の貴族の騎士団と出会い自分達とは違う世界の日本人とも出会った。

までは良かった。

 

(叔父貴)

(オヤジ)

(オジサン)

(オッサン)

((提督))

 

そう、そこまでは良かった。そして、そこからが問題だった。

まさか、あんな事が起こるだなんて露にも思わず、それが原因かは分からないが今の状況である。

 

(あの~? 五百蔵さん、大丈夫です?)

(いやはや、大丈夫とは言い難いですな。伊丹さん)

(何かもう、済みません)

(いえいえ、お気になさらず。しかし、俺なんぞよりかは、そちらのお嬢さん方を撮った方が良いだろうに)

 

『門』の向こう側、通称特地側の少女達は何れも見目麗しく美少女と呼ぶに相応しい。

それと並んで、もう一つの『門』の向こう側からやって来たと言われる艦娘と呼ばれる少女達も大変に見目麗しいものであった。

その少女達の中でも、一際異彩を放つ巨漢は内心で冷や汗を流していた。

 

ーーまさか、テレビで見ていた光景の中に居るとはーー

 

彼らが居る場所は、伊丹耀司達自衛隊が居る側の日本の国会議事堂。所謂、参考人招致というものだった。

イタリカで起きたあの『事件』通称『洋さんぶちギレ事件』と五百蔵側の日本に攻めいって来た騎士団の処遇について等の諸々の事柄が、彼らがここに居る理由である。

 

ーーいやぁ、きついなぁーー

 

ちらりと横目で助けを求めてみれば、自分達のツートップは、この程度何するものぞと余裕の表情でカメラのフラッシュの嵐を浴びていた。

五百蔵はその様子に感心しているが、彼自身も端から見ればこの状況に飲まれていない様に見える。

顔立ちと体格によるものだが、本人からすればそんな馬鹿なと言いたい事だろう。

 

(五百蔵さん五百蔵さん)

(どうしたね? 磯谷嬢)

(あのカメラマンの娘、可愛くないですか?)

(君ホントぶれないね)

 

隣に座る磯谷は、実に楽し気に自分達を照らすフラッシュの嵐の中に居た。

楽し気に体を椅子の上で揺らし、嬉し気に辺りを見渡す。

正に、落ち着きのない子供である。周りの者達も、磯谷の事を五百蔵か洋が連れた子供だと思っている。

 

(五百蔵さん五百蔵さん。ほら、あの娘も中々に・・・)

(大人しくしなさい)

 

隣に座る巨漢に何か話し掛けている様だったが、何やら注意された様で少し大人しくなった。

 

「鳳洋参考人」

「あら? 私ですか」

「幸原議員」

「はい」

 

伊丹側の日本の議員、幸原は目の前の和装の女性鳳洋を見据えた。

ニコニコと穏やかな微笑みを湛えるその姿からは、報告にあった『事件』の中心人物とは思えない。

しかし、彼女が立ち上がると同時に特地側の女性達が僅かに身構えるのを幸原は見た。

何かがある。

 

「質問をさせていただきます。鳳洋さん、貴女の役職についてお聞かせ願えますか」

「鮮魚店兼居酒屋『鳳』にて店主を勤めております。あ、以前は軍に在籍しておりました」

「軍ですか?」

「はい、軍です」

 

変わらず微笑む鳳洋に、幸原は警戒を緩めない。

 

「続いて質問させていただきます。自衛隊の行動に不備はありませんでしたか?」

「不備ですか?」

「はい。報告では炎龍という生物によって現地住民に150人という犠牲者が出たという事ですが」

 

幸原の質問に鳳洋は首を傾げる。それは、まるで意味が解らないといった様子だった。

 

「現地住民の方々に被害が出たという事ですが、貴女は何を仰りたいのですか? 自衛隊の不備により被害が出たとでも?」

「は・・「馬鹿馬鹿しい話ですね」・・・はい?」

 

溜め息と共に聞こえる声には、明らかな落胆があった。

見れば、先程までの微笑みは消え去り厳しい色が浮かんでいる。

後ろに控える洋装の女性、金剛。彼女は顔を手で隠しているが、口元が笑っていた。

 

「嗚呼、嗚呼、馬鹿馬鹿しい。自衛隊の不備により被害者が出た? ふふふ、こんな冗談をこのような場で発言するとは、程度が知れますね」

「な、何を・・「囀ずるな、小娘」・・」

 

穏やかな口調からは一変し、声色から全てが変わった。

なにもかもが真逆。居酒屋の店主は居なくなった。

 

「小娘が、嘗めた口を聞くではないか。伊丹ニ尉達自衛隊が在籍する国の議員と聞いていたが、先程からなんだ貴様は? 自衛隊の不備? 150人の犠牲者? まるで、自衛隊があのトカゲを誘導して現地住民を殺させたとでも言いたいようだな?」

 

幸原は鳳洋の変貌に何も言えなかった。幸原だけではない、周囲の議員達もだ。自分達の背に差し込む氷よりも冷たい感覚、その感覚に誰も何も言えず、鳳洋は続ける。

 

「小娘、貴様は何様のつもりだ? 私の前で150人の犠牲者を出した事を責めるばかりで、それ以外を守り通した伊丹ニ尉達を称えず、その犠牲者に哀悼の意も無く、貴様の自己満足に使うとは、死にたいのか?」

「さ、参考人は発言を控えてください!」

「黙れと言ったぞ! 小僧!」

 

鳳洋の一喝に、幸原も議長黙る事しか出来なかった。

「死にたいのか」

この言葉が嘘とは思えなかった。事実、喉元に鋭利な何かが突き付けられている。そんな錯覚すら覚えていた。

鳳洋は両手で顔を押さえ、悶える様に身を捩り続ける。

 

「ああ、ああ、不愉快だ。不愉快にも程がある。やはり、あの『門』は早々に破壊しておくべきだった。『門』もそれを開いた者も不愉快なら、その先にあった世界すら不愉快。仮にも龍を名乗る者が戦いから背を向け逃げる。戦い守り通した者を蔑む。いつ以来だ? これ程に怒りを覚えた事は? リコリス? 戦艦? ああ、そうか。中枢か! ああ、忌々しいぃぃィぃィ!」

 

誰もが硬直し辛うじて呼吸をしている。それはこの場に居る者達だけではないだろう。電波越しに画面の向こう側で見ている者達も、誰もがこの場の者達と同じ様に硬直し辛うじて呼吸をしているだろう。

それだけのものが、恐怖がそこに在った。

 

しかし、その恐怖が支配する場で動く者達が居た。

普段を知り、彼女を知る者達だ。

 

「ちょっ! 洋さん?!」

「おウ、あの洋は久し振りに見マスネ」

「いやあの、御姉様? そう言っている場合では無い様に見えるのですが・・・」

 

金剛が懐かしむ様子に五百蔵と榛名が慌て、磯谷達は己を抱き合い震えていた。

その状況に見て、金剛は仕方なしに鳳洋へと近付き

 

「ふむン? 仕方ありマセンネ。洋」

「何だ? 金剛」

 

悪戯っ気たっぷりに葉巻の紫煙を吹き掛けた。

その紫煙に眉をしかめ、苛立たし気に鳳洋は金剛に対峙する。

 

「金剛。人様の顔に煙草の煙を吹き掛けるとは、あの時の決着を今ここで着けるか?」

「ふふン、それも良いデショウ。しかし」

「しかし、何だ? 怖じ気付いたか?」

「吹雪と睦月が怯えてイマスヨ」

 

鳳洋が目を剥き見た先には、お互いを抱き合い震える吹雪と睦月が居た。

 

「あわわわわわわ!」

「にゃししししし!」

 

その二人を見た洋から、ストンと怒りの色が抜け落ち周囲を支配していた恐怖が霧散する。

それに金剛は葉巻の紫煙を軽く吐き、背後に待機していた霧島と比叡に目配せする。

 

「洋、貴女は下がってイナサイ」

「・・・分かりました」

「ふふン、霧島」

「はい、御姉様」

 

下がる洋と入れ替わりに霧島が椅子を持ちやって来る。

椅子に腰掛け、霧島が持つ灰皿に葉巻を押し付ける。余裕の笑みを浮かべて足を組み、膝に両手を乗せる。

 

「では、ここからの我々に対する質問は私が受けマショウ」

 

手早く済ませマショウ。私は暇ではアリマセンカラ。

 

もう一人の絶対者による、答弁が始まった。




次回
イタリカで何があったのか?
洋さんぶちギレ事件とは?

そして、帝都で若葉が・・・

次回か次次回辺りで特別編は終わりにしたい!年末年始特別企画とはいったいなんだったのか?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。