暗殺教室 グリザイアの戦士達   作:戦鬼

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考えた結果、鷹岡回にすることにしました


家族(偽)の時間

「それでどうだったの?」

 

開口一番にJBが聞いたのは球技大会の感想だった。

 

「そんなことを気にするとは、随分子供扱いされたもんだな」

 

「自分の胸に手を当てて理由を考えてみたらどうかしら?」

 

「残念だが俺にはお前みたいな立派なものはないからな」

 

わなわなと顔赤くしながら体が震えているのを当然のごとくスルーして最初の質問に答える

 

「正直言って、わからない」

 

「あなたねぇ」

 

「だが、良い思い出作りというものはできた気がする」

 

それに対してJBは「そう」とだけ優しい顔で言った。

 

「で、ただそれだけの為に呼び出したわけじゃないんだろ?」

 

JBは言われると大きめの茶封筒を取りだして机に置く。

 

「それを開ける前に1つ言っておくけど、あなたはしばらくあのクラスで暗殺の訓練補助に専念しなくて良いわ」

 

「どういうことだ?」

 

「上からの指示で烏間は………」

 

 

 

 

「視線を切らすな‼︎次に標的(ターゲット)どう動くか予測して行動しろ‼︎」

 

体育の暗殺訓練、いつものように烏間の適切なアドバイスの声が響く。

 

「中途半端になるな‼︎同時攻撃は互いの動きを合わせつつカバーして行動‼︎」

「何度も言うが予測は大切だ。が、プロは予測不可能な事態に対してもある程度応用が効く。それに対する判断ができてから奇襲を狙え‼︎」

「大振りしすぎるな‼︎小技を練習しろ‼︎」

 

1人1人の特性を見つつそれに合わせた訓練とアドバイス。彼も殺せんせー同様に生徒をよく見ている

 

「さて、今度は俺も行くとしよう…カルマ、協力頼めるか?」

 

「ん?いいよー。つか、雄二がペア組むって珍しいね」

 

「まぁ、ちょっとな」

 

カルマある程度雄二と接してきた故にこんな風に雄二が言うときは必ず何かあった時だということはわかってる。が、あえてそれは聞かず訓練に集中する

 

「珍しいペアだな」

 

烏間の方も相手を見て警戒を上げる。試合が始まると雄二が7カルマが3の割合で攻撃をする。着実に攻める雄二とのらりくらりとしながら雄二が作り出す隙に的確な攻撃をし、どこかで決定的な一撃を与えようと模索している。

 

(相当やりづらいな)

 

カルマだけなら余裕で対処はできるがそこに雄二が加わってきて対処に追われてしまう。

 

「………そこ!」

 

今までのらりくらりとした動きから突然理想的な動きでナイフを振いだしたカルマに意表を突かれる。雄二もそれに合わせた動きで視線を誘導し、烏間の動きを制限する攻撃を仕掛ける

 

カルマが引いて雄二が、雄二が引いてカルマが。この連続攻撃に対処できるのは烏間の実力だが限界もある。当然カルマは奇襲が出来ないかと模索しており、烏間の動きに制限を掛ける。そして…

 

「良‼︎2人にもそれぞれ加点1点!」

 

雄二のナイフが当たることで終了した

 

「即席とはいえ、いいフォーメーションだった」

 

「ありがと。けどもうちょいやれてたら、いい感じで烏間先生に決定的な一撃が与えてたのに」

 

「バカ言うなよ。あれはまだ本気じゃないどころか、実力の半分…いや、3分の1も出してないかもしれない」

 

「なんでわかんの?」

 

「………なんとなくだ」

 

半分真実で半分嘘である。雄二がE組にきた理由の1つに生徒の援護がある。ここでいう援護は当然暗殺の援護もあるが訓練による向上もあり、それ故に烏間の訓練の補助もしていた。故に烏間の実力をあらかじめ聞いている。だがどこまで今の訓練でその実力をでしているのかもわからない。だからなんとなくである。

 

「ふーん…あ、渚くんが吹っ飛ばされてる」

 

「………」

 

「結構おもいっきりだね。烏間先生にしては珍しいね…雄二?」

 

「いや、なんでもない(横目で見た限りだが…やはり)」

 

 

 

 

「あー今日はいける気したんんだけなー」

 

「どこが、全然当てられる感がなかったぞ」

 

「そう言う木村も全くダメじゃん」

 

「スキ無さすぎなんだよ烏間先生」

 

「まぁ、精鋭無比をモットーにする空挺部隊に居たんだ。相当の実力と技術がなきゃいかんさ」

 

「え、そうなの?烏間先生から聞いたの?」

 

(……おっと、そういうことも話してないんだな)

 

桃花の疑問は皆も同じであった。脳内で一瞬考え

 

「…初めて会った時に色々話してたからな」

 

とだけ言う。正直、無理があるかと雄二は思うが

 

「烏間先生ってなんていうか、私達との間に壁っていうか、一定の距離をあけてるような感じがしたんだけど」

 

「なんか雄二と烏間先生って仲良いよね」

 

「まぁ、気が合うというやつかもな。だからといって他の皆との間に壁を作ってるわけじゃない」

 

「そりゃ、厳しいけど優しくて、私達のこと大切にしてくれているのわかるよ……でも」

 

それは任務だからではないか?陽菜乃の思いは生徒が思っているそれと同じである。

 

「そんなことはありません。確かにあの人は先生の暗殺のために送りこまれた工作員ですが、彼にも素晴らしい教師の血が流れていますよ」

 

(……多分、俺の事もそろそろ勘付いてんだろうな)

 

チラリと自分を見られた気がした雄二は改めてこのターゲットに警戒を強めた

 

(とはいえ、はっきり言わないのは俺が秘密してることをわざわざ言いたくないって事か)

 

つくづく変な奴だとも思っていると校舎から体格の良い男が片腕に大きめのダンボール箱と両腕に紙袋や何かが入ってパンパンになっているビニール袋を持って校庭に来る。

 

「やっ!俺の名前は鷹岡 明‼︎今日から烏間を補佐してここで働く!よろしくなE組の皆!」

 

誰だと思っているとそれらを下ろして自己紹介をしだす。

 

「気をつけろ皆、爆弾かもしれない」

 

「そんなもん持ってこないよ⁉︎流石に!」

 

「軍人がいきなりあらわれて、中身がわからない物を持ってきた。まず爆弾かどうかだろ」

 

「おっ、よく俺が軍人だってわかったな(・・・・・・・・・・・・・・)

 

何をしれっと言ってんだという顔で雄二は続ける。

 

「まず体格で何かしてるのはわかる。だが暗殺者ならもっとコソコソする筈だし、何より烏間先生の補佐と言った…なら、ちょっと考えたらすぐわかる」

 

 

雄二のバイト先、JBの部屋

 

 

「烏間は今後、外部からの暗殺者の手引きに専念してもらって、代わりの者が生徒の訓練を行うそうよ」

 

「…なんだ?女の尻を追いかけてて左遷されたのか?」

 

「あなたじゃないんだから、そんなことするわけないでしょ」

 

「失礼だな。俺だってそんなことはしない」

 

どの口が言うのよという言葉を腹に抱えてJBは続ける

 

「まぁ、とにかくそいつにはあなたの事は今は話してないわ」

 

「…なぜだ?」

 

「詳しくはそのファイルの中を見てほしいんだけど、保険の為よ。あなたのことを知る人物は少ない方がいいし、でも一時的。どのくらいかはわからないけど通達はされるでしょうね」

 

「それと俺が訓練の補助をしないというのがどう結びつく」

 

「…危険だからよ」

 

「そいつがする訓練がか?」

 

「それを言うなら、烏間だって鬼教官って言われてたわ。でも、クラスにあわせた訓練もしているのはあなたの報告でわかってる。だからこそ、新しい教師もそうするかもしれない。けど…」

 

少し間を置いてJBははっきりと言う

 

「もし同じやり方なら、絶対にあなたとは合わないわ」

 

 

 

 

(確かに胡散臭くて気持ち悪い不気味な笑顔だ)

 

「あっ!これ〔ラ・ヘルメス〕のエクレアじゃん‼︎」

 

中身を確認するとそこにはケーキや飲み物が入っていた。甘いもの好きの、特に茅野は目をハートにしている

 

「こっちは〔モンチチ〕のロールケーキ‼︎」

 

「…俺にはよくわからんが、有名なのか?」

 

「高級ケーキ屋だよ‼︎材料も味もパティシエも超一級品の‼︎その分高くてなかなか手が出せないんだけど…ゴクリ」

 

「そ、そうか。だが目が怖いぞ茅野」

 

「良いんですかこんな高いの?」

 

磯貝が心配そうに聞くが鷹岡は笑って答えた

 

「おう食え食え!俺の財布を食うつもりで遠慮無くな!…けど、モノで釣ってなんて思わないでくれよ。おまえらと早く仲良くなりたいんだ」

 

ドスッとあぐらで座りエクレアを掴む

 

「それには皆で囲んで飯食うのが一番だろ!」

 

(営業スマイルぽくもないな。…それがまた不気味だが)

 

喜んで皆が食べだし、殺せんせーも当然のごとくムシャムシャと甘いものを頬張る

 

「同僚なのに烏間先生と随分違うスね」

 

「なんか近所の父ちゃんみたいですよ」

 

「ははは、いいじゃねーか父ちゃんで!それに、同じ教室にいるからには…俺達、家族みたいなもんだろ?」

 

木村と原の言葉に気を良くしたのか生徒達と肩を組んで言う

 

「ほら、雄二くんも」

 

「一応聞くが、これ食べたんだから言うこと聞けよ的な奴じゃないよな?」

 

「心配性なやつだな〜ないよ」

 

「………なら、貰えるものはもらうか」

 

ようやく雄二も座って…

 

「あ、こっち座りなよ」

 

「「ちょ、矢田ちゃん⁉︎」」

 

「早い者勝ちだよー」

 

「…何を取り合ってんだよ」

 

色んな意味で疲れた体に、甘いものはよく効いた。

 

 

 

 

「昨日の呼び出されたかと思えば、なんなんだよ」

 

「仕事よ。言っとくけど今回拒否権はないから」

 

JBからもらった資料を見て雄二は苦い顔をする。

 

「この仕事やった後だと、どうしても遅刻だな」

 

「あなたのことだから心配して早く学校に行きたいのはわかるわ。けど、」

 

「わかってる。拒否権はないんだろ」

 

こんな時にとぼやくが仕方なく準備をするため席を立つ。

 

「あの男の、鷹岡 明の資料は読んだのよね?」

 

「…………」

 

「思うところが多いのはわかるけど、彼に手を出したら私も庇えないわ」

 

「…そういえば聞きたかったんだが、烏間の方はともかく俺が訓練の補助を手伝わなくていいってやつ。あれってJBの独断だろ?上が指示したとは思えない」

 

「ええ、そうよ。前にも言ったけど私は上層部のクソみたいな考えには賛同していない」

 

「いいのか?俺があそこにいる為の理由の1つだぞ」

 

雄二の疑問はもっともであった。それ故に心配であった

 

「流石に隠し通しは無理だろ?いつかはあいつに俺の情報はいく。そうなればあんたの首が…」

 

「大丈夫よ。すでにこの件は通ったわ。地下の教授の指示もあったし」

 

「教授?」

 

「あなたは知らなくていい事よ。それより、早く準備をしなさい」

 

「…了解しました」

 

やる気のない声で言うと雄二は部屋を出た。

 

 

side:春寺(JB)

 

「正確に言うならこっちがバレた時の為の工作をしようとしてたら、教授から同様の考えが来ただけなんだけどね」

 

正直、教授からのメールを見たときはバレてしまったと背筋が冷えた。だが内容をよく見ると私がしようとしていた事を認めさせる為の工夫であったから驚きだった

 

「どういうつもりなのかしらね」

 

ただ、1つだけ言えることがある。

 

「厄介なことになりそうね。……ハァ」

 

「ため息を出すと幸せが逃げますよ」

 

「…ありがとう律。でも嫌ってほどわかってるから」

 

というよりAi に心配されるというのは正直どうなのだろう

 

 

sideフリー

 

「よーし集まったな!って全員はいないな」

 

鷹岡の言う通り、全員はいない

 

「カルマと寺坂は多分サボりです」

 

「まったく。んじゃ、そいつらには後で話しておくとしよう」

 

「雄二の方は多分バイトかと」

 

「ふむ。まぁ、それは良いか(・・・・・・)。じゃ、今日から新しい体育を始めよう!ちょっと厳しくなるが、終わったらまたウマいモン食わしてやるからな!」

 

「とかなんとか言ってるけど、自分が食べたいだけじゃないの?」

 

「まーな。おかげでこの横腹だ」

 

 

 

クスクスと笑いが出ているのを遠目で烏間は見ていた。

 

(見事に生徒たちの心を掴んでいる。…鷹岡の言う通り、俺のやり方は間違っているのだろうか?)

 

プロとして常に一線を引くというやり方に疑問を持ち出した時、机にある写真が目に入る。鷹岡とその生徒達の楽しそうに笑う写真…そして

 

「なんだ、これは?」

 

もう一枚、手を縛られて背中に鞭で打たれてできた痣をもった生徒と、E組に見せたものと同じ笑顔で接する鷹岡が写った写真だった

 

「まさか!」と思い再び外を見た時既にそれは起こっていた

 

 

ほんの少し前

 

「さて!訓練の内容の一新に伴って、E組の時間割も変わることになった。これを皆に回してくれ」

 

その回された時間割を見て皆驚愕した。

 

「なっ、なんだよこれ⁉︎」

 

「10時間目、夜9時まで…訓練?」

 

それは中学生の時間割ではない。勉強時間を最低限以下にし残りは訓練というものである。しかも拘束時間も中学生にやるものではない

 

「これくらいは当然さ。ちゃんと理事長にも話しは通してある。地球の危機ならしょうがないって、承諾してくれた」

 

「ちょ、待ってくれよ!無理だぜ‼︎こんなんじゃ成績が落ちるよ!理事長もそれをわかってて許可してるんだ‼︎」

 

前原の言う通り、彼にとっては地球の危機より(・・・・・・・)いかに自分の作った理念に通った学園になるかである。

 

「それに、遊ぶ時間もねーし、できるわけ…」

 

その先の言葉を遮るごとく鷹岡は前原の鳩尾にヒザ蹴りをくらわせた。

 

「…『できない』じゃない。『やる』んだよ。言ったろ?俺達は『家族』で俺は『父親』だ。世の中に父親の命令を聞かない家族がどこにいる?」

 

暴力を振るっているのに笑顔。その異常な鷹岡に皆戦慄した。

 

「さぁ、まずはスクワット100かける3セットだ。嫌なら抜けても良いぞ、その時は俺の権限で俺が手塩に育てた屈強な兵士を新しい生徒として補充するだけだ」

 

逃げ道はないと遠回しに告げた。

 

「けどな、俺は大事な家族にそんなことしたくないんだ。1人も欠けずに、この家族で地球を救おうぜ‼︎」

 

恐怖が一気に伝わっていく。逆らえば暴力、従えば褒められる。アメとムチを覚え込ませるという鷹岡の考えであった

 

「な?おまえは父ちゃんに付いてきてくれるよな?」

 

1人の生徒、神崎に近付きそう囁く。ガクガクと恐怖に震えながらそれでも

 

「私は嫌です。烏間先生の授業を希望します」

 

勇気を出して答えた瞬間、顔を叩かれた

 

「おまえらまだ分かってないみたいだな?『はい』以外は無いんだよ。なんなら拳語り合うか?そっちの方が得意だぞ‼︎」

 

笑いながらそう言う鷹岡に

 

「っがぁ⁉︎」

 

礫が顔をかすめた

 

「……あんた子供を育てたことないだろ?父親を名乗るなら、まずそれからだと思うぞ」

 

「「「「「雄二[くん]‼︎」」」」」

 

「…急いで来たが間に合わなかったか」

 

見ると前原が腹を抑えて胃の内容物を吐き出し、神崎は叩かれた衝撃で目眩を起こしていた

 

「父親にこんなもん投げるなんて、躾が必要だな」

 

「軍人のくせにボーっとしてるのが悪い」

 

と言うが雄二にはわかっていた。この男は少し遅れたが咄嗟に狙われているのに気付き顔をずらして避けたと

 

「それにあんたを父親に持った覚えはないんでな。もっとも、願い下げだがな」

 

その言葉に鷹岡は

 

「そうかぁ?親愛を持ってるだけいいんじゃないか?」

 

ニヤリと笑う。

 

「少なくとも、お前の家族より」

 

瞬間、雄二の目が見開いた

 

「知らないと思ってたか?なんなら今からでもお前の父親にでも…ごぁ‼︎」

 

今度は見えなかった。あっという間に近づいて腹に拳が入る。

 

「さすがに、うまいな。最小限のダメージにしたか」

 

こうくるのはわかっていたがあまりにも速く防ぎきれなかったがそれでも鷹岡はダメージを最小限にした為あまり効いていない。

 

「(まさかもう伝わっているとはな)2つ言っておく。別に今の俺はあの頃を不幸と思ってない。あの父も、気まぐれでも優しくしてくれる瞬間があったし、母親からは愛されていた。そしてそれ以上口にしない方がいい『事故死』はしたくないだろ?」

 

戦慄が再び包まれる。E組の皆は雄二についてある程度わかったつもりでいた。だが、鷹岡が言った事と、今目の前で『事故死』と言った雄二は彼らの知らない風見雄二だった

 




今回の鷹岡回は雄二の秘密の片鱗に触れる回でもあります。

因みに鷹岡が雄二の情報を聞いたのは訓練開始日です。←早すぎじゃね?というのはわかってます

感想、意見よろしくお願いします。遅れてもちゃんと返信します

では
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