「ーーー焼き尽くせ、樹々の巨人……!!
キャスターとシールダーのコンビによる戦いも佳境に迎えていた。ランサーの猛攻をシールダーが受け止めている内にキャスターが真名解放を行う。キャスターの背後から現れたのは無数の細木で構成された藁人形のような見た目の巨人。木製の身体は炎に包まれており、胸の部位に伽藍堂になっている檻に納める供物を求めて暴れまわる。
「やった!?」
「嬢ちゃん!!気ぃ抜くんじゃねぇ!!」
巨人の炎に巻き込まれて燃えているランサーを見てシールダーは勝利を確信するがそこにキャスターからの叱咤が飛ぶ。戦いとは相手の死を確認してようやく終わりを迎えるのだ。確かにランサーは
「おぉーーーおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
ランサーは自身の身体が炎に焼かれ、死に近づいているというのにまだ健在だった。ランサーの真名は源平合戦において多大な戦果を納めた源氏の将源義経、かの者に仕えた武蔵坊弁慶である。まだ牛若丸と名乗っていた頃の義経と戦った話は有名だろうがそれに勝るとも劣らない逸話は弁慶の仁王立ちだろう。彼は義経と血を分けた兄弟である源頼朝の裏切りによって窮地に立たされた義経を守るために全身に矢を受けても膝を折ることなく戦い続けた。そして死しても倒れることなく仁王立ちのままに逝ったのだ。だとするなら、身を焼かれる炎に包まれた程度では、かの弁慶は止まらない。
未だに身を灼き続ける炎を纏わせたまま、気を緩ませてしまったシールダーに斬りかかっていった。
「なっ!?」
シールダーはサーヴァントという存在を甘く見ていた。その偉業に程度の差はあれどサーヴァントというのは歴史に名を残し世界に認められる程の功績を成し遂げた英雄なのだ。全身を炎で焼かれた程度で膝を折っていては英雄など名乗らない。
油断していたシールダーに弁慶の薙刀を回避する余裕など無い。盾を持ち上げるよりも薙刀がシールダーの胴体を切り裂く方が圧倒的に速い。
「マシュ!!」
シールダー−−−マシュの名を黒野は叫ぶ。そして薙刀の刃がマシュに届こうとした時−−−一陣の黒い風が割って入ってきた。
「な−−−」
それに驚愕の声をあげたのは弁慶。死力を搾って放った一撃を防がれれば誰だって驚くだろう。それを割って入ってきた黒い風−−−アルトリアは鼻で笑い、弁慶の後ろにいたマスターに言い放つ。
「良いぞ、殺れ」
「アイサー−−−武芸百般『中国拳法八極拳』より抜粋−−−『六大開・頂肘』」
爆発物が爆ぜたかと間違えてしまう程の爆音と共にマスター−−−レインヴェルの縦の回転をしながら放たれた肘が弁慶の背中にぶつけられる。本来ならば神秘を介さない攻撃は霊体であるサーヴァントに効かないのだが神秘である魔力を纏っていたので弁慶の体内を破壊することが出来た。
「−−−き、さま……」
「後ろから攻撃するのは卑怯とかいう口かい?バッカだなぁ!!バックアタックを気にしないとIKUSABAじゃ生きていけないぞ!!」
「同感だ」
そしてアルトリアが弁慶の首を跳ねる。頭部を失えば如何にサーヴァントとは言え一部の例外を除いては現存し得ない。弁慶もその例に漏れず、消滅していった。
「ふん、サーヴァントと聞いて楽しみにしていたがこの程度か」
「まぁアルトリアには物足りなかったかもしれないね、俺からすれば大満足だけどな!!」
「……もしかして、レインヴェルですか?」
不満げな表情のアルトリアと満足した表情のレインヴェルにマシュが恐る恐ると言った具合で話しかける。
「んん〜……もしかしてマシュ?え、何、何でそんなピッチピチのボディースーツに着替えてるの?もしかして目覚めた?それともロマの趣味に付き合わされたの?」
「殴りますよ?」
「オーケーオーケー冷静になろう、流石にそれで殴られたら痛いから」
レインヴェルの物言いに額に青筋を浮かべながら盾を持ち上げるマシュは親しげな様子だった。レインヴェルに見覚えの無い黒野はオルガマリーに彼の事を知っているか聞こうとしたがさっきまで隣にいたはずの彼女の姿が無い事に気づく。
「この−−−お馬鹿がぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「グフゥ!!」
そして黒野がオルガマリーの姿を見つけた時、彼女はレインヴェルの顔面にドロップキックを決めていた。
「いったぁ……一部の人間なら我々の業界ではご褒美です!!とか、ありがとうございます!!とか言うらしいが俺は違うからな?ロマとは違うからな?」
「何でそこでドクターの名前を出してるんですか……」
「……でも納得できるのが悔しいところね」
『所長ぉ!?』
「むっ!?ドMの声が聞こえる!!」
『良い加減名誉毀損で訴えれると思うんだレインヴェル……!!』
オルガマリーのドロップキックから、カルデアで元々面識があったレインヴェルたちは普通に話し合っていたがレインヴェルのことを知らない黒野はついていけてなかった。
「あの……出来れば紹介してもらえるとありがたいのですが……」
「え?……あぁ、彼と貴方は初対面だったわね。彼の名前はレインヴェル・イザヨイ、キチガイよ」
「ども!!キチガイ紹介されたレインヴェル・イザヨイでぇす!!特技は人間が出来ることなら大抵の事は出来る事!!趣味はIKUSABA巡り!!休日には良く紛争地帯に遊びに行ってまぁす!!」
「……キチガイだね」
「えぇ……キチガイなんです……」
『キチガイだけど……今回集められたマスター候補の中で一番優秀だったの彼なんだよな……』
「止めろよ、褒めるな」
「「『ねーよ』」」
三人から同時に否定されたことでレインヴェルはorz状態になったが即座に身体を起こして黒野の方を見る。
「で、そっちの少年は?」
「彼は一般公募で暫定的にマシュのマスターをしている岸波黒野よ」
「初めまして、岸波です」
「あ?マシュのマスター?マシュが無駄にエロいピッチピチのボディースーツを着てるのと関係あるの?」
「……」
「マシュ、ストップだ。流石に盾のフルスイングは命に関わる」
「……そうね、一旦情報を交換しましょう」
「ーーーマシュがデミ・サーヴァントになって、特異点Fは冬木、そしてここでは聖杯戦争が行われていた。で、気がついたらサーヴァントたちが黒いのに汚染されて暴走、唯一無事なのはそこのキャスターだけ……ね。何だか軽く世紀末っぽくなってるな〜」
「まぁ纏めればそういうことね。そして私たちはこの地の聖杯がある場所に向かっていたのそしたら」
「あのサーヴァントたちに襲われたと。どうやら敵認定されたみたいだな」
オルガマリーから話を聞いたレインヴェルは脳内で情報を纏めていた。一番気になるのはサーヴァントの汚染と暴走、サーヴァントはマスターからの魔力供給がなければ現存出来ないはずなのにこの冬木で聖杯戦争をしていたサーヴァントたちは普通に現存している。貯蔵魔力に余裕があるだろうキャスターのクラスなら話は分かるが魔力の消費が最も激しいとされているバーサーカーまで存命となると話は別だ。まるで意志のないはずの聖杯がサーヴァントを生かしているようにしか思えない。
「そういえばレインヴェルはどうしてレイシフトに成功してるのよ?他のマスター候補たちは全員瀕死だったのに」
「知らねぇよ、ドッキリしようと思って装置の中に潜り込んだら眠くなって、気がついたらここにいたんだよ。あ、ロマお前訴えるから」
『どうして!?……ねぇレイン、もしかして君正面にあった装置に入った?』
「そだけど?」
『それでだ、実は正面にあった装置は故障してて起動には問題なかったけどブレイカーが壊れてたんだ。コフィンはレイシフトの成功確率が95%を下回ると電源が落ちるようにしてあった。でもレインのコフィンはそれが無かったから』
「何というか……悪運が強いわね」
「それが俺だから!!」
レインヴェルがレイシフトに成功した原因が解明され、思っていたよりもこの場が世紀末っていることが判明した。どちらにしても戦闘は避けられないと考えるとレインヴェルは呼び出したサーヴァントであるアルトリアの事を紹介しようとする。
そんな時、キャスターがアルトリアの事を観察していることに気づいた。顔を見て、胸を見て、手を見て、足を見て、最後に胸を見る。
「……違うよなぁ」
「貴様、何処を見て違うと言っているのだ!?」
「ワレェ……アルトリアにいやらしい目を向けおって、どこのどいつじゃオォン?」
「あぁ?ケルトのクー・フーリンだが?」
「クー・フーリン?犬食わすぞ?」
「勘弁してください……!!」
「キャスターが言い負けた!?」
「名前を聞いただけで弱点を見つけるとは……無駄にハイスペックですね」
だがまぁ、どのような経緯があってもレインヴェルはカルデアのメンバーと合流することが出来た。
この特異点が攻略されることは時間の問題となる。
(∴)「やぁみんな!!波旬お兄さんだよ!!作者が無駄に小説を投稿しすぎたせいで遅れちゃってゴメンね!!今日はぐだ男こと岸波黒野君の紹介だよ!!」
(∴)「彼は名前からわかる通りにextraの主人公である岸波白野の家系の人間だ!!子孫なのか祖先なのかはご想像にお任せするよ!!」
(∴)「魔力は人よりもあるけど魔術師としての訓練をしていなかったので彼の役目はもっぱら魔力タンクだね!!現在はシールダーことマシュちゃんと槍を持たない槍ニキことクー・フーリン君と二重契約してるね!!だけどメインはマシュちゃん、クー・フーリン君は最低限だけ供給してもらってあとは自前で補ってるよ!!」
(∴)「っと、こんなところかな?次の更新はいつになるかわからないけど見てくれるなら波旬お兄さんは嬉しいな!!」
(∴)「それじゃ!!また会う日まで……せぇの!!滅尽滅相ォォォォォォォォォォォォ!!!!」