IKUSABA育ちのIKUSABA人   作:鎌鼬

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第7話

 

 

「さーてマシュたんが無事に宝具を使える様になった所で『ドキッ☆聖杯カチコミ大作戦〜(首がと言う意味で)ポロリもあるよ〜』作戦を伝えたいと思いまーす」

「おい、誰かこのキチガイどうにかしろよ」

「どうにか出来るのならとうの昔にどうにかしてるわよ……」

「というか丸々私の活躍を無かったことにされた様な……」

 

 

キャスターとの戦いでマシュは目的である宝具の発動に成功した。その宝具はシールダーというイレギュラークラスだからか攻撃性のないものであったが、この先の聖杯攻略において必要な一手にやったことは明らかである。

 

 

「んじゃ、前もって伝えた通りに俺がアーチャー転がして、アルトリアはバーサーカーがやって来た場合に相手して、残りはセイバーをボコる。それでいこうと思う」

「待ってくださいレインヴェル、どうして貴方はそこまでアーチャーのサーヴァントに執着するのですか?」

「……確かに。何時もの貴方なら『皆〜サッカーしようぜ〜!!ボールアーチャーな!!』くらい言う筈なのに」

『うわ…想像できる』

「どうしてだろう……イメージに違和感が感じられない」

 

 

だがマシュの指摘も確かである。確実に倒そうとするのなら分散せずに集中して戦った方が勝率は高い。そのことをレインヴェルは理解している筈なのに彼は違う作戦を立てた。

 

 

そのことを指摘されてレインヴェルは気まずそうに頬を掻く。

 

 

「あ〜……言わなきゃダメ?」

「言いなさい」

「言ってください」

『……良し!!録音の準備は万端だよ!!』

「ドクタぇ……」

「魔術師が逞しいな……」

「これが付き合いの差と言うものか……」

 

 

ロマンの行動に黒野が呆れ、キャスターが達観している中で話さなくてはいけないと悟ったレインヴェルは溜息を吐く。

 

 

「……多分だけど聖杯を守護しているアーチャーと戦った事がある。その時はまだガキで負けたからリベンジがしたいんだよ」

「嘘……レインヴェルが負けた……?」

「まだ子どもの頃とは言えこのキチガイに勝てる存在がいるだなんて……!!」

「イヤイヤ、子どもの頃ならおかしくないでしょ……」

『いよっし!!録音成功!!これをネタにして遊ぶぞぉ!!』

「皆ぁ!!帰ったら祝勝会しようぜぇ!!食料はロマの菓子だ!!」

「私、凄い食べるぞ?」

「おうおう好きなだけ食え。むしろ食べ尽くす勢いで」

『破棄するんでそれだけは勘弁してください……!!』

 

 

画面の向こうでロマンが土下座しているのが伝わっている。本当ならここでレインヴェルは許すつもりだったが目をキラキラさせているアルトリアと天秤にかけた結果……ロマンには泣いてもらうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーー」

 

 

ここは聖杯戦争の根幹となっている大聖杯が存在する洞窟。最奥にある大聖杯にはセイバーが、そして最奥に続く道にはアーチャーがそれぞれ守護をしていた。

 

 

「ーーーむ?」

 

 

洞窟の入り口から魔力の流れを感知したアーチャーが顔を上げる。この冬木で召喚されたサーヴァントはキャスターを除きすべてが黒く汚染されている。つまり、この魔力の流れはキャスターの物ということになる。

 

 

戦いに来たのかとアーチャーは千里眼のスキルで洞窟の入り口の光景を見る。

 

 

するとそこにはーーー黒く燃え滾る閃光を、振り翳している大人びたセイバーの姿があった。

 

 

「なーーー」

 

 

大聖杯を守護しているはずのセイバーが何故そこに?なんか成長してない?てかあれ本当にセイバー?などとアーチャーの頭の中で色んな疑問が飛び交う中ーーー閃光が振り下ろされた。

 

 

「ーーー熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)!!!!」

 

 

洞窟を削りながら迫る閃光を前にしてアーチャーは反射的に七つの花弁を模した盾を前に敷いた。そして閃光と盾がぶつかる。

 

 

大聖杯とリンクが繋がっているアーチャーは大聖杯から無限とも言える魔力を供給されている。あの閃光を防ぐならばアーチャーは全魔力を消費してようやく止めれるレベルの攻撃であったが、アーチャーは何とか閃光を防ぎきった。

 

 

何とか防げたことに安堵するアーチャー……そしてその隙を突くように、アーチャーの脇を二つの影が通り過ぎていく。

 

 

「先輩ごめんなさい……!!」

「帰ったらあの人シバいても許されると思うんだ……」

「止めた方がいいわよ……そうしたら間違い無く返り討ちにあった挙句、弱みを握られるだろうから」

ケルトの戦士(おれら)よりもぶっ飛んだ奴がいるとはな……師匠が気に入りそうだぜ……」

「何っ!?」

 

 

その影の正体はマシュとキャスター。マシュが黒野を、キャスターがオルガマリーを抱えて洞窟の最奥に向かって全力で走っている。マシュとキャスターは共に筋力は高いサーヴァントではないのだが人一人を抱えて走るくらいはどうってことは無い。

 

 

「クッ……!!」

 

 

理性では行かせてやれと思うのだが大聖杯からの命令により身体がアーチャーの意思に反して動き出す。手元に現れたのは黒塗りの弓と捻じれ曲った一本の剣。それを最奥に向かうマシュとキャスターに向ける。

 

 

「ーーーエッミッヤッくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!!!あぁぁぁぁぁぁぁそぉぉぉぉぉぉぉぼぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

「今度は何だぁ!?」

 

 

だが、それを防ぐかのように上から影が落ちてきてアーチャーの持っていた弓をナイフで切り裂いた。予想外の事が起こり過ぎているためにアーチャーは悪態を付きながら後ろに飛び退いて新たな侵入者との距離を取る。

 

 

そこにいたのはレインヴェル。まるで子どものような無邪気な笑顔で右手にはナイフを、左手にはマグナムを持っていた。

 

 

「おっひさエミヤん!!覚えてる?覚えてるよね?……ん?覚えてない?そっか……だったら悲しいから死んで詫びろやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「ーーーその狂人の様な言動……もしかしてレインヴェル・イザヨイか!?」

「大正解ぁぁぁぁぁぁぁい!!賞品は座への片道切符でございます!!おめでとう!!」

「それは遠回しに死ねと言っている様なものではないか!!」

 

 

レインヴェルのことを認識したアーチャーが黒と白の双剣を虚空から出現させ、それを持ってレインヴェルへと切り掛かる。それに対しレインヴェルは笑顔を崩さぬままにマグナムをアーチャーに向けて引き金を引いた。常人ならば何が起きたか分からずに弾けていただろうがここにいるのはサーヴァント、頭心臓膵臓を狙って向かってくる弾丸を容易く弾いて見せた。

 

 

迫り来るアーチャーに向かってレインヴェルは縮地で予備動作を一切感じさせずに詰め寄る。だがそれを読んでいたのかアーチャーはタイミングを合わせて双剣を振るってきた。レインヴェルのナイフとアーチャーの双剣がぶつかりーーーナイフが双剣をバターを切る様に切り裂いた。

 

 

「くっ!!」

「グェッ!!」

 

 

そのナイフを危険と判断したのかアーチャーがレインヴェルの腹を蹴り飛ばす。レインヴェルの口からは苦しそうな声が溢れた。後ろに飛んだものの、アーチャーに見切られて完全には威力を殺せなかったからだろう。アーチャーが切られた双剣を捨て、新たな双剣を出現させた隙にマグナムに新しい弾を込める。

 

 

「それにしても……お前みたいな正義の味方が何やってるんだよ。外の様子知ってるんだろ?」

「……分かっているさ。だが、聖杯に呼び出されたこの身は聖杯の支配から逃れられん。唯一自由に動けるのは染められていないキャスターだけだ」

「ふーん……まぁ良いけど。俺としてはお前にリベンジしたいんだよ。覚えてる?あの日のこと。俺が初めて負けた日さ」

「覚えているとも……戦場にいきなり銃を両手に持った子供が現れたかと思えば正規部隊を瞬く間に壊滅させ、それを鎮圧したかと思えばガトリングガンを両手に持った男が乱入してきて……なんだアレは、リアルランボーか?」

「アレ?マイファザー」

「あぁ……血か」

「なーんか凄く不本意な納得の仕方をされた気がする」

 

 

レインヴェルとアーチャーが脳裏に思い浮かべるのは彼らが初めて会った日のこと。紛争地帯にて数多くの人を救うために奮闘していたアーチャーの前にまだ幼かったレインヴェルが現れてアーチャーが身を寄せていた正規部隊を壊滅させたのだ。その後アーチャーはレインヴェルと戦い何とか鎮圧することは出来たのだか直ぐに両手にガトリングガンを持ったレインヴェルの父が乱入、即座に撤退したのだ。

 

 

それから彼らは会っていないがレインヴェルはその日のことを忘れず、アーチャーもまた乱入してきた男のことを調べる過程で少年がレインヴェルであったことを知った。

 

 

「さぁ……学ばせてくれよエミヤシロウ、俺が高みへと至る為の踏み台となってくれ」

「邪悪すぎる……!!投影開始(トレース・オン)!!」

 

 

アーチャーの背後に複数の刀剣が現れる。これは宝具などでは無く、アーチャーが生前に使っていた魔術である投影魔術。本来ならそれは儀礼用に用いられる魔術で戦闘に使える物などでは無かったが、アーチャーのとある体質が儀礼用に過ぎない投影魔術を戦闘で使えるラインまで持ち上げていた。

 

 

「ーーー人の一生とは、既知を無くす作業である

 

未知を知れ、既知を無くせ、歩み続けることこそが人の証」

 

 

それを見てもレインヴェルは笑みを崩さない。それどころか臆すること無く言葉を紡ぐ。それは他人からすればただの言葉であるが、レインヴェルからすれば先祖から受け継いだ魔術を行使する為の言霊。

 

 

「さぁーーーこの今をーーー喜んで学べ!!!!」

 

 

完成された人類を目指す魔術師が、霊長類の守護者にへと挑んだ。

 

 

 





(∴)「やぁ!!みんな!!波旬お兄さんだよ!!今日は僕の弟を連れて来たんだ!!」

(♂)「は、はじめまして……さ、坂上覇吐です……兄さん、本当に僕がこんなところに来て大丈夫なの?」

(∴)「大丈夫大丈夫!!きっとみんな受け入れてくれるさ!!今回はレインヴェル君とアーチャーことエミヤ君の関係についてだね!!」

(♂)「え、えっと……レインヴェルさんが子どもの頃にIKUSABAに行ってたらエミヤさんに出逢ったんだよね?」

(∴)「そうだね!!その時レインヴェル君はエミヤ君を見て迷わず特攻し、エミヤ君もレインヴェル君が危険だと判断してガチで殺りに来てたよ!!」

(♂)「……成人してる大人と子どもが殺し合ってるとかおかしくないかな?」

(∴)「おかしくないおかしくない!!IKUSABAじゃそれが普通!!その時の戦いは経験の差や身体能力の差でエミヤ君が勝ったんだ!!でもレインヴェル君の父親が乱入したことで仕留め損ねたらしいよ!!」

(♂)「エミヤさんからリアルランボー扱いされてたけど……両手にガトリングガンとか、どちらかと言ったらターミネーターじゃないかな?」

(∴)「今回はこの辺で良いかな?」

(♂)「ふ、不定期になりそうですが次回も楽しみにしてくれると嬉しいです!!」

(∴)「それじゃあ!!また会う日まで……せぇの!!」

「「生きてるだけで最高さ!!!!」」

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