「ーーーふと思ったんだけどさ、デオン・シュヴァリエって男なの?それとも女なの?どっちよ」
「唐突に何を宣っているのだ貴様は」
ガタンガタンと揺れながら前に進む荷車に乗りながらこれからと全く関係無いことを言い出したのはレインヴェル。ヴラド三世が困惑気味に反論してもおかしく無い。
「嫌だってさ、デオン・シュヴァリエって言ったら現代じゃ性別不明のスパイなんだぜ?男の格好?してるみたいだけど中身は女でしたってことは有り得ない話じゃ無いだろ?無駄に中性的な顔のせいか判断しづらかったし、どっちなんだと思ってさ」
「そんなに気になるのなら剥けば良いでは無いか。敗者から身包み剥がすのは勝者の特権だ」
「成る程、その手があったか!!」
『その手があったか、じゃないわよ!!この変態!!』
「あぁ、ワインが欲しい……」
いつも通りにぶっ飛んでいる発言をするレインヴェルは昨夜の不調を残していないように思えた。ジャンヌがこの場にいたら安心したかもしれないが、
カルデアのマスターたちは、邪竜ファブニールに対抗出来る唯一の英雄であるジークフリートを探す為に二手に分かれて居た。黒野、美冬、マシュ、ジャンヌとレインヴェルの二手に分かれて。マリーアントワネットとモーツァルトは黒野と美冬の方に組み込まれている。
二手に分かれた理由は2つ。1つはフランスが広い為。人が居る、もしくは廃墟になったところを探す様に決めたがそれでも移動だけで時間がかかる。なので少しでも時間を短縮する為に二手に分かれ、それぞれ逆方向から探すことにした。
もう1つは竜の魔女であるジャンヌオルタに狙いを絞らせない為。彼女の目的は妨害してくるジャンヌと、執着して居るレインヴェル。だから敢えて別々にする事にした。
黒野と美冬の方は魔術師としての実力が心配だが日本の剣豪の代表である佐々木小次郎、神代のギリシャでヘカテーに魔術を師事していたメディア、ケルト版ヘラクレスのクー・フーリン、剣の投影に特化したエミヤがいる。特に佐々木小次郎はワイバーンを三枚に下ろして、
レインヴェルの方は彼自身が戦闘に特化した魔術師である上に騎士王であるアルトリアに護国の将のヴラド三世がいる。仮に戦闘になったとしても問題無かった。
「にしてもメディアは凄いな。提案したのは俺だけどまさか本当にしてくれるとか」
『流石は神秘が濃い時代のサーヴァントね……まさか魔獣を洗脳出来るなんて思いもしなかったわ』
レインヴェルの方のモニターを務めるオルガマリーの目線の先には荷車を引いている獅子と山羊と蛇の混ざった様な獣ーーー一般に
フランスを巡るという方針をとったがレインヴェルはともかく黒野と美冬は身体がそこまで鍛えられていない。なので徒歩は効率が悪いと判断したレインヴェルが森に生えていた木を切り倒して突貫で荷車を作った。だが完成させてから引く馬がいない事に気付く。それに落ち込んでいると調子に乗ったクー・フーリンが煽って来たので極辛麻婆豆腐を朝食として差し出した。クー・フーリンは自分が誓ったゲッシュにより、目下の者から食事に誘われたら断れないのだ。極辛麻婆豆腐を食べて白目を向いて気絶したクー・フーリンにダブルピースさせ、それをロマンに撮影させながらどうするか悩んでいると麻婆豆腐の匂いにつられたのか、
そしてレインヴェルは思いつく。
こうしてカルデアのメンバーは足を手に入れる事に成功した。
「この特異点が終わったらメディアから魔術教えてもらいたいな……」
『そう言えば、レインヴェルの弟も参加していたわよね?』
オルガマリーが思い出したのはレインヴェルと共にカルデアに参加していた彼の弟の事。レインヴェルが戦闘特化なら弟の方は学問特化ーーーつまり魔術師らしい魔術師だった。
「……あれ?そう言えばコールドスリープさせたマスター候補の中で姿を見てなかった様な……」
『爆発で死体が残らなかったって可能性があるけど……気になるわね。少し探してみるわ』
「頼んだ」
オルガマリーとの交信が切れるとアルトリアが弟に興味を持ったらしく、レインヴェルに近づく。
「弟が居たのか?」
「あぁ、いつも眉間にシワ寄せてるけど良い奴だぜ?そういやあいつの婚約者と弟も参加してたはずだけど姿見てない……可能性があるな」
その可能性がなんの可能性なのかはレインヴェルにしか分からないし、所詮は可能性の話でしか無い。この特異点では全く関係の無い事でしか無いのでレインヴェルはその考えを頭の片隅に置いておく事にした。
「ところで、本当にジークフリートは召喚されているのか?」
「可能性はある。マリーアントワネットとモーツァルトとかが召喚されてるからマスターの居ないサーヴァントとして召喚されてるかもしれないし、ファブニールの召喚に引っ張られる形で召喚かもしれない。そもそも召喚されて無かったとしてもカルデアで召喚すれば良いだけの話だし」
冬木の特異点でもキャスターとして召喚されたクー・フーリンがマスター不在の状態で活動して居た。抑止力が仕事をしたのか分からないが人類史の焼却を防ぐ為に喚ばれたと見て間違いないだろう。
まぁ人類からしてみれば焼却が確定されてからでは無くてその前に防いで欲しかったのが本音だろうが。
「にしてもファブニールの召喚とか本当に面倒な事してくれるよな……呼吸するだけで魔力精製する上に下級とはいえ竜のワイバーンを生産するし……特異点に1つファブニールってか?」
「……そう言われるとこちらとしては何も言えないな」
「あぁ、領主様責めてるわけじゃないからな。ただ今後の特異点でもファブニールみたいなやつが呼び出されてたらって考えると面倒だな〜って考えてただけだから」
特定の方法しか倒せない敵の出現は出来ることなら遠慮したい。それは逆説的に言えばそれ以外の方法では倒せないと言っているのとおなじだから。仮に世界を滅ぼせる規模の攻撃であろうとも、その方法に沿ったやり方でなければ倒すことは出来ない。つまり、ゴリ押しが出来ないのだ。
「それで、我々が向かう場所はどこだ?」
「えっと確か地図によると……」
レインヴェルが開く地図に描かれているのはカルデアから観測したこの特異点の航空画像。魔術的な干渉を受けているためか多少粗いが、それでも都市の様な物の場所を判断することが出来る。
「ここ、だな。ジャンヌから聞いた町の名前は『リヨン』だってよ」
新しいIKUSABA目標
1特異点につき、最低でも1キチガイを出す。尚、カルデアメンバーは含まない。