暗殺教室 グリザイアの戦士達   作:戦鬼

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ちょい間隔あいてしまいました。




進路の時間・2時限目

「三者面談?」

 

「うん」

 

渚が言うには彼の母親は渚を早いうちに転級させたい。何も知らない人からすれば地獄のような扱いをされる場所からお金を払ってでも復帰させる行動を良しとするだろう。だが実際は自分の息子を自分が思うような勝手な理想に付き合わせるだけ

 

「正直、孝太郎から聞いた話しを総合したら、本校舎でおまえがこれ以上成績が上がるとは思えない」

 

教え方はE組の方が早くわかりやすい。何よりお金を出して本校舎に戻れば実力至上主義みたいなこの学校では間違いなく蔑まれ、友達はできず精神的にも悪くなって余計に成績は落ちる

 

「何より、渚はこの教室に居たいんだろ?」

 

「…………うん」

 

もう答えは出ている。だが、

 

「渚の家に遊びに行った時に俺会ったんだけど、まぁわりとキツい反応されたわ」

 

「話聞くかぎり、随分とヒスっぽいからなぁ」

 

「本人の子どもの前でハッキリいうなぁ〜」

 

苦笑しながらだが否定してないところを見ると渚も理解しているのだと風見は感じた

 

「でだ、その三者面談の方だが……烏間先生がいま出張中だから殺せんせーが代役するわけだが…大丈夫か?色んな意味で」

 

「殺せんせーは任せとけって言うけど…」

 

「不審者って言葉が服着て動いてるようなもんだからなぁ」

 

うーんと皆頭をかかえながら考えていると話を聞いていたビッチ先生が提案を出す

 

「なら、私がやってやりましょうか?」

 

「おお、ビッチ先生か!」

 

人間、しかもこのクラスで何度も授業をし、苦楽を共にした。お互いの事はわかっているし代役としては最適と言えるだろう。だが、

 

(なんだ?この嫌な予感は)

 

大事な事を彼らは忘れている。早速予行練習として片岡が親役で質問する

 

Q1:担任として最も大切にしている事は?

 

「そうですね、あえて言うなら『一体感』ですわ」

 

Q2:渚にはどういった指導方針を?

 

「まず、渚君にはキスで安易に舌を使わないように指導してます。

 

Q3:……………

 

「唇の力を抜いて数度合わせているうちに、相手に唇から緊張感消え、柔らかくなります。密着度が上がり、どちらがどちらの唇かわからなくなったら、『一体感』を崩さないようにそっと唇を忍ばせるのです」

 

そう、彼らは忘れていた。彼女が痴女と言っても問題ないレベルの先生、ビッチ先生だということを

 

「アウトだな」

 

「そもそも形式上は私達の担任って烏間先生だよね?」

 

桃花の言う通り、機密である殺せんせーが三者面談などできるはずもなく、いつもは烏間が三者面談をしてきた

 

「親同士の話し合うことなんてよくある事だし、統一しとかないと話が合わないよ」

 

結局はそこの問題がある。

 

「なら、副担任という程で変装した殺せんせーが出たらどうだ?この際烏間先生が出張中ってのを話して」

 

「僕達の成績が上がったのが担任のおかげっていうのは話してす、母さんは担任と話したいっていうし」

 

「そもそも、教師の出張って何?って話しになるでしょ?しかもこの時期に」

 

またも皆がうーんとなる

 

「ヌルフフフ。心配ご無用です…私が烏間先生に変装すればいいだけです」

 

扉の向こうにいる殺せんせーの影はちょっと体格が烏間よりぽっちゃりしている程度

 

「変装って…いつものクオリティ低い変装じゃあ誤魔化せねーぞ」

 

「すれ違うくらいならまだしも、面と向かってじっくり長く話すからね~」

 

木村と陽菜乃の言うことはもっともだ。

 

「言ったでしょう?心配ご無用と…今回は完璧です‼︎」

 

ガララッと扉を開けて入って来た殺せんせーの変装レベルは

 

「おうワイや、烏間や」

 

鬘、烏間先生っぽい。顔、殺せんせー。手足、殺せんせー。服装:殺せんせー。

 

「ただの下手くそなコスプレをしている殺せんせーだな」

 

「再現度が低すぎてそれで良いと思った殺せんせーにもはや涙が出てくる」

 

「烏間先生そんなダッッッッサいパンタロンはいてない〜」

 

「最近爆売れしだしてるコスプレを題材にした漫画の作者と全国のコスプレイヤーに正式な謝罪がほしいレベル」

 

「そこまで言いますか⁉︎というか、あなた方本当に風見君と口調が似てきてませんかぁ⁉︎」

 

まぁ酷いレベルの変装…と言ってはいけないレベルのものに真っ当な評価をされて傷つく殺せんせー

 

「モノローグまで酷い⁉︎いやほら、眉間のシワとかそっくりやろ」

 

「目だ!」

「鼻だ!」

「口と口調‼︎」

 

「耳もだよね?」

 

桃花、莉桜、陽菜乃、そして神崎の容赦ないダメ出しに怯む殺せんせー

 

「その腕、某有名なギフトセットのハムみたいな感じになってるし」

 

「あ、いや、烏間先生のガチムチ筋肉を再現を…」

 

「無駄なとこばっかり凝ってるな‼︎」

 

「表現しようと努力した所が全部空回りになってるし」

 

正直このままではいけないが時間がない。烏間は来れない。ビッチ先生は訴えられるレベルの痴女、任せられるのはもはや殺せんせーしかいない

 

口元はマシな形に、デカすぎる顔と体は机の下にしぼり出して細くする。口調は元に戻してもらう。そうこう準備しているうちに渚の母親が来た

 

髪は短く、衣装も持っている鞄も着飾ってはいないがそのぶん美形の顔が目立つ。キャリアウーマン。その言葉が似合う

 

「掃き溜めを見るような眼だな」

 

ここに来るまであの山道を来たことでストレスもあるのだろうが、この校舎を一眼見た感想が眼だけでわかった

 

(さて、どうでる殺せんせー?)

 

皆心配そうに外の窓から見る。殺せんせーは渚の母が好きなグァバジュースに高級菓子のマカロンを出す。相手の好きな物と甘い物でまずは気持ちを落ち着ける為だろう

 

「渚君のこのクラスでの成長ぶり、ここまで利発に育ててくれたお母さんへのお礼です」

 

生徒を評価して親である相手を褒める

 

「渚君に聞きましたが体操の内脇選手のファンだそうで、この前の選手権も大活躍でしたねぇ。彼の頂点を目指す姿勢は素晴らしいです」

 

相手のツボを押さえて会話をし、打ち解けていく

 

「大丈夫そうじゃね?」

 

「どうだかな」

 

菅谷の言うことに皆同意するなか、雄二はジッとみる

 

(あの顔に覚えがある。………父親が客として来ていたあの男に向けた眼と同じ。そして、渚を見る眼は)

 

話しが母親の美貌が渚にも似たというワードが出た途端、眼が変わる。嫉妬のようにも見え、愛玩動物を見るようなものにも見える。いずれにせよ実の子どもに向ける眼ではない

 

「女であれば、私の理想(・・・・)にできたのに」

 

「あなたの理想?」

 

「ええ。このくらいの歳の女の子だったら長髪が一番似合うんですよ。私なんか子供のころ短髪しか許されなくて」

 

まったく渚のことを話していない。自分語りだ。今の渚の髪型すら初めは怒っていたともいう

 

(まるで、育成ゲームをしてるみてーだ)

 

「そうそう、進路の話でしたわね」

 

思い出したように渚の進路について話し出す。

 

「私の経験から申しますに、この子の歳で挫折する訳にはいきませんの。椚ヶ丘高校は蛍大合格者も都内有数ですし、中学までで放り出されたら大学も就職も悪影響ですわ。ですからどうか、この子がE組を出れるようにお力添えを」

 

言っている事は正しい。なのに圧を感じる。自分の意見は正しいと絶対の意志がある

 

「……渚くんとはちゃんと話し合いを?」

 

「この子はまだ何もわかってないんです。失敗を経験している親が道を造ってやるのは当然でしょう」

 

愛情と言えば聞こえが良い。だがこれは行き過ぎた愛情

 

(いや、調教か?)

 

渚も何か言いたいようだが「黙っておきましょうね」と言われ、その圧を隣で感じ、黙ってしまう

 

(あぁ、まったく違う。けど同じだ。親という鎖で、家族という鎖で己の意見を全て押し殺していた俺と)

 

「なぜ渚くんが、今の彼になったのかを理解しました」

 

 そう言うと殺せんせーは自身の頭を掴み、つけていた鬘を剥がした

 

「⁉︎…ヅ…!」

 

「そう…私、烏間惟臣は……ヅラなんです‼︎」

 

ちょっとかっこよく言っているが鬘をとっただけだ。だが、相手の圧を緩めることに成功した。

 

「お母さん、髪型も高校も大学も、親が決めるものじゃない。渚くん本人が決めるものです」

 

とった鬘を、ビリっと破く

 

「渚くんの人生は渚くんのものだ。貴女のコンプレックスを隠すための道具じゃない。この際ですからはっきり言います渚君自身が望まぬ限り、E組から出る事は認めません」

 

それが最後のトリガーだった。渚の母親からこの世の罵倒、悪意、拒絶。全てを凝縮したような言葉がどんどん出てくる。

 

「ヒステリックここに極めりってやつだな」

 

「笑いながら言うそれ?」

 

雄二にツッコミはするが否定してないという事は莉桜も同意見なのだ。というより全員がそうだ

 

「渚‼︎最近妙に逆らうと思ったら‼︎この烏間ってヅラの担任にいらない事吹き込まれたのね‼︎」

 

己の意見は絶対の人物にあのような否定をされたら、そりゃキレるだろうなと観察しながら雄二は思っていた

 

「見てなさい‼︎すぐに私がアンタの目覚まさせてやるから‼︎」

 

最後まで己の意見だけを言って乱暴に出ていった。嵐が過ぎ去っていったように感じる

 

 

 

 

渚の母親が去り、しばらくして皆が教室に入り意見を言い合う

 

「ありゃ大変だな」

 

「えぇ。つい強め言ってしまいました。……もう少し言いようがあったかもしれませんねぇ」

 

「殺せんせーでもそんなふうに思う時あるんだ?」

 

「ええそうですよ。完璧はないんですから」

 

「………渚、先生に言われたおまえの意志。難しいのはわかるが、ここにいる皆が味方だ。時間掛けても良いから、見つけてみろ」

 

渚は不安が隠せていない。この後帰ってどうなるかという不安もあるが、自分の意志をどう伝えるかわからないのが1番だろう

 

「ところで殺せんせー、大丈夫か?」

 

「えぇ。これからも渚君の為に…」

 

「いやそれもなんだがさ」

 

「?」

 

「烏間先生にヅラって設定を勝手に付けて」

 

「…………………」

 

押し黙る。皆も「あぁーたしかにー」と言いたげな表情になる

 

「いずれバレるけど、まぁ、頑張れ先生」

 

「その頑張れにまっっっっったく応援を感じない⁉︎」

 

当然ない

 

「ねぇ、雄二」

 

カルマが雄二に静かに話しかける。どうも見てほしい物があるそうだ

 

 

 

「これ、この足跡なんだけど」

 

少し大きめの足跡。烏間達のものでもない。

 

「この辺りを調べている奴がいるな。………まぁ十中八九殺し屋だろうな」

 

「やっぱりそう思うよね。どうする?殺せんせーに教える?」

 

少し考える

 

「必要ないな」

 

そもそも足跡があるなら、どう隠そうとしても匂いの1つや2つくらいあるだろう。気付いてないわけがない

 

「俺達に危害をだす事はもうないし、ほっといても殺せんせーは回避するよ。見た限り複数犯でもないしな」

 

「うーん……まぁ、そうだね」

 

カルマも納得した

 

(それよりも、渚の母親の方が問題だな。…目を覚まさせるとか言っていた)

 

自分の意見第一のヒステリックがキレたのだ。何をしでかすかわかったもんじゃない

 

(あの母親は渚をここから出したい。だがそれは烏間…もとい、殺せんせーがいる限り不可能。いくた金を注ぎ込んでも担当教師が拒否するなら無理だろう。渚が50位以内に入ってないとこを考えても本気でいれる事はしない。……となると)

 

1つの考えがでる。早速雄二は仕事用の携帯でJBと連絡を取る

 

「JB、今日は仕事はないよな?ちょっとここに残りたいんだが」

 

 

 

夜の道、明かりを便りにE組校舎へ。道中に車があった。ナンバーの写真を律に見せて検索させたがどうやら渚の母親の物らしい。そこから動向を追わせみたが

 

「1日に複数のガソリンスタンドに行っている。走行距離的にもおかしな数字だな」

 

「はい。それから病院から睡眠薬をもらったようですね。そしてこれがついさっきの道路のカメラに残った記録です」

 

画像解析をして見えにくかったソレが見えた。助手席で眼が隠され、ガムテープで縛られている渚が映っている

 

「予測計算した結果ですが…」

 

「いや、いい言わなくて。だいたいわかった………ここまでするかよ」

 

目的地に着くと松明に火をつけて校舎を燃やす事を言いだす渚の母親。しかもそれを渚本人にやらせようとしている。

 

「自身の手で退路を断たせるつもりか?いくらなんでもなぁ」

 

「まぁ、もう少し様子見しましょう」

 

「………………超自然に近づいていきなり会話するのやめてくれないか殺せんせー?」

 

とはいえ、多分殺せんせーがいるのはわかっていたので雄二もさほど驚かない。その時、渚の母親の松明が切られ、火が地面に落ちる

 

「あいつ、ここを偵察してた殺し屋か?」

 

「ええそうでしょうね。この時間帯は普段律さんと10時のドラマを見てますから」

 

「興味本位で聞くが何のために?女同士のドロドロ感情を学ぶ為です」

 

キランと効果音が入った気がした。雄二は「あっそう」と聞くんじゃなかったと後悔していた

 

「あの鞭で先生を殺す気だな。その速度、テレビ見て油断してる殺せんせーならほんの僅かくらいは可能性はあるな」

 

「まぁ、匂いが残ってたのを考えれば、どう出るかわかりますけどねぇ」

 

しかし観察はここまでだろうと雄二は動くこととする。このままでは渚の母親が殺されかねない

 

「ストップです」

 

「殺せんせー…さすがに止めねーと」

 

「まぁまぁ、見ていてください」

 

渚が動く。殺し屋は油断が僅かな警戒へと変わるが、渚が丸腰で近づいてくる事に違和感がでて、意識の波長が乱れだすそして

 

「クラップスタナー……以前の猫騙しから確実に進化してるな」

 

「まだまだですがね。麻痺が浅い。さて、私は行きますが、君はどうしますか風見君」

 

「いや、いいさ。俺ができることは何もない」

 

そうして雄二は立ち去ろうとしたが

 

「風見君、何かできたことが大切じゃない。何かしたいと思って行動したことが大切なんです」

 

「………そう、なのかな」

 

「ええ。ではまた明日」

 

「……あぁ、また、明日」

 

少しだけ、雄二は心が満たされた気がしていた

 




この話は本当にサクッと終わらせて文化祭編に行きたかったけど無理でした

ちなみに
最初は雄二を烏間に変装させてという案がありましたがここはやはり殺せんせーが言わせる場面と思いカットしました

でもやろうと思えばできそう
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