「ーーーハァッ!!」
アルトリアが剣を一振りする。それは人間の視力では黒い閃光が通って行っただけにしか見えない程の速度で振るわれ、前方にいた骸骨たちを一撃で粉砕する。
「オラッ!!」
レインヴェルは徒手空拳で骸骨に殴りかかる。本来彼はナイフとマグナムを持っているのだが骸骨相手にするには斬撃系統のナイフでは効き目が薄い。マグナムはナイフに比べればまだマシな効果を期待出来るのだが弾数制限がある。なので骸骨相手に有効打になる打撃で戦うことにした。硬く握り締められたのでは無く、中指だけを飛び出す様にして握られた拳は一撃で頭蓋骨を粉砕して骸骨を霧散させる。
「多いな」
「人気者過ぎて笑い止まらんで腹痛いわ」
レインヴェルとアルトリアが背中合わせになり、周囲を取り囲む骸骨たちに睨みを効かせる。骸骨たちはたった二人しかいないレインヴェルとアルトリアをあざ笑うかの様にカタカタと音を立てながら廃墟とかした建物から得たのであろう廃材やどこから入手したのか分からない剣や弓矢を手に包囲網を狭めてくる。
そもこうなったのは数十分前、レインヴェルとアルトリアが他のカルデアの魔術師を探そうと歩き始めた時まで遡る。歩き始めて数分で彼らは十体程度の骸骨の群れを見つけた。倒すか避けるかの二択を選ばなければならない状況になり彼らは迷うこと無く倒すことを選択する。そして突貫、レインヴェルが二体の骸骨の頭蓋骨を砕いている間にアルトリアは八体の骸骨を粉砕していた。サーヴァントの戦闘能力が人間よりも遥かに高いと聞かされていたが予想を超えるアルトリアの強さにレインヴェルは惚れ直した。
骸骨を倒したのならもう用はないのだが……倒した際の騒ぎを聞かれたのか新たな骸骨の群れが現れる。それをノータイムで倒すことを決め倒したら別の群れが現れる……そんなことを繰り返して、気がついたら四方八方を骸骨の群れに取り囲まれていた。
幸いにも骸骨自身の戦闘能力はかなり低い。武器を振り回すなどの単純な行動しかしない上に風化でもしているのか素でコンクリートの壁に穴を開けることが出来るレインヴェルのパンチ一撃で砕くことが出来る。一体一体を倒すのには然程労力が掛からないがそれでも数の暴力がある。二人は余力は有るもののこの状況が良くないことを分かっていた。
「どっかのゴキみたいに次から次に……面倒すぎる」
「ならば私のカリバーで一網打尽にしてやろうか?」
「それは止めといた方がいい。まだ先は長いんだからこんなんで魔力消費してたら俺が持たん。っと、あそこにある建物見える?」
襲いかかってくる骸骨を裏拳で砕きながら、レインヴェルはこの場から離れた場所に建っている建物を指差した。元々はビルなのかデパートなのか判断しづらいコンクリートの建物がある。しかし見た目は火災にやられてなのか真っ黒、さらに風化しているらしくコンクリートはボロボロになって脆くなってる様に見える。
「あそこで骸骨ホイホイして一網打尽にしてやろう」
「面白い、乗ったぞ!!」
二人と建物の間にいる骸骨をアルトリアが一振りで粉砕する。骸骨の物量の前では焼け石に水としか思えないこの行動をレインヴェルは見逃さない。ロングコートから手榴弾を取り出して薄くなったそちらに投げる。ピンを外してから数秒で手榴弾は本来の威力の数倍の爆発を起こした。そして骸骨の包囲網が破れ、建物へと続く道ができる。
その道をレインヴェルとアルトリアは全力で疾走した。骸骨の動きが速くはないとはいえどゆっくりしていればこの道はあっという間に塞がれてしまう。アルトリアが先行し、道を塞ごうと包囲網から溢れ出した骸骨数体を通りすがり様に粉砕する。そして建物の外壁を脚力だけで一気に駆け登り、建物の屋上に降り立つ。
それに続くのはレインヴェル、しかしある程度骸骨の群れから離れると骸骨の移動に合わせる様に速度を落として建物の入り口から中に入る。その気になればアルトリアと同じ様にとはいかないもののパスクールの要領で外壁を登ることができるのだが今回は目的の為にあえてその方法をとらなかった。レインヴェルが建物入るとそこは広いフロアで奥の方には二階に上がるための階段が見える。すぐさまその階段には向かわずに建物を支える四本の柱と脆くなっている柱二本を見つけ、それの根元に宝石を投げる。ガシャリガシャリという音が聞こえて入り口を見ればそこには我先にと群がっている骸骨の姿があった。狙い通りに行きそうだとほくそ笑みながらレインヴェルは階段を駆け登り、屋上に出る。
「どうだ?」
「……よし、見える奴らは全部入ったぞ」
「よっしゃぁ!!芸術は爆発だぁ!!」
アルトリアからの返事を聞き、レインヴェルはキーワードを避ける。するとフロアに置かれていた宝石が爆発して傍にあった柱六本の根元をすべて吹き飛ばした。建物を支えていた柱とダメ押しと言わんばかりの柱を吹き飛ばすとどうなるのか?当然のことながら建物は支えを無くしたことで崩壊する。屋上にいたことで二人は上から下への自由落下を始める。
サーヴァントであるアルトリアは危なげなく着地、レインヴェルもアルトリアに少し遅れて腕を組み膝を伸ばした状態で地面に着地する。だがそんな姿勢で着地をすればその際の衝撃を逃がせるはずが無く、レインヴェルは痛みに悶えることになる。
「〜〜〜!!!」
「何をしているのだ……」
「いや、だってあれをしろってアラヤが囁いたから」
「アラヤがそんなことを言うわけないだろう」
表面的では呆れた様な態度をとっているアルトリアだが内心ではレインヴェルの身体能力と咄嗟の判断力の高さに感心していた。骸骨を倒す際の身体の動きには一切無駄が無い、最短で有効手段を用いて敵を倒している。そして骸骨を一網打尽にしたあの作戦。知性のあるものならば分からなかったが単純な行動しかしない骸骨だからこそ有効な作戦を立案して即座に遂行した。そこにはサーヴァントのような理外の力では無く、完成された人間の強さを感じた。
騎士には向かないだろうがもしレインヴェルが円卓に居てくれたらブリテンは安泰だっただろうなぁと痛みから立ち直っているレインヴェルを見ながらアルトリアは考える。
「あ〜痛かった」
「それは痛いだろう……レインヴェルは魔術師なのだろう?ならば何故あんなに戦い慣れているのだ?それも一対一の様なものでは無くあんな複数戦を」
アルトリアがそんな疑問を抱くのも無理は無い。魔術師というのはRPGで言う所の後衛職に当たる。だというのにレインヴェルは堂々と前に立って戦えていたのだから。
「そういや言ってなかったっけな?えっと、俺の魔術師としての方の実家は人間を完成させることで根源に向かおうとしていたんだ。で、その過程で日本で異形退治していた十六夜って一族と結婚して出来たのが俺。だから人間が出来ることは当たり前のように出来るように教育されてるんだよ」
「なるほど、よく分からん」
「様は人間規模の人工交配って奴。強い人間同士を交配させることで強い人間を作って、その果てに出来るだろう完成された人間が根源に繋がるんじゃ無いかと狙ってるみたいな?」
つまりレインヴェルは根源を目指すための途中過程として作られた人間なのだ。人工交配を繰り返されて生み出された彼は現存するどの人類よりの身体機能や知能が高いと自負している。魔術師としての教養はあるし戦えないことは無いのだが、それよりも肉弾戦で戦った方が強いのでそうしているのだ。
「それは……」
レインヴェルの話を聞いてアルトリアは王位を奪うために生み出された自身の娘を思い出した。彼女の娘とレインヴェルの境遇がどこか似ているように思えたから。
「だけどまぁ親父とお袋の中は普通に良いぞ。IKUSABAで出会ったのがキッカケで、俺の子供を産んでくれ!!とか貴方の子供を産ませてください!!とか叫んだらしくそのまま銃声やら爆発音をBGMに合体したらしいし、臨月迎えたらいた場所がIKUSABAになって移動するのが面倒だがらって親父が武力介入している最中にポンっと俺のことを産んだらしいしな」
「すまん、何を言っているのか理解出来ない」
娘とレインヴェルが似ているだなんて気のせいだった。というよりもレインヴェルの両親が可笑しい。彼らは一体何をしたいのだろうか。
「とまぁそんな訳だよ。身体機能の高さは人工交配の結果、戦闘能力の高さは親父とお袋がちょくちょく俺を連れてIKUSABAに遊びに行っていたから。魔術師としては一応魔術刻印があるけどそっちを使わないでさっきみたいに宝石爆弾やったり、魔術処理した銃やナイフで戦ったりとか……どっちかっていうと魔術使いの方だな」
「おい待て、IKUSABAに遊びで連れて行かれるとはなんだ」
「生死が隣り合っているIKUSABAには全てが詰まっている!!って親父が言ってたから。初めて参加したのは四歳の時で今が二十五だから二十一年IKUSABAにいるわけだ。ちなみにそれを見ていたお袋はあらあらとか笑いながら作ってた弁当をIKUSABAで広げて食べてたぞ」
「分かった、お前の一族は規格外なのだな」
「解せぬ」
取り敢えずレインヴェルは色々とぶっ飛んだ家系から生まれた肉弾戦系魔術師だと思うことでアルトリアは精神衛生を保つ事にした。その中に触りとはいえレインヴェルのことを知れて嬉しいと思っているのは秘密だった。
「さてっと、休憩がてらのお喋りもそろそろにして探索を再開しますかね」
「そうだな」
警戒を続けているがレインヴェルの警戒網にもアルトリアの警戒網にも後続の敵の気配は引っかからない。どうやらあれで打ち止めのようだ。そうして他のカルデアの魔術師たちの探索を開始した二人の目の前に、
火災の炎とは違う、魔術的な要因によって発生した炎が上がった。
波旬「やぁみんな!!波旬お兄さんだよ!!今日も元気に滅尽滅相しながら説明していこう!!」
波旬「今日の説明はレインヴェル君のだね!!本編でも上がった彼の実家についての補足をしていくよ!!」
波旬「レインヴェル君の母方の家系が魔術師で人間を完成させることで根源に通じようとした魔術師の家系だね!!ようは超人を作れば根源に行けると思ってそれを実行している魔術師だね!!肉体的な面でも魔術師的な面でも優れている人間を交配させているから普通に人間のジャンルとしては上位に入るような人間をポンポン量産しているキチガイ家系さ!!」
波旬「そしてレインヴェル君の父親の家系は日本で異形退治をしている十六夜の家系さ!!七夜と同じ様なものだと思ってくれれば良いけど違いがあるとすれば十六夜は七夜のような異能を持たずに人間の力だけで異形を退治していたところだね!!つまり異能を使って地位を確立させている七夜の地位に異能無しで確立させちゃってるキチガイ家系さ!!」
波旬「そして父親と母親がIKUSABAで出会い互いに一目惚れでドッキング!!そうして産まれたのがレインヴェル君だね!!そうそう、父親は母親の実家からは両手を挙げて歓迎されていたらしいよ!!そりゃあ人間最強作ろうとしている家系に人間の性能を突き詰めたような家系の血が入るなら断る理由にならないね!!」
波旬「さて!!今回の説明はこんな感じかな!!次の更新が何時になるのか分からないけど見てくれるなら波旬お兄さんは嬉しいな!!」
波旬「それじゃ!!また会う日まで……せぇの!!生きてるだけで最高さ!!」