IKUSABA育ちのIKUSABA人   作:鎌鼬

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ジャンヌゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!(挨拶)

アルトリアとギル様のモーションがカッコよかった(小並感)

あと気がついたお気に入りが923件も……コレは1000超えたら番外編を書くしか無いな!!

番外編はレインヴェルin Apocrypha……それとR18で書こうかな?




第20話

 

 

森の奥に逃げ込み、開けた場所にあった岩に背中を預ける。アタランテが追跡していることは分かりきっている。極力足跡が残らぬ様にここまで逃げたものの、脇腹から止血したとはいえ血が流れている。それを目印に着けられるだろう。そうなると森の中にいては視界が悪いのでこちらが不利なのは明白。故に一見休むには向かなさそうなここで手当てを行う事にした。

 

 

シャツを脱いで細く破り、簡易の包帯として脇腹に巻き付けて治癒の魔術を使う。脇腹の怪我は肉こそ持って行かれているが内臓には損傷は無い、この程度ならしばらく休んでいれば動ける様になるだろう。

 

 

『ーーーあーもしもし!!レインヴェル聞こえるかい!?』

 

 

阿片擬きを吸い痛みを誤魔化しながらこれからアタランテをどうするか考えていたレインヴェルの目の前にモニターが現れる。映ったのは焦った表情を浮かべているロマンだった。

 

 

「おうロマ、お前帰ったら殺すから」

『のっけから殺人宣告!?って、ちょ、所ちょーーー』

『ーーーレインヴェル!!大丈夫!?』

「生きてるよ〜現在脇腹吹っ飛んでリアルで片腹痛い事になってるけど」

『黒野と美冬たちからレインヴェルの姿が見えないって連絡があってサーチかけたら周りにサーヴァントの反応だらけだったから心配したわよ!!』

「それって俺悪く無いよね?転移ミスったロマが悪いよね?」

『兎も角無事で良かったわ……現状を教えて貰えるかしら?』

 

 

モニターに映るロマンを押しのけて現れたのはオルガマリー。彼女はレインヴェルの周囲にカルデアで召喚されたサーヴァント以外の反応があったから心配していた様だ。それを見てレインヴェルは思わず笑ってしまう。それは一種の安堵からくる笑いだった。

 

 

「えっとだな……フランスを滅ぼそうとしているジャンヌダルクに気に入られて軟禁されてた」

『ーーーはぁ?』

「あと敵方のサーヴァントはセイバーがデオン・シュヴァリエ、アーチャーがアタランテ、ランサーがヴラド三世、ライダーがマルタ、アサシンがカーミラ、キャスターがジル・ド・レェ。バーサーカーの代わりにルーラーってクラスでジャンヌダルクが召喚されてる。しかも全員が狂化のスキルが付与されてて擬似的にバーサークしてる」

『ちよーーー』

「それでジル・ド・レェにジャンヌダルクに気に入られたことが気にくわないって襲われて逃げ出したは良いけどアタランテに追われてるってのが現状だな」

『ーーーごめん、理解が追いつかない』

「クハッ、この窮地を切り抜けられたらまた説明してやるよ」

 

 

モニターの向こうで頭を抱えているオルガマリーの姿を見て笑いながらレインヴェルは立ち上がった。脇腹の傷は表面を塞いだので出血死の心配は無くなった。残っているのは追ってきているであろうアタランテのことだ。

 

 

アタランテは狩人、獲物を探し出して仕留める事に特化している。狂化が付与されているので多少の判断は甘くはなっているだろうが狩人として身体に染み込んだ事は忘れてはいないだろう。望ましいのはここでアタランテを倒して追ってを無くすことだ。そうすれば新たにサーヴァントが召喚されない限りは追っ手の心配をしなくて済む。

 

 

「そうだ、ターミナルの設置は完了しているか?」

『ーーーえぇ、夕方にマシュがしたわ。その時にジャンヌダルクと行動していると言っていたけど……』

「ジャンヌダルクと?」

 

 

夕方の時間帯だとジャンヌダルクはレインヴェルに引っ付いていた。だとするなら黒野たちと行動しているのは聖人としての側面で召喚されたジャンヌダルクの方だろう。

 

 

そこまで考えてレインヴェルはその思考を切って捨てた。ここで優先するのはジャンヌダルクの事ではなく、ターミナルが既に設置されているということ。ターミナルが設置されているのならカルデアとの通信に物資の転移、そして()()()()()()()()()()()が可能になっているはずだ。

 

 

「アルトリアは?」

『レインヴェルがサーヴァントに囲まれているって知って飛び出しそうになってたけど何とか堪えていたわ……その代わりにロマンのお菓子が被害を被ったけど』

「コラテラルダメージだな!!うん!!これは必要なことだ!!あ、アルトリアにロマの部屋の上から二段目の棚の奥にお菓子が隠してあるって言っといて!!」

 

 

 

モニターからロマンの悲鳴が聞こえてきた。ざまぁみろと笑いながらこの状況を打破するための作戦をオルガマリーに伝える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月夜に照らされた森を駈ける一人の少女の姿があった。初めて見るはずの森で夜の暗がりで視界が悪いはずなのにまるで自分の庭にいるかの如く駈ける彼女の頭と腰には人のものでは無い獣の耳と尻尾が生えている。

 

 

アタランテ、ギリシャ神話に名を残す女狩人。与えられたスキルである【アルカディア越え】はどの様なフィールドだろうが彼女の歩を妨げさせない。視界が悪い森だというのに平時と変わらぬ速度で駈けることを許しているのはこのスキルの恩恵があったからだ。

 

 

彼女は今ジル・ド・レェの名によりレインヴェルを追いかけている。追うこと自体には然程苦労はしない。足跡を残さぬ様に逃げているが折れた小枝が、地面に僅かに残されているレインヴェルの血が、レインヴェルの逃げた方向をアタランテに教えていた。

 

 

そしてアタランテはレインヴェルを見つける。開けた場所にある岩に背中を預けて、レインヴェルは息を荒くしながら目を閉じていた。上半身が裸で、腹に包帯のようなものを巻き付けていることから治療をして体力を回復されているのだと予想が出来る。

 

 

アタランテは狩人だ、狩人は手負いの獣が恐ろしいことを知っている。サーヴァントだからと油断して目の前に姿を現せばどの様な抵抗をされるのか分からない。それがジル・ド・レェと自分というサーヴァント二騎から脇腹の怪我だけで逃げ出したレインヴェルに対するアタランテの評価だった。

 

 

アタランテは弓に矢を番える。今アタランテがいる場所からレインヴェルがいる場所まで距離にして1kmは離れている。そしてアタランテは弓を引き絞りーーー矢を放った。樹々の間を縫う様にして矢は一直線に飛んでいく。狙いはレインヴェルの頭部、そして避けられた場合に備えアタランテは二本目の矢を番える。

 

 

だが、アタランテが矢を放った瞬間、矢の風切羽が風を切る僅かな音をレインヴェルは逃さなかった。そして迷う事なく手に刻まれている三画の令呪に意識を集中させる。

 

 

「令呪を持って命ずるーーーあそこだ、飛べ、アルトリア」

 

 

レインヴェルとアタランテの視線がぶつかり、レインヴェルの手から一画令呪が消滅する。異常な魔力の動きを感知してアタランテは顔を上げた。

 

 

そこにはーーー月を背後に黒い剣を振り上げている黒のドレスと鎧を纏った女性の姿があった。

 

 

「ーーー消え失せろ」

 

 

それがアタランテが消滅する前に聞いた最後の言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーやれやれ、何とか上手くいったみたいだな」

 

 

作戦が上手くいった事と顔の横に刺さっている矢が外れた事にレインヴェルは安堵のため息を吐く。

 

 

作戦の内容は単純、レインヴェルは自身を囮にしてアタランテの居場所を割り出し、そこにアルトリアを令呪を使って転移させるというものだった。目を閉じていたのは聴覚に全神経を集中させていたから。もしアタランテが後10m離れたところにいたら正確な居場所を見つけるのは難しかっただろう。矢を避ける事自体はそう難しい事では無い。矢も銃と同じで放ってしまえば真っ直ぐにしか飛ばない。エミヤ辺りなら自動追尾する矢を投影しそうなのだが。

 

 

「生きているか、レインヴェル」

 

 

一先ずの脅威を切り抜けられて全身を弛緩させているレインヴェルの前にアルトリアが現れる。

 

 

「生きてる生きてる。血が足りんけどな」

「そうか、生きているのなら良い。血に関してはそこら辺の獣を取ってくれば良い」

 

 

杜撰な対応をしている様に見えるアルトリアだがそれでもレインヴェルが生きている事を心から喜んでいた。

 

 

黒野たちと転移したはずなのにそこには居らず、見つけた時にはサーヴァントに囲まれていると分かったときには頭の中が真っ白になって真っ先にレインヴェルの元に向かおうとした。だがそれでも周囲のサーヴァントを刺激し、レインヴェルを危険に晒すのでは無いかと考えて何とか思い止まったのだ。幸いな事にサーヴァントたちはレインヴェルに危害を加える事は無かったがアルトリアとオルガマリーは気が気でなかった。それこそアルトリアはロマンのお菓子の大半を食べ尽くし、オルガマリーは心配でまともに眠られない程に。

 

 

「いらん心配かけて悪かったな」

 

 

そう言って立ち上がろうとするレインヴェルにアルトリアは肩を貸す。本当ならレインヴェルの容体が安定するまで休憩させたいのだがここのすぐそばに敵の本拠地がある。アタランテが消滅した事は既に伝わっているだろう。その事を考えると一刻も早くこの場から離れたかった。

 

 

「黒野たちと合流する、それまで我慢しろ」

「あいあい」

 

 

アルトリアの提案に短く返して、二人は森から脱出した。

 

 

 





アタランテ脱落。狂化が無かったらもう少し粘れていただろうけど接近されたら弓持ちアーチャーは弱いから……これだから弓を使う弓兵は!!

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