IKUSABA育ちのIKUSABA人   作:鎌鼬

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第4話

 

 

 

「なぁアルトリア、あれどう見る?」

 

 

レインヴェルが炎の上がった先を指差す。炎はさっき上がった物だけではなく不定期に上がっている。

 

 

「ふむ、マーリンには届かないが中々の腕前の魔術師がいるようだな。人間の魔術師ではあのレベルの魔術は難しいだろう。そうなるとあそこにはキャスターのサーヴァントがいるかもしれんな」

「そして炎の上がり方から恐らく戦闘中……つまり誰かいるってことだよな?」

 

 

あの炎を出しているのはサーヴァントであるキャスターの可能性がある、つまりサーヴァントのマスターが近くにいる可能性もあった。レインヴェルの問いにアルトリアは頷いて応え、二人は炎の上がっている場所に向かって駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

炎の上がった場所では戦闘が行われていた。

 

 

「そぉら焼き尽くせ!!」

 

 

青い髪の男性が杖を振るう。それだけで火球が現れて敵目掛けて飛んでいく。

 

 

「他愛無し」

 

 

それを黒く霞みがかった右腕に拘束具のようなものを着けた人型は跳ねるような移動をすることで避ける。火球の速度が人型の動きに追いつけていないものの、人型が小刀を投擲した瞬間に青い髪の男性は杖を使って小刀を弾きながら飛び退く。互いの攻撃が当たらない千日手のような状況になっている。

 

 

しかし片一方の戦況は違う。

 

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

「くぅっ……!!」

 

 

青い髪の男性が対峙している人型とは別の様々な武器を背負い槍を持った偉丈夫のような人型と対峙しているのは身の丈よりも一回り大きいサイズの盾を持った少女。人型の振るう槍を盾を使って防ぐことが出来ているがその膂力の強さから堪えきれずに弾き飛ばされる。

 

 

この場では四騎のサーヴァントが戦っていた。青い髪の男性はキャスター、右手に拘束具のようなものを着けた人型はアサシン、様々な武器を背負い槍を持った人型はランサー、そして身の丈よりも一回り大きい盾を持つのはシールダーのサーヴァント。キャスターとシールダーは手を組みアサシンとランサーと対峙しているが戦況は良いものではない。シールダーはこの場にいるどのサーヴァントよりも戦闘技能の低さが目立っている。今は防御に徹することでなんとか耐えているが何かしらの拍子に天秤がランサーに傾けばどうなるのか想像するもの難しくない。

 

 

そしてその天秤が傾く。アサシンとランサーの他に黒い霞みがかった女性の人型が現れたのだ。その女性も例外なくサーヴァントでクラスはライダー。ライダーはアサシンとランサーと戦っているキャスターとシールダーではなく、その場から離れたところに立っている学生服のような格好をした黒髪の少年とその少年の後ろに隠れている白髪の女性に目をつけた。

 

 

「っ!?先輩!!所長!!」

「余所見をしている暇があるのか!!」

 

 

シールダーが少年たちに注意を向けるもののランサーがそれを許さない。手にした槍をぶつけることでシールダーの注意を自分にへと向けさせる。キャスターも少年たちに注意を向けようとするがそれを見計らって投擲される小刀によって行動に移せずにいた。

 

 

「……」

「ちょちょっと!!こっちに来てるわよ!!」

「分かってますって!!」

 

 

白髪の女性ーーーオルガマリー・アニムスフィアが黒髪の少年ーーー岸波黒野にヒステリック気味に叫ぶが状況は変わらない。幸いなのかライダーはゆっくりと歩いて近づいてくるがそれが余計に二人の恐怖を掻き立てることになる。

 

 

「(あぁもう……!!いつもいつも偉そうなことを言ってるくせにこういう時に来てくれないなんて何やってるのよあいつは……!!)」

 

 

危機がゆっくりと近づいている中でオルガマリーが思い描いたのはいつも自分に絡んでくる男性のことだった。彼は魔術師として超が付くほどに一流の家系に産まれながらも魔術師らしからぬ性格をしていた。そして顔を会わせるたびにそれが当たり前であるかのように煽ってくる。マスター適性とレイシフト適性が無かった時の煽りが特に酷かった。だが自身の気性とカルデアの所長という立場からか彼以外に気兼ねなく話せる人間が数人しかいなかったのも事実。

 

 

だからこそ、理不尽かもしれないがいてほしい時にいない彼を呼ぶ様に彼の名を呼んだ。

 

 

「助けにきなさいよ!!レインヴェル!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、黒い影が空からライダー目掛けて落ちてきた。ライダーは直前に気付けたのか大きく後退することでこれを回避する。落ちてきたのは黒いドレスを見に纏い、赤い葉脈の様なラインの入った黒い剣を持った金髪の女性。

 

 

「ーーーこちらは私がやろう」

 

 

その女性はオルガマリーと黒野を一瞥してそれだけ告げるとライダーに切りかかっていく。そして乱入者は彼女だけでは無かった。

 

 

「おはよう!!こんにちわ!!こんばんは!!挨拶しない奴は死ねぇ!!」

 

 

キャスターと対峙していたアサシンが弾き飛ばされる。現れたのは黄土色のコートを着た黒髪の男性。アサシンを蹴り飛ばしたのに使ったであろう振りあげられた足を下ろして空中で体勢を立て直して着地しているアサシン目掛けて突貫していった。

 

 

「なんだぁ!?」

「あれはもしかして……」

 

 

キャスターは突然の乱入者に驚いている様だったがシールダーはその男性に目覚えがあったらしい様子だった。そして見覚えがあるのはシールダーだけでは無い。

 

 

「来るのが遅いわよ、馬鹿……」

「所長、あの人を知ってるんですか?」

 

 

コートの男性に覚えの無い黒野は安心した表情になっているオルガマリーに尋ねる。作戦の開始直前に来た黒野はその男性とは面識が無かったのだ。

 

 

「心配しなくていいわ、彼は味方よ……人類最強の馬鹿って文句が付くけどね。それより!!彼と彼のサーヴァントらしき女性が相手をしてくれているわ!!今の内に各個撃破するわよ!!」

 

 

待ち望んでいた助けが来たことで余裕を取り戻したのかオルガマリーは指示を出す。ライダーは金髪の女性が、アサシンはコートを着た男性が相手をしているので残るはランサーのみ。キャスターとシールダーはランサーを仕留めるべく動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴様は……ライダーのクラスと見たが?」

「ーーーーーー」

 

 

金髪の女性ーーーアルトリアは自身のスキルである直感で目の前にいる存在がサーヴァントでライダーのクラスであることを看破した。それに対してライダーは声を出さずに鎖のついた短剣を構えることで応える。

 

 

「喋れぬのか……まぁいい、仕止めるだけだ」

 

 

アルトリアはそこでライダーに対する興味を一切捨てた。今のアルトリアにとっては目の前に立つのは敵、その事実だけがあればいいからだ。

 

 

「ーーー」

 

 

ライダーが突貫する。ライダーのサーヴァントというのは名前の通りに乗り物に乗って戦うクラスの英雄を指す。つまりは乗り物に乗って戦うことを前提としたサーヴァント、だというのにこのライダーの突貫はサーヴァントの中でも最も速いクラスだとされているランサーのクラスにも匹敵するほどの速度。致命傷を負わないにしてもペースを崩され、この先の主導権はライダーに持って行かれる。

 

 

「遅い!!」

 

 

だが、それをアルトリアは真っ向から叩き伏せた。ライダーが突貫すると直感で察するのと同時にアルトリアは爆ぜる様にしてライダー目掛けて突貫していった。これはアルトリアの持つ魔力放出のスキル。魔力をジェット噴射の様に放出することで爆発的な移動や一撃の威力や速度の上昇を可能とするスキル。魔力放出によってアルトリアの速度はライダーの速度を上回っていた。

 

 

「ーーー!?」

 

 

正面から、それもスピードで負けると思ってもみなかったのかライダーは動揺を露わにしながら弾き飛ばされる。幸い短剣でアルトリアの剣を防ぐことが出来たので傷は負っていないが受け過ぎると短剣が砕けてしまう程の威力だった。

 

 

そう判断したライダーは戦法を変える。初手で出した直線的な動きでは無くアルトリアの周囲を回る様にしてのヒットアンドアウェイ。瓦礫や地面、廃墟の壁などを使った三次元的な動きでアルトリアを翻弄するつもりなのだ。

 

 

それでも、アルトリアに剣が届くことは無い。ライダーの動きは全て読めていて、余裕を持って剣で受け止めることが出来ているからだ。もしもライダーが正規のサーヴァントとしてアルトリアと対峙していたのならあるいは一撃アルトリアに届いていたかもしれない。だがそれは所詮IFの話でしかない。

 

 

アルトリアの斬り上げ、それはライダー……ではなく持っていた短剣にぶつかる。ガギィンと耳障りな金属音が響いて限界に来ていた短剣は砕け散る。

 

 

「フンッ!!」

 

 

そして返す刀の一撃。アルトリアの剣はライダーの右肩から入って左脇腹から抜け出る。身体を二つに分けられたライダーは現界していられるはずがなく粒子となって消滅した。

 

 

「脆い、脆すぎる」

 

 

一言だけの感慨のない言葉。それがアルトリアがライダーと戦って抱いた感想だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーー何故だ」

 

 

一方で黄土色のコートを着た男性ーーーレインヴェルと対峙しているアサシン。ライダーとは違い己の意識を持っていたアサシンは目の前の光景が信じられず驚愕していた。

 

 

アサシンは短刀を投擲する戦法をとっているがそれはあくまで奥の手を決めるための作業でしかない。無論その一投一投が必殺級の物なのだがサーヴァント同士の対決では上手く決まる方が稀である。しかし相手はサーヴァントではなく人間、ならばこの投擲だけで十分だと判断していたのだが、

 

 

「何故!?」

 

 

不意打ちで蹴り飛ばされてすぐにアサシンは体制を立て直して短刀を投擲した。弾丸のような速度で心臓にへと一直線に向かうそれをレインヴェルは横に転がる事で回避した。人間がサーヴァントの攻撃を回避したことは賞賛に値するのだろう。しかしここからが異常だった。

 

 

続く投擲は急所二点(喉 心臓)、一投目よりも二投目の方が僅かに速いという仕掛けまでも施していたそれをレインヴェルはアッサリとナイフで弾いて見せた。

 

 

更に投擲の本数を増やして急所三点(眉間 心臓 膵臓)、アサシンの全力を持って投げられたそれをーーーレインヴェルはいとも容易く掴んでみせた。

 

 

そして今、アサシンが形振り構わず持てる技術を全て振るい投擲を続けているのにレインヴェルは避ける素振りすら見せない。だというのに短刀はレインヴェルに当たることなく彼の横を通り過ぎていく。

 

 

アサシンの内心にあるのは驚愕と恐怖。サーヴァントではないただの人間であるはずの存在がサーヴァントである自分を脅かしている。そんなアサシンの内心を読み取ったのかレインヴェルはナイフとマグナムを持った手を大きく広げて見下す様な笑みを浮かべる。

 

 

「どうした暗殺者、当てられないのか?サーヴァントにまで至ったというのにただの人間一人も殺せないというのか?そんなんでサーヴァントになれるだなんて程度が知れるぞ。足掻いてみせろ、そして俺にお前を学ばせろ」

 

 

驕りとも思えるような言葉だがレインヴェルは心の底からそう思って口にしていた。魔術師としてのレインヴェルの目的は“完成された人間になること”。人間よりも上位の存在であるアサシンとの戦闘経験はこの目的に大きく近づくことになる。そしてレインヴェルは学んだ。アサシンの動き、投擲技術を。アサシンが生前に磨き続けてきた技術をこの数分で学び取った。

 

 

アサシンはここに来てようやく目の前に立つのがサーヴァントに迫るほどの化け物であることを悟った。拘束具の付けられた右腕に手を伸ばしレインヴェルを確実に殺そうとする。しかしそれは戦闘中に見せてはいけない隙だった。平時のアサシンならばこんな愚行は犯さないだろうがレインヴェルの異常さに動揺していたアサシンはその隙を見せてしまう。

 

 

そしてそれを見逃すレインヴェルではない。マグナムを上へと投げ、空になった手でアサシンから奪い取った短刀を投擲する。狙いは急所三点(眉間 心臓 膵臓)、まるで自分が投げたのではないかと錯覚してしまう程の模倣にアサシンは驚くがそのままでいられるはずがない。

 

 

「舐め、るなぁ!!」

 

 

拘束具に伸ばしていた手を止めて短刀を握り投擲された短刀を弾く。しかしそれはレインヴェルの目論見通りだった。

 

 

「ギィッ!?」

 

 

弾いた短剣の影から別の短刀が現れてアサシンの両肩の付け根に突き刺さる。アサシンならば自身の投擲する短刀を弾くと信じていた、だからレインヴェルは最初の回避の時に密かに回収していた短刀二本を急所三点(眉間 心臓 膵臓)目掛けて投擲した短刀の陰に隠して投擲していたのだ。

 

 

「武芸百般“七夜の項”より抜粋ーーー」

 

 

肩に短刀が刺さった痛みと驚愕で動きを止めてしまったアサシンの元にレインヴェルが近づく。その歩行術は人間が到達出来る極みまで研鑽されていて対峙していたアサシンでさえ目の前に突然レインヴェルが現れたようにしか思えなかった。

 

 

「“十七分割、斬刑に処す”」

 

 

レインヴェルのナイフが高速で振るわれる。視認が許されるのはナイフが煌めいて残される影だけ。アサシンが斬られたのだと理解したのは十六の肉片となった身体が崩れ落ちるのを斬り落とされたことで落下していた頭部が見た時だった。

 

 

そしてアサシンはライダー同様に粒子となって消える。

 

 

「礼を言うよ、これで俺はさらに完成に近づいた。それに新しいことを学ぶことが出来たからな」

 

 

レインヴェルの口から出たのは魔術師としての目的に一歩近づけたことに対する感謝、そして新しいことを学ばせてくれたことに対する感謝だった。

 

 

 






波旬「やぁみんな!!波旬お兄さんだよ!!今回はレインヴェル君とは別のカルデアの魔術師たちとの邂逅と初めてのサーヴァント戦だったね!!原作とは違う形になってるかもしれないけどこの小説ではこうなるから納得してね!!」


波旬「今回はレインヴェル君の武芸百般について説明するよ!!」


波旬「魔術師として完成された人間を目指しているレインヴェル君の家系は人間が出来ることはなんでも出来るキチガイ家系!!その中でも戦いに関する技能を纏めたのが武芸百般なんだ!!これは現当主から当主候補に肉体言語で教えるから書物とかに残されていないよ!!」


波旬「そして今回使ったのは七夜の項、つまりはレインヴェル君の父親と同じ家業の七夜の家系の技だね!!これはレインヴェル君が各地を放浪していた殺人貴こと絶倫メガネと戦った時にレインヴェル君が勝手に覚えた技術技巧が纏められているよ!!何気に殺人貴相手に戦って生き残ってるね!!」


波旬「カルデアの魔術師たちの説明は次回に回して今回はここで終わりだよ!!次の更新がいつになるかわからないけど見てくれるなら波旬お兄さんは嬉しいな!!」


波旬「それじゃ!!また会う日まで……せぇの!!生きてるだけで最高さ!!」

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