やはり心は叫びたい   作:ツユカ

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 お久しぶりです!!最近もう一つ執筆をはじめましてそちらの方をやっていたら更新が遅くなってしまいました!

 これからは朝の七時半に投稿することにしました!朝の通勤、通学中に読んでいただけると幸いです。


 なんだか、もう一つの小説に引っ張られているのかいつもと違う感じになっていますがどうぞ!!


七話 八幡サイド

 外は雨が降っているようだった。最近梅雨入りしたようで、こうして雨が降る日が多くなった気がする。朝のランニングもなかなかできない。少しむしむしするので先ほどの昼飯はさっぱりするものを食べた。今は出かける準備をしているところである。

 俺が順の兄になってから二年の月日が流れた。俺と順は進学し、中学一年生になった。俺と順は学校には行ってないのだが、母さんと父さんが記念にと制服や教科書、カバン、革靴に自転車まで用意した。自転車は普段使いにしてるが、ほかのものは使う機会はおそらく二度とない。いや、全て一度は使っている。入学式だけ俺と順は登校した。両親は喜んで写真を撮り、俺たちは少し複雑だったのを覚えている。その後に両親と担任、そして俺たちだけの面談があったからだ。そこで両親は俺たちの不登校の理由を担任に伝え、了承を得た。その日、俺たちの中学校生活は始まる前から終わったのだった。

『お兄ちゃん、私のカバン知らない?』

 いつの間にか順が俺の前に立ち、スマホをこちらに向けていた。順は中学に上がってからガラケーからスマホに買い替えてもらった。

 順は最近一人称を私に変えた。理由は子供っぽいからと言っていた。俺はこのことに気持ち悪いくらい反対したのだが順は聞き入れてくれなかった。他にも順は最近色々と変えている。小6の時には前髪を伸ばし始めた。これにも俺は気持ち悪いくらい反対した。かわいい顔を隠す必要がどこにある?いや、そんなものはない!と、順に伝えたのだが順に

『少しでも、お兄ちゃんと似ているところを作りたくて……』

 と言われて、俺は嬉しさ半分、悶絶半分で何も言えなかった。

 順に裾を引っ張られ、俺はもう一度順の方に意識を戻す。

『知らねえよ、順の部屋だろ?』

 そう、俺と順の部屋は分けられた。これには俺は反対しなかったが順がかわいそうなくらい反対した。声を出して反対した。腹が痛くなるのを恐れずに。しかし、両親は無慈悲にもその猛烈な反対を無視し、部屋を分けた。俺は最近どんどん胸以外が大人びていく順に少し戸惑っていたので、このことは両親に感謝しているが、少し詰めが甘かった。部屋のドアには鍵がついていないので、順は両親のいない時を狙い俺の部屋に侵入しては一緒に寝ようとせがんでくる。俺はもちろん順の頼みを断ることはなかった。結局来た頃とほとんど変わらない生活を送っていた。

『ねぇ、今失礼な事考えなかった?』

 順が俺の足を踏みながら、スマホを見せる。

 失礼なことなんて考えて、と打った時に思い出した。俺は先ほど胸以外が大人びていくと考えていたのだ。俺は最近さらに鋭さが増していく順の勘に少しビビりながらも文字を消し、もう一度打ち直す。

『それよりカバン、早く探してこいよ。遅刻するぞ?』

 ごまかしを使い、順をだまそうと試みる。順は全く騙されていない目で足をどけ、部屋に消えていった。

 

 順がカバンを見つけ、玄関に降りてくる。スマホを触りながら階段を降りてくるのを危なっかしいと思いながら見ていると順は先ほどまで操作していたスマホを俺に向ける。

『ごめん、遅くなったね、遅刻しちゃうから行こ!』

 順に急かされながらも、傘を二本持ち片方を順に渡して家を出る。雨は未だ降り続けていた。バス停までの道は水たまりが多数あったが、全力で避け続けていた。順も同様に避けて進むのだが、運動神経の差で俺が少し先に行ってしまう。俺は順を水たまりのないところで待つ。順が同じ足場に立つともう一度、俺と順は競うようにスタートする。それを繰り返しながら、バス停についた。バス停のベンチに並んで座り、持ってきていたタオルで順の濡れた肩や顔を拭こうと手を伸ばす。順は少し身を引いて嫌がり、俺の手からタオルを奪い取り、自分で拭いてしまう。順は拭き終わるとタオルを俺の頭に置き、スマホをいじりだす。俺が軽く水気を取っていると、横並びの足からスマホを差し出される。

『ちょっと、遊びすぎて軽く汗かいちゃったから……拭くのはまた今度にして!』

 順は冷たい手で俺の手を取る。バスが来るまでの時間この手が離されることはなかった。

 

 バスが到着したので、バスに乗り込み二人席に座る。この時間は利用客が少なく、俺たちのほかには運転手と老夫婦しかいない。ここ一年近く、俺たちは毎週月水金、このバスのこの時間に乗っている。理由は家庭教師の家に向かうためだ。最初の数か月は自力で勉強をしていたのだが、俺はそれに限界を感じて母さんに相談したところ、知り合いの家庭教師の息子が大学をやめ、アルバイトを探している。ということだったので俺たちはその息子さんに勉強を教えてもらうことにした。なぜこちらから家庭教師の家に行くかというと。その息子さんが一人暮らしなのでこちらから家に出向いて生活のチェックをしてほしいということだった。

 バスが目的のバス停を掲示板に表示する。俺がボタンを押そうとしたところで誰かが先に押した。横を見ると順がどや顔でこちらを見ていた。その顔に少し腹が立ち、順の頬を軽く引っ張る。順の面白い顔を見て少しすっきりしたので席を立つ。バスはまだ動いていたので俺は順に手を貸し立ち上がる手伝いをする。バスが完全に停車したのを確認し、改札に代金を入れ、バスを降りる。そして目的地に向かって歩き出した。

 

 目的地はちょっとしたアパートだった。木造でかなり古いイメージがある。アパートの階段を登ろうとした時に声をかけられた。

「順ちゃん、はっちゃん。今日もお勉強かい?」

 そこにいたのはこのアパートの大家さんだった。もうかなりご高齢のようだがそれを感じさせないような明るい性格の気さくな人だ。この人は俺たちが話せないのを知っているため、俺は頷くだけの返事で返す。

「そうかい!きばりやー!」

 そう言ってくれる大家さんにお辞儀をし階段を上り、手前から二つ目の部屋のインターホンを鳴らす。

「はいはい、お、来たね。」

 ドアを開け出迎えてくれたのは短い髪に優しそうな顔の柔和な雰囲気の青年だった。

「遅いから心配したよ。さ、入って入って。勉強を始めよう。」

 俺たちはそれに従い、傘を玄関の傘立てに入れ、整えられた部屋に入る。テーブルに勉強道具を広げ、スマホを近くに置いておく。スマホがなければお互いの意思疎通に不便だからだ。

「さ、始めようか。」

 青年の合図で俺たちは勉強を開始した。

 

 数時間が経過し、スマホの時計が四時を示したところで俺たちの勉強は終了した。

「うーん、八幡は相変わらず理解は早いし、さすがだね。」

 青年は俺の頭を撫でる。少し恥ずかしくてその手を払う。青年は少し意外そうにしていた。スマホに文字を打ち込み青年に見せる。

『もう中学生なんで、そういうのやめてください。』

 読み終わった青年は少し困ったように笑う。

「ははは、まぁ順ちゃんはもうちょっと頑張ろうか。」

 こちらは諦め、順の方に切り替える。順は少しだけ下を向いたが、すぐに頷く。

「うん、また明後日……かな?頑張ろうね。」

 今日は水曜日なので次は金曜日だ。

「それじゃあ宿題はここまでやって来てね。それじゃあ今日はこれで終わり!ジュースだけ飲んで帰ってね。」

 俺たちは出されたジュースを飲み切り立ち上がり、お辞儀をしてから玄関に向かい、外に出る。順がスマホで文字を打ち込み、俺に見せてくる。

『疲れた!!アイス買って帰ろう!!』

 俺もそれに同意し、少し歩いたところにあるコンビニに一緒に向かう。

 

  いつも通りの日常だった。




 八幡がなんかおかしいですよね?すいません!!

 シリアスは嘘ですごめんなさい。


 以上が中学生の二人の日常です!!

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