バケツ頭のオッサン提督の日常   作:ジト民逆脚屋

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あきつ丸ラブストーリー!
今回は横須賀悪ガキ隊のよく動く方の眼帯天龍の過去が少し明らかに?

後、活動報告にも書いてますが、洋さんをマブラヴ世界に突っ込んだらどうなる?みたいな?


願え願えよ、秋津の羽よ

紅茶姉¦『今回の婚姻には、実のところ裏がありマシテネ』

 

自らの心境を吐露したあきつ丸に対し、金剛が語る御三家の婚姻の裏。

それは、あまりに意外であまりに理不尽なものであった。

 

紅茶姉¦『まあ、すっぱり言いマショウ。彼、篁啓生は篁であって篁ではないノデスヨ』

船長¦『篁であって篁ではない?』

元ヤン¦『どういう事だよ?』

邪気目¦『・・・ああ、そういう事か』

ズーやん¦『これまた、厄介と言うか前時代的と言うか・・・』

空腹娘¦『え? どういう事なんです?』

ズーやん¦『あきつ丸が言ってたでしょ? この啓生君は、母方の姓を名乗ってったって』

邪気目¦『篁の次期当主なら、母方の姓を名乗る必要なんざ無いからな』

にゃしぃ¦『養子、ですか?』

邪気目¦『養子でも篁は名乗れるさ。正式にその家に入ってんだからな』

ズーやん¦『総長、篁啓生は』

紅茶姉¦『察しの良い子達デス。後でお菓子をあげマショウ。ええ、天龍と鈴谷の言う通りに篁啓生は不義の子、それも先代当主と妾の間に産まれた子ナノデスヨ』

 

篁啓生は不義の子、先代当主と妾の間に産まれた子。金剛は何でもない風に軽々と言い放つ。木曾と摩耶が眉をひそめ、鈴谷がうんざりと言った風に缶コーヒーを飲み干し、天龍はその言葉に嘆息し、軽い愚痴を漏らした。

 

邪気目¦『奴等のやりそうな手だ。相変わらずの権力争い、そんなに権力が欲しいかねぇ?』

ズーやん¦『天龍、古巣が気になる?』

空腹娘¦『天龍さんの古巣?』

ズーやん¦『天龍はね、元近衛だったんだよ。ふぶっち』

空腹娘¦『天龍さん、近衛だったんですか?!』

邪気目¦『嘘教えんな嘘を。正確には横須賀に来る前に、近衛にスカウトされただけだ。結局、断ったがな』

元ヤン¦『でも、近衛に出入りはしてたんだろ?』

邪気目¦『新人の教導でな。それで、少し内情知って反りが合わねぇから断った』

船長¦『天龍、権力争いとか面倒なの嫌いだしな』

七面鳥¦『え~っと、天龍の話は置いといて、ちょっと待って。篁啓生が不義の子で、なんで神宮の娘と婚姻なのよ?』 

副長¦『確かに、その様な弱味とも言える者を他家に渡すなど、どうぞ付け入ってくださいと言っている様なものです』

ヒエー¦『言ってしまえば、篁は神宮に爆弾の起爆スイッチを渡すと同じ。神宮も篁の不義の子と婚姻を結んだと、スキャンダルに成りかねない案件ですよ、これ』

鉄桶男¦『ただいま~っと、なんか凄く話が進んでる』

鉄桶嫁¦『なんだか大変な話になっていますね』

約全員¦『ユルい!』

 

迷いアノマロカリスと襲撃ジラを片付けた五百蔵と榛名が戻って来たが、話が分かってないのか普段通りのユルい空気で緊張が一時途切れ、二人への説明が始まった。

 

篁啓生は不義の子であり篁家の弱味。しかし、つい最近まで篁の姓を名乗っていなかった彼が急に篁の姓を名乗り、何故かその彼が御三家の一画である神宮の次期当主である神宮三笠と婚姻を結ぶ事となった。

篁にも神宮にもメリットの無い婚姻、神宮は篁の弱味を握る事が出来るかもしれないが、それと同時に神宮の次期当主は不義の子と婚姻を結んだというスキャンダルにも繋がりかねない。

 

これで得をするのは斑鳩だけかと思えば、実はそうでもない。

 

鉄桶男¦『これで斑鳩が動きを見せれば、自分が一枚噛んでますって言ってる様なものだし』

鉄桶嫁¦『こんな回りくどい事をしてまで、優位性を欲しがるとは思えません』

にゃしぃ¦『と言うか、こんな事したら他の人達に信用されるのかな?』

空腹娘¦『無理じゃないかな。私だったら、絶対信用しないよ』

邪気目¦『これがな、御三家の名があれば信用なんてもんは後から付いてくんだよ』

蜻蛉玉¦『それが御三家であります』

七面鳥¦『嫌な話ね』

ズーやん¦『これ、神宮のメリットは何? てか、あるの?』

元ヤン¦『メリットに見せ掛けたデメリットなら、山程あるがな』

船長¦『頭が痛くなるな』

紅茶姉¦『まあ、事実は更に頭が痛くなるノデスガネ』

約全員¦『え、マジで?』

元ヤン¦『総長、神宮三笠も妾の子とか言わねえよな?』

紅茶姉¦『神宮三笠も、今の当主とその子とはが血が繋がっていないノデスヨ』

約全員¦『アイタタタタタ!』

 

金剛の神宮三笠も今の当主と子とは血が繋がっていない発言に、全員が頭を抱えた。

 

紅茶姉¦『神宮三笠は今の当主の前妻の子ナノデスヨ』

元ヤン¦『あ~、つまり神宮は後妻に子供が出来て』

ズーやん¦『篁は先代と妾の子、今の当主の兄弟が居て』

船長¦『それで篁も神宮も二人が邪魔だから無理矢理くっ付けて、纏めて管理でもしようって腹か?』

七面鳥¦『めんどくさ! コイツらめんどくさ!』

邪気目¦『・・・チッ』

蜻蛉玉¦『・・・総長殿』

 

篁啓生が不義の子なら、神宮三笠は前妻の子。まさに、御三家の内情は複雑怪奇で理解不能。

何をどうすれば、これ程までに厄介事に発展出来るのか?

 

そして、何故その厄介事に巻き込まれるのか。

 

紅茶姉¦『あきつ丸、気付いた様デスネ』

蜻蛉玉¦『無論であります。あの御三家が権力争いの火種を残す訳が無いであります』

邪気目¦『まったくもって、その通りだ。奴等が二人をくっ付けて、はい終わり。なんて事する訳が無い』

鉄桶男¦『わ~い、嫌な予感がするぞ』

鉄桶嫁¦『大体、このパターンは厄介事にしか・・・』

紅茶姉¦『今回の案件、私は最初受ける気はありませんデシタ。しかし、子供の命が掛かっているなら話は別デス』

ズーやん¦『命、命が掛かっているならって言ったよ!』

船長¦『やったぜ!』

元ヤン¦『畜生め』

空腹娘¦『わぁ~』

にゃしぃ¦『ヤダも~』

蜻蛉玉¦『やはり・・・』

邪気目¦『篁と神宮は、啓生と三笠を婚儀で消すつもりなんだな?』

 

篁の当主は自分の兄弟に当たる啓生が邪魔、神宮は後妻が自分の子供に家を継がせる為に前妻の子供である三笠が邪魔、両家の当主同士のメリットが合致し、その結果がこの頭が痛くなる案件になった。

 

だがここで、疑問が生じる。

金剛はどうやって、この案件を嗅ぎ付けたのか?

いくら金剛と言えど、御三家相手の情報を簡単に手に入れる事は出来ない。

横須賀鎮守府に情報を引っ張ってきている青葉でも、御三家相手には無理がある。

 

なら、どうやって?

 

紅茶姉¦『今の御三家の次期当主達から、篁と神宮の当主達の動きを伝えられマシテネ』

ズーやん¦『御三家の次期当主って事は、斑鳩も?』

紅茶姉¦『斑鳩に関しては、当主もデスネ。婚儀で二人が暗殺されるかもしれないと言われマシテネェ』

 

答えは簡単、継がせようとしている次期当主と同じ御三家である斑鳩から、情報がもたらされた。

篁と神宮の次期当主達も、自分が継ぐなら継ぐし、継がないなら継がないでどうでもいい。

と言うかもう、自分達より優れた人間が継げば良いじゃないかと、世襲制に批判的らしい。

古来より続く名家がそれで良いのか?と思わないではないが、横須賀北海組には誰が後を継ごうが関係無いのでどうでもいい。

 

横須賀北海組の心配事は、金剛だ。

金剛は子供に優しい。鎮守府内でもそうだし、彼女の出資先の大半は児童養護施設や孤児院に病院等、子供が関わる施設だ。

まるで、誰かに対する贖罪の様に、それらを行っている。

 

彼女がその事について何かを語る事は無い。

しかし、その金剛に今回の案件は許し難い事なのだろう。

左手、その手袋に隠れた義指(薬指)が動きを止めていない。

 

「嗚呼、私に子供が害される話を聞かせるトハ・・・!」

 

ズーやん¦『ヤベーよヤベーよ』

元ヤン¦『おい、瑞鶴止めろ』

七面鳥¦『私に死ねって?』

船長¦『潔く散れ』

七面鳥¦『あんたが散れ』

鉄桶男¦『ね、義姉さん?』

邪気目¦『ああなった総長はそっとしとくのが一番だ。それよりも、あきつ丸』

蜻蛉玉¦『・・・何でありますか?』

邪気目¦『分かってんだろ? この案件、下手したら俺達は近衛とやり合う事になりかねねぇ』

蜻蛉玉¦『でありますな』

邪気目¦『近衛相手は荷が重いぜ? エースや団長クラスが出てくりゃ、こっちは副長か総長でもねぇとな』

 

御三家近衛兵、御三家の警護を担当する兵士達であり、練度だけを見れば日本でも最高峰の実力を持つ集団である。

しかし、担当が御三家の警護である為、鎮守府側の戦力に比べると実戦経験が乏しい面がある。

 

ーーそこを突けば何とかなるが、(死神)が出て来ねえ事を祈るかーー

 

天龍は自分が知る限りで近衛最悪の戦力を脳裏に描いた。艤装と武装の大半を失い、何とか接近戦を挑み引き分けに持ち込んだあの相手。

 

ーー奴が出て来たら、下手したら俺達は全滅だーー

 

その最悪が出て来ない事を祈りながら、天龍は表示枠越しにあきつ丸へと向き合った。

 

邪気目¦『言えよ』

蜻蛉玉¦『・・・』

邪気目¦『おいおい、この期に及んで黙りか? えぇ? ヘタレ丸よ』

蜻蛉玉¦『・・・誰がヘタレ丸でありますか!? この眼帯「検閲削除」女!』

邪気目¦『おい、何言いやがった?! ・・・まあいい、お前は何をしたいんだよ?』

蜻蛉玉¦『自分は・・・』

邪気目¦『言えよ、もう一度言って、もう一度俺達に聞かせろよ。お前は篁啓生に何をしたいんだ?』

 

天龍はあきつ丸に覚悟を問う。

お前は何をしたい、お前はどうしたい。

お前は篁啓生に何をしたいんだ。

 

「自分は、自分は彼に想いを告げてほしい! 例えその想いが叶う事無くとも、生きて想いを告げてほしいのであります!」

 

あきつ丸は天龍に答えた。

自分は想いを告げてほしい。

篁啓生に胸に秘めた想いを告げてほしい。

例え叶わぬ想いであっても、死なず生きて告げてほしいと。

 

「自分は想いを告げずとも構わないであります。しかし、彼には想いを秘めて生きてほしくはないのであります」

 

彼には真っ直ぐに生きてほしい。

自分の様な日陰者にならず、真っ直ぐに日向を歩いてほしい。

 

邪気目¦『ああ、いいぜ。鈴谷、作戦』

蜻蛉玉¦『え?』

ズーやん¦『はーい、驚きの展開に付いていけてない鈴谷さんでーす。作戦は、はっきり言って情報待ち』

元ヤン¦『青葉待ちか』

蜻蛉玉¦『あの?』

船長¦『まあ、気にすんな。総長に話が来た時点で俺達が関わる事は確実な案件なんだ』

邪気目¦『だから、何とかしてみるさ』

空腹娘¦『式場の料理は任せてください』

にゃしぃ¦『吹雪ちゃん、それ違う』

七面鳥¦『そういう訳だから、覚悟決めなさい』

蜻蛉玉¦『皆、感謝するであります』

 

あきつ丸の感謝の言葉と共に行動を開始する横須賀北海組に待ち受けるのは、御三家篁と神宮の陰謀。

そして、彼女達は過去最大最強の敵と戦う事になる事をまだ知らない。




次回と言うか結婚式編の予告?

「まっさかなー、式場に」
「超巨大人工島『播磨』を選ぶとは」
「おい鈴谷?」
「ヤバイかも、作戦練り直しかも」
「嘘だろお前・・・」

ズーやんの作戦が大ピンチ?


「この逆光の中で狙撃? 反射光は無しとなるとスコープ無しか」
「悪癖だな。頭を狙えるとつい狙ってしまう」
「木曾、逃げろ!」
「なっ?!」
「Auf wiederehen 若き猟犬よ」

近衛最強が横須賀悪ガキ隊に迫る?


「金剛様に措かれましては、ご機嫌麗しゅう」
「私の機嫌が良いト? 面白い冗談デスネ」
「いえね、金剛様に是非お伝えしたき事が御座いまして」
「ほウ?」
「彼女達にはどうか本気で戦っていただきたい。さもなくば、彼女達は貴女の『提督であった旦那様』と『産まれてくる事の無かったお子様』と感動の御対面という事になりかねません」
「貴様・・・!」

首領の隠された過去!


「逃げるで、あります・・・」
「あきつ丸さん」
「早く、にげ・・・」
「ありがとう、お元気で」

あきつ丸の手は届くのか?

どれかやるよ!
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