そして、3人目です。
「………もう一度だ」
「雄二、もう諦めなよ」
「渚、男には何が何でも負けられない時がある」
「それが今には見えないよ!」
「というわけで神崎、もう一戦だ!」
渚のツッコミを無視したその言葉に神崎はニコリと笑い(本当に若干)頰が赤くなる。旅館に備え付けられていた対戦式の格闘ゲームに彼らは没頭していた。ちなみに再戦のたびにお金は雄二が出しているが現在10連敗である。ゲームとはいえこう連続でノーダメージで負けていればさすがに雄二も我慢ができなかった
「男の小さなプライドだ。だが、それでもただで負けられん」
「小さすぎんだろ。つか、結構負けず嫌いだよな雄二って」
杉野も多少呆れつつも観戦する
(一撃与えるでは間違いなく喰われる。叩き潰すつもりでいこう。相手はおそらく本気ではない。一撃も与えられないのは俺がまだ慣れていなかったからだ。そして、もうだいぶ慣れてきた)
(風見くんとゲームするのが楽しくてついハイになったけど手加減したら嫌われるし、何より風見くん意外とうまいからもう少し気合い入れていこう)
ゲームのGOサウンドでバトルが始まる。序盤から連続して攻撃する雄二のキャラはスピードタイプである。一方で神崎はパワータイプ素早い雄二のキャラなら本来当たるはずなのだが、
(ち!やはり避けるのがうまい)
ギリギリで回避、ガードできるものはガードしてダメージはゼロである
(このキャラは速すぎて使いづらいんだけど、すごいなー)
余裕で一撃を当てながら神崎は思う。パワーキャラゆえに一撃は重い。当てるのがむずかしい相手に一方的にガードを崩し当てていく
(ならば)
「!」
ここで雄二は戦略を変える。間合いを詰めて相手のカウンターに合わせて攻撃した
「お、ついに雄二が当てた」
与えたダメージ量は少なく、与えられたダメージがでかいがまだやれるほどである
「(よし。次は合わせて連続して攻撃して……)なっ⁉︎」
(久々にダメージ受けちゃった)
瞬間、今まで使ってたのは本当に鈍重なパワーキャラだったのかというほどの素早い動きを見せ出す
「て、手の動きが全くわかりません」
「こ、これ壊れないの?」
じっと見ていた奥原と茅野も流石にこの動きには驚いていた。数秒後、雄二は完敗した
「ゆ、雄二?黙ってるけどどうしたの」
「どうということはない。所詮はゲームだ」
(((あ、これは間違いなく悔しがってる)))
ここ最近雄二の比較的わかりやすい顔(E組のメンバー曰く)なら大体考えがわかりだしてきた。
「風見くん、なんだかごめんなさい」
「…いや、素人相手でも全力なのは良いことだ。それにこういう意外な特技にもビックリした」
「たしかに凄い意外です。神崎さんがこんなにゲームが得意だなんて」
「…黙ってたの遊びが出来ても
昔を思い出しながら神崎は言う
「俺も、親に漫画なんか見るとバカになると言われて見ていなかったが姉が借りてきた少女漫画を読むよう言われてな。漫画を読んでいる友達と仲良くなれるからと、当時友達のいない俺のためにそう言ってくれた。神崎の趣味もいろんな人達と繋がりを持つための最高のツールだと俺も思う。何よりそんな目で見る奴はこのクラスには1人もいない」
だから気にせず自分信じてみろと静かにされど力ある言葉でいう
「うん、そうする。ありがとう風見くん」
「てか、初耳だな。俺らどころか、寺坂とかにも積極的に声かけてる雄二が友達いなかったっての」
「たしかに」と杉野の言葉に皆そう言いたそうな顔をする
「まぁ、その時はいろいろあったからな。姉が少々特殊だったのもあって、そういうのをどこか姉や誰かのせいにしてたからな。今思い出してみると恥ずかしいかぎりだ」
「へーそりゃそんときの雄二が見たかった。イジリがいがありそうだし」
風呂から上がりこちらにきたカルマが会話に入ってきた
「むしろ、当時の俺としては陰口を言われるより、カルマみたいにちょっかいを出してくる方が友達が出来てたかもな」
「そこまでか。むしろ余計に知りたくなったなー」
「話して良いものでもないし、話したら話したでまた何言われるかわからないからよそう」
そこまで言うと雄二はさっさと逃げるように風呂へ向かう
side:神崎
彼が去るのをシューティングゲームをしながら目で追っていた。どういうことかはわからないがなぜか気付くと彼を追う自分がいる
(うわーやっぱりか。雄二って何人無意識に落とせば気付くんだろ)
(あ、ゲームはノーミスだけど雄二を見てる)
注)カルマは完全に、渚もなんとなく把握している
けれど、彼が少しだけ語っていた自身の家族の話をしてる時、それは懐しむのではなく何かに縛られているかのような辛い顔をしているように見えて、それは私達を助けに来てくれた時の彼よりも印象があって……やはり彼を考えてる。どう言う気持ちかわからないけど
「よし、裏ステージだ」
「攻撃してくる敵も早い!」
「そしてそれ以上に笑顔でそれをよくわからない動きで操作する神崎さんが凄い!」
今はまだ、この関係でも良いかな
sideフリー
風呂から上がって少しした後に男子の寝室に戻ると何か投票をしていた
「何してんだ?」
「風見も来たんなら答えてけ。みんな言ったからお前のもな」
雄二が畳に置かれている紙には[気になる女子ランキング]と題があり、簡単な女子の似顔絵と投票したであろう人数を表す正の書きかけが書かれていた
「お、面白そうなことしてんじゃん」
「カルマ良いところに来た」
雄二の後に飲み物を買いに行っていたカルマもきて会話に参加する
「うーん、俺は奥田さんかな」
その答えが意外なのか何故という質問が来る
「だって彼女、怪しげな薬とかクロロホルムとか作れそーだし。俺のイタズラの幅が広がるじゃん」
「……絶対にくっつかせたくない2人だな」
ケラケラとものすごくいい笑顔で黒いことを言うカルマに聞いた前原もドン引きしていた
「で、風見は?」
(気になる女子か)
数秒考えて彼は答えた
「ふーん。あいつをねぇ」
「気になるという意味で言うならな」
((((あ、これは恋愛感情ではないな))))
もう言うまいといったところである
「まぁ、とにかくこの投票結果は男子の秘密な。知られたくない奴が大半だろーし」
「男子という事は先生はいいのか?」
「まさか!女子はもちろん。先生なんて知ったら何を言ってくるかわかったもんじゃない。基本ゲスいし」
「なら、あれをどうにかした方がいいんじゃないか?」
雄二の指差す先にいるのは「いいこと聞いちゃった〜」とでも言うようなピンク色でニヤニヤ顔した殺せんせーであった。手帳に何かを書いている。何を書いているなど、言うまでもない。そしてすぐに逃げた
「ふむ、即離脱。完璧だな」
「言ってる場合か!メモって逃げやがったんだぞ!」
「追いかけて殺せ!」
一斉に男子達が向かっていくなかで雄二は
「やれやれだな」
どこかジジくさい事を言いつつも殺せんせーを追いかけていった
一方で女子は女子で気になる男子が誰かを聞いていた。ちなみにこの話題を出したのは莉桜である
「こう言う時は、そう言う話で盛り上がるもんでしょ。私は言うまでもないけど」
「自分はもう対象以外には公式だからってかるいなー」
「まぁ、それはもう1人にもいえるけど」
「うぐっ」と桃花が赤くなる
「私も、烏間先生を除いたら風見くんかな。同じ動物好きだし、それに今度デートにも誘えたし」
「「えっ!?」」
予想だにしていないところから驚きの情報が入ってきた。それは倉橋陽菜乃である。これは他の女子も驚いていた
「え、え、ちょっと待って、いろいろ予想外なんですけど?」
「ていうか、いつから?」
「え、随分前からだよ。それこそ風見くんにデコレーションナイフケースを渡す前くらいから」
「そんな前から!?」
倉橋陽菜乃、彼女の好みは[どんな猛獣でも捕まえてくれる人]である。
「確かに、烏間先生以外でうちのクラスでできそうなの雄二くんくらいだけど」
*
「へぷし」
「え、いまの雄二のくしゃみ?」
「初めて聞いた」
「大方俺のことをへんに噂してるやつでもいるんだろ。それより、殺せんせーはどこいったんだ」
*
「生き物にも詳しいんだよー。この間はヤブ犬について話してて、そこから動物園に行くことになってさー」
「うぐぐ、今のところ雄二くんはまだ私も含めて脈なしだけど、やっぱり悔しい」
「矢田ちゃんはまだいいでしょー。あれ以来雄二くんにお弁当作って来てるんだし」
「というか、あれだけやってるのに気付かない風見くんもだけど、告白しない2人がびっくりだよ」
「ねー。まぁ、作者がそこら辺はまだ書く気がないのもあるんだけど」
「渚がいないから私が言うよ、不破さんメタ発言禁止」
「いや、いざ言おうかなってなるにも経過とか」
「恥ずかしくなるっていうか」
「中村ちゃんが?ちょっと意外」
そんなこんなを言いながら女子も男子同様に紙に投票していく
「これ、マジで?」
「でも気になるだからイコール好きかはわからないけど」
そこには男子達と全く同じように正の字を使って投票しているのだが
【風見雄二】 正
「うーん気になる」
「私と矢田ちゃんと倉橋ちゃんで3人なのはわかるけどねぇ」
3人が考えながらみていると襖が開いてビッチ先生が入ってくる
「おーいガキども。もうすぐ就寝時間だってこと、一応伝えに来たわよ」
一応ってと皆思うがそんなのはビッチ先生も分かっているのか「どうせ夜通し喋るでしょ」と言う。その片手にはビールがあった。
「ねー先生もこっち来て話そうよ。ビッチ先生の大人の話とか聞きたいし」
そして嫌がりながらだがそれなりにノリ気に入って話しをするのだがその1発目が衝撃であった
「いや、ホントびっくりビッチ先生がまだ二十歳って」
「毒牙みたいなキャラのくせに」
「それはね、濃い人生が作り出す……って誰だ今毒牙つったの!」
「ツッコミが遅いよ」
「それであんた達はなんの話をしてたのって、これは…」
無造作に置かれている投票の紙を見てため息を吐いた
「ふーん。あの腹たつガキ2号が1番なのね」
ちなみに1号はカルマである
「まぁ、あんた達は私と違って危険とは程遠い国に生まれたんだから、本当に好きな男を見つけてもっと女を磨いていけばいいわ」
「ビッチ先生が真面目なこと言ってるとなんか生意気」
ウンウンと全員頷いた
「なめくさりおってガキ共‼︎」
「あ、じゃあさビッチ先生がオトしてきた男の話聞かせてよ。雄二くん攻略のヒントになるかもしれないし」
「あ、私も私も〜」
「当然、私もね」
「ふふ、いいわよ。子供には少々刺激が強いかもしれないから覚悟なさい」
ゴクリと生唾を飲んで語りを聞く体制になる生徒………そして殺せんせー
「おいそこォ‼︎」
あまりにしれっと紛れ込んでいたためかビッチ先生のツッコミでようやく他も気づいた
「さりげなく女の園に紛れ込むな!」
「いいじゃないですか。私もその色恋の話聞きたいですよ」
「じゃあまず殺せんせーから言ってよ。普段から自分のプライベートはちっとも見せないくせに」
莉桜の言葉に賛同する声があがる。「片思いくらいあるだろ」「人のばっかずるい!」「やっぱり巨乳か‼︎‼︎」など意見はさまざまである。
「………」シャッ
再び高速で逃げた。
「逃げたわよ‼︎捕らえて、吐かせて、殺すのよ‼︎」
武装して女子も殺せんせーを追いかけ出す。と、先程の投票用紙を見てビッチ先生は複雑な表情をした
(誰があいつに入れたかはだいたいわかるけど、ちゃんと言った方が良いかどうか。オトすのもそうだけど、あれがヤバイ奴ってこと)
とはいえ、彼女達がそれで納得するとも思えないことも、納得させる材料もないのもわかっていた。故にビッチ先生も悩まされている。
(あいつはクラスのほとんどに信頼されてる、見た感じあえてやってもない。もしその時が来たら、人生の先輩らしいことはしなくちゃね)
雄二のことは少なくとも危害を出す存在でないのはもうわかっている彼女はそう決意し、意識を殺せんせーの暗殺に切り替えた
side雄二
「よう、その顔はあまりいいことがなかった感じの顔に見えるが」
「……スナイパーが辞退した」
割り切っているのか事実だけを淡々と告げる烏間に俺は「やはりか」としか言えない
「JBから聞いていたよ。今回は期待値がゼロだってな」
「あぁ。ここまでまったく収穫がないとな……」
上から色々言われてんだな烏間も
「……同情するくらいなら、もう少し顔に出すな隠せ」
「そんなにわかりやすいか?」
「なるほど、わざとか」
むぅ。完全に見抜かれているな
「経験の差だ。それよりここに来たのは何か連絡でもあるのか?」
「…いや、あらためて礼を言いに来た。ありがとう烏間」
俺がそう言うと、
「すまない」
「なぜ謝られるかわからない」
「俺は、君と会う前は君を少し軽蔑していた。だが、あの事件の時に会って君の願いを聞いて、こうして君を見てきて、自分が恥ずかしくなる。何より君が優しい人間なのはあの事件でわかっていたのに、クラスに来た時君の危険性を俺は確かめようとした」
「俺のことを調べたんだろ?ならそれは当然の判断だ」
「……そして、俺は今、君の願いを利用して君を地獄よりも苦しいところに放り込もうとしている。最低の…」
「烏間先生」
話を止めるため俺は先生とはっきりと付けて言う
「言ってなかったか?俺は感謝してる。こんな形でも普通に学校生活ができて」
だから
「だから、あんたが気負わなくていい。いざという時は俺もあんたに頼ってほしい。その時は存分に俺を利用してくれ。クラスの皆を助ける時にでもな」
そう、これは俺が望んだことだ。烏間の言う通り、俺が進むのは生き地獄。でもその後にはきっとおれは選ばれる。
「それじゃ、戻るよ。これからもよろしく頼む」
「ああ。お互いにな」
ヒロインのうち、1人絶対にあっさりと出したかった。
で、色々と考えた結果が”倉橋陽菜乃“彼女です。理由は卒業アルバムの時間で自分の気持ちを偽らず素直とあったためです。なおデート回は原作で言いいますと4巻の渚達が映画に行っている時です。
神崎さんは実は今もヒロインに入れるか迷うところがあります。でも多分入れると決めてもこうしたと思う
なぜなら杉野の好意に気付いてなかったから。
要するに彼女は自分の抱いてる想いが好意かわからない状態という意味です。
さて、次回は転校生の時間です。
感想、意見等あればよろしくお願いします。
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