福袋ガチャで星5が3枚も当たったでぇ!!近い内に死ぬと思うわ!!
なお結果は青ペンとオリオン×2
弓の星5はいなかったから良かったにしても青ペンはなぁ……モーさんの方が欲しかった。
「ーーーお待ちになって!!」
「むっ?」
「何奴!?」
「なんでそんなにノリノリなんですか……」
ヴラド三世との再契約を果たし、一先ずの方針を決めたレインヴェルたちが町から出ようとした時、彼らを引き止める声がした。澄んだ声色が辺りに響き、レインヴェルたちは警戒する。
「貴方方が、竜の魔女を退けて下さったのね?」
「……誰だ?」
声の主を見つけたのはアルトリア。赤い装飾の服と帽子を身に纏い、白髪を靡かせた美少女が廃墟の上に立っていた。一目で彼女がサーヴァントだと分かり、黒野と美冬はジャンヌダルク・オルタが差し向けた新たなサーヴァントかと警戒していたが彼女からは敵意が感じられない事を二人以外は察知していた。
少なくとも、今敵ではないと分かればそれで良い。
「あら、これは失礼しました。私はマリー・アントワネットと申します」
『マリー・アントワネット王妃ですって!?』
マリー・アントワネット王妃、ハプスブルグ家の系譜にあたるフランス王妃。十八世紀にルイ十六世の妃であった。時代こそは違うがフランスの危機に駆けつけたとしてもおかしくは無い英雄である。
「あー……どうしてここに居るのか、なんて聞かないぜ?そんな暇は無いからな」
「風情が無いですね。心にゆとりを持たせる事は大切ですわよ?」
「場所と時間と状況さえ違ってなければ言葉遊びでも隠し芸でも、俺の経歴発表会でもなんでもしてやるさ。だけど今はそんな暇は無い、だから単刀直入に聞かせてもらう。お前は俺たちの敵か?」
そう言ってレインヴェルはマリー・アントワネットに向けて鋭い殺意を放った。現状、レインヴェルたちはジャンヌダルク・オルタたちの陣営と対立するだけで手一杯な状態だ。例え今は敵で無いとしてもこれから先に敵になる可能性があるのなら、レインヴェルは顰蹙を買ってカルデアの面子と軋轢が生まれようともマリー・アントワネットの首を撥ねるつもりでいた。
「……ふふっ、まるで獣の様なお方ね。心配なさらずとも、私は貴方方の敵ではありません。今も、そしてこれからも」
「……あっそ、それが分かればいいや」
それを聞いて、レインヴェルは殺意を霧散させる。そもそもこれは一応聞いただけで、彼女がフランスに害を為すとは考えていなかった。
マリー・アントワネットは革命で処刑された王妃である。それが彼女の結末で、それだけを聞けば圧政者に聞こえるのだが事実は違う。マリー・アントワネットは誰よりもフランスという国を、そこに住まう人々の事を愛していた。革命期にこそ処刑され、多くの人々の対象になったものの現代のフランスでは名誉回復が行われている。
飢餓にあっては宮廷費を削り寄付金と為し、
自ら貴族たちに人々の援助を求める等、
誰よりもフランスという国を愛していたから、彼女は国の為に、そこに住まう人々の為にフランスに尽くしていた。微笑みで衆生を癒し、眼差しで心酔を得る。愛される為に生まれた
それを知っていたレインヴェルは無駄だとは分かりきっていたものの、黒野や美冬の事を考えて一応敵対する意思の有無を聞いたのだ。
「んじゃ、次の質問ね。何をしに来たの?」
「あら、貴方なら分かっていると思いますけど……えっと」
「予想はしているし察しもついてる、だけど確信があるわけじゃ無いからな……あぁそうそう、俺はレインヴェル・イザヨイだ。好きに呼んでくれ」
「それではレインヴェルさんと……私たちは貴方方に協力する為に参りました」
マリー・アントワネットの口から出たのは協力の要請だった。それを聞いて黒野と美冬、そしてマシュは驚いた様に喜んでいる。レインヴェルも喜びたいのは一緒である。戦いに勝つのに必要なのは数と質である。質が劣っていようとも数で勝れば、数で劣っていようとも質で勝れば、戦いに勝つ事が出来る。今の戦力ではカルデア勢はジャンヌダルク・オルタの陣営に
その事を鑑みればマリー・アントワネットの申し出はありがたいものなのだが、レインヴェルには一つ気になる事があった。
「ちょっと待った……私〝たち〟?」
そう、マリー・アントワネットは私では無く私たちという複数系を使った。それが示すのはマリー・アントワネットだけでは無いという事。
「えぇそうよ……アマデウス!!アーマーデーウースー?」
「ーーーゼェゼェ……ウェッ」
マリー・アントワネットの足場となっている廃墟の影から現れたのは息を切らせながら青い顔をしている痩躯の男性だった。見るからに現界ギリギリ、若干身体から粒子が出ている気もしない事が無い。
マリー・アントワネットが親しげに呼ぶアマデウスという名の男性、それだけでレインヴェルは彼の正体に察しがついた。
「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトか?」
「えぇっ!?モーツァルトって、あの音楽家のモーツァルトですか!?あんなヒョロヒョロで今にも死にそうなのが!?」
「彼もキチ発言するなんて……キチガイ汚染が始まっている!?」
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは音楽に興味が無い様な人間でも名前と職業だけは知っている程に有名な人物である。知名度という点ではそれこそマリー・アントワネット並みにあるだろう……そして、戦闘力も彼女並みに無いと思われる。
だがサーヴァントの真価は宝具にある。彼らが戦力になるかどうかはそこに期待するしか無いだろう。
「で、なんでモーツァルトは死にそうな訳?」
「ゼェゼェ……マ、マリーが急に走り出すから……」
「アマデウス、引きこもっているから体力が無いのですわよ?もっと外に出ないと」
「ぼ、僕は音楽家なんだ……それなのに宝具に乗って先に行くとか本当にやめて欲しい……ウェッ」
モーツァルトが死にかけている理由が分かった。要はここの戦いに気がついたマリー・アントワネットが先走って、それに追いつこうとして走った結果なのだ。それでも、流石に走っただけで消滅寸前なのはどうかと思うが。
「長話は嫌いじゃ無いがしている暇が無い。近くに森があったよな?そこまで行くぞ」
「別にこの場でも良いのでは無いか?環境こそあれだが身体を休める場所は残っている」
「現状は所長から聞いてるから把握してる。フランス軍と接触しない方が良いんだろ?それなら人目につかないとこに行った方が良い」
カルデアには〝竜の魔女〟のジャンヌダルク・オルタでは無く、〝オルレアンの聖処女〟のジャンヌダルクがいる。ジャンヌダルクが二人いると知らない人間から見れば、ジャンヌダルクの方が〝竜の魔女〟と思われてもおかしく無い。余計な問題を起こさない為にも、レインヴェルは人目につかない場所にへの移動を提案したのだ。
それに異論を出す者は居らず、死にかけているモーツァルトをレインヴェルが運んで彼らは森にへと向かった。