バケツ頭のオッサン提督の日常   作:ジト民逆脚屋

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タイトルに意味はありません!


飛べよ飛べよ、秋津の羽よ

「恋をしよう。そう想ったのでありますよ」

 

あきつ丸が語った言葉、それは恋であった。

瑞鶴は固まった。正直な話、元陸軍のあきつ丸が抱えた問題は、陸軍絡みの案件だと思っていたら違って恋愛話、予想を通り越してK点越えの大ジャンプ、瑞鶴の後ろに居た洋も、流石に固まった。

 

ズーやん¦『こい? 鯉?』

鉄桶嫁¦『いえ、鈴谷さん。それは魚です』

空腹娘¦『鯉の洗いって美味しいんですか?』

鉄桶男¦『吹雪君、それも違うかな。あと、鯉の洗いはちゃんとした店なら旨いよ』

邪気目¦『濃い?』

元ヤン¦『あぁ、まあ確かにキャラは濃いな』

にゃしぃ¦『語彙?』

船長¦『離れた、睦月。離れたぞ』

蜻蛉玉¦『鯉でも濃いでもなければ、語彙でもないであります。恋、英語弁で言えばLOVEしちゃったのでありますよ』

約全員¦『マジか・・・?!』

 

そう、魚でも濃度でも言葉のボキャブラリーでもない。LOVE、あきつ丸はLOVEしちゃったらしい。

これには彼女を知る者達は驚いた。

あの鉄面皮、鉄血の横須賀鎮守府憲兵隊隊長にして横須賀鎮守府総長金剛の専属運転手がまさかの恋をしたと言うのだ。

 

しかし、疑問も同時に覚えた。

あのあきつ丸が恋をしたのはいい。だが、何故にそれが問題になるのか?

その答えは、疲れた顔の磯谷が机から出した手紙と書類に書かれていた。

 

ほなみん¦『はい、これが今回の理由』

邪気目¦『あっさり出すんじゃねぇよ』

船長¦『早く出せよ、ア穂波』

元ヤン¦『まったくだ』

ほなみん¦『ウギギ・・・! 悔しい、でも』

ズーやん¦『はいはい、そういうのいいから』

ほなみん¦『・・・最後まで言わせてよ』

ヒエー¦『司令、これは事実ですか?』

ほなみん¦『事実も事実、青葉ちゃんが裏取り済み』

ズーやん¦『・・・嘘でしょ』

元ヤン¦『ヤバイぜ、これは』

 

磯谷が出した書類と手紙には、あきつ丸の恋に関する幾つかの事実が記載されていた。

それと同時に、それらの事実は北海と横須賀の主要メンバーを大いに戸惑わせた。

 

「紛う事無き事実でありますよ」

「ちょっと待ちなさい、あきつ丸。これが事実だとしたら、アンタ」

「言った筈であります。決心がついた、と」

「だとしても、これは厄介にも程があるわよ」

「・・・覚悟の上であります」

 

鉄桶男¦『しかしだな、これは覚悟がどうとかという話では済まないぞ』

鉄桶嫁¦『まさか、篁家(たかむら)所縁の案件ですか』

 

斑鳩(いかるが)

神宮(しんのみや)

(たかむら)

 

篁家、日本の軍事及び政治に強い影響力を持つ『御三家』の一つである。

元々、篁家は政治寄りの家系であったが、第一次侵攻終盤から積極的に軍事に関わる様になり、四代程前の当主の時代から斑鳩家と共に新型多脚戦車等の開発に力を入れている。

その為か、当代の篁家当主は艦娘に対しては少々否定的な発言が目立ち、その事に関して斑鳩、神宮両家の当主は頭を悩ませていたりもする。

 

「まさか、アンタがあの篁家の次期当主に惚れるとはね」

「始めは気付かなかったのでありますよ。彼方も姓を伏せていたでありますから」

「そう言えば、アンタ。このとんでも相手と何処で出会ったのよ?」

「え? それは、でありますな」

 

瑞鶴の問いにしどろもどろになり、答えを濁すあきつ丸。

しかし、それを逃がす横須賀悪ガキ隊ではない。

 

ズーやん¦『確かに、私も大いに気になるね~』

 

鈴谷を筆頭に続々と追撃に開始する。

 

邪気目¦『ああ、俺も気になるな』

元ヤン¦『アタシもだ』

船長¦『教えろよ』

ズーやん¦『さあ、早く!』

蜻蛉玉¦『ま、待つでありますよぅ!』

空腹娘¦『睦月ちゃん睦月ちゃん、この展開この間のドラマで見たよ!』

にゃしぃ¦『うん、そうだね吹雪ちゃん!』

鉄桶男¦『若いっていいねぇ』

鉄桶嫁¦『冬悟さん、冬悟さんもまだ若いですよ!』

鉄桶男¦『いやいや、若いって言ってもさ。俺、もうすぐ四十だよ? アラフォーだよ?』

ほなみん¦『はいはい、夫婦漫才は他所でやってよ~。あ、はいこれ。あきつ丸ちゃんの愛しの御相手の写真』

蜻蛉玉¦『あ! この「検閲削除」の「検閲削除」!』

横須賀¦『只今、蜻蛉玉 様の発言内容がとても危険な内容でしたので、実に勝手ながら此方で規制させていただきました』

約全員¦『何言いやがったコイツ・・・!』

ズーやん¦『では、あきつ丸の愛しの御相手拝見』

蜻蛉玉¦『待つであります! 「検閲削除」!』

 

やーだよーと、鈴谷があきつ丸の静止を振り切り、磯谷から送られてきた写真を見て、また固まった。

 

ズーやん¦『・・・・・・』

元ヤン¦『おい、鈴谷どうし、た・・・?』

邪気目¦『お前ら、何やっ、て・・・?』

船長¦『・・・マジか・・・?』

 

鈴谷に続き摩耶、天龍、木曾と、次々に横須賀悪ガキ隊が固まっていく。

瑞鶴が見ると、表示枠の向こうでは五百蔵と榛名も、微妙な表情で固まり、吹雪と睦月はあきつ丸と写真を何度も見比べている。

 

「何よ? なんで、皆して・・・」

「あぁ~・・・」

「ダメだってあきつ丸! これ犯罪だよ?!」

「は、犯罪とはなんでありますか!」

「ギルティ! ギルティだよ!」

 

瑞鶴は見た。あきつ丸の想い人の写真を見た。一緒に人柄も記載されている。

名は『篁啓生(たかむら けいせい)

士官学校所属、成績は飛び抜けて優秀という訳ではないが、今期の候補生では上位に位置するが、背が低く線が細い為、体力面に難があり。

 

しかし、機転の効く性格と柔和な人柄が幸いしてか、主柱的な立場となっている。

 

 

 

年齢は15、高等部に昇級したばかりである。

 

 

 

因みに、あきつ丸はサーティーンの壁が目の前に見えている。とだけ言っておく。

ついでに、この篁啓生、『同期の女子』や『教官である女性士官』からとても可愛がられる容姿をしている。

 

瑞鶴は思った。

 

ーーコイツは参った! まさかのまさかだ!ーー

 

まさか、あきつ丸が正太郎コンプレックスを患っているとは、地味に長い付き合いでもある瑞鶴も気付けなかった。思わず、額を手で叩いてしまった。

いやしかし、思えば夏の近親や冬の絶倫ではやけに正太郎君が一杯居るエリアに行っていた。

いやしかしのまさか、リアル正太郎君に手を出すとは・・・

 

ーー待て待て私、まだ実行したとは決まってないーー

 

『一応』、弓に手を掛けてあきつ丸に向き直る。

普段通りの鉄面皮、しかし少々顔が赤い。あきつ丸は元々が色白なので、それがはっきりと分かる。

 

ーーOK、私。先ずはソフトにーー

 

何か間違えているかもしれない。瑞鶴は『一応念の為に』弓に矢をつがえる準備をして、あきつ丸に問うた。

 

「あきつ丸、都条令って知ってる?」

「いきなりでありますな?!」

 

少し、間違えた。

 

 

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

 

 

鉄桶男¦『・・・え~、では、あきつ丸君の御相手は、この少年?』

蜻蛉玉¦『はい・・・』

ズーやん¦『瑞鶴がさっきも言ってたけど、この歳の差は犯罪だよ?』

元ヤン¦『何だって、お前が?』

邪気目¦『ん? 待てよ? 榛名は二十歳だったか』

鉄桶嫁¦『はい、そうですよ』

船長¦『はっ!』

鉄桶男¦『あれ? 何か、俺に飛び火した?』

 

全員が五百蔵の表示枠を見た。あきつ丸に至っては、仲間を見付けた様な顔である。

しかしそれは、一瞬で崩れる事になる。

 

鉄桶嫁¦『いいですか? 私は二十歳、この彼は十五歳。冬悟さんは三十後半、あきつ丸さんは二十後半。私は大人ですからセーフです。しかし、あきつ丸さんは相手が完全な未成年、この線引きは確りしておきましょう』

蜻蛉玉¦『くっそぅ!』

ほなみん¦『じゃあ、私がこの子にアタックしたら?』

ヒエー¦『即座に頭を撃ち抜きます』

ほなみん¦『すいませんでした!!』

空腹娘¦『提督提督、提督はセーフみたいですよ!』

鉄桶男¦『ああ、うん』

おかみ¦『ふむ、たかが十年程度の差なら問題無い様に思いますが・・・?』

紅茶姉¦『まあ、そうデスネ』

約全員¦『凄いところから援護が来たぞ・・・!』

 

まあそれは、この二人の感覚なら十年程度は差にもならないのだろうが、今回はあきつ丸である。

具体的な明記は避けるが、ちょっと行動を起こせば即座に御用となる。

それはもう、あの御三家の子息にアクションしてアタックしたと、全国指名手配のタップダウンでデストローイである。

 

七面鳥¦『は~い、また話ずれてるよ』

副長¦『それで、あきつ丸はどうしたいのですか?』

蜻蛉玉¦『自分は・・・』

ほなみん¦『行っちゃおっか? 結婚式場』

約全員¦『は?』

蜻蛉玉¦『しかしそれは・・・!』

約全員¦『え?』

ほなみん¦『いいのいいの、私、招待されてるし』

約全員¦『ん?』

鉄桶男¦『え~と、磯谷嬢?』

ほなみん¦『何です? 五百蔵さん』

鉄桶男¦『一応、聞いておこう。誰と誰の結婚式?』

ほなみん¦『え? この篁啓生君と神宮三笠(しんのみや みかさ)ちゃんのですけど?』

約全員¦『・・・・・・はああぁぁぁぁぁっ?!』

 

どうやら、事は全員が思っていた以上に混迷を極めていく様だ。




篁・・・軍人・・・ピロピロ・・・幻聴・・・うっ、頭が!


御三家

この世界の日本の偉い家
多分、あきつ丸ラブストーリーでしか出ない。




次回からのネタ? 追加分

「まさか、結婚式場にこのギガフロートを使うとはな」
「確かこれ、全長80㎞あったよね?」
「御三家って、バカなのか?」



邪気目¦『どうなってやがる? この逆光で狙撃? スコープ無しで?』
「悪癖だな。狙える距離だと、つい頭を狙ってしまう」
邪気目¦『は? しまっ!』
「Auf wiederehen 若き猟犬よ」

『がーっはっはっはっ! うむ、実に良き荒鷲だ!』
七面鳥¦『何なのよ、あの艦爆? 機動がおかしい?!』
『おじさんは対地攻撃が得意だが、たまの巴戦もまた良し!』

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