蒼銀の水平線に勝利を刻め   作:KingArthro

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騎英の手綱

その少年がライダー、ペルセウスを召喚する事になったのは、深海棲艦達に脅迫されたから。

しかしその少年がライダーにペルセウスを選んだのは、まぎれもなく彼の意志だった。

 

 

 

伊勢三の一族は、日本における古参の魔術師でありながら、新興勢力に抜かれてしまった没落寸前の家柄であった。そこに救いの手を・・・思惑があったとはいえ・・・差し伸べたのがダーニック・ユグドミレニアだ。

そもそもユグドミレニア、とは最初こそダーニックの血筋を指したが、ある事件のとは「魔術世界でつまはじきにされたものが、ダーニックの名のもとに集結した」集団となっていった。伊勢三も、相良も、そうした魔術世界で日の目を見なかった家であった。

 

 

その末裔の少年は、魔術師としてはあまりに病弱であったがマスター適正のみは保持していたため、ルーマニアで執り行われる聖杯戦争に参加すべくダーニックの密航船に乗せられていた。だが、そのたびの結果は、周知の事実だ。

 

少年は深海棲艦によって捕虜にされ彼女らの本拠地に連行されたが、この時点で大けがを負い既に余命いくばくもない、という状況にあった。

そんな少年に下された、英霊召喚を行えという過酷な命令。そんなことを行えば、衰弱死するだろう事はだれの目にも明らか。だが、「未知の術でほかの有用な捕虜を使い潰したくない」深海棲艦側の思惑により、彼が生贄に選ばれた。

 

彼が選んだ触媒は、かの英雄が「母親と共に流された時の箱の破片」

 

 

「召喚するのなら、幸福だった英雄を召喚したい。こんな状況だけど、きっと聖杯を手に入れて正しく使ってくれる。」

 

 

 

なんで自分を召喚したのか、と問うペルセウスに、少年は笑って答えた。自らが苦境にありながら、こんなにも朗らか言える少年に対し、ペルセウスは深い敬意と、親愛の情を抱いた。

そして彼は周囲の深海棲艦、先陣を切らされたダーニックに召喚されていたランサーに、少年の助命を嘆願する。この天使のような命が、失われてよいはずがない、と。しかし深海棲艦は捕虜を治療する気はさらさら無く(依り代としてのマスターの機能は、ユグドミレニアの研究で生み出された仮面で代行できると聞かされていた)ランサーも聞く耳を持たず。かといって、自分が少年を連れて人間の世界へ逃避するには、少年の体力が持たない。

 

 

結局、何もできないまま、ライダー召喚から7日目に少年は息を引き取った。

 

 

深海棲艦より依り代としての仮面を渡されたペルセウスは、その場でそこにいた深海棲艦を皆殺しに、脱走。

召喚されたばかりのアサシンから多少の追撃を受けるも、そのまま行方を晦ませた。

 

 

 

 

「……幸福な人々を望んだ彼の為に。――人も、深海棲艦も、皆殺しにする。」

 

 

 

聖杯を手に入れ、彼を蘇生させる。だがその前に・・・彼をこのような目に合わせた深海棲艦、彼をこのような道に追い込み、救いの手を差し伸べなかった人間共・・・その両方を駆逐せねば、彼の怒りの炎は収まらない。その過程で自分を仲間と読んだ、あの不愉快なランサー共も屠れば良い。聖杯は手に入れねばならぬのだ。

 

 

英雄としてのペルセウスは人の為に偉業をなし、その分の幸せを得た。

協力した人々からは、ちゃんと対価を得て、幸せな一生を送った。

 

そんな自分を慕ってくれた少年はどうだ?

 

彼は人々の幸せを願ったのに、人々は彼に手を差し伸べなかった。

彼は深海棲艦にも協力したのに、奴らはマスターを救わなかった。

 

 

これでは釣り合いが取れない。どこかで「バランスを取ってやらねば」 奴らの、嘆きを以って。

 

 

 

依り代はあるとはいえ、魔力供給がないため、魂食いをせねばならぬという事情もある。

だが言い訳はしない。彼は「憎いから」艦娘達を襲い、その血を啜るのだ。血を啜り、悲鳴を聞き、後悔させる。その戦いの果てに彼を蘇生する。

 

 

これが、幸福の英雄ペルセウスが抱いた悍ましい憎悪。そして彼が挑む「聖杯戦争」だ。

 

 

 

 

そして今宵も、彼の目の前に獲物が現れた。栗色の髪をし、緑のリボンを付けた艦娘。愛馬に跨り、ハルパーを構える。

ペガサスがいななき、常識を超えた速度で白波を割りながら標的に肉薄する。まだ相手は気が付いていない。気が付いたときには、一突き、そして魔力の塊たる血を啜る。所詮、近代の付喪神である奴らはペルセウスには敵わない。一方的な狩りになる――はずであった。

 

 

 

 

 

「・・・!かかりましたね・・・英霊ペルセウス!!!」

 

 

 

 

すんでのところで彼の突撃を避けた艦娘・・・神通は、不敵な笑みを浮かべて言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

結局のところ。これは単純な「囮作戦」と言える。

ライダーの出没したポイント、W島付近を、セイバー艦隊が航行、対空電探の感度を最大にし、例え鳥だと思っても周囲を警戒、相手の攻撃に備えて・・・いざペルセウスが出現した場合、護衛していた輸送船より「切り札」が出撃する。英雄ペルセウス、真名が判明したはいいが「これといって不幸な結末を迎えなかった」この英霊相手には、正面からぶつかる以外の対策がなかったのだ。せいぜい攻撃方法が「短剣による刺突・斬撃と、ペガサスによる突進」とわかったぐらいである。だから、戦法はいたってシンプル。いると思しき海域で相手を釣り、正面からたたく。

 

何度も海鳥を勘違いし、時々はぐれ艦隊と遭遇しながらも、艦娘達は忠実にこの命令を守った。そして、とうとう神通がアタリを引いたのだ。

 

 

 

 

 

「掛かった・・・とは、あたかもワタシを罠にはめたような口ぶりだな?小娘。」

 

ペガサスはすでに一度もどしているのに、どういうわけだか「空を飛んでいる」、マントを羽織った男性、ペルセウスが不愉快だといわんばかりの声で言う。しかし、神通も負けたものでなく、内から湧き上がる歓喜を隠さず、むしろ叩きつけるように返す。

 

「ええ、その通りですよ。まんまと私という罠に嵌ってくれました。確かに、私たち艦娘では貴方を倒すことは叶わない・・・しかし・・・!」

 

一陣の風が、神通の目の前に吹きすさぶ。そこに現れたのは、輸送船より魔力放出のジャンプで一気にこの場に現れた、蒼銀の騎士。

見えない剣を両手で構え、神通を庇うように、ペルセウスの前に立ちふさがる。

 

「華の二水戦の矜持、見せてもらった。見事だよ、神通。ここからは私の戦いだ!」

 

「・・・なるほど、セイバーか。ランサーとダーニックめ、アーチャーに続き召喚したてのセイバーまで追撃によこすとはな。」

 

忌々しげに言うペルセウスの言葉を、セイバーは聞き逃さなかった。その情報は、流すわけにはいかない。

 

「ダーニック・…だと。やはり、密輸船にいた魔術師は生きていたのか!」

 

その言葉で、ペルセウスは目の前のセイバーが、彼が思っていた存在と異なるということを理解した。どうやら、まったく別の聖杯戦争のセイバーがちょっかいを駆けてきている様子だ。そういえば・・・こいつは「艦娘」と共同で戦闘をしている。ダーニックやランサー、そして深海棲艦どもがそんなことを許すはずがない。となると、余計な情報を与えてしまったことになる、が。

 

「ああ・・・貴様部外者か。まぁどうでもいい、貴様はここで死ぬのだからな!」

 

叫んで、ペルセウスは文字通り「空を駆けながら」手にしたハルパーでセイバーに襲い掛かった。

 

「神通、他の艦娘にも作戦段階移行通達!響にもこのポイントを伝えて、離脱しろ!」

 

振り下ろされたハルパーをその剣で受け止めながら、セイバーは予定通りの指示を神通に出す。準備が何もできなかった以上、艦娘では戦闘補助は不可能だ。ここまでセイバーを無傷で運びペルセウスを釣った時点で120点と言っていい。あとは、無事に帰るための準備をするだけだ。

 

「提督、御武運を!」

 

任務に忠実な神通は振り返らずに、すぐにその場を離れた。ペルセウスは獲物に逃げられた形の為軽く舌打ちをするが、このセイバーを倒せば「残りのやつらともども喰い放題になる」と思い直し、再びハルパーを振るう。

 

「甘い!」

 

だが、対するは最強の騎士のサーヴァント。剣の打ち合いはお手の物だ。振りかざされたその一撃を難なく受け流し、逆にできた隙に逆袈裟懸けに剣を振るう。

 

「はっ!」

 

その一閃をペルセウスは上空に逃れることで難なく避ける。海面を歩ける、といっても所詮飛べないセイバーに対し、宝具の一つ、天駆けるサンダル「西の園の鷹の羽(タラリア)」で360度自在に動けるペルセウスでは行動の自由度が違う。

 

「英霊ペルセウス・・・なぜ貴公のような大英雄が深海棲艦に力を貸す!英霊として、すべきことは分かるはずだ!」

 

再び急降下で切りかかってきたペルセウスのハルパーを薙ぎ払い、セイバーが叫ぶ。英霊とは人類を守るもの。それこそ、聖杯に細工があって怪物メドゥーサでも召喚したというのなら深海棲艦につくのも理解できるが、彼は人を救ったまっとうな英霊だ。正体が判明した時から、セイバーは疑問に感じていた。

 

「マスターが深海棲艦の脅迫を受けているか、さもなくば深海棲艦がマスターで令呪に強制されているか・・・答えろ、ペルセウス!」

 

セイバーの言葉に、ペルセウスはくつくつ、と君の悪い笑みを浮かべた。

 

「マスター?令呪?見当違いもいいところだなセイバー。何よりワタシにマスターなどいない。死ぬ間際にすべての令呪を現界の為に使わせたのだからな。

 

それは嘘ではない・・・彼のマスターは、美しき英雄たる友人に、最後の願いとしてずっとこの世界にあり続けるための肉体を令呪で与えた。ただ、そのことを知らないセイバーからすればそうは理解できない。

 

「貴様・・・マスターを殺したな・・・!」

 

これで魂食いの理由は納得がいく。彼には魔力供給するマスターがおらず、生き残るためには他からう奪う必要があり、そして艦娘は低位の疑似サーヴァントともいえる存在。なるほど、獲物には好都合だ。しかし・・・

 

(そのために、勇名を汚したのか、貴公は・・・!)

 

マスターの少年の名誉を守るために、ペルセウスはあえて偽悪的に振る舞い真実を明かさない。セイバーからすれば生き残るためにこのような振る舞いをするなど英霊としてあってはならぬ事だが、そう思わせること自体がペルセウスの目的なのだから。

そしてもう一点、このマスターがいないという事態はセイバーに想定外の不利をもたらす。もともと、マスターとしてここに残る響に、どういう形でかこの海域に来てるであろうペルセスウのマスターの捕獲、万が一深海棲艦だった場合は撃破を頼むつもりだったのだが・・・ここにきて、彼女に頼めることがなくなってしまう。

 

「さぁ、御託はここまでだ、いくぞセイバァァァ!!!!」

 

再び、上空よりハルパーを構えたペルセウスが急降下で襲い掛かってくる。セイバーも剣で、それを迎撃するべく構えた。

 

 

 

 

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言葉の上では余裕を見せるペルセウスであったが、内心焦りを感じ始めていた。敵のセイバーと現在の戦況は、ペルセウスに著しく不利だ。

 

まず剣が見えないのが厄介だ。騎士の出で立ち故に長めの両手剣は想定しているが、間合いが測れないというのは、彼の「剣の結界」ともいえる防御範囲を正しく理解できないということ。故に本来必要ない距離から飛び込み、間合いを取る距離も余分に取らなければならない。得物の長さも致命的に不利で、短剣と想定上の両手剣では、本来斬りあいすら難しい。空を自在に飛べることでなんとか斬りあいに持ち込んではいるが、あちらはペルセウスの太刀筋はそろそろ理解できる頃に対し、ペルセウスはいまだ有効な距離すらつかめない。これは、剣が見えない事も大きいが、ペルセウスは「化け物退治の英雄」であり、神の恩寵と道具、機転を生かして自分より強大な相手に立ち向かうだけで、人間同士の切りあいに慣れていない事も影響した。

もし、「彼の切り札」をあてることができればいかなセイバーといえど打倒はたやすい。しかし彼の切り札はいかんせんタメが大きく、また非常に直線的で、艦娘への不意打ちなら力を抜いて当てられるが、完全に戦闘状態になったセイバーに、大海原という広いフィールドで当てられるとは思えなかった。

 

(いったん退く・・・いや、ここで逃せば魔力供給が怪しい・・・ここで奴を打倒さねば・・・・)

 

何か使えるものがないか、周囲を見回す。すでに艦娘達は撤退し、軽く傷つけて魔力を奪える相手も・・・いや、1人だけ、いた。

他の艦娘が全力で下がっていく中、一人だけ、こちらの戦いに注視している白銀の髪の駆逐艦程度の艦娘。他の艦娘は下げているということは、敵わないことは理解しているはずだ。なのに残しているのは、何か理由があるのか?

 

「貴様こそ、艦娘ごときに使われているその様、英雄として情けなくないのか?セイバー!」

 

「彼女らの志になんら恥じるべきところはない!」

 

アタリだ。攻防の最中のとっさのカマカケだったが、これであの駆逐艦がマスターなのは間違いないとみていい。ならば・・・このカケは打って出る価値が、ある!

 

 

ペルセウスは牽制としてハルパーを振るい、そのまま大きく距離をとって上空へあがった。何かするだろう、という警戒はされるだろうが、「見えなければ防ぎようはない」

 

 

 

 

真実隠す黄昏の乙女(ヘスペリデス)!!」

 

 

 

 

先にタラリアで慣性をつけてから、ハルパーやタラリアと並ぶ、彼の宝具の一つを発動させる。その名は西の園にいる乙女たちの通称、彼の英雄譚で必須だった武具を授けし黄金のリンゴの番人。彼がゴルゴーンの怪物に気づかれず接近できた所以。このマントの真の効果、それは。

 

 

 

 

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瞬間、ペルセウスの姿が掻き消えた。透明化、そういえば、姿を隠す武具の逸話も、あれは持っていた。次の一撃はどこからくる・・・だが、ここでセイバーのカンが「違う」と明確に告げた。

剣士としての腕前は、自惚れもなくセイバーのほうが上だった。もし姿を隠しての不意打ちを仕掛けてくるなら、最初からやっていただろう。ここにきてその札を切ったときうことは、「何か別の目的」があるに違いない。

考えをめぐらす。この戦場での不確定要素・・・

 

 

「しまった!響、そこから離れろ!!」

 

 

 

 

 

 

セイバーの絶叫を聞き、訳も分からずとりあえず動いた響。だがその直後に彼女の太ももを「何か」が切り裂いた。鮮血が迸り、響の白い肌を汚す。艦娘の概念装甲を貫通しうる刃、それは・・・

あわてて振り返ると、何かが海中に勢いよく突っ込んでいたらしく大きな水柱が立っていた。だが、これなら・・・

 

痛む足を抑えながら懸命に動こうとする響。同時にセイバーも慌てて飛んでくるのが見えた。合流し、とりあえずの安全を確保し安堵する響。そこに、海中より上がってきたペルセウスの哄笑が響く。

 

「はっ・・・直接の魂喰いは失敗したが、まぁそれでその艦娘は動けまいさ、セイバー。マスターなどという脆弱なモノを前線に連れてきたことを呪うがいい!」

 

脆弱、この英雄は、自分を脆弱といったのか。ぱっと頭に血が上り、主砲を構えて撃つ。が、ひらりとかわすペルセウスは響とセイバーを嘲笑いながら高く、飛び上がった。

 

 

 

 

「いかに貴様が頑強なサーヴァントといえど、この神秘は防ぎきれまい?」

 

 

 

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ヘスペリデスを使った強襲は、半分は成功と言えるだろう。本音を言えば一撃のもとに艦娘を倒し魔力を頂戴したかったが・・・これでアレが動けなくなれば、十分というものだ。

ヘスペリデス最大の欠点は「ほかの宝具と併用ができない」点にある。故に通常は隠密行動時に最初から使用し、バレたり必要に応じて解除、そのまま戦闘開始をするためのものであって、戦闘中の目くらまし、ましてやタラリアでの飛行中に使うものでは、ない。

 

だが、タラリアの効果を切っての一度限りの、落下しながらの強襲は彼に勝機をもたらした。マスターの動きを封じてしまえば、セイバーも動くに動けまい。ならばこそ

 

 

「来い、ペガサス!」

 

 

魔力を編み、目の前に血の魔方陣を呼び出す。この血はあのゴルゴンの怪物、メドゥーサの首よりしたたり落ちた呪われし血液。そしてそこより生まれ出でたのが、彼の愛馬、ペガサスだ。タラリアの効果をきり、飛び乗る。

 

 

 

「ペガサス・・・神代の魔獣・・・すでに幻獣の域に達しているのか。堕ちていても英雄といったところか、ペルセウス!」

 

 

切り札を見せても、セイバーの声には思ったより動揺は見られなかった。肝が据わっているのか、あきらめたのか。しかし、このペガサスは殊護りに関していえば竜にすら匹敵する力のある神秘。いかな対魔力のあるセイバーとて、本気の力の流れに耐えられる道理はない。もはやハルパーすら必要ない。このペガサスの突撃そのものが強力な攻撃なのだから。

 

 

「こちらの切り札を知っていた様だが、対策をうたなかった貴様の負けだ!」

 

真名をしっていれば、これの対策もできたろうに。準備不としかいえない、そこに付け込むしかない。

 

「さらばだセイバー。己の失策を悔いたまま、その駆逐艦とともに果てるが良い!!」

 

 

ペガサスとともに現れた、彼の本当の切り札、手綱を手にし、ペガサスをさらに上昇させるペルセウス。相手は動けない以上、あとは威力に念を入れるべきだ。大きく助走を取って、潰す!!

 

 

 

 

 

騎英の手綱(ベルレフォーン)!!!」

 

 

 

 

 

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響ははっきりと理解した。自分が、彼の足をひっぱったことを。

 

何が不死鳥だ。何が主人だ。何が絶対命令権だ。彼の警告がなかったら、避けられずにあの鎌剣の一撃を受けていた。かろうじて避けたら、今度はセイバーの機動力を削ぎ、こうして敵に王手をかけさせてしまった。

 

「ごめん・・・なさい・・・」

 

惨めだった。悔しかった。敗戦し、ソヴィエトに引き渡されたあの日よりも。あの時は、戦力を欲したソ連軍にそれでも丁重に扱われた。しかし、今度は・・・

 

「ごめんなさい・・・!」

 

謝ることしかできない。彼はどんな顔をしているだろう。憐憫か、憤怒か・・・見るのは怖かったが、それでもこの事態を招いた自分の責任と思い、顔を上げる。

 

 

そこに映ったセイバーの表情は、まだ闘志を全く失っていない、力強いものだった。

 

 

「大丈夫だ、響。僕はセイバーのサーヴァント、マスターを護る、剣だ。」

 

こちらに気が付いたセイバーが、一瞬だけ表情を柔らかくし、微笑む。そして再び天をにらむと、厳かに宣言した。

 

 

 

 

「勝ち名乗りをあげるには早かったようだな!ペルセウス!」」

 

 

 

 

瞬間、嵐が起きた。そう錯覚するほどの風が響を襲った。思わず瞑り、再び響が目をあけたときに映ったのは

 

 

「黄金の・・・剣・・・?」

 

 

見えない筈の、セイバーの剣が、しっかりその手に握られている姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

円卓議案・聖剣使用・判定開始

 

共に戦う仲間は勇者であるか・・・・・・是

相手は自分より強大な敵であるか・・・・・・是

精霊に刃を振るっていないか・・・・・・是

これは名誉ある戦いであるか・・・・・・否

 

・・・・・・・ 

 

・・・

 

 

 

聖剣使用、承認

 

 

 

 

手にした奇跡の封印が解かれたのを確認し、剣を正面に構えるセイバー。

この剣こそ「こうあって欲しい」という人々の願いを、星が鍛えた神造兵器。むやみに振るうことを許されぬ、円卓の至宝。

 

その意思を誇りと掲げ、その信義を貫けと糾し、蒼銀の騎士は、手にした祈りの真名を謳う。

 

 

 

 

約束された(エクス)・・・」

 

 

 

上空より迫るは、雷の最高神の血を分けた英雄。仰ぎ見る事すら不敬であると言う如く、裁きの雷を体現した天馬の突進が、審判を下さんと襲い掛かる。

 

 

 

だが英雄よ、知るが良い。相対するは星の聖剣。この星に息づいた「神」ではなく、星そのものの触覚として生み出された最強の幻想(ラスト・ファンタズム)

 

 

 

 

勝利の剣(カリバー)!!!!!!」

 

 

 

 

振り下ろされた一撃から、極光の刃が天に向かて放たれる。その様は、勝利を高らかに歌い上げるように。

 

 

 

 

光の奔流に飲み込まれ、その幻想を構成する魔力を焼かれながら、ペルセウスが最後に思い出したのは、あの少年の笑顔であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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マテリアル

 

ライダー 真名 ペルセウス

筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具

D+ E+ B+ B+ A+ ABCDE

 

 

 

・西の園の鷹の羽

能力の設定はあったが「空飛ぶサンダル」というそのままの名前だったため、後述のヘスペリデスと共にかってに名前と当て字を考えました。(タラリアという名前は実際にある)

ペルセウスは本来「同時に複数の宝具を使えない」という制約が存在していたが、そんなこと言ってると海上での戦いができないので、この世界ではヘスペリデス以外は併用できる事に。

 

 

・真実隠す黄昏の乙女

本来はハデスの姿隠しの兜だったものが、どういうわけかマントに設定が変更されていたもの。さすがにハデスの名前はとれなかったので、武具を授けてくれた西の園の乙女の名を拝借。

発動させると文字通り姿を隠せるが、タラリアの能力を封印するために自由落下する羽目となる。一撃の強襲のみに使われたが、本来はアサシンがアサシンしてないプロト世界における暗殺者の役割を担う為の宝具。

 

 

・ハルパー

通常の攻撃に用いてる、ハルパーという剣の種類もあるので特に当て字はつけなかったが、このヘルメスより授けられたハルパーは「屈折延命」といい、不死の怪物を倒すのに長けている。

 

 

・騎英の手綱

原作と同じのため、省略。

 

 

 

 

 

 

円卓議案・聖剣使用について

 

エクスカリバーはその性能故に使用に制限がかかっており、13の項目のうち半分以上をクリアしないと発動できない。(しかもクリアできない項目につき威力に減衰がかかる)

不可視の風を解いただけでは、真の開放とは言えない、らしい。

 

ちなみに名誉ある戦いに否決をつけたのは、本来隠されて行われるのが聖杯戦争だから。

 

 

 

 

 

 

 

 




ペルセウスには実は「まっとうな英雄としてマスターの願いを聞き入れ深海側の情報を漏らす」役割を任せようと考えたこともありましたが、別の英霊に託し、原作通りの狂った英雄とあいなりました。

響は自信喪失。サルベージはすぐに。もちろん、艦娘がサーヴァントに敵わないというだけで終わらせるつもりは一切ありませんが、何も対策をせず戦えばヲ級のごとく彼女らもこうなるという事で。
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