IKUSABA育ちのIKUSABA人   作:鎌鼬

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第6話

 

 

再会し、探索を続けるレインヴェルたち。目的はこの聖杯戦争の目的である聖杯のある場所である。キャスターがその位置を知っているとの事なので彼を先頭にして戦闘能力皆無な黒野とオルガマリーを守るようにして歩き始めた。

 

 

元々敵対していたサーヴァントはキャスターを除いた六騎。内ランサー、ライダー、アサシンはすでに撃破済み。残るはセイバー、アーチャー、バーサーカーの三騎で、セイバーとアーチャーは聖杯の守護をしておりバーサーカーはこちらから手を出さなければ問題無いらしい。

 

 

「おら、さっさとサーヴァントの真名と戦闘スタイルバラせや。でねぇと犬食わせるぞ」

「なんでいきなり脅しから入るんですか……」

「それがレインヴェルですよ……」

「彼のことを理解しようとしたら疲れるわよ、そんな生物なんだと思っておいた方が身の為ね」

「む、レインヴェル、ここに良い具合に焼けた犬の死体があるぞ」

「でかしたアルトリア!!」

『やめたげてよぉ!!』

「マジ勘弁してください……!!」

 

 

犬の死体を抱えながらスキップしてくるレインヴェルに危機感を抱いたのかキャスターは半泣きになりながら土下座をする。人間よりも上位の存在であるはずのサーヴァントだったがこの場では完全に上下関係が逆転していた。流石に可哀想になってきたので黒野が身を挺して止める。

 

 

「はぁ……悪いがアーチャーの真名は分からねえ。多分あいつは過去の英霊じゃなくて未来の英霊だ。戦い方が新しすぎる。魔術かなんかで剣を出してそれを射出して戦ってたな。バーサーカーはヘラクレスだ、流石にヒュドラを殺した弓矢は無いが代わりに12回殺さないと死なない宝具を持ってやがる」

「ヘラクレス……12回……あぁ、十二の試練を乗り越えたことから派生した宝具ね」

「名前と効果聞いただけで宝具の起源が分かるなんて……キチガイなのが残念ですね」

「えぇ……本当にそうですよ……」

「一々残念がってたらこの先持たないわよ……」

 

 

ヘラクレスと言えばギリシャ神話に登場する知名度の高い英雄だ。彼の功績として有名なのは己が罪を償うために与えられた十二の試練だろう。元は十だったのだが王が内二つを認めなかったために追加で二つ加えられて十二の試練となった。キャスターが危惧していたのはその試練の中で倒した強力な毒と数多くの頭を持った蛇ヒュドラを討伐した際に使った弓矢。もしヘラクレスがアーチャーとして召喚されていたら先の宝具に加えて、九つの追尾式のレーザーを放つぶっ壊れ性能の弓矢が宝具として加えられていた。それでもステータスを強化するために理性を無くしているバーサーカーのクラスで召喚されたヘラクレスが強敵であることには変わりは無い。

 

 

「んで、セイバーは?まぁキャスターの反応から薄々は察しがついてるけど」

「え、マジですか?」

「一体どこで……」

「それなら私も分かるわよ。少し半信半疑なところはあるけど」

『所長も毒されてきたかな……あ、僕は分からないから』

「ホントお前何なんだよ……セイバーのクラスで召喚されたのはエクスカリバーの担い手、アーサー王だ。そこにいる姉ちゃんと同じな」

 

 

キャスターの言葉に黒野とマシュとオルガマリー、そしてロマンは言葉を失う。レインヴェルの召喚したサーヴァントとセイバーが同じだという事もだが何よりアーサー王であることに驚いている。

 

 

「え、レインヴェル、貴方召喚したのアーサー王だったの?」

「ん?言ってなかったか?」

「言ってないわよぉ!!ずっとアルトリアって呼んでたからどこの英霊か分からなかったわよぉ!!」

「驚きです……まさかアーサー王が女性だったとは……」

『あ〜当時の背景とか考えたら性別を偽るのは珍しいことじゃ無いね。女性の王様よりも男性の王様の方が民衆が従いやすいし』

「そんなことよりも所長止めなくて良いの!?なんかレインヴェルさんの頭が残像が残る勢いでシェイクされてますよ!!」

 

 

どこぞのロックバンドの様に激しく頭を振られているレインヴェルだったが口からは笑い声が出ているので平気そうだった。きっと驚かせたくて黙っていたと言うのもあるのかもしれない。

 

 

「さってと、相手の真名が分かったところでブリーフィング、ミーティング、作戦会議だ」

「おっと、意外と真面目な話になった」

「てっきり作戦無しで特攻するものだと思ってました」

「失礼な、一人だけだったらするかもしれないけど流石にチーム組んでるんだったら作戦立てるくらいはするわい」

『てか一人だったら特攻するんだ……』

「そこら辺に関しては普通に真面目よ、レインヴェルは。一人だったら無鉄砲な事するけどチーム組ませるとやり過ぎじゃ無いかっていうくらいに慎重になるわ」

「やね、俺一人だったらハッチャケますよ。でも誰かと一緒にいてそいつに被害が行ったらやりきれ無いじゃない?」

「その優しさを俺にも分けてくれよ」

 

 

キャスターが何かを訴える目で見てきたがそこはスルーする。それに文句でも言おうとしたキャスターだったがレインヴェルの後ろで犬の死体を持っていたアルトリアを見て黙ることにした。

 

 

「まぁ作戦と言っても大したことじゃ無い。誰がどのサーヴァントと戦うかって話だ。俺としては俺がアーチャーとバトってアルトリアを控えに、マシュとキャスターでセイバーとバトって欲しいね」

「さらりとサーヴァントと戦うと言ったぞコイツ」

「レインヴェルがアーチャーと戦うのならアルトリアはセイバー戦に回してくれない?そうした方が勝率が上がるわ」

「バーサーカーを警戒してだよ。ここの聖杯はサーヴァントを使って自分を守ってるんだ、下手に追い込んだらヘラクレスを呼ぶかもしれない。だからアルトリアにヘラクレスの相手をしてもらうつもりなんだよ……出来るよな?」

「無論だ。ヘラクレスだろうがヘラクレスオオカブトだろうがこの魔剣擬きに誓って倒してやろう」

「待って、その二つは大分違う」

「さっすが、宝具は幾らでもブッパして良いからな。多分その戦いでこの特異点が終わるだろうから出し惜しみ無しだ」

「心得た」

 

 

こうしてレインヴェルがアーチャーを、マシュとキャスターがセイバー、そしてもしもヘラクレスがやって来た時にはアルトリアが相手をすることに決まった。

 

 

レインヴェルはアサシンを倒したと言う実績はあるものの、流石にヘラクレスやアーサー王クラスの大英雄となると倒せる自身は無くなる。それなのに三大騎士の一角であるアーチャーを相手にすると言ったのには一つ理由があった。キャスターが言ったアーチャーの戦い方、レインヴェルにはその戦い方に心当たりがあったからだ。もしアーチャーがレインヴェルの考えている通りの英霊ならば、レインヴェルにも勝機はある。

 

 

「んで、気になるのはマシュの宝具だな」

 

 

宝具とは英霊のシンボルとも言えるもの。例えばアーサー王ならばエクスカリバーといったもので、分かりやすく言ってしまえば超必殺技。状況を一気に変えてしまうことが出来る。

 

 

「私は伝説通りにカリバーなわけだがキャスター、貴様はどうなのだ?」

「俺か?灼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)って炎の巨人突っ込ませるんだよ」

灼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)……あぁ、あの藁人形」

「藁人形言うなよぉ……!!俺だって気にしてんだから……!!」

「マシュの宝具は?」

「……すいません、それが分からないんです」

 

 

マシュが言うには確かにサーヴァントと融合したがサーヴァントの記憶の大半が喪失しているらしく、宝具の使い方が分かっていないとの事らしい。

 

 

それを聞いたレインヴェルは悩んだ表情になり、項垂れているキャスターの尻を蹴って立ち上がらせた。

 

 

「ケツがぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「おいキャスター、お前ちょっとマシュとバトれ」

「は?」

「え……ちょ……どういうこと?」

「……あぁ、そういうことね」

 

 

レインヴェルの目的はキャスターと戦わせることで宝具を無意識下でも良いから無理矢理に発動させること。偶然でも良いから宝具として発動してしまえば後はマシュの意思で発動できるようになるからだ。

 

 

建前としてはそれだがレインヴェルにはもう一つ狙いがある。それはマシュに戦闘経験を積んで欲しいことだ。先の戦いを見た限りではマシュには一応サーヴァント並みの身体能力はある、だがそれに身体がついていけていないのだ。ここまでではそれでどうにかなったかもしれないがアーサー王であるセイバーとの戦いではそれは間違いなく致命的な欠点になる。故に今の内にその欠点を埋めてしまおうとしているのだ。

 

 

「……なるほどねぇ、確かにそいつは悪くない話だな。よし、構えろや。稽古つけてやるついでにあいつから与えられたストレス発散してやるからよぉ!!」

「完全な八つ当たりじゃないですか……!!」

 

 

マシュが言い終わるや否やにキャスターがルーン文字を空中に刻み、火球をマシュに向かって放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大の大人が少女を虐めてストレス発散しようとしているらしい……事案です」

「元はといえばレインヴェルが原因だからね!!」

 

 

 

「」






(∴)「やぁみんな!!久しぶりだね、波旬お兄さんだよ!!今回はレインヴェル君の危惧についてだね!!」

(∴)「レインヴェルはバックアタック……つまり戦闘中にヘラクレスが乱入することを恐れてたんだ!!誰だって筋肉ムキムキのマッチョマンが飛び込んできたら嫌だよね!!」

(∴)「だからそれをさせないためにアルトリアちゃんをフリーにしてるんだ!!セイバーとアーチャーに守らせているんだから聖杯には意志があるに違いないと考えてるわけだね!!」

(∴)「っと、こんなところかな?次の更新はいつになるかわからないけど見てくれるなら波旬お兄さんは嬉しいな!!」

(∴)「それじゃ!!また会う日まで……せぇの!!ディスケ リィィィベェェンス!!!!」

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